問題児たちと元殺し屋が異世界からやってくるそうですよ? 作:unworld
私にしては珍しい。
『アンダーウッドの収穫祭始まるようでございますよ!?うむ、いかにも儂が主催者だ。by白夜叉』
ノーネーム本拠
ペスト達との戦いから少し時間がすぎて、ノーネームの本拠は大きく発展を遂げた。
主に、ディーンとメルンのお陰である。
メルンとディーンのお陰で荒廃していた土地が耕され、驚きの進化を遂げた。
その成果をみて、飛鳥も鼻高々である。
十六夜は水を手に入れ、飛鳥が土地を耕した。
しかし、燿は…
燿は畑のそばにあったベンチに座る。
そして、ため息をついた。
燿がため息をつくのは当然で、自分だけノーネーム発展について役に立っていないからだ。
黒ウサギの期待だけにその落ち込みようは半端ではない。
「私…役にたってないなぁ…」
「そんなことねぇよ。きっと」
「ひゃぁ!!」
燿はいつの間にか隣にいた百合人にびっくり仰天、ベンチから落ちた。
なお、燿を驚かせたのは、しっかりとした正装をまとった百合人の姿だった。こんな姿は珍しい
「いてて…」
「なんだよ。そんな驚かなくてもいいじゃねぇか。ていうかよ、俺が先に座ってたのに勝手に座ってきたのはお前の方だろ。」
そう百合人は少し怒っているような顔をした。
その表情から察したのか、燿はすぐに謝った。
「ご、ごめんなさい」
「まぁ、別にいいけどよ。
で、何、どうした。役に立ってないこと悩んでのか?」
百合人はそう聞いた。
つまり、燿のため息まじり出たあの言葉を全部聞かれたということだ。
「…別に…」
燿はそう明後日の方向を向いて否定した。
百合人は苦笑し、ため息をついた。
「仕方ねぇなぁ…これは独り言だぞ?聞くんじゃねぇぞ。」
「うん。」
「聞いてんじゃねぇか…まぁ、いいが。
言っとくが戦うもの、守られるもの双方にとって戦力ってのは多いほうがいいに決まってる。
ソロでいいってやつはいるが、それはそいつは必ず何処かで心が軋む。音を上げる。
でも、そんな時に仲間がいるだけでその心労はかなり無くなる。
まだ、こいつらがいる。
一緒に戦える。それだけで、戦うものにとってはいいもんだ。
それに守られるものにとっても、自分らを守ってくれる奴が強いやつで、必死で命かけて守ってくれる奴がいるだけで、どれだけが不安が拭えるかわかったもんじゃねぇ。
俺も、それでたくさんの危機を救われた。
一匹狼ってのもカッコ良くて、強いが、俺はやっぱ仲間いるほうがいいけどな。」
「…そっか…私は役に立てたかな。」
「それはわからん。でも、本当に役に立っていないなら、十六夜や飛鳥はお前のことを避けるだろう。特に十六夜ははっきり言ってくるだろうな、役立たずだってよ。
でも、お前はそんなこと言われたか?
そんなことを感じ取ったのか?
そんなことはないだろう。
それに、こんなことで役に立てなくても他のことで役に立てばいい。
ギフトゲームが全てじゃねぇ。
だから、気負いすぎんな。」
百合人の角度からは燿の表情を伺うことは出来ない。
しかし、その声は震えていた。
泣いているのかは、定かではない。
ただ。震えた声で言った言葉は力を持っていた。
燿は不安だったのだ。
十六夜や黒ウサギ、飛鳥に見限られることが、役立たずと言われることが怖かったのだ。
しかし、その不安は百合人の言葉で幾分にも荷がおり、どっとその不安が感情に現れたのだ。
「……ありがとう……達皆上…さん」
百合人はありがとうと言われたのは久しく、驚きながら、苦笑して言った。
「達皆上って言いにくいだろ。まぁ、百合人って言えよ。」
燿の声は震えていたが、しっかりと聞こえた。
「…ありがとう…ありがとう……百合人…」
「お前の荷が降りたんなら、幸いだ。」
百合人の手は自然と燿の頭にのり、その頭を撫でた。
燿はまだ鼻をグスグスやっていたが、しばらくして。
「……髪型崩れちゃう……」
「お、悪りぃ悪りぃ。すまんな」
百合人はパッと手を離し、苦笑した。
燿もまんざらそうではなく、なぜか撫でられた頭を触っていた。
そんな情景を影ながら見ていたものがいる。
「(くっそー、あの男お嬢をたぶらかしおって!お前には白夜叉や黒ウサギのネェちゃんがおるやろが!何か仕返しをしてやらねばっ!)」
そう燿の飼い猫。三毛猫である。
簡単にいうと、彼は燿に近づき、落ち込んでいた燿をいとも簡単に元気にさせ、三毛猫にも見せたことのないような顔をさせた百合人に嫉妬していた。
そして、オスの本能としてだろうか、彼に敵対心が湧いていたのあった。
だが、そんなこともつゆしらず百合人は自分が来た理由を思い出す。
「あ、そうだ。なぁ、春日部黒ウサギどこ?」
「えっと…書斎かな。」
「ありがとう」
百合人は燿に礼を言うと、書斎に向かう。
向かう足取りは重く。
燿にあんなことを言っておきながら、自分は魔王になった。
自分の無力さを嘆き、そして、必要悪へと昇華した。
そう考え事をしていると、レティシアの姿が見えた。
身の丈不相応な量の服を運んでいるのだが、今にも転んでしまいそうである。
百合人はそんなレティシアに声をかけた。
「手伝いましょうか?」
「…本当に百合人か?」
レティシアは百合人の方を見ると、何が、面白かったのか、クスクスと小さく笑った。
「…そんなにおかしいですか…」
百合人はその意味を察し、むすっとし聞いた。
「その格好似合ってるよ…ククッ…」
「…自分でもわかってるつもりですよ。でも、今回は遊びに来たんじゃないんです。今回は真面目なお仕事で来たんですから。
茶化さないでくださいね。」
「仕事?」
レティシアは笑うのをやめて、不思議そうな顔をした。
「ええ。今回は悪いことと、いい事を伝えにやってきました。そうだ。その服持ってあげますから、一緒に黒ウサギの場所に行きませんか?」
「わかった。ついていこう」
こうして、レティシアと百合人は用事を済ませると、書斎へと向かった。
そして、書斎のドアをあけた瞬間。
「うっきゃぁぁぁぁ!!!
ややこしすぎるのですよぉぉぉ!!!」
沢山の紙がバラバラとまきちらされた。
紙吹雪よろしく紙がバサバサと百合人達に降りかかる。
百合人は頭の上に乗っていた紙を一枚とり、その内容に目を通し、察した。
「なんだ、黒ウサギ。アンダーウッドの収穫祭行きたいのか…」
「えっ!?百合人さん!?
なぜ、ここに?そして、なんでそんな格好をしておられるのですか?」
黒ウサギはうさ耳をビッとたたせ、驚きを表現する。
そのうさ耳の表現力には、希代の画家たちもきっと脱帽することであろう。
ノーネームに来てからというもの、この服装を突っ込まれる百合人は小さくため息をついた。
サウンドアイズから出かける時に白夜叉から
「うむ、似合っておるぞ」
などと笑いながら言われたのはそういうことだったのか。
「…そんなに似合ってねぇのかよ…」
そういって落胆する。
しかし、仕事を忘れるわけにはいかない。
「おう、黒ウサギ。お前らに悪い知らせと良い知らせがあるぞ。
どっちから聞きたい?」
黒ウサギはその言葉を聞いて、体をしっかりと直した。
「レティシア様、ジン坊っちゃまを呼んでいただけますか?」
「わかった。」
数分後、ジンが書斎に入り、床に散らばった紙をみて、黒ウサギに心配そうな顔をしたが、百合人が話すと、椅子にすわり、言った。
その威厳はコミュニティの主そはのものだった。
「話してください。百合人さん。
先に聞くのは、悪い方からお願いします。」
百合人はその姿をみて、自分の姿勢を正した。
「わかりました。ノーネームの主、ジン=ラッセル殿。
あなたのコミュニティは何者に狙われてます。
これは。『あの人』が予言したことです。
詳細は自分にもわからない。
ただ、一つ言えることは。
『必ず死人が出る』ということです。」
百合人はそう言って肩をすくめた。
しかし、その瞳には悲しみがうつっていた。
戦場に生きた彼だからこそ、死人が出るということの意味とその戦いの激しさが伺えた。
「そうですか…」
ジンの目が少し曇った。
あまりいい状況とは言い難い。
それでも良いニュースが残っている
「で、いいニュースというのはですね…」
百合人は自分のポケットからとある手紙を取り出し、黒ウサギに投げた。
「これは?」
黒ウサギはその手紙を訝しげに見つめ、封を開いた。
「なっ…こ、これは…」
百合人はその反応ににこやかに笑い、告げた。
「ノーネーム一同の皆様。
我が主が主賓と招かれている
『アンダーウッドの収穫祭』に招待いたします。
ぜひ、お越しくださいませ。」
その瞬間。
黒ウサギは嬉しさに涙した。
その頃、アンダーウッドでは…
影で暗躍する者どもが動きはじめた。
どうも、私です。unworldでございます。
アンダーウッド編始まります。
原作の方では、アジ=ダ=カーハ編が終わりましたね。
アンダーウッド編もしっかりしないと…
それでは