宇宙艦これヤマト2199 人類最後の希望の艦隊の物語   作:コスモゼロ

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164年の眠りから覚めた大和。そこで沖田から、ある頼み事をされる。
※冥王星沖から()は、妖精の声です。


冥王星沖海戦(メ号作戦)

「君に頼みがある。いいかな?大和」

(頼み?起きてすぐに?一体何を)

「どうだね?」

 

大和は反射的に頷いた。

 

「そうか。有り難う。君への頼みは一つ。また"人類の為"に戦ってはくれまいか。」

「と…とふいふ…こ、こと、れふか……」

 

艦娘の身体能力は人間よりも優れており、艤装を装着していない時でもそれは変わらない。

その影響か、大和も少しずつ喋れる様なってきていた。

 

「これを話す前にまず、今の地球の現状を説明しなければならない。恐らく、先程よりも衝撃が強いだろう。覚悟を決めてくれ。」

 

コクリと頷く大和。

しかし、"彼"から聞いた話は、大和の想像を絶するものであり、164年前の災厄を遥かに上回る事が起きていた。

 

(そ、そんな!人類が、一年で、死滅!?)

 

「我々は一年前、ある星の技術供与を受けて、最新型の艤装を完成させているのだ。」

 

「じ、じゃあ…な…何で…、使わ…無いのですか?」

 

「必要なコアが足りないのだ。今度行われるメ号作戦は、そのコアを受け取るための作戦なのだ。君にした頼みは、覚えているか?」

「た、確か…人類の、為に…また、戦ってくれ。でした。」

「そうだ。"新型艤装"を着けて、人類の、地球最後の希望(・・)として、出撃してくれないだろうか……」

「か、考え…させてください……。」

「うむ。6週間時間を与える。じっくり考えてくれ。6週間後にまた此処へ来る。」

「は、はい…。分かり…ました。」

 

(二度も沈んだ私が、本当に役に立てるのだろうか。…それに……希望…だなんて……。)

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

三週間後、冥王星沖

 

ユキカゼ

 

(現在、冥王星軌道に、二十万キロの空間点)

「戦闘配置」

(戦闘配置!)

(冥王星沖合いに敵影無し)

(ユキカゼさん、艦長、薙いだ海です。怖い位だ)

「はい、不気味です。」

(発光信号、送れ!)

(了解)

______________________

 

国連宇宙軍第一艦隊旗艦 キリシマ

 

「沖田提督、"ユキカゼ"から発光信号です。」

(何だ?)

「『我レ、作戦宙域ニ突入セリ。』です。」

(うむ。)

(両舷前進原速、黒15)

(索敵班より《敵艦見ユ》。艦影多数、右舷、4時より近づく)

(電波管制解除、艦種識別)

(《超弩級戦艦1》《戦艦7》《巡洋艦22》《駆逐艦多数》。)

(全艦戦闘配置。面舵30、砲雷撃戦用意)

「了解、全艦戦闘配置、面舵30。」

(おもーかーじ)

(距離、7500、相対速度変わらず)

(敵艦隊より入電『地球艦隊ニ告グ、直チニ降伏セヨ。』返信はどうします?)

("バカメ"と言ってやれ)

(は?)

バカメ(・・・)だ!)

(はい!地球艦隊より返信、『バカメ』)

 

ガ軍旗艦

(テロン艦隊カラノ返信ヲ確認"バカメ")

(愚カナリ、テロン人。全テ沈メロ。主砲斉射!)

 

第一艦隊

 

(ユウギリ、轟沈!)

(クラマ、戦列を離れる!)

(長官!)

(まだだ。)

(敵艦、射程に入った。…照準良し!)

(全砲門開け!ってーー!)

「全艦、主砲、斉射!うてーーー!」

 

しかし、地球側の放った砲撃は、敵艦隊の装甲を貫通せず、一切のダメージを与えられない。しかし敵は砲撃を続ける

 

シマカゼ

(機関損傷、制御効きません!)

 

アブクマ

(シマカゼがこちらに来ます!)

(退避!急げ!)

「ダメ!シマカゼちゃん!止まってー!」

「ダ、ダメ!制御が効かないの!」

(う、うわーー!!)

 

キリシマ

(アブクマ、シマカゼ、轟沈!)

「そ、そんな!」

(アマテラスからの入電はまだか?)

(確認できず!)

(本当に、来るのでしょうか)

(信じるんだ)

(イソカゼ被弾、戦線を離れる)

 

「きゃぁ!」

 

(艦尾損傷、シアンガス発生!)

(右舷、第三デッキ被弾!機関、推力低下!)

(ダメージコントロール!隔壁閉鎖!急げ!)

 

(うわぁーー!)

(待ってくれー!)

 

(おい!しっかりしろ!死ぬな!坊主!)

(うっ、あっ、母、さん)

(ちくしょーー!!)

 

 

ユキカゼ

(『我レ、操舵不能、戦列をヲ離レル』)

(『こっちの主砲じゃ歯が立たない!うわぁー!………』)

(敵は、圧倒的なようです。)

(待ち伏せを受けたのか…)

「そんな!」

(転舵反転!)

「りょ、了解!転舵、機関一杯!」

 

 

(消火班、急げ!)

 

(頑張れ、出力を維持させるんだ。プラズマ漏れに気を付けろ!)

(おやっさん。こっちは、何とかしたよ。だけど、このままじゃ)

(大丈夫だ。信じろ、この艦には、あの人が居るんだ)

 

(味方艦艇損耗率、80%)

(うむ)

 

("アマテラス"よりの信号確認。外宇宙速度でコースに乗った。間もなく海王星通過。)

(目標、火星到達まで、後10分)

(司令部に暗号を打電、アマノイワト(・・・・・・)ヒラク(・・・)

「了解」

______________________

 

国連宇宙軍極東管区司令部

 

「一二○○。第一艦隊は、冥王星の沖合い、38万キロの宙域で会敵した模様。戦況は未だ不明。」

「キリシマの、沖田司令より、暗号入電。"アマノイワトヒラク"、です!」

「ここまでは予定通りだな。」

「目標とのランデブーは」

「回収要員が二名、火星アルカディアポートで、待機中です。」

______________________

 

火星アルカディアポート跡

 

(火星に落とされて3週間か。メ号作戦は成功したのかな)

(冥王星では、兄さんが戦ってるっていうのに、こんなところで)

 

通信機から音が鳴る。島が先に取り、対応する。

 

(はい、了解。)

(ぉ)

(出番だぞ)

 

そう言って、ヘルメットを投げる。

 

(あれか)

 

すると、二人の目の前で機体が爆発した。しかし、彼は見逃してはいなかった。爆発直前に、脱出装置で乗員脱出していたことに。

 

(おい、古代!)

(脱出艇だ!)

 

機体を旋回させ、脱出艇の方に向かい、着陸する。

 

(あれだ)

 

 

(……どうだ?)

 

古代は無言で首を振り、搭乗員が亡くなっている事を伝えた。

 

(女、だな。)

(あぁ。綺麗なひとだ)

(ぁ、これか)

 

島が、女性が手に持っていたものを取る。

______________________

 

冥王星

 

(イソカゼが殺られた!)

(怯むな!ってーー!)

 

キリシマ

(ウズメが、"アマテラス"の回収に成功)

(ぅむ。第一艦隊は現時刻を持って作戦を終了。撤退する!)

(左舷上方より、敵駆逐艦近づく!速い!)

(む!)

 

ユキカゼ

(照準、合わせ!)

(2番、1番、ってー!)

(命中!撃沈!)

(よぉし!)

「やりました!」

 

キリシマ

(敵艦撃沈)

「ふぅ~」

(敵艦隊、再集結しつつあり)

(全艦に撤退命令。残存友軍艦艇は)

(本艦の他、駆逐艦が一隻だけです。)

(誰の(ふね)か!)

(古代三佐の、ユキカゼです)

 

ユキカゼ

(キリシマより、撤退信号)

(撤退?)

(『コレヨリ撤退スル。我ニ続ケ』)

 

キリシマ

(戦線を離脱するぞ。面舵一杯!)

 

「キリシマさん」

「ユキカゼさん!?どうして!?」

(ユキカゼ!反転せず!)

(何!?)

 

ユキカゼ

(『古代!ユキカゼ!わしに続け!』)

「ユキカゼ!私に続いて!」

 

キリシマ

(『沖田さん。僕は逃げません。』)

(古代!)

「キリシマさん、私も逃げません!」

「ユキカゼさん!」

 

ユキカゼ

(「ユキカゼは戦線に留まり、キリシマ撤退を援護します。」)

(『古代、多くの犠牲を払ったが作戦は成功したのだ。ここは退くんだ!』)

(このままでは、地球艦隊は全滅です。それでは、地球を守る者が居なくなってしまいます!)

(『古代!』)

(沖田さん、キリシマさん)

 

キリシマ

(『貴方達はこんなところで死んではいけない人だ!地球は、貴方を、貴方達を必要としているんです!)

「古代さんの言うとおりです!キリシマさん!」

(それはお前達も同じだ!同じなのだぞ、古代!ユキカゼ!)

「沖田提督の言うとおりよ!ユキカゼさん!」

(『ありがとうございます。その言葉だけで十分です。』)

「もう決めたことです。キリシマさん」

(頼む、分かってくれ)

(『御元気で、地球の事を頼みます』)

「ありがとうございました。キリシマさん。 後はお願いします。」

(古代!)

「ユキカゼちゃん!」

 

古代とユキカゼは敬礼で別れを告げ、キリシマとユキカゼの交信は途切れる。

 

(さーて、奴等の基地に、一発蹴りを入れに行くとしますか)

(ん)

「はい!」

 

銀河航路~♪

(皆、すまないな)

 

キリシマ

(ユキカゼ、敵艦隊に突入)

「ユキカゼちゃん!」

(長官!)

(山南君、進路そのままだ)

(…進路そのまま!)

「っ!進路そのまま!よ~そろ~」

 

(死ぬなよ、古代)

「死なないでね、ユキカゼちゃん」

 

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

三週間後、火星

 

(こちらウズメ、収用願います)

 

するとキリシマのハッチが開く

 

(ん?どうした?古代)

(他の(ふね)が、ユキカゼが見えない)

(そうだな)

 

キリシマ艦内

(確かに。ご苦労だったな)

(平田、教えてくれ。ユキカゼは、兄さんの(ふね)はどうなったんだ?)

 

平田は無言で首を振る。それは、沈んだ事を指しているものだった

 

(っ!)

 

島は静かに古代の肩に手を置く

______________________

 

国連宇宙軍極東管区司令部

「キリシマ、アマテラスを回収。地球への帰投コースに着きました」

「多大な犠牲を払ったが、メ号作戦は、ひとまず成功だな。」

「これで、ヤマト艦隊計画も実行に移せますね。」

「いや、此れからだ。我々は余りに、敵を知らなさすぎる。解っていることと言えば。奴等が、ガミラスと言う名の悪魔だと言うことだけなのだ」

 

キリシマ艦橋

(間もなく、地球周回軌道に入る)

(遊星爆弾2、型式MN3、コリジョンコース。右舷通過する)

 

キリシマの下を小惑星程の星が通過する。

 

(衛星軌道抜けた。速度変わらず)

〔駄目だ。もう今は防げない。我々にあれを防ぐ力は無い〕

 

すると、遊星爆弾は、地球に落ち、爆発する

 

〔この、赤く醜い星が母なる地球の姿だとは……。見ておれ悪魔め。わしは命ある限り戦うぞ。決して絶望しない。最後の一人になっても、わしは絶望しない〕




次回、大和の決断

ヤマト抜錨まで、後、4日。


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