罪の向こう、愛の絆シリーズ 【続・六花の森】 作:千野 伊織
あれから十五年───。
遂にマダラの輪廻眼が開眼し、遂にマダラの〝先の夢〟が実現へと歩み出す。それは同時にゼツが狙う母・大筒木カグヤの復活でもあり、即ち世界の終わりでもあった。
話の中心はマダラが復活するまでのオビトの行動(木ノ葉襲撃、暁創設、うちは一族抹殺)と、ナルトの誕生(九尾事件)、木ノ葉の里の情勢(大蛇丸の悪事・平和な里・うちは一族の反乱など)、第四次忍界大戦を主人公・六花の目線で描きます。
〝碧眼の少年〟に世界が救われる時。
六花は何を見て、何を感じるのか?
六花はマダラを信じ、愛し抜くことができるのか?
◆主な登場人物◆(登場順および登場頻度順)
主人公:六花(=橘芙蓉)(o.c)、うちはマダラ、ゼツ(黒)、うちはオビト、波風ミナト(四代目火影)、はたけカカシ、のはらリン、猿飛ヒルゼン(三代目火影)、うずまきクシナ、大蛇丸、うずまきナルト、うちはイタチ、志村ダンゾウ、うちはサスケ、大筒木ヒミコ(o.c)、大筒木カグヤ、大筒木ハゴロモ、千手柱間、千手扉間、などなどです。
※オリジナル展開をまじえつつ、基本は原作の流れに沿っています。
※黒ゼツの性格は白ゼツ以上のお調子者な感じにしてあります。
今回(2)の登場人物は、ゼツ(黒)、うちはオビト、はたけかかし、のはらリン、波風ミナト。
マダラの指示により、うちはオビトの写輪眼開眼の為に行動を起こす六花。
しかし、事態は思っても見ない方向へ向かってしまう。
※原作から引用しています。
「姉ちゃん、どした?具合悪いのか?」
「あっ…うん、ちょっと足をくじいちゃったみたいで…」
「この先に診療所があるから、俺がおぶってってやるよ!」
「いいえ、そこまでじゃないし!私、重いから…」
ゴーグルをつけた元気のいい少年が話しかけてきた。
六花は足をさすり苦笑しながらも、その少年をじっくりと観察する。少年は、自分は忍だから大人の女一人くらい背負えるから任せとけと息巻いている。
・・・大きくなったわね。オビト君・・・
六花はこの十年間、定期的に木ノ葉の里に訪れはオビトの成長を見澄まし、マダラに報告してきた。
まだまだ忍としては未熟だが、心根の優しい元気いっぱいの男の子に育っている。優しい性格はマダラに似ており…そして、どこかしら若い頃のマダラの面影もある気がしていた。
しかし今はもう、感慨に浸っている時では無い。
すると、正面から黄色い髪で青い瞳をした青年と、銀髪で顔半分をマスクで隠している少年、そして茶色いおかっぱ髪に大きな瞳の少女が歩いて来た。
「…大丈夫ですか?どうかされましたか?」
・・・青い、瞳の、男・・・
六花は、その青年の顔をじっと見つめた。
「足くじいちゃったらしいぜ。今から俺が診療所に連れて行ってやろうと思ってたんだ。」
「オビト、お前また遅刻!先にミナト先生に知らせに来ればいいだろ?」
「まぁまぁカカシ、お姉さんを一人にするのは心配じゃん。ね、オビト?」
「ああ、そうだ!リンの言う通りだ!!」
三人の少年少女の言い合いをよそに、六花はまだ青年の顔をじいっと見つめていた。
「あ、ええっと、どこかで、お会いしましたっけ?…あはは」
ミナト先生と呼ばれている青年は、目の前の美女の熱い視線に耐えきれず、気まずそうな顔をして頭を掻いた。
「ミナト先生、それナンパの常套句だぜ?」
オビトがニヤニヤしながらミナトを指さして言った。
「すみません…知人に似ていたもので…失礼しました」
六花は俯き、目線を外した。
「そ、そうでしたか…私たちが診療所までお連れします。どうぞ、私の背中に乗って下さい。」
「あっ、いえ…でも…」
「お姉さん、遠慮しないで下さい。今は戦争中でこの辺も他里の忍が来ることがあるし、危ないから一緒に行きましょう。荷物は私が持ちます」
リンと呼ばれていた少女が腰を屈め、切り株の上に座って居る芙蓉の顔の高さに合わせてニコニコしながら手を差し出した。
「…あ、ありがとうございます。ではお言葉に甘えて…お願いします」
六花はまずリンに医療忍術で応急処置をしてもらい、ミナトの背中におぶさり、リンの代わりにオビトが荷物を持ってくれ、カカシがミナトの鞄を持ち、みんなで診療所に連れて行って貰うことにした。
・・・この男性が隊長、そしてあの“黄色い閃光”か…やはりかなりの実力者みたいね…あのマスクの子も上忍並みの力だわ…女の子は平均的な中忍レベルで医療忍術も得意なのね…オビト君は、やっぱりまだ写輪眼は開眼していない・・・
「では、私たちはここで。どうぞこの先の道中もお気を付けて。」
六花は診療室の診察台の上に座らされると、目の前に四人が並んで別れを告げた。
「あの、本当にありがとうございました!!これ、お礼です。大したものでは無いですけど、どうか受け取って下さい」
六花は鞄の中から急いで巾着を取り出すと、その中から純金で出来た米粒を四つ取り出し、それぞれに一粒ずつ手渡していった。
「これは金じゃないですか!こんな高価な物受け取れません。私たちは忍として当然の事をしたまでです。礼など必要ありません!」
ミナトが焦って六花にそれを返そうとしたが、六花がその手を押し返す。
「お守りです。それにこれは只のメッキなので安物です。私の故郷では金の米粒を持っていると飢えや病気、怪我から身を守られると言われています。戦争で戦っている忍の皆さんに私ができることはこれくらいだし…お願いです。皆さんのご無事を願う私の気持ちとして受け取って下さい。」
「わ、分りました…ではそのお気持ち有難く頂きます。みんな、ちゃんとお姉さんにお礼を言って。」
『ありがとうございます!』
「こちらこそ…本当にありがとう。親切で優しい皆さんは、きっと立派な忍になれますね。頑張って。」
『はい!』
オビト、リン、カカシは互いに顔を合わせてニコニコした。六花もその顔を見て一緒に微笑み、最後にミナトの顔を見てニコッと微笑んで見せると、顔を赤くしたミナトは頭を掻いていた。
「遠回りなやり方するよねぇ~。六花があの中の誰かをオビトの前で殺しちゃえばいい話じゃん!あっという間に開眼するって」
「一緒に居たミナトという男性はかなりの実力者よ。私と互角かそれより上…無駄な戦闘はしたくないし、木ノ葉の里に目をつけられても厄介だわ」
「ホント言い訳だけは上手だよね~」
「思考回路と顔だけは超単純よね~」
六花は掌に載ったゼツを目の高さに持ち上げ、ゼツの顔を指さしながら嫌味を込めて言ってやった。そしてゼツを優しく地面に降ろすと、六花はその場に地図を広げる。
「これからミナトさんとあの子たちは別々に任務を行うわ。オビト君たちは地図のここ、神無毘橋の破壊を任されている。その時、リンちゃんを岩隠れの忍に攫わせるのよ」
「自分の手は汚さない…六花って実は卑怯だよね」
「何とでも言いなさい…オビト君の性格なら確実にリンちゃんを救出しに行くわ。それに、オビト君はリンちゃんに好意を持っている…岩隠れのとの戦闘の際、オビト君の写輪眼を開眼させてみせるわ」
「結局、リンが死ぬんじゃん」
「死なせはしない。岩隠れの忍には勿論、私が幻術をかけて操るに決まっているでしょ」
「まーたメンドクサイ事を・・・もうホント、いい加減にしてよぉ~ハァ」
「じゃあマダラ様の所に帰っていなさい。この計画を報告しても構わないわよ」
「マダラが自力で動けないからって強気なんだから…ハイハイ、じゃあ六花のお手並み拝見させて貰うよ。あ、開眼しなかったら僕がリンとカカシをオビトの目の前で殺すから、よろしくね。そしたら万華鏡写輪眼まで開眼できるだろうし一石二鳥じゃん。あはは」
「・・・。」
六花は黙って立ち上がると、戦闘服に着替え始めた。
◆
「…仲間を大切にしない奴は、それ以上のクズだ!どうせ同じクズなら、俺は掟を破る!…それが正しい忍じゃないってんなら、忍なんてのはこの俺がぶっ潰してやる…!!」
・・・オビト君、かっこいい・・・
「…ちょっと、なに感動してんのさっ…早く行くよ!」
「…わ、わかってるわよ…」
「やっと見つけた…俺にだってできる。待ってろよ、リン!よし行くぞ…」
・・・オビト君、頑張って!敵は後ろよ、後ろに気を付けて!・・・
「…あのさ、こういうのを自作自演っていうんだよ?楽しい?…」
「…うるさいな。…えっ⁉」
「…あっ⁉」
ザシュッ・・・!!
「ぐぁっ!…」
「か、カカシ!!お前どうして⁉」
「ま、お前みたいな泣き虫忍者一人に任せておけないでしょ」
「…ねぇ見て!カカシ君が来てくれたわ!私、カカシ君は絶対来てくれるって信じてた!…」
「…いや、だから自分が幻術かけて操ってる奴と闘わせて何が楽しいのさ…」
「…行けー!カカシ!オビト!頑張れーっ!!…」
「…駄目だこりゃ…」
「オビト!!敵は後ろだ!!」
「⁉」
「ぐあぁぁっ!目がっ!!!」
「カカシ!!大丈夫か⁉」
「…あーあ、カカシがやられちゃったけど?六花のせいだよぉ?…」
「…あ、後で私が治療してあげるわ!…でも、これでオビト君の開眼が近づいたわ!あと少し、あと少しよ。頑張って、頑張るのよオビト!…」
・・・あの言葉だけは、口先だけにしたくはないんだ!!・・・
「・・・そこだ!!!」
グサッ!!!
「な、何故だっ⁉…迷彩隠れの術が見える筈はないのにっ…」
「・・・ここは、仲間は、俺が守る!!!」
「…やったぁ!!遂に、遂にオビト君が写輪眼を開眼したわよっ!!…」
「…うんうん、良かった、良かった…」
・・・まったく。これ以上君の甘さに付き合ってられないんだよ。いい加減甘さが招く結果を知りな六花!・・・
「オビト・・・お前、その目・・・」
「おう、これが写輪眼みてぇだ。チャクラの動きが目に見える!」
「うっ・・・どうやら左目はもうダメみたいだ。リンから貰ったこれが有る・・・応急処置ならすぐ出来る。直ぐにリンを助けに行くぞ!」
「おう・・・」
「・・・まったく、どいつもこいつもガキ相手にだらしねぇ・・・が、タダのガキじゃねぇみてぇだな。」
「一度手合わせしたがかなりの早業だ、オビト、気を付けろ!」
「おう!」
ガン!キィイン!!カァン!ガンッ!ザザッ!ドシッ!・・・
ザシュッ!!・・・ドサッ!
「解!」
「・・・カカシ・・・オビト!」
「助けに来たぞ、リン!もう大丈夫だ!」
「・・・なるほど。良いコンビネーションだが所詮ガキだな。」
「…よし、これで終ね…⁉って、なぜ⁉あの忍にかけておいた幻術が解けてるの⁉…」
「…違うよ。あれは僕がかけてる幻術だよ…」
「…ど、どうして⁉…」
「…ほら、早くオビトを助けに行きな…六花…」
「…ゼツ、あなた!!…」
「今お前たちが居るのは敵の手の中だぜ・・・土遁・岩山崩し!!」
ドカンッ!!ガラガラガラガラ・・・・
「ヤバイ!!出口に走れ!!」
・・・ゼツの奴、オビト君以外を殺そうとして!!許せないっ・・・
六花は急いで木から飛び降り、洞窟の入り口へと走った。しかし。
「・・・嘘・・・」
六花の目の前の洞窟は天井が崩落し、無数の大きな岩が積み上がり山になっていた。
急いで感知をし、中の三人の様子を確認する。
「⁉・・・生きてる・・・まだ三人とも生きてる!!」
六花は膝から崩れ落ち、その場にへたり込んだ。
「それはどうかな?ターゲットが死にそうだけど?」
ゼツの声に六花が急いで顔を上げる。そして気配を消しつつ急いで岩山を登り、僅かな岩の隙間から下を覗き込んだ。
しかし、そこには、信じられない光景があった。
「ほ~ら見てごらん六花。君の甘さが招いた結果がこれだよ」
「⁉・・・・」
「・・・やめろ。いいんだカカシ・・・俺はもうダメみたいだ・・・体の右側はほどんど潰れちまって・・・感覚すら・・・ねぇ・・・」
「くそうっ!!!」
「・・・嫌っ・・・そんな・・・オビト、どうして!!!」
「・・・かはっ・・・」
「お、オビトっ!!・・・」
「・・・ちくしょう!!・・・ちくしょう!!!俺が最初からお前の言う通り、リンを助けに来てたらこんな事にはならなかったんだ!!!・・・」
「…う、嘘でしょ…ど、どうして…どうしてっ!!!…」
「フフッ…可哀想だねぇ。せっかく写輪眼を開眼したって言うのに…それにこのままオビトが死んだら、代わりを探すのに何年かかるかな?マダラの計画はまた振り出しに戻るね…マダラ、超―怒るよ。オビトも無駄死にだしね。フフッ…」
「…ど、どうゆうつもり⁉マダラ様を、分身のあなたが裏切るの⁉…」
「勘違いしないで。君はマダラの下僕。即ち、僕の下僕なんだよ。いい加減、調子に乗り過ぎ、甘過ぎるんだよ六花は!」
「………」
「助けて欲しい?助けて欲しいなら僕に『一生ゼツに服従するからオビトを助けて下さい』ってお願いして?」
「こんな時に何をふざけているの!いい加減にして!」
「このままじゃ、“全員”、死んじゃうよ?いいの?」
「…ゼツ、あなた本気!!…」
六花は目を泳がす。これが冗談ならいい。しかしゼツが本気ならば…
「さあ!どうするの!!」
「お…お願い…します…ゼツに…一生服従するから…助けて…下さい…」
「うんいいよ♪僕の愛する六花。その代わり、今の言葉絶対に忘れるんじゃないよ…」
六花は涙を浮かべ、怒りに身体を震わせながら、左肩に載るゼツを思い切り睨みつけた。
「…早く!早くオビトを、みんなを助けてっ!!…」
「あーあ、六花が返事するのが遅かったから、なんか始まっちゃってるじゃん。助かるかなぁこれ」
六花は急いで下を見る。
すると、リンがオビトの左目を摘出し、先ほどの怪我で失明してしまったカカシの左目に移植手術を行おうとしている所だった。
「…写輪眼がっ!!!…」
「あらら。せっかく残ってた写輪眼がカカシに渡されちゃうみたいだね。オビトの命は僕が助けてあげるよ。どうする?カカシを殺して取り戻す?ほら、早く決めて?」
「…ど、どうしよう…どうしよう…」
六花ならば、カカシを殺さずともオビトの左目を取り戻すことは容易だろう。
しかし、すっかり動揺して冷静な判断が下せる状態に無い六花は、それすら躊躇われ、決断できない。
「ハイ。タイムオーバー♪」
「⁉」
六花は急いでその場を離れ、離れた木の茂みに身を隠した。
ドガァァアン!!・・・
岩を砕く音と共に、岩山の上にカカシが現れた。
近くに座って居る、先ほどゼツに幻術をかけられた敵がそれに気づき、立ち上がる。
カカシは背中に背負っている刀を抜くと、敵に向かって走ってゆく。
「…カカシ君!…」
六花が立ち上がろうとした途端。
「六花。動くんじゃない。ここに居るんだ。」
「…どうして⁉…」
「僕に一生服従するって約束したよね。なら黙って従うんだ。」
「っ…!!」
キィン!ガンッ!シュッ!カァン!!!ギシンッ!!
カカシと敵との戦いが続いている。
六花は顔をしかめ、唇を噛みしめて、ただカカシを信じて見ているしかない。
ここで動けば、オビトが、リンが、そして目の前のカカシが助からない。
グサァッ!!・・・・・ドシッ。
「あ、決着がついたみたい。あのカカシって子、やるね~。まぁ雑魚相手だけど。」
「ハァ―――・・・・」
六花は大きく胸を撫で下ろした。しかし、我に返ってゼツを見る。
「オビト君は⁉オビト君を早く助けて!!」
「大丈夫だって、もう手は打ってあるから。死にはしないよ。六花が僕と約束してくれたから、僕もちゃんと六花のお願いは叶えてあげる」
「・・・・。」
六花は半信半疑でゼツを見つめた。
「・・・⁉ちょっと、ねえ!岩隠れの忍が大勢ここに向かっているわ!」
「焦らない、焦らない。」
そして、あっという間に岩隠れの増援が集まり、オビト、リン、カカシの居る岩山を取り囲んだ。
しかし、六花は居ても立っても居られない気持ちで手を握り締め、ただ目の前の光景を見つめているしかない。
「土遁・裂土転掌!!」
岩隠れの忍の術により、大地がひび割れ、目の前の岩山も崩れはじめた。
カカシは、岩の山の下を覗き込んで手を伸ばし、何とかリンを引き上げた。しかし、既に岩隠れの忍たちに包囲されている。
カカシはリンと手を繋ぎ、森の中へ消えてゆく。
「まさかこれもゼツの仕業なの⁈」
「うるさい!!黙ってろ!!」
「⁉」
ゼツの怒鳴り声に六花は驚き、左肩を見る。
「・・・ゼツ?・・・」
しかし、そこにはゼツの姿は無かった。
・・・今だわ!・・・
六花はカカシとリンの方へ走りだした。
しかし、ようやく二人の姿を確認できた途端…
「あっ!危ない!!」
ガシィィンン!!
『あなたは・・・!』
二人の声が揃った。
六花が飛び出した大木の上には、気を失ったカカシとリンが横たわり、そして、ミナトが立って居たのだ。
「アナタは右からの敵を、僕は左からのをやります。行きます!」
「はい!」
・・・・・・
「やはり、アナタは忍だったんですね」
六花はミナトと二人、岩隠れの増援を全て片付けた。
そして今、夕映えに光る草原で、ミナトと向き合っている。
「気付いていらっしゃったのですね…でももう、私は忍を引退しています。」
「この金色の米粒。これで僕の部下たちの位置を追跡していたんでしょ?目的は何ですか?」
「目的なんて…。私はただ、親切にしてくれた子供達を助けたかっただけです…でも、オビト君の事は助けられなくて…申し訳ありませんでした…」
「すみません。アナタの行動からはどうしても、その言葉を信じることは出来ません。今は戦争中ですし。申し訳ないですが、木ノ葉の里まで一緒に来て貰います」
「それは出来ません。私、急ぎますので…では」
ザッ!
後ろを向いた六花の目の前に、ミナトが立った。
「通して下さい。本当に私に目的なんてありません」
「ごめんなさい」
そう言ってミナトは六花の左手首を握った。
「⁉」
「これは僕の術のマーキングです。アナタがどこに居ても瞬身の術で追うことが出来ます」
・・・これは、扉間さまの術だわ!・・・
六花は愛おしそうにも悲しそうにも見える顔でミナトを見上げる。
夕陽に照らされたミナトの髪の毛の先が、一瞬、あの夏の日の扉間の髪に見えた。六花は思わず下を向く。
「このマーキングを外すためには里に来てもらう必要があります。」
「行くことは出来ません。」
「なら、どこまでも追うだけです。」
六花は下を向いたまま、フゥーっと大きく息を吐いた。そして、ゆっくりと顔を上げる。
「・・・写輪眼⁉アナタ、うちは一族なんですか⁉」
ミナトを悲しそうに見つめる六花の眼は、写輪眼から万華鏡写輪眼へと変化してゆく。
ミナトは急いで目を閉じ、後ろに飛び退いた。
六花はそれを確認すると自分の左腕に付けられたマーキングをジッと強く見つめた。すると、マーキングはスッーっと音も無く消滅してしまった。
そして、その手首をミナトの方へ向けて言う。
「ミナトさん。あなたのマーキングは異空間へ飛ばしました…私はあなたと戦う気はありません。さようなら…」
そう言って六花は姿を消した。
ミナトはマーキングを目の前で消されるという初めての出来事に驚き、暫く六花が居た場所を見つめて茫然としていた。
つづく