問題児たちと元殺し屋が異世界からやってくるそうですよ? 作:unworld
みなさんも気をつけてください。
『ペスト編開始なのでございますよ?なんだ?魔王襲来の予感かよ』
ペルセウスとのギフトゲームが終わり、のんびり過ごすことを決めた百合人であったが、そんな時、百合人の元にコミュニティサラマンドラの外交官が来ていた。
その内容は
「火龍誕生祭?」
「はい。『黒き覇王』達皆上百合人殿には是非参加していただきたく思います。
それとノーネームの皆さんにも招待状を送っておきました。」
百合人は眠そうに、そして割と気怠そうに応える。
そして、曖昧な答えを出したのだった。
「いやぁ…まぁわからんな…
サンドラ達には世話になったし行きたいのは山々なんだが、生憎俺は立場上忙しいんでなぁ…
まぁ、考えとくよ。ありがとうな」
百合人がそういうと外交官は、驚いたような顔をした。
「お礼などとんでもございません。
私達は達皆上殿には感謝してもしきれません。
私達が魔王に襲われ、コミュニティが潰れかけた時、救って下さり、そして、魔王も撃退して貰った恩は忘れる訳には行きません。
あのゲームの采配は見事の一言につきます。
私達では到底あのような見事な勝利は出来ませんでした。」
百合人は少し苦笑しながらも、うーんとつぶやいた。
その顔は僅かに気恥ずかしいそうだ。
「俺は別に何にもしてないさ。」
百合人はそう言うと、外に出る。
空は青く澄み渡っていて、雲一つない晴天だ。
百合人は空を見上げると、大きく伸びをして、
「なぁ、俺は空が好きなんだ」
突然、そう言った。
外交官は、その言葉に「はぁ…」と素っ頓狂な声を上げた。
百合人は苦笑し、地面へと座った。
「この箱庭の世界は良い。
人々が笑っている。
ゆっくりと寝れる場所がある。
人が人と協力しあえるコミュニティというものもある。
なにより、空が綺麗だ。」
百合人がそう言うと、ふわりとそよ風が吹き抜け、百合人の髪はそよ風に靡かれる。
外交官はその姿を見つめるだけで、何も言おうとはしない。
「俺の世界は、こんな素晴らしい世界じゃ無かった。
人の顔からは笑顔が消えて、
おちおちと寝てもいられなかった。
人と人とは裏切りあい、殺しあった。
そして、空はどす黒かったよ。
汚かった。
だから、俺はこの箱庭世界でみる空が一番好きだ。
俺はそれを守って行きたい。
魔王と戦うのはそのためだ」
百合人は少し苦笑しつつも、昔を思いだしながらそう言うと、立ち上がった。
そして、外交官に近づいた
百合人はポケットから小袋を取り出し、外交官の手に置いた。
「こっからサラマンドラまでは少し遠いだろう。
『境界の門』を使うといい。
このお金でなんとかしてくれ。」
「!!」
外交官はその中身をみて驚愕した。
確かに、境界門は使用料金が高い。
しかし、百合人が渡したお金はその金を差し引いても、余り過ぎる。
外交官は小包を百合人に返そうとした。
「いけません!!こんなにいただけません!!」
「いんや、それは貰ってくれよ。
俺は別にそんな金失っても、損害に入らんからな。」
「なっ!どれだけお稼ぎになっているんですか!」
「いや…魔王討伐とかやってると自然にね。」
「とにかくこれはお返しいたします!!」
「これを受け取ってくれないなら、俺は火龍誕生祭に行かない」
「なっ………分かりました…
お気遣い感謝いたします。」
そういうと踵を返し、サラマンドラへと戻って行く。
百合人はすこし伸びをし、本拠へと戻ろうとドアを開け踏み出した瞬間。
「…あっ…やべ。くっそ。気ィ抜いてたわ…」
百合人は自分の行いを後悔した。
…百合人の目の前に広がっていたのは純白で過度な装飾が施された門。
次の瞬間、いきなりその扉がギギギィと鈍い音を立てて開き始めた。
その扉の隙間から光が漏れ百合人を包み込む。
百合人は、はぁ…とため息をついてその扉へと入ってゆく。
「仕方ねぇな…」
その扉は百合人が入っていくのと同時に閉じてゆく…
まるで意識があるように。
百合人は箱庭世界でも貴重な『執行者権限』の持ち主。
その力はとてつもなく強大である。
ギフトゲームの中でこの権限を持つものがいるかいないかでは、大きな差がでる。
しかし、巷ではこの『執行者権限』を持つものを倒せば、倒したものに『執行者権限』がうつる。と考えられており、百合人は度々こうやって襲われたりするのである。
まぁ、それは他の『執行者権限』を持つものも同じくだが…
今回の敵はいつも襲って来るようなひ弱なやつではないだろう。
明らかに修羅神仏。それも並大抵のものではない強大なものであると推測できる。
百合人が扉の中にはいりきると、重厚な扉は閉じ、暗黒な空間が広がった。
だが、すぐにスポットライトが点滅し、百合人を照らす。
百合人はあまりの明るさに目を薄く閉じながらも、周囲を観察する。
そこは…
「っ…舞踏場?」
百合人が立っているのは舞台。
しかし、それを見てる人物は一人しか見当たらない。
その男は黒いタキシードに身を包み、白い手袋をした手で拍手をした。
その不可思議な人物に百合人は警戒心を最大にしつつ質問をぶつけた。
「お前誰だ?」
「私か?いやいや別に対した人物ではないさ。
名前などというものはないさ。
ふむ、そうだな。『男爵』とでも呼んでくれると助かるな。」
名無しの男。いや、男爵は百合人に笑みを送った。
その笑みに百合人は多少イラついた。
「んじゃあ、男爵ゥ…ここはなんだ?」
「舞台じゃないのかい?」
「んなこと聞いてねぇよ。
ここは、おまえの舞台なのか?」
「…」
男爵は応えない。
つまり…
百合人は拳を構え、力を入れた。
そして、床に向かって拳を振り下ろした。
百合人の拳によって、舞台は爆散する。
その行動を見て男爵は笑った。
「はっはっはっ!!!実に面白いよ!!
達皆上百合人君!!」
「この野郎っ!!
消し飛んどけ!!!」
彼は舞台の破片を足場にし、男爵に拳を浴びせようとする。
しかし、男爵も紙一重でひらりとかわし、後ろに飛んだ。
こうして、百合人と男爵の戦いは始まった…
えー、皆々様明けましておめでとうございます。
新年の挨拶が遅れまして申し訳ありません。
この回からペスト編開始でございます。
楽しみにされている方。少々お待ちください。
私のように風邪などかからないようお気をつけくださいませ。
では。