問題児たちと元殺し屋が異世界からやってくるそうですよ?   作:unworld

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いつものことながら遅れました。すいません


『【人類最終試練】ラストエンプリオ並みの魔王なのでございますよ! 倒せるもんなら倒してみやがれ。 』

百合人が覚醒する少し前。

十六夜と、耀と飛鳥と黒ウサギとジンとレティシアというノーネーム。

サラ、マンドラのサラマンドラ。

 

そして、ヴェーザー、ペスト、ラッテンという先ほど倒されたはずのヴェーザーとラッテンを含んだグリムグリモワールハーメルン。

 

主に、この三勢力が新しく出現する魔王のために集められた奴らであった。

もちろん白夜叉も参加する。

 

十六夜達は最初、生き返ったヴェーザー達をみて、怪訝な表情を浮かべていた。

しかし、ヴェーザー達は言った。

 

「俺たちにもなぜ、復活したかがまるでわからないんだ。

話によりゃあ、

なんかアナウンスみたいのがあったそうじゃないか。まぁ、きっとそれが関係してるんだろうなぁ…」

 

そう聞いて十六夜は納得した。

自分と耀に関してもそうだ。

 

飛鳥自体はあまりダメージは受けていないため、回復したという自覚はないのだろうが、

十六夜と耀は違った。

明らかに、先ほどまでの自分達とは比べものにならないくらい回復した。

 

その後、かの魔王に挑戦する編成が決められた。

 

一番最初に位置するのは

ペスト組

次に

ノーネーム組

最後に

サラマンドラ、白夜叉組だ。

 

この陣形は主に、ペスト達の意見が多く取り入れられた。

 

ペスト達としては、特別なギフトというものが当たり前に気になるだろう。

 

 

しかし、それは思わぬ方向へペスト達を誘った。

 

 

 

 

 

………

 

そのころ上空では、

百合人は、玉座にすわり、手を振り下ろす。

すると、彼の背後から数多の鎧をまとった兵団が現れる。

その数は、万にも匹敵した。

 

男爵は震えた。

絶叫した。

まるで自分を奮い立たせるために、自分の意識を失わないために、

 

だが、彼の足は震えていた。

男爵は地面についた百合人の血を舐め、ニヤリと笑った。

 

「もう…覚悟は決めたさ。必要悪の魔王様ッ!!」

 

そう言い残すと、彼は壁を突き破り、街へと逃げた。

 

百合人はそれをみて、ため息をつき、言った。

 

「追え。絶対に逃がすな。」

 

すると、鎧の兵団は行進をしながら

男爵が逃げた街へと降りた。

 

ザッザッザッ

 

鎧の兵団が姿を消したあと、

彼は立ち上がり、玉座を降りた。

 

すると、玉座は光となって霧散した。

百合人はゆっくり歩きながら、男爵が突き破った壁から街へと飛び降りた。

 

だが、そこには…

 

男爵と思われる人物がローブを羽織り、百合人の頭を上を閃光のように通過していった。

 

百合人は飛翔し、その姿を追って行った。

 

しかし、街の家の影に、それを汗をかきながら、見送る影があった。

 

 

……

【男爵】

男爵は、狡知の神【ロキ】の分体の一人である悪魔だ。

ロキは様々なものになりすます力をもつ神であり、その反面。鍛冶の力をもつ神であったと言われている。

 

 

それゆえに彼がもつ能力の一つがなりすます能力

 

相手の血をすすることで、その霊格になることが出来る。

 

という能力だが、この能力には致命的な弱点がある。

 

この能力はその霊格を貰ってしまった場合。

その力が完全には消えず、自分に

多大なダメージを負ってしまうということだ。

 

しかも、それが自分の器の限界を越しているとき、そのダメージは図り知れない。

 

 

そして、自業自得ではあるが男爵は壊れた。

頭へのダメージはとうに限界をこえ、体からは血を吹き出す。

 

しかし、彼の目はまさに野獣。

紅々と光り、獲物を探していた。

 

そして。

 

男爵は獲物のまえに立ちはだかった。

 

 

………

 

ペスト達の目の前には一人の男が走ってきた。

紅々と目を獰猛に光らせ、ペスト達のまえに来たのだった。

 

ペストは心の中で

 

…こいつがかの魔王ってやつなのかしら…

 

と思った。

明らかに怪我をしている。

 

これでは勝負にならない。

ペストは感染病だ。

傷口からペスト菌が入れば、そのものは黒死病になってしまう。

 

「貴方がかの魔王?」

 

ペストは、警戒をときその男に問うた。

しかし、その男は答えず。

 

獰猛に目を光らせた。

 

ペストは興味なさげに、嘆息した。

 

「なぁーんだ。かの魔王なんていうからもっと強大な魔王なのかと思ったわ。

まぁ、でも。

死になさい!」

 

死を呼ぶ黒い風がその男に迫る。

しかし、その男はよけようとさえ、しなかった。

しかも、その男はその黒い風に突っ込んでいく。

 

勝った!

 

ペストは確信した。

だが。

 

異変は起きた。

 

黒い風はその男に当たる寸前。

まるで意思でも持ったかのように、その男を『避けた』

 

二つにサッと分裂し、彼の行動を止めもしなかった。

 

「なッ!?」

 

ペストは驚愕し、動きを止めた。

だが、ペストが思考するより、速く男爵は動いた。

 

ペストは避ける間も無く腹に拳を入れられ、吹き飛び、壁に身体を打ちつけた。

 

刹那、ラッテンとヴェーザーが己の武器を使い、男爵を殺しにかかった。

 

「よくもてめぇ!!ぶっ殺してやる!!」

「死になさい!!」

 

その各々の一撃は彼らの人生の中での最高峰の一撃。

その威力は川を割り、大地砕く。

 

 

 

しかし。

 

男爵はその号撃を意とも介さなかった。

凄まじい速度で振り下ろされた魔笛を拳で叩き折り、ヴェーザーとラッテンの頭を鷲掴みにし、ペストが倒れている壁へと投げつけた。

 

そして、畳み掛けるように自分の魔力を込めた凄まじい力の砲撃を彼らに放った。

 

ペスト達は避ける暇もなかった。

しかし、ヴェーザーとラッテンだけは自分たちの主君を守ろうとペストに覆いかぶさった。

 

爆発音が響きわたり、十六夜たちが駆けつけるとそこにはヴェーザーとラッテンの姿はなくペストだけが気を失い倒れていた。

 

そして、獰猛に赤い目を光らせた男爵の姿があった。

瞬間。

彼はなんの躊躇いも慈悲もなく、倒れているペストに向かって砲撃を放ち、ペストを消し飛ばした。

 

「ペストっ!!」

 

「ちっ!!行くしかねぇ!!」

 

十六夜達は勇敢にも男爵へと特攻を仕掛ける。

一歩出遅れて黒ウサギも続いた。

 

十六夜は自分の全力の拳を、燿は鷲獅子の力で、飛鳥はディーンで

それぞれの攻撃を男爵に振りかざした。

 

しかし。

 

男爵はそれすらも無情に砕いた。

 

十六夜の拳を軽々と避け、こちらのターンと十六夜の顔面に拳をめり込ませ、振り切った。

 

ディーンの振り下ろした拳は、男爵の拳によって、砕け散り。体は男爵の蹴りによって崩れ落ちた。

 

燿の鷲獅子の風はいとも容易く男爵によって薙ぎ払われ、男爵の一撃によって倒れた。

 

男爵は3人を倒すと、ゆっくりと黒ウサギに近づいた。

 

「よくも皆さんを!」

 

黒ウサギは髪を真紅に染め上げて、男爵に攻撃を仕掛け…ようとした瞬間。

 

男爵の砲撃が黒ウサギを包み込んだ。

 

 

………

 

 

百合人は爆発音を耳にして、その場へ向かった。

そこには、男爵と、折られた魔笛。

倒されたノーネームの四人がいた。

 

四人とも意識を失い、男爵は残った奴らを探していたのか、百合人の足音に敏感に反応した。

 

百合人は変わり果てた男爵をみてか、はたまた倒された四人をみてか、嘆息した。

 

「なんでこうなっちまうかなぁ…

俺はァ、別にこんなことのために、戦ってきたんじゃないんだぜ?

 

仲間を失ったり、傷つけられたり、自分が死んだり。

 

仲間と別れちまうことはあるだろう。

ペストだってそうだ。

俺はあいつらのこと知っていたし、てめぇが折やがった魔笛の残骸だけで想像はつくわ。

 

まぁ、仕方ねぇよ。戦いの中でそうなったんだ。

其れ相応の覚悟だってあったはず。

 

だがよぉ…やっぱり。

 

俺は青いなぁ…

 

こんなことぐらいでよ。

 

てめぇに殺意抱いちまうなんてよォ!」

 

その瞬間。百合人の握り拳から漆黒の光が漏れ出した。

 

その一撃は彼の怒りを込めた。

星を壊す一撃。

 

男爵はそれを獰猛に見つめ、凄まじい速度で彼に襲いかかった!!

 

しかし、百合人は言った。

 

「いくら、てめぇが俺の血を啜って強くなったからって、いくらてめぇが俺の仲間を倒したとしても。

 

俺には勝てねぇよ。

 

なぜなら

 

 

俺が背負ってるもんよりてめぇが背負ってるもんの方が遥かに軽いからだ。」

 

砕け散れ…

 

その拳は男爵の拳をもろともせず、男爵の顔面へと吸い込まれていった。

その一撃で男爵の顔はひしゃげ、次の瞬間には頭が吹き飛んだ。

 

その一撃は頭だけでなく身体にさえも影響を与え、彼の霊格は簡単にもろく崩れ去り粒子となって風にのって消えた。

 

百合人は自分が作りあげた兵団にノーネーム四人を宿舎へと送らせた。

 

百合人の拳はその威力によって、地面は砕け散れ、周りの家も崩壊し、ひび割れていた。

 

百合人はペストの亡骸があったであろうその場所にどこからともなく出現した花束を添えた。

 

「さよなら、ペスト」

 

彼はそうつぶやくと、踵を返し、自分の家に戻っていく。

 

 

魔王としての覚悟を決めて

 

ペスト編fin

 

 




これにてペスト編終わりです。
次はアンダーウッド編です。
いやー、うん。少しバトル回が多いかもです。

それでは。
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