問題児たちと元殺し屋が異世界からやってくるそうですよ? 作:unworld
『人間使い(ドールマスター)
vs
必要悪
なのでございますよ!
うむ、魔王対決の予感だな。』
真夜中、月明かりが街を照らすころ窓に、一人の男の影が写りこんだ。
「へへっ…すっかり眠りこけやがって…馬鹿な魔王だねぇ…」
窓から覗いたのは、仮面。
仮面は自分の指先についた糸を操り、サラの首元にくっつけた。
この男は魔王『生物使い(ドールマスター)』
生物が眠ったり意識を失った時にその人物を操るギフトを持った魔王である。
その生物をとてつもなく精密に操るには首元に糸をくっつけなければいけない。
それをくっつけた場合。
会話
動作
ギフトの使用など、
その生物の全てを操るその力は強大である。
だが、あまりにも霊格が違いすぎる場合には操れない。
それは、基本的にギフトの本質であるからあたりまえのことなのだが、
「へっ…だが、これでこの魔王を殺せるっ!!」
ドールマスターが指を動かすとサラが起き上がる。
その手には、火龍の炎で創りだしたであろう燃え盛る剣が握られていた。
サラは、その剣を百合人に向かって振り下ろした。
その剣は百合人の体を貫き、その体を燃やした。
「はははっ!!
やったぞ!!俺はやったんだ!!
必要悪を倒したぞ!!」
ドールマスターは興奮のあまり、広場出て雄叫びをあげた。
それが失敗だった。
「見ぃつけたぜぇ…」
街を囲む壁の上、腕を組み、笑みを浮かべる男がいた。
その男はヒョイと壁の上から飛び降りる。普通なら、怖がってなにも出来ないが、この男は普通じゃない。彼は壁に足をつき、跳んだ。
その勢いはまさに弾丸の如く。
着地した先の普段は美しいであろうタイルは無残にも砕け散った。
黒いマントをはためかせ、その男。
達皆上百合人は現れた。
ドールマスターの前に現れた。
「おまえは!?生きてやがったのか!?」
「よぉ、ドールマスターだっけか。
俺を殺したつもりなら、俺の気配をしっかり探れよ。じゃねぇと、てめぇが殺されっぞ」
百合人は漆黒のマントを揺らし、ドールマスターの目の前に現れた。
ドールマスターは一瞬にして、力の差を悟った。
元来、ドールマスターというギフトの所持者はあまり強くない。
そのため、強かった死者を蘇らせ、もし強い相手が現れた時に、強かった死者を使い、五分にしていく。
そういう戦い方をするのだ。
しかし、今回ドールマスターが動かしているのは、サラ一人。
サラも龍の血を引くものではあるが、必要悪とはランクが違う。
彼の心に慈悲などないし、遠慮を知らぬ。
「く…くっそ!…」
彼はサラを諦め逃亡を図る。
ドールマスターには、とある人物から特殊なギフトを預かっていた。
端的に言えば、瞬間移動のギフト。
彼は一瞬にして、瞬間移動し、何処かへ消えた。
百合人はドールマスターの気配を察知し、彼はその先へむかった。
「ちくしょぉ…ちくしょぉ!!
あんなんに勝てるわけねーだろ!!
あの女…俺に嘘を教えやがって…」
ドールマスターはそう思いながら必死にある場所へ向かった。
それは彼の独壇場であり、無敗。
幾多の戦士達が散り、埋まる場所。
それは冒涜されることを良しとせず何人たりとも受け付けぬ。
この男以外は。
ドールマスターは、墓地の中心にたつと詠唱した。
声高々に死者を冒涜する詩を。
「目覚めろ!!『リビングデッド』!」
ドールマスターがそう宣言すると
幾人もの戦士が地面から這い上がってくる。
「あいつをぶっ潰せぇ!!」
ドールマスターは戦士達を操り、百合人の元に向かう。
…………
百合人はドールマスターを追いかけ、地面に降り立った。
そこは墓場。
ドールマスターの独壇場である墓場での戦闘は避けたがった百合人ではあるが、ドールマスターの気配はここにある。
百合人は地面に降り立ち、戦斧のギフトを展開する。
ドールマスターの気配探ろうと、踏み出した瞬間。
地面から人間達が百合人の足をつかもうと手を伸ばしてきた。
「な!?」
百合人は飛び退き、着地した。
斧のギフト出現させ、構えた。
地面から這い出てくる歴戦の戦士達はその身は腐り、眼球は飛び出ている。
しかし、その動きは速かった。
すぐさま、近づいてきた屍の首をはね体を両断する。
百合人はその行為に罪悪感も何も思わない。
彼の目的を邪魔するものは全て敵。
今の彼にとって、動くものは全て敵。
無心で屍を殺す…いや、切り刻んだ。
すると、パチパチパチパチ
どこからともなく拍手が聞こえてきた。
百合人はその方向に目を向けた。
「いやぁ…すごいねぇ。
さすが、必要悪ってところかよ」
そこには、ドールマスターが立っていた。
「ドールマスターてめぇを殺す。
もう死者を冒涜するのはやめとけ」
ドールマスターは不思議そうに首をかしげた。
「ん?なに言ってんだ?てめぇ
死者を冒涜だぁ?
何言ってんだよ。俺はこいつらを生き返らせてやってんだぜ?
むしろ感謝してほしいくらいだぜ
それにぃ…
死者を冒涜してるっつーなら、お前はどーなんだよ。え?
お前はその屍を切り刻み、踏み潰し、それこそ死者の冒涜ってもんじゃねーのかよ?
なんとか言ってみろよぉ!」
少しの間静寂が彼らの間を通った。
やがて百合人が口を開いた。
「そうだな。
てめぇの言う通りかもしれねぇ。
俺はこいつらをまた殺してる。
死者とはいえ、そういうことをするのはまずかったかもしれん。
だがな。
俺はてめぇが気にいらねぇ
自分は死者を生き返らせてる?
無理やりだがな。
それに、てめぇのやってきた罪は償わきゃいけねぇ。
だから、俺はお前を殺す。」
ドールマスターは待ってましたと言わんばかりに口角を上げた。
「おもしれぇ!!
俺を殺してみろ!
この墓場じゃぁ、俺の独壇場だぜぇ?お前が俺に勝てると思ってんなら大間違いだぜぇ!!
お前らいけぇ!
『リビングデッド』!」
百合人は小さく小さく言った。
「死者は死んだんだ。それ以外でもそれ以上でもないんだ。」
百合人は感情を消した。
その目は何も捉えず、屍を切り倒した。
その時ほど、百合人が人を細かく切ったことはないであろう。
数時間後。
百合人はドールマスターの首を落とした。
最後の言葉は静かなうめき声。
辺りには、血が飛び散り、墓石を汚していたし、道端には異臭を漂わせた肉片が転がっていた。
朝日が百合人の顔を照らすと、その惨状はあらわになった。
常人なら言葉を失うだろう。
しかし、百合人の顔は晴れ晴れとしていた。
何を思ったのかは、百合人にしかわからないが、何を得たのか。
百合人はラブリュスのギフトをしまい。
帰路に着こうとする。
しかし、数十メートル先に黒髪の女の子が現れた。
百合人は目を見張った。
その姿は、『リン』に似ていた。
百合人が出会った大人のリンの幼少期の姿の女の子は
何かを投げた。
姿に圧倒されすぎて、油断した百合人の腹に投擲されたナイフが突き刺さる。
そこには毒でも仕込んであったのか、意識が朦朧としてくる。
ついに、百合人はドサリと地面に顔をつけた。
「リ…ン…」
そう言って彼の意識は遠のいた。
みなさん。
お久しぶりでございます。
unworldでございます。
このところ私の方が多忙でしたので、小説が書けませんでした。
次からは重々気をつけてまいりますので、
これからも応援のほどよろしくお願いいたします