宇宙艦これヤマト2199 人類最後の希望の艦隊の物語   作:コスモゼロ

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冥王星沖海戦(メ号作戦)は成功した。しかし、多くの艦を失い、壊滅状態の地球防衛艦隊。国連主導のヤマト艦隊計画は、波動コアを受け取った事により、実行段階へと移り出す。大和は再び人類のために立ち上がるのだろうか。

※今回の話は、ヤマトと同行する艦が出てきます。尚、第一章は、後一話で完結します。


大和の決断

地下都市保育園

 

「何で宇宙人は酷いことをするの?」

 

一人の子供が質問する。

 

「ん~。昔、私達が、火星をテラフォーミングしたのと同じように。地球を改造して、住もうとしてるのかもね?」

 

それに答えたのは、国連宇宙軍極東管区司令部所属、森雪三等宙尉だった。

 

地下都市、ドック付近

 

「司令部付きで、子供の相手もするんじゃ、君も大変だな。」

『本日16時30分、第七管区にて、暴動が発生しました。』

「また暴動か」

「こんな状況だもの」

「相変わらず、君はクールだねぇ」

 

森雪に話しかけているのは、国連宇宙軍極東管区司令部所属、南部康雄三等宙尉。二人がエレベーターの前に着き、南部がボタンを押す。

 

「そういえば、帰投した、第一艦隊。戻ってこれたのは、キリシマ一人だけなんだって?」

「えぇ」

「その件で、妙な話を聞いたんだ。」

 

その時、待っていたエレベーターが開き、人が降りてくる。

 

「実はメ号作戦は、敵を引き付ける陽動でさ。機密事項だからさ、自分達が囮だってことは、下には秘密にしていたらしいんだ。」

 

と、その話を終えたとき、降りてきた二人の内一人の、古代進〔三等宙尉〕が南部に話しかける。

 

「おい、そこの君。」

「ん」

「今の話は本当なのか?」

「いやぁ、僕は、ただ、聞いただけで…」

「君達は司令部付きだな。沖田司令は今何処にいるんだ」

 

古代が森雪の方を見たとき、火星て見た人と重なる。

 

「ん?」

「ちょっと、一体何なの?貴方達は」

「あ、いや」

 

そんな質問に、島大輔〔三等宙尉〕が答える。

 

「ご覧の通り、戦場帰りさ。」

「沖田提督は、傷の手当てで病院です」

 

雪はエレベーターの方に向き

 

「南部くん」

「あ、あぁ」

 

「いや~、似てたな。」

「気のせいだろ」

「おい、どこ行くんだよ」

「病院区画」

 

「しかし、一体何だったんだ?あの二人」

「さぁ」

「そういえば、メ号作戦開始2日前、彼女が目覚めたんだって?」

「大和さんの事ね。」

「あぁ。」

「沖田提督が出撃前にキリシマさんと一緒に会いに行ったみたいよ」

「でも、おかしいよな。164年も眠ってたんだろ?何で海の中にいて死ななかったんだろ。」

「彼女は、21世紀前半に居た艦娘なのよ?海の底でも死ぬことはないわ。普通だったら、深海棲艦になってもおかしくはなかったのだけれど、恐らく彼女が海の底に到達する前に決着がついたんだと思うわ」

「成る程ね。でも、彼女が見つかったのって、何年前だったんだ?」

「地球が干上がり始めた、6年前よ」

「坊ノ岬沖でかい?」

「えぇ。彼女の艤装と一緒にね。」

「で、彼女の艤装を改造して、ヤマト計画を遂行させていると言う訳か。」

「そういう事よ」

「でもさ、ヤマト艦隊計画っていってるぐらいなんだから、大和以外の艦も随伴するんだろ?」

「えぇ。確か、最新鋭空母の『ソウリュウ』と、同じく最新鋭の航空戦艦『イセ』だったはず。大和の艤装と同じで、艤装を偽装させて作ってるみたいだから、1,5世紀前の艦娘の艤装に形が似てると思うわ」

「へ~、昔の艤装に似てるんだ」

 

地下都市中央線列車内

『次の停車駅は、中央大病院。第7管区方面に向かう方は、ホーム内、三番ホームに停車中の…』

「本当に行くつもりか?『別命あるまで待機せよ』だぜ?」

「直に確かめたいんだ。」

 

中央大病院

「全く、あんたは不死身じゃのう。」

「佐渡先生のような宇宙一の名医がついて居るからな。」

「いやぁ、それほどでもぉ、あるがの」

「カプセルの方は?」

「技術本部に回してある。じき、解析出きるだろう。」

「そうか」

「お前の方はどうなんだ?」

「後で、答えを聞きに行ってくる。」

「そうか」

「あっ!ダメですよぉ~、勝手に入っちゃ」

「提督にお聞きしたい事があります。メ号作戦が陽動だったと言うのは本当ですか!それを、兄達は知らされていたんですか!」

「止めんか古代。」

 

古代を静したのは、空間防衛総隊司令長官の、土方竜宙将だった。

 

「土方さん!」

 

「あっちゃ~」

 

「すまん、この古代は、俺の教え子なんだ」

「古代?では、君が古代守の」

「ユキカゼ艦長、古代守は、自分の兄です。」

「古代守は男だった。立派な男だった。だが、そんな彼を、死に追いやってしまったのは、この私だ」

「っ、」

「すまん」

 

古代は敬礼をして、その場を後にする。

 

「どうする?これから」

「とりあえず、指定された場所で待機」

「だな。」

「おぉい、お前ら」

「先程は、すみませんでした。」

「まぁ、気にせんでええよ。だが、この戦争で肉親を失ったのは、君だけじゃない。その事は、忘れちゃいかんよ?」

「っけど、土方さんが居たのには参ったよな~」

「あの二人は、士官学校以来の大親友でなぁ。丁度今のお前さん達みたいなもんかのぉ」

「いやぁ~、俺達は別にそんなんじゃぁ」

「それよりどうじゃ、わしんとこで一杯やらんかぁ?」

「っぁ、先生~」

「其処らのカストリスとは違う、この酒ってやつおじゃなぁ~」

「えっとぉ~…行っちゃいました」

「ん?えっ、あっ、あ、そ、そそそう?」

 

 

 

「土方、先に行っていてくれ。わしは、彼女に、答えを聞いてくる。」

「分かった。」

 

大和の病室

コンコンッ

 

「はい」

「私だ、沖田だ。」

「どうぞ…」

「失礼する」

「お久し振りです」

「あぁ。普通に喋れるようになったようだな。」

「えぇ、六週間も時間が有りましたので」

「そうか。それは良かった。ところで、用件は察しがついているかな?」

「六週間前の件、ですよね。」

「あぁ、そうだ。その答えを聞きに来た」

「この六週間。私が本当に戦っても良いのか、悩みました。二度も沈んだ私が、生きてこの地球に帰ってこれるのか。凄く悩んだんです。」

「そうか。辛かったか?」

「はい、ですが、もう覚悟は決めました。………私に、また、戦わせて下さい!今度こそ、私の手で人々を救いたいんです!」

「そうか、ありがとう、引き受けてくれて。これで、三人全員からの了承を得ることが出来た。」

「三人?」

「そうだ。君を含む、国連主導のヤマト艦隊計画は、随伴が二人付く」

「誰ですか?」

「ソウリュウとイセだ」

「そうだったんですね」

「あぁ。7日後に抜錨、出航する。いきなりだが、頼む。」

「了解」

「それでは、失礼するよ」

 

沖田の執務室

 

沖田の置き電話がなり、手に取る

 

「私だ。」

「テスト準備が整いました。」

「分かった。」

 

科学本部

「信じて待ったかいが有ったな」

「彼女の言葉に、嘘は有りませんでした。」

 

真田四郎三等宙佐は、ケースの様な物に目を移し、戻した。

 

「イズモ計画から移行して一年。ヤマト艦隊計画もいよいよ大詰めだ。クルーの方は?」

「所定の地区で待機中です。起動テストも、間もなく開始します」

 

「古代は、残念だった。」

「えぇ」

 

 

防空隊ハンガー

 

(エンジン調整、隼50、全機調整良し。)

 

(見たこと無い機体だな。)

(防空任務様の、試作機じゃないか?)

(零式空間52型、通称コスモゼロ。こいつは艦上戦闘機だ、防空には使わねぇよ。見学か?)

 

そう話し掛けてきたのは、加藤三郎二等宙尉

 

(ここで、待機を命じられたんだ。)

(そうか、じゃあ御同類だな。)

 

(加藤ニ尉)

 

(おぅ、今行く。そいつに触るんじゃねぇぞ)

(加藤って…)

(トップエースの、加藤三郎だよ。)

(あぁ)

(それより)

 

そう言ってゼロの方に振り向く二人

 

(駄目だと言われると)

(だな。)

 

ウ~~~

 

((っ!))

 

極東管区司令部

「敵、機動部隊、防衛ラインを突破。衛星軌道より侵入」

「迎撃態勢、急げ」

「気付かれたか」

 

ハンガー

『敵の目標は、九州坊ノ岬沖。北緯30°22分、東経128°04分。』

 

(グッドタイミングだな)

(あぁ、こいつで撃ち落としてやる)

 

(だから、命令を待ってたんじゃ遅い)

(あっぁあ)

(んぁ?)

 

(おい!何やってる!そいつから降りろ!、馬鹿野郎!そいつは!)

 

しかし、加藤の抗議虚しく、ゼロは出撃する。

 

 

坊ノ岬沖上空

(捕まえた)

 

(あれか!)

(偵察機らしい)

(やれるか?)

(勿論!兄さんの仇だ!)

 

古代が、ゼロで敵を追尾する。

 

(もらった!)

 

引き金を引くが、相手は落ちない。

 

(あれ!)

(おい、こいつ、武装が外してあるぞ!)

(くっ!)

 

偵察機は、急上昇して、退避していく

 

(あっ!くそぉ、)

 

すると、急にゼロを衝撃が襲う。

 

(うっ!)

(システムエラー!?)

(捕まってろ!)

(えっ!?)

 

すると、ゼロはギリギリの所で脚を出して不時着する

 

(っ!はぁ、大丈夫か?)

(あぁ。何とかな。でも、このままじゃぁ救援が来るまで持たないぜ…おい古代!)

 

古代は一人先に行ってしまう

 

(どうした)

 

島が着いたその先には、赤く、いや、正確には、赤黒く錆びた、大昔の戦艦の艤装が横たわっていた。

 

(何だ?これは)

(敵は、こんなものを偵察していたのか?)

(まさか!?大昔に沈んだ艦娘の艤装の鉄屑だぜ?)

(あぁ)

 

今、彼等が見ているその艤装こそが、大和の、そして、ヤマトの艤装なのだ。




時に、西暦、2199年。滅亡の淵に立たされた人類の為、改造され復活する大和。
次回、第一章最終話『大和の復活。抜錨、ヤマト発進!』

人類滅亡まで、後、三百と六十五日

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