1.オープニング
「暇を持て余した皆様にやっほっほー! 高度育成高等学校1年Bクラス担任、
「Dクラス担任の
「ちょっとサエちゃん? テンション低くない?」
「お前が高すぎるんだ。自分のクラスの生徒が出るわけでもないのに、何をそんなに興奮しているんだ」
「私はサエちゃんほど出番がないからね。こういう機会に少しでも爪痕を残さないと」
「売れない芸人みたいな思考だな」
「ふんっ! 定期的に出番を貰えるサエちゃんには私の気持ちは分からないよ!」
「分かろうとも思わんが」
「ひどい!」
2.選手紹介
「お前が下らない話をしている間に今日のプレイヤーが集結したぞ」
「おっ、ほんとだ。一回戦はAクラスとDクラスの対決だね」
「二回戦以降があるかは不明だがな」
「反響次第だねー」
「仮に好評につき二回戦や決勝戦が開催されたとしても、やる事は変わらないだろう」
「基本的には生徒のしりとりを私たちが適当に実況・解説するだけだからね」
「尤も、ただのしりとりではないがな」
「
「さて、どんな試合を見せてくれるかな?」
3.ルール説明
「ではここで、今日皆にやってもらうゲーム『
「この特別試験用にいくらか改変しているが、まずは本家のルールをおさらいしよう」
「基本的には普通のしりとりなんだけど、プレイヤーはそれぞれ五十音表を持ってるの。そして一度使った文字は表から消えて、二度は使えなくなるんだよー。例えば『
「頭文字の『き』は前の人から貰うものだからな、自分の五十音からは消えない」
「そういうこと。ちなみに清音、濁音、半濁音、拗音、促音は区別せず、伸ばし棒は母音としてカウントするよ。例えば『シュレッダー』と言った場合は『ゆ』『れ』『つ』『た』『あ』が消えて、次の人は『あ』で始まる言葉で続けるの」
「使う五十音は『ゐ』『ゑ』『を』を除いた45文字だ。これを先に使い尽した者が、消去しきった者が勝者となる」
「よく分からなかった人は各自で調べてね。次は今回使用する特別ルールについて説明するよー」
「普通にやっても勝利条件を満たすのは凡そ不可能なので、今回は2対2のチーム戦だ。各チームで『先鋒』と『大将』を決めてもらい、『大将』が五十音を使い切ればそのチームの勝利とする」
「つまり相手から来た文字を『先鋒』が上手く変換して自分の『大将』にパスするってことだね。チームワークが重要っぽいー」
「『先鋒』は回数無制限でパスが可能だが、『大将』にパスの権利は無い。残った文字で単語が作れなくなったらその時点で敗北だ」
「後半に向けて『先鋒』がどれだけ五十音を温存できるかがポイントだね」
「字数制限は本家同様4文字以上とし、時間制限は5分以内とする」
「『
「ルールの説明は以上だ」
「ちょっと難しかったかな?」
4.順番決め
「くじ引きの結果、最初の回答者は綾小路くんになったよ。その後の順番はこんな感じー」
綾小路「よろしくお願いします」
堀北「よろしくお願いします」
神室「よろしくお願いします」
坂柳「よろしくお願いします」
「Dクラスは堀北が、Aクラスは坂柳が大将だな」
「ではでは! 特別試験『
一回戦の始まり始まりー!」
5.ゲーム開始
「まずは本家に倣って『
「ここからはテンポよく進めていこう」
綾「PASS」
堀「リリシズム」
神「PASS」
坂「ムニエル」
綾「PASS」
堀「ルーブル」
神「PASS」
坂「
綾「PASS」
堀「
神「PASS」
坂「チャイナドレス」
「とりあえず3周したけど、お互い先鋒の五十音をばっちり温存してるね」
「そして大将が攻めているな。堀北は『梅が枝』で済むところを『梅が枝餅』にしたし、坂柳も『チャイナ』で止めずに『チャイナドレス』と言っている」
「相手が敗北条件を満たすことより、自分が勝利条件を掴むことを考えているんだねー」
「制限ギリギリの4文字の単語を作り続けると15周で終わる計算だが、こいつらは何周で終えるつもりかな?」
「勝負は序盤から中盤へ!」
綾「PASS」
堀「スロット」
神「PASS」
坂「
綾「キメ
堀「
神「
坂「
綾「
堀「
神「ヨホイア」
坂「あご
「両チームとも先鋒が動き始めたね」
「大将の方は4文字が中心になってきたな。流石に5文字以上はそう続けられるものではないか」
「それにしても綾小路君が『キメ顔』って……あはは!」
「恐らくこのゲーム内で最も似合わない回答だろうな」
「あんな無表情で『キメ顔』なんて言われちゃうと、どこかの式神童女を連想しちゃうね」
「誠刀『銓』を持っていた家鳴将軍家御側人十一人衆の少女のことか?」
「声は同じだけどそれ以外が全然違うよ!? というか、そのネタが通じる人ほとんどいないんじゃない?」
「む……そうか」
「なぜかショックを受けているサエちゃんはさておき、現在の五十音表はこんな状態でーす」
「堀北さんは右側と上段、坂柳さんは全体的に満遍なく残ってるね。どっちが優勢かな?」
「強いて言えば堀北の方が上手く残しているように見える。と言っても大した差ではないが」
「大体互角ってことだね。さあ、勝負はいよいよ後半戦だよ。私はキメ顔でそう言った」
綾「
堀「
神「ケチャップ」
坂「
綾「
堀「
神「パステル
坂「
綾「
堀「
神「オニユリ」
坂「リボソーム」
「パスが全然使われなくなったね」
「文字を終盤に残しておきたいはずの神室が5文字の単語を連発したが、それだけ追い詰められているのか?」
「逆に余裕があるのかもよ?」
「そうだな。案外計画通りなのかもしれない」
「Dクラスはどうかな?」
「着実に減らしている印象だ。正攻法というか、王道というか」
「奇策や搦め手が使えるゲームでもないからね」
「ちなみに現在の五十音表はこうなっている」
「大将は二人ともかなり減ってるねぇ」
「文字数だけ見れば坂柳の方が僅かにリードしている状況だな」
「さあさあ、決着の時が近付いて来たよー!」
綾「
堀「リビアヤマネコ」
神「ゴーレム」
坂「
綾「
堀「ドラセナ」
神「
坂「
「「リビアヤマネコ!?」」
「わひゃー。この終盤に来て7文字の単語とは、堀北さんやるねー」
「五十音表はどうなった?」
「堀北さんも坂柳さんも残り6文字だね。4文字の言葉を二つ作ればぴったしクリアだ!」
「その場合、堀北が一歩先にあがることになるな」
「うーん……どう組み立てれば勝てるかな?」
「まず坂柳の『
「わお! DクラスがAクラスに勝つなんて、一回戦からまさかの番狂わせだねー」
「まだそうと決まったわけじゃないぞ」
「でもでも、いくら坂柳さんでもこの状況は厳しいでしょ。最初のくじ引きで先手を取れていたら、全然違う結末になっていただろうねー」
綾「……
「ほう?」
「長考の末に『う』で回したね。どういう作戦だろう?」
「頭が『う』では何も作れそうにないが……」
堀「……」
「堀北さんも困った顔をしているね」
「時間切れで敗北の可能性もあるな」
堀「……はぁ」
「ため息を吐いたね」
「勝者の表情ではないな」
堀「
「ここで5文字!?」
「堀北の五十音表には2文字残ったが、これでは4文字以上の単語は作れないぞ……?」
「綾小路君のパスミスかな」
「どうやらそのようだ」
「坂柳さんが返せばそれで終わりだね!」
「『き』のままでは難しそうだ。神室が『
「結局順当にAクラスが勝ったねー」
神「PASS」
「「ここでパス!?」」
「あっれー? サエちゃんが『き』のままだと難しいって言ったとこなのに」
「坂柳に対する嫌がらせか?」
「Aクラスも一枚岩じゃないからねー。あるいは私たちが気付いていないだけで、『き』で始まる単語があるのかも」
坂「ふふふ」
「見ろ、坂柳のあの表情」
「勝ちを確信した顔だね」
「いや、
坂「では〆させていただきますね――」
坂「キングプロテア」
「「!?」」
「え? ええ? まさかあの子、残りの6文字を一息に使い切ったの?」
「全ては坂柳の手の平の上か……」
「これが読めていたから綾小路くんと堀北さんは諦めたんだねー」
「完敗だったな」
「でもなんで自分たちが勝つ可能性を完全に捨ててまで
「……ふむ」
「何か分かった?」
「最後のターン、堀北には『き』以外にも『い、く、た、ぬ、み』の5文字が残っていた。しかしそのどれで単語を終わらせても、神室は『
「なるほど。どうせ負けるなら潔くってことだね」
「Dクラスも善戦したんだがな。Aクラスの方が一枚上手だったようだ」
「堀北さんは『い』と『く』が消せなかったね」
「ああ――
6.エンディング
「というわけで坂柳さんが見事に五十音を使い切り、一回戦はAクラスの勝利でしたー」
「素晴らしい試合だった」
「惜しくも負けてしまったDクラスの二人は三位決定戦で頑張ってねー」
「二回戦すら開催されるか怪しいがな」
「勝負は一瞬だけど、準備にメチャクチャ時間かかるからね」
「うっかりシリーズ化したら私たちもやらされる可能性が有るぞ」
「うーん……10万円くれるならやってもいーよー」
「最後に金の話か」
「お金についてなら百も二百も語れるけど、ここは飲み屋じゃないから控えよっか」
「そうだな。私たちの無駄話も〆るとしよう」
「ではでは、最後までお付き合いいただきありがとうございました! お相手はお酒とお金が大好きな星之宮知恵と!」
「その同僚兼友人の茶柱佐枝でした」
7.花言葉
「ところでサエちゃん」
「なんだ?」
「坂柳さんが最後に言った『キングプロテア』ってのは花の名前なんだけど、その花言葉は知ってるかな?」
「いや、知らないな」
「知りたい? 知りたいでしょ? 知りたいよね?」
「別に」
「いやいや、知っておいた方が良いよ。そこまで含めて坂柳さんのパフォーマンスなんだから」
「……ほう? では聞こうか」
「キングプロテアの花言葉はね――
『王者の風格』だよ♪」
本作を皮切りにハーメルンでタグ『消去しりとり』が流行してくれれば望外の喜びです。皆さんも是非、自分だけのオリジナル『消去しりとり』を作ってみてください。
活動報告にあとがき的なものを載せています。よろしければそちらも是非。