罪の向こう、愛の絆シリーズ 【続・六花の森】   作:千野 伊織

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◆◆今回(16)の登場人物は、うちはオビト(=トビ=マダラ)、うちはサスケ、ゼツ(黒&白黒)、六花(芙蓉)、大筒木ヒミコ(o.c)。

暁の尾獣回収も残すところ八尾と九尾のみになりました。
オビトの提案により、ゼツはペインが九尾を狩り終えるまで六花を別の場所へ閉じ込めておく事に決めます。
そして六花を騙してオビトの元へ向かいますが、二人の前に意外な人物か現れて・・・!

うちは一族迫害の火付け役となった千手扉間に憎しみを向けるサスケ。
当然その恨みは、元妻・芙蓉(六花)に向けられて・・・

サスケVS六花の戦いとなるのか?

※関連話:「罪の向こう、愛の絆~芙蓉と扉間」、「罪の向こう、愛の絆~マダラ、死す」






続・六花の森(16)~全てを背負う者。うちはサスケVS六花

 

 

チリンチリン・・・

縁側に吊るされた鉄製の風鈴が夜風に揺られ、透き通った音を立てる。

「はぁ~美味しい~。ホント冷蔵庫って便利だよねぇ。冷凍できるのが更に便利!」

「うん。いつでも家でアイスが食べられるしね」

「ほーんと。この暑いなか饅頭を作らされた後のアイスは美味しいなぁ~」

「ご苦労さま~」

「ちょっとぉ!」

六花は頬を膨らまし、膝の上に載っているゼツの顔を覗き込んだ。

「しかもあんなにいっぱい作らせて…どういうつもり?」

「冷蔵室と冷凍室に入れとけば十日間は充分もつよね~」

 

・・・本当は僕だって出来立てが食べたいよ。一日だって六花と離れたくない・・・

 

ゼツはオビトの提案を飲み、ペインが九尾を狩り終えるまで六花をオビトの作った異空間に閉じ込めておくことにした。

しかし、万華鏡写輪眼をもつ六花ならばオビトの異空間から抜けるのは容易である。

ゼツが何とか六花に嘘をついて異空間に留まらせることが理想なのだが、六花が万華鏡写輪眼で術を使えばゼツには止められない。

その為、仕方なくオビトに「この空間にマダラの探し物が在る」と言って六花を見張らせることにした。

 

「まぁ確かにまた作る手間は省けるけど…だけどねっ」

「あれ~六花のご主人様は誰だっけ?言うこと聞かない子はお仕置きだよ」

「もう!!」

六花は再び頬を膨らまして目を閉じると、フンと顎を上に逸らした。

そして、不機嫌な表情のままゆっくりと目を開ける。

すると六花の瞳に満天の星空が写った。

チリンチリン・・・

風鈴の音が、いつかの笹飾りの音と重なる。

六花は不意に隣を見た。

うちは私塾の笹飾りはとても豪華だった。そしてその笹飾りに付けられていた、うちはカガミの願い事は…

六花は一度床に目を落としたあと、再び空を見上げる。

・・・死んだら星になるって、あれはなんとなく嘘だと思う…

カガミ君も扉間さまも、柱間さまも、樹ちゃんも、椿さんも、仏間さまも、そしてマダラさまも、私以外みんな、きっとどこかで楽しく暮らしているんだわ・・・

そう思うと急に、寂しさと孤独で体の芯を締め上げられるような感覚がして苦しくなった。

再び膝の上のゼツを見ると、ゼツも六花の顔を見ていたようで目が合う。

「そんな顔するなよ。もうすぐ寂しい気持なんて無くなるからさ」

「・・・うん。」

・・・ゼツ。あなたも本当はヒミコさんのこと…今もずっと・・・

六花は少し悲しそうな顔で微笑みながらゼツを優しく撫でると、ゼツは幸せそうに目を細めた。

・・・こんな時、ヒミコさんに会えたらな・・・

しかし、今日は新月である。

 

 

翌朝。

「よし。準備できた。やっぱりこの格好のほうが落ち着くわ」

六花は戦闘服に着替え、姿見の前で満足そうに微笑みポーズを取った。今日は暁の装束を纏う必要はない。

木ノ葉の里ではナルトたちが本格的に暁の捜査に乗り出している今、暁の任務以外では暁の装束を着ないようにしている。

 

六花は戸締りをしてから一軒家のアジトを出た。

ふと気になり、玄関から庭に目を遣った。

一瞬、そこに白い冬物のロングスカートを揺らして歩く自分の姿が見えた気がした。

思わず何度も瞬きをするが、やはり庭には誰も居ない。遅咲きの朝顔が、六花を笑うように揺れている。

『もうすぐ寂しい気持なんて無くなるからさ』

昨夜のゼツの言葉が蘇った。

先ほど見た過去の自分はあの直後、扉間によって木ノ葉の里に連れ帰られた。そしてマダラは柱間に敗れ、マダラが死んではいなかった事を知らずに芙蓉は扉間と結ばた。その事で、マダラと別れることとなってしまった。

そして芙蓉はゼツの力で六花となり、再びマダラの傍に居たが、今度はマダラの死が二人を別けてしまった…そして今、砂時計の残りの砂が僅かになっていることを日々感じている。

 

次、再びマダラに会う時。

それは本当に永遠の別れの時なのかもしれない。

 

少なくともまた当分は会えないだろう。

マダラが蘇る時。

それは六花が思うに即ち、マダラとナルトが手を取り合い、世界を救う時である。そして同時に、六花がこの世に生きている役目が終わる時だ。

そんな事は六道仙人に出会ってからの何十年もの間、数えきれないほど覚悟してきた事である。むしろ、早く役目を終えて扉間たちに会いたいと願っていた。

それなのに、今はもっと生きて居たいと思う。

別人の六花とはいえマダラに愛された数十年間を経て…

そして、赤ん坊のナルトを抱いたあの日から…

六花は目をつぶって俯くと激しく首を横に振った。

「どうしたの?大丈夫?」

左肩に載っているゼツが心配そうに六花の顔を覗き込む。

「・・・うん!大丈夫!行こっか」

六花は顔を上げて明るく言うと、颯爽と出かけて行った。

 

 

 

「急に“オビト”として話したいだなんて、いったいどういうつもりなのかしら…」

六花は昨夜も訊ねた事を、再びゼツに訊ねた。

「尾獣も残すは八尾と九尾だけになったからね。ナルトも凄く強くなってるしオビトも内心は六花と同じ事を考えているのかもよ?」

「そうだと良いなぁ…マダラさまとナルトくんが手を取り合って、そこにオビトも協力してくれる気になってくれたのなら…嬉しい」

 

「確かに。ナルトに興味が湧いてきているのは事実だな」

「!!?」

 

突然、目の前の道にオビトが現れた。

しかも、一人ではない。

オビトの斜め後ろにはサスケが立って居るではないか。

「なぜここに?アジトで話をするんじゃ…それになぜサスケ君まで!」

「サスケがお前に話があるそうでな。サスケを迎えに来たついでにこちらから出向いたんだ」

・・・ズズズズ・・・

すると地面から白黒ゼツが六花の隣に現れ、オビト(トビ)に向かって言う。

「トビ…話が違うぞ…」

「そうか。自分の手で六花を殺せないからサスケに殺させるつもりだな。だけど殺せと命令だって出来ないぞ」

六花の左肩に載るゼツも目を吊り上げてオビトに言った。

「勘違いして貰っては困るな。俺は暁の協力者であるサスケにも、俺の仲間である六花と話をして貰いたいと思っただけだ」

六花は白黒ゼツとゼツ、そしてオビトの会話に戸惑うばかりで何も言えずに居る。

そんな六花に構うことなくサスケがオビトの隣りに歩み寄り、六花に向かって言う。

「おい。お前が二代目火影の妻というのは本当か?」

「!!?」

六花はサスケの発言に固まった。

驚きと恐怖で瞬きも出来ない。

「答えろ!」

その声に六花はギュッと目を閉じて唾を飲み下す。青天の霹靂とまでは言わないまでも、サスケがその事実を知ってしまったことに驚いた。

そして、その事実をしったサスケがどう考えるか…

六花はゆっくりサスケのほうを向いて口を開く。

「・・・ええ。私は、千手扉間の妻…でした」

「うちはイタチに手を貸したのも、お前か?」

「そっ、それは!!・・・」

六花は慌ててオビトの方を見て僅かに戸惑う。

サスケの問いを聞き、オビトがサスケに嘘を吹き込み、六花を攻撃させようとしている事に気が付いた。

しかしうちは一族抹殺に手を貸したのは自分では無くオビトであると言えば、オビトをマダラと信じているサスケを疑心暗鬼にさせ、これまで進めてきた月の眼計画に支障が出るかもしれない…

「お前がイタチうちは抹殺実行に向かわせた…そうなのか?」

サスケは今にも六花に襲い掛かりそうな状態で六花を問い詰める。

しかし、六花はサスケの眼を真っすぐ見て、揺るがない瞳で答える。

「違います。あなたのお兄さんは自らの意思で抹殺を行ったの。里を守るために。私は一切関与していません。」

「フッ。言っただろ…この女が素直にハイそうですと認めるわけがないと」

サスケの隣で腕を組んで立って居るオビトは笑い交じりに、呆れた様に言った。

「いや、二代目火影の妻だという事は認めた。それで充分だ」

六花はサスケの言葉に、少し目を細めて悲しそうな顔をした。

 

サスケが扉間を恨む気持ちは理解できる。

その憎しみが現在も生きている六花に向くことも…

 

サスケは写輪眼を発動させると素早く腰の刀を抜いた。

「俺は、うちは一族を迫害し滅亡にまで追い込んだ奴らだけではなく、うちはの犠牲を無視して平和を享受する木ノ葉の全てを否定する。すなわち、お前の存在もな…」

サスケは刀を六花に真っ直ぐ向けて言った。

「六花、逃げよう。サスケは須佐能乎を使える。オビトも昔のままじゃない」

落ち着いた小さな声で左肩のゼツが言うが、六花は首を横に振りその場から動こうとはしない。

「冷静になれよ!サスケはオビトに丸め込まれてる。何を言っても無駄だ!」

六花は苦しい顔で目の前のサスケを見据えた。

すると、オビトも背中に背負っていた神器・うちはを取り出してこちらに構える。

「さあサスケ。お前のしたいようにしろ。俺は援護してやる」

「援護など必要ない!」

サスケは刀を構えて六花に向かって走り出した。

「六花!早く逃げろ!」

六花は動かなかった足を何とか動かし、その場から姿を消した。

 

「逃がすか!」

青い空を背負ったサスケが六花の眼の前に現れた。

六花は仕方なく宙に浮きながら腰の刀を抜いた。

ガシィィン!!

サスケは六花に構える暇を与えず刀を振り下ろし、六花は何とかそれを刀で防いだ。

ザザッ!ザザッ!

二人同時に地面に着地する。

「…お前の様な奴に、写輪眼をもつ資格は無い!」

サスケはそう言うと再び刀を構えて六花に走ってゆく。

六花は写輪眼の瞳でサスケを見た。

チャクラが激しく体中を回っているが、幻術にかけられている様子は無い。本当にサスケの意思だけで戦っているようだ。

ザッ!・・・・・・

サスケは地を蹴り舞い上がった。そして空中で前転をし、勢いをつけて六花に刀を振り下ろす。

ガシィィィィン!!

六花は両手で刀を支えてそれを防いだが、サスケの圧力に押され、左膝を地に着け手を震わす。

すかさずサスケは刀を離して、今度は六花の左わき腹めがけて刀を突き出した。

キィィン!!

寸での所で六花はそれを刀で防ぎ、勢いをつけてサスケの刀を押し返す。

バッ・・・・・・・ザザッ!

六花はサスケの右側数メートル先に飛び退き、刀を構えた。

「逃げ回るだけか?」

「・・・・」

「俺と勝負しろ。かかって来い」

「・・・・」

六花はその場を動かず、ただ黙ってサスケを見据えている。

「六花、サスケが須佐能乎を出す前に早く逃げろ!僕も援護する!」

左肩のゼツが強い口調で言ってきた。

「逃がすものか。俺はお前と戦ったうえでお前を倒す。俺と戦え!」

シャッ!・・・パチパチパチィ・・・・

サスケが刀を振ると、その刀に青白い電流が流れパチパチと音を立てて始めた。

「六花!あれは須佐能乎じゃないと防げないよ!」

「うん!」

ダダダダダッ・・・猛スピードでサスケが向かって来きた。

「千鳥刀!!」

「須佐能乎!」

ガンッ!・・・バチバチバチィィィッ!!

六花を守る様に骸骨と青い半透明の身体が現れサスケの刀を受け止めた。電流だけが須佐能乎の表面を流れ放電した。

「これがお前の須佐能乎か。ならば俺も須佐能乎で答えてやる」

「六花!須佐能乎のまま逃げるんだ!無駄な戦いはするな!」

六花は須佐能乎を纏ったまま後ろに飛び退くと、その場に須佐能乎を置いて盾にすると、須佐能乎から出て走り去ろうとした。しかし。

「逃がすものか!」

六花の眼の前にサスケが立ちはだかる。その手に握られた刀にはまだ電流が流れている。

六花は須佐能乎を纏おうとしたが、サスケはもうすぐ目の前まで来ていた。サスケの千鳥刀を避けようと何とか右側に飛び退こうとしたが間に合わない。

 

ザシュッ!!バチバチバチィィ!!

「ゼツ!!!」

 

ゼツは身体を広げてサスケの刀を受けたが、そのまま切られてしまい、身体はバラバラになって地面に落ちた。

だがそのお陰でサスケの刀の方向を変えることは出来、六花に怪我は無かった。

六花は地面に倒れ、茫然と地面に散らばるゼツを見つめたまま動けない。

「…六花…大丈夫?」

「ゼツ⁉」

すると六花が地についている左手の傍でゼツの声がし、見ると小さな球体になったゼツの顔がそこに在った。

「六花…逃げて…君は僕が守るから」

「逃がさんと言っている!」

六花がゼツに返事をしようとした瞬間、眼の前にサスケが立った。しかし握られた刀の電流は消えている。

六花は怯えた眼でサスケを見上げた。

「立て。真剣に俺と戦え」

「・・・・」

「さっきから黙ってないで何とか言え!」

「・・・・・・」

「お前はただひとり罪から逃れ、これからも生き延びるつもりか?」

「・・・・・・」

「逃げても無駄だ。どこまでも追いかけお前に罪を認めさせてやる」

「・・・・・・」

六花はひたすら黙っている。

しかし、サスケを見上げるその瞳には揺るがない意思が宿っていた。

サスケは小さく溜息を吐くと目線を地面に落し、言う。

「ならば・・・これでどうだ?」

「!!?」

 

…ドスッ!!

「うあああああぁぁっ!!・・・・」

 

サスケが地面に転がる小さなゼツを刀で突き刺そうとしたが、その瞬間、六花がゼツに覆いかぶさり庇った。そしてサスケの刀は六花の右腕を貫通し、六花はあまりの激痛にうめき声をあげた。

 

「六花っ!なんで⁉僕は死なないのに!!」

「…やめて…ゼツを…傷つけないで!…悪いのは私だけよっ…」

 

【挿絵表示】

 

「どうだ。少しはやる気になっただろう?」

しかし六花はサスケの問いを無視し、目の前のゼツに歪んだ笑顔で言う。

「…愛してるから…ゼツのこと…傷つけられたくない…もん…」

「卑怯だよ…いつもいつも…なんでこんな時に初めて愛してるなんて言うんだよ…」

見つめ合う六花とゼツを見て、サスケは目を閉じた。

ズシャッ!!

「きゃあああぁっ!!・・・」

サスケは六花の右腕に刺さっていた刀を勢いよく引き抜き、六花は悲鳴を上げて身体を逸らせた。

「サスケ!!殺してやる!!」

ゼツは地面に散らばる身体を針の様に変えると一斉にサスケに向かって飛びかかった。

「火遁・豪火球の術…」

ボオォォッ!・・・ボタボタボタッ!!

サスケは口から炎を吹き出しゼツの身体を全て防ぎ、ゼツの身体は地面に全て落ちた。

六花は流血している右腕を抑えながら地べたに座り俯いている。

…カチャッ。

首の左側に冷たい刃が当たり、六花は顔を上げる。既にその眼には写輪眼は消えていた。

「うちは一族の多くは、今のお前と同じように目の前で愛するものを殺され、苦しみながら死んでいったんだ。少しは痛みが解ったか?」

 

「ぐっ⁉」

六花とサスケの様子を離れた所で眺めていたオビトの首を突然何かが締め上げてきた。

「サスケを止めろ。僕はマダラの意思だぞ。“見殺し”なんてさせない!」

「フン…禁固呪の札か…見殺しも許さないかは…最後まで分からんぞ…ぐあっ!」

 

「…マダラさま…」

『お前を幸せにできるのはこの世で俺、一人だけだ。そして、お前を不幸にできるのもなぁ』

意識が朦朧とし始めた六花の眼には目の前のサスケが、芙蓉とマダラが別れた日、檜枝岐神社でのマダラの姿として映っていた。

「フン。命乞いか」

「・・・・。…あ、あなたがもし、本当のマダラさまに会ったら、伝えて欲しいの…私は」

『!!?』

突然、六花の身体が薄くなり消え始めた。

そしてサスケと六花は驚くまま、六花の姿はその場から消えてしまった。

 

「マダラ、あの女をどこへやった?」

サスケは目の前に現れたオビトを睨んだ。

「やはりトドメは俺自身がさしてやりたくなってな。悪く思うな」

「殺すつもりは無かった。罪を受け入れているあの女を殺すことに意味は無い」

そう言うと、サスケは背を向けその場を離れて行った。

 

 

 

「・・・こ、ここは?…痛っ」

気が付くとそこは無機質な空間だった。

周囲は何も無いわけではないのだが、何も無い。

ただ無機質な立方体がいくつも在るだけである。

六花はそこに仰向けに横たわっていた。起き上がろうとしたが、痛みと貧血で起き上がれない。

「六花!大丈夫⁉」

六花の顔の隣りには元の大きさに戻った丸いゼツが居り、心配そうに六花の顔を見つめていた。

「うん・・・なんとか・・・」

「僕の力じゃ回復させるのに時間がかかる。まずはチャクラを回復させるから自分で回復術を使って…」

「その必要は無いわ」

『!!?』

六花とゼツが声の方向に顔を遣ると、そこにはヒミコが立って居た。

『ヒミコ!』「さん!」

「ゼツ。どいてなさい。この空間では私はチャクラを使える」

そう言ってヒミコは六花の隣りに膝を突いて座ると、六花の右腕の傷に手をかざして治療し始めた。

「どうしてヒミコがここにいるんだ⁉」

「どうしてもこうしても、芙蓉は私の転生者よ。ずっとこの子の中に居たわ」

「だったらどうしてもっと早く現れなかったのさ!」

「少し黙ってなさい。芙蓉は意識を失いかけているじゃない。チャクラを使うのは久しぶりなの。集中させて」

「う、うん・・・」

 

 

「・・・ヒミコさん。ありがとうございました」

右腕の傷は塞がり、意識もはっきりとした六花は急いで起き上がる。

「まだ暫く横になっていなさい」「そうだよ六花!」

「ここはおそらくオビトの忍術で造った異空間です。早く出ないと」

「オビトがここに現れなかったということは、禁固呪の札に逆らってあなたを見殺しに出来たという事よ。いまその状態で外に出ればまたサスケにやられかねない」

「禁固呪の札⁉・・・」

「うん。昔六花に、いや芙蓉にマダラが仕込んでたやつさ。マダラが自分の意思に反した行動をしない為に仕込んでいる。アイツも、それに気が付いているみたいだけどね」

六花は悲しい顔で目の前のヒミコとゼツ、二人の顔を交互に見ると俯いた。

「またそんな顔をする。マダラがあなたを守るのは当然であり義務よ。オビトに同情する必要なんて無い」

「そうだよ。確かにオビトは六花を殺せないけど六花はオビト以上に強いんだし」

六花は顔を上げ、歪めた顔のまま再び二人の顔を見た。そして大きく溜息をつく。

「オビトが私を殺せないなら尚更、外に出ます!ナルトくんになにかするつもりかもしれない。急がないと」

するとヒミコは首をかしげてニッコリ微笑んだ。

「あなたはもう、マダラが復活するまでここに居るのよ、芙蓉」

「⁉・・・ど、どうして・・・・・・」

フラッ・・・ストン。

六花はヒミコの術で意識を奪われてしまった。

そして倒れそうになったのをゼツが身体を広げて受け止め、静かにその場に横たえた。

 

「さぁ。ゆっくり話しましょうか。ゼツ…」

ヒミコは冷たい微笑を浮かべてゼツを見下ろした。

「六花をこの空間に閉じ込めておくのをなぜ知っていたの?」

「そんなこと知らなかったわ。ただ、私もオビトの異空間に入るよう芙蓉を仕向けるつもりだっただけよ。だってこの子に死んでもらっては困るもの!」

「あれからずっとヒミコも母さんの復活を待っていたんだね」

「懐かしいわ…あなたと初めて会ったのもあの時だったわね」

そう言うと、ヒミコはゼツを見下したまま右側に移動した。

ゼツはじっと、ヒミコの顔を見つめる。

「…もしかして、六花の身体を使う気?」

「当然じゃない。男だったかも知れない、今は只の物体(モノ)と化した身体に入らないといけないなんて真っ平ごめんよ。この子は唯一お母様の意識を覚醒し、私と会えた人物なのよ。この子以外の身体なんて考えられない」

「母さんが復活すれば、この地の人間の多くがまた神樹に繋がれる。その中の女を使うのは駄目なの?」

「あははははは!ふふっ…ふふふ」

ゼツの言葉を聞くとヒミコは口に手を当てて大きな声で笑った。そしてうっすら歯をのぞかせた不敵な笑みでゼツに問う。

「そんなにこの子のことを愛しているの?・・・私のことよりも?」

「・・・・・」

「私以上にこの子を愛するなんて、許さないわよ?」

「君は、一度でも僕のことを愛してくれたことがあるの?」

「ふふっ。それは被害妄想よ。あなたがお母様に肉体を与えられればちゃんと“対等”に愛し合えるわ」

「違う。君が愛しているのはただ一人。それは…」

「黙りなさい。あなたはさっさとこの空間から出て、引き続きお母様復活の為に働くのよ!」

「ヒミコ!!」

ズズズズズ・・・

ヒミコが両手を目の前にかざすと空間が歪み、ゼツはその隙間に吸い込まれていった。

 

「フン!・・・これだから男なんて嫌いなのよ・・・」

ヒミコはキッと強い眼で、静かに眠る六花を睨んだ。

 

 

つづく

 

★千手柱間さん、10月23日・お誕生日おめでとう!!次回は柱間さんも登場しますよ~★

 

 

 

 

 

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