波打ち際のオルタちゃん   作:ちゅーに菌

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どうもちゅーに菌orちゅーに病魔です。

タイトルこんなんですが、まだ続きますのでご安心ください。







波打ち際のオルタちゃん

 

 

 

 

 

「なんで起きないのよ……」

 

 アイツはまだ目を覚まさない。

 

 ベッドで眠る彼はずっと静かに眠ったままだ。

 

 いつもみたいに笑わない、いつもみたいにふざけない、いつもみたいに隣にいてくれない。

 

「なんでよ……」

 

 私はあなたのことを知っているつもりだった。

 

 誰よりも強いあなた。赤々と燃え盛るあなた。だから絶対にこんなことは起こらないと思っていた。

 

 いつか目覚めるのはわかっている。けれど私にはそれが永遠のように感じた。

 

「起きなさいよ……起きて……ください」

 

 こんなことならせめて一言ぐらい……伝えておくべきだった。

 

 好きだって、愛しているって、きっと私からは絶対に伝えられないってわかっていても。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ふと、目が覚めた。

 

 まだ眠っているような気分ではっきりとせず、このまままだ眠っていたいが、そうするといつもジャンヌに怒られるので起床することにする。

 

 体を起こして辺りを確認すると、ここが自分の部屋ではなく、清潔感漂うどこかの個室だということがわかり首を傾げた。どうやら俺はベッドに寝かされているらしい。

 

「ん……」

 

 すると隣から聞き覚えのある声質が聞こえて、そちらを見る。

 

 そこには白に近い銀髪に透き通るような白い肌をした少女――ジャンヌの姿があった。何故かベッドサイドに椅子を置いて、俺に向かって突っ伏す形で寝息を立てているようだ。

 

 こんな機会は滅多にないので、ちょっと刺激された好奇心からジャンヌの頬を指でつつく。

 

「んぁ……」

 

 するとジャンヌから妙に艶のある声が漏れ、俺のテンションが少し上がる。味を占めた俺はもっとジャンヌの頬をつつく。

 

「えへ……マモル……」

 

 珍しくジャンヌにアンタではなく名前で呼ばれ、その上愛らしい笑みを浮かべた様子に逆にこちらが驚かされた。それと同時に遊んでしまったことに負い目を感じたのでジャンヌを起こすことに決める。

 

「ん…………あ?」

 

 その瞬間、ジャンヌが目を覚ました。まだ、ジャンヌの頬を指でぷにぷにしている最中だったので、俺は全身から血の気が引いていくのを感じながら、この後に起こるであろう罵倒を思い浮かべて、そっと心を正座させた。

 

「あ……あ……」

 

 すると何故かジャンヌはふるふると体を震わせながら目に涙を浮かべたため、俺の思考は停止する。

 

「この馬鹿! 大馬鹿! 人でなし!」

 

「――――――」

 

 次の瞬間、ジャンヌが俺に勢いよく抱き着きながら罵倒する。だが、その言葉は徐々に尻すぼみになって行き、最後には涙声になり、最後にはぎゅっと抱きしめ続けるだけになった。思わず俺もジャンヌを抱きしめ返してしまったが、ジャンヌはそのまま俺の腕の中で、胸に顔を埋めていた。

 

 何がなんだかわからないが、とりあえずいつも通り全面的に俺が悪いのだろう。というかもうこの感触だけで何があろうとお釣りが来る。

 

「あー……ごめん」

 

「…………うるさい」

 

 そのまま俺はジャンヌの気が晴れるまでそうしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇◆◇◆◇◆ 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ジャンヌによれば、どうやら俺はエクスカリバーの一件から一週間程寝込んでいたらしい。ここはグレモリー家が経営する悪魔の病院であるそうだ。まあ、フェニックスみたいに体の再生も可能な肉体にも関わらず、あれだけ無茶をしたので、寧ろそれだけで済んだと喜ぶべきだろう。

 

 あの後、俺が聖剣因子から魂の滓を手繰り寄せて生き返らせた子供たちは全員グレモリー家の方で引き取られたらしい。正直、あの時は肉体が限界で後先なんて全く考えていなかったので大変喜ばしい。

 

「まあ、神なんて理不尽で不条理ものでしょう? 命があっただけマシですね」

 

 若干、貶された気がするが、俺が悪いので仕方ない。まあ、ジャンヌなりのフォローとも言えるだろう。

 

 それからそう言えばいつの間にか校舎の屋上にいた当代の白龍皇によって、フリードは一端グレゴリに連れて行かれたが、俺の配下だと名乗った事と特に目ぼしい情報を持っていなかった事で早々に解放されて、今は俺の家に留まっているらしい。まあ、名前を貸す程度で何かフリードの助けになったなら御の字だな。

 

 また、聖剣使いの片割れのゼノヴィアとか言う方。そっちは神の不在を知った事で教会から破門されたらしい。ちょっと可哀想だが、それだけでは終わらず、今度はリアス・グレモリーさんの騎士として転生悪魔になったそうな。元信徒にあるまじき逞しさと適応力である。

 

 紫藤の方は神の不在を知らされなかったのでそのまま帰ったらしい。それから聖剣は俺の支配の聖剣(エクスカリバー・ルーラー)を除く全てが回収されたそうだ。ルーラーはどこへ行ったかと言えば、俺のベッドの隣にあるテレビ台の上に聖剣の核だけがちょこんと置かれているのが全てを物語っていよう。俺としては勝負に勝ったのはあの場にいた全員だったので、核ごと木場くんに破壊されようが、教会に回収されようが、それはそれで仕方ないと思っていたが、揃いも揃って律儀なものだ。

 

 ジャンヌを抱きしめる片方の手を放して、ルーラーの核を掴む。核を中心に俺の炎を放つと、次の瞬間には完全な姿の支配の聖剣がそこにあった。柄を持ったまま異空間にルーラーを放り込むと、そろそろ気になり出した事をジャンヌに問い掛けることにする。

 

「それはそうとジャンヌ?」

 

「なによ……?」

 

「俺はいつまでジャンヌとこうしていていいんだ?」

 

「は? なにをいっ……て…………」

 

 途中で我に帰り、自身と俺の状況に気づいたのだろう徐々に言葉が弱々しくなって行く。

 

「――――――!!!?」

 

 そして、ジャンヌの白い顔がゆでダコのように真っ赤に染まった。それと同時に文字通り、ジャンヌに炎が灯る。

 

 ちょ……待て、待ってジャンヌ! 病院で火はマズいって! 火は! あー!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ボヤ騒ぎによって、ジャンヌと二人で悪魔の院長にしこたま怒られ、何故か俺だけが看護師の方々にも怒られた後、そのまま退院した。神の体が一週間寝たきりな程度で筋力低下や可動域制限など起こす訳もないのである。

 

 ちなみに看護師の方々に俺だけ絞られた理由は、ジャンヌは俺が病院に運び込まれてからずっと側にいたからだそうだ。ご飯は売店で済ませ、本当に168時間ずっとベッドサイドにいたらしい。素敵な彼女さんを大事にだの、一人の体じゃないんだから婚約者を大事にだのと無茶苦茶言われ、隣にいたジャンヌがまた発火しそうでヒヤヒヤしたが、何故かジャンヌは顔を赤くしたままずっと俯いていた。

 

「………………」

 

「………………」

 

 そして、帰路に着き、夕焼けが見える電車に乗りながらなんとなくジャンヌと会話出来ずにいた。まあ、さっきの今ならば仕方ないだろう。こういう時に限って何故か、この車両に一切他の人間がいない。また、ジャンヌはずっと顔を伏せている。

 

 確かに俺は人の心がわからないやら、空気が読めない等と言われるし、自覚しているが、ここまであからさまならば流石に理解出来た。

 

 どうやらジャンヌの今までの行為は全て照れ隠しで、俺に対して好意を寄せていたらしい。普通、肉親にだってあんなに抱き着かないし、あそこまで献身的に看病しようともしないだろう。また、本気で嫌ならば看護師の言葉に対しても訂正なり、反論なりし、あんな反応はしない筈だ。

 

 というか毎年、毎年嫌がらせと銘打っているが、やたら気合いの入った手作りバレンタインチョコを、2時間ぐらい同じ空間で葛藤した末に俺に渡しているというのに、何故俺は今の今まで特にそのようには考えなかったのだろうか……?

 

「…………なあ、ジャンヌ?」

 

「――――!?」

 

 するとジャンヌはビクリと体を震わせただけで、言葉には答えずに相変わらず俯いていた。やっぱりこういうものは、男から言うべきだろうな。

 

「ジャンヌがもしよければだが……将来、俺と結婚してくれないか?」

 

「………………………………え?」

 

 ジャンヌはようやく顔を上げて俺の方を見た。その表情は有り得ない事を聞いたかのようであった。

 

「今なんて……?」

 

 聞き返されてしまった。少し言葉が長過ぎたと感じ、今度は要点だけ伝えるように口を開く。

 

「ジャンヌ、俺と結婚してくれ」

 

「――――」

 

 ジャンヌは感情が抜けたような表情で止まる。こちらとしても心臓の鼓動が収まらないが、言いたいことは言えたのでいいだろう。砕けてもそれはそれで仕方がないが、燻り続けるよりもずっとマシだな。

 

 するとジャンヌは小刻みに震える。そして、ぽろぽろと涙を流しながら笑った表情を浮かべ、震えた声で言葉を紡いだ。

 

「ダメよ……だって私……偽物(クローン)よ? 炎も命も全部あなたから貰った贋作なんですよ……? あなたは神様と聖人の子なのに私なんて――私なんて……釣り合いっこ無いわ……」

 

 他者に弱みを見せず、常に高圧的だが、どこか情に脆く面倒見のいい努力家の本心は、今にも崩れ去りそうな程に矮小なものだった。

 

 ああ、そうか……ジャンヌはずっとそんなことを考えていたのか……本当に俺は何も知らないんだな。そう考えると俺に対してのこれまでのジャンヌの行動や言動にもなんとなく説明がつく。

 

 それを聞いて、いても立ってもいられなくなった俺は、立ち上がると両翼を広げ、ジャンヌの首と足に手を回して抱き抱える。そして、そのまま仙術で車内をすり抜け、空へと飛び上がった。

 

 そのまま気流を操り空を駆けてトップスピードで飛行する。音速を越えた速度にて、腕の中で俺に何か言いたげなジャンヌを守りながら、数分でいつも釣りをしている防波堤の遥か上空へと辿り着いた。丁度、夕陽が地平線に消えるところであり、それなりに綺麗な景色に見えるだろう。

 

「俺はあれだ。あんまり他人のことはわからないし、人付き合いも得意じゃないけれど、これだけは何度だって言える。俺はジャンヌのことが大好きだ」

 

「私は……」

 涙を浮かべて暗い表情のジャンヌは何かを言おうとしたが、その前に有無を言わさず、俺はジャンヌを抱き寄せながら更に言葉を続ける。

 

「例え全く同じ姿をした者が何人いようと俺は君がいい。誰でもない君がずっと側に居て欲しいんだ」

 

「でも……」

 

「君のためなら俺は地獄の底まで焼き尽くそう。何だっていつだって君を守ろう。俺の全てを存分に使っていい、だから君の全部が欲しい」

 

 もう止まれなかった。次々と体の内から愛しさと熱が沸いて来る。それが己のものが、神としての狂った独占欲なのかは最早判断がつかない。きっと、今自分がとんでもない表情をしているのではないかと思うが、それに構っている余裕は無かった。

 

「ひとつだけ……約束して……」

 

 俺を見上げるジャンヌは絞り出すように言葉を吐く。

 

「もう誰にも負けないで……自分で自分を傷付けないで……誰かの為だって嫌よあんなの……!」

 

 ああ……こんな時にまで彼女は俺のことを想っているのか。それを思うと今までの俺の感情がなんと滑稽で、自分本意だったのか思い知らされる。釣り合わないのはきっと俺の方だろう。

 

 その言葉に頷いて答えてから口を開く。

 

「大好きだよジャンヌ……!」

 

「私もよマモル……!」

 

 ジャンヌは俺に飛び付き、俺もしっかりと抱きしめ返す。そのまま日没までの長いようで短い時間の間、二人でずっとそうしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◆◇◆◇◆◇

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 グレモリー家が管理する悪魔の病院に入院していた愛宕葵が目を覚ましたという知らせと、退院したという知らせをグレモリー眷族は同時に受けた。無論、葵に連絡を取ろうとしたが、何故か同伴していた黒いジャンヌ共々音信不通のため、グレモリー眷族は目に見えて心配している様子である。

 

 愛宕葵に限ってもしもは起こらない筈であるが、そもそも入院していた原因も体が致命傷な程傷付いた上で、体力を消耗したからであり、もしかすると弱っている葵が誰かにやられたのではないかと不安に感じるのも仕方ないだろう。

 

 外は既に日が傾き終わり、これから悪魔の時間だというのにグレモリー眷族の表情は暗い。色々あったが、彼らは葵に対して多大な恩義があるのである。

 

 そんな時、部室内の中央に刻まれた魔方陣から一陣の風が吹き荒れ、熱さのない火柱が上がる。グレモリー眷族の中で最もその炎に見覚えのある兵藤一誠は笑顔になり、その名を呼んだ。

 

「マモ――」

 

「ここにいたかイッセー!」

 

 常に飄々としており、常人とはどこかズレた感覚をしている葵にしては珍しく声を荒げた様子であるが、一誠の言葉が止まった理由はそこではない。

 

 何故ならどういうわけか、ジャンヌをお姫様抱っこした状態であったのである。抱っこされたジャンヌは"何をしているんだコイツは?"とでも言いたげな様子で唖然としながら口を開けている。

 

「俺、ジャンヌと婚約したぞイッセー!」

 

「え……えぇぇぇぇぇぇ!!!?」

 

 期待通りな驚きで叫ぶ一誠。他のグレモリー眷族も皆、一誠程では無いにしろ驚いていた。ただ、その中で一人、姫島朱乃だけがいつも通りのにこやかな笑みのままティーカップへと口をつけ、"ようやく恋人になりましたわね"と何やら呟きつつ目を妖しく輝かせていたが、それに気がつく者は誰一人いなかった。

 

「あ、ああ……アンタねぇ……」

 

 ようやく状況を整理したのか、顔をゆでダコのように真っ赤にしたジャンヌ。そして、その体にガスレンジの火を点けたように火が灯る。その様子にグレモリー眷族はうすら寒いモノを感じ、壁際まで離れた。台風の目にいるせいか、元々火耐性がカンストしているせいか、当の葵は全く気づいていない。

 

「ん……?」

 

 そして、ようやく気が付いた時、葵の回りの地面を黒々とした多数の槍や剣の切っ先が囲んでいた。

 

 

「どこまで空気が読めないのよこのバカァァァ!?」

 

「でゅへいん!?」

 

 

 面白い悲鳴を上げながら器用に葵だけ全身を黒い刃で刺し貫かれる光景を見つつ、グレモリー眷族は一様に、この二人は付き合い出してもそこまで関係は変わらないなとなんとなく感じ取るのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ジャンヌ待って死ぬ、呪いが痛い、継続ダメージがマジで痛い」

 

「うるさい死ね! 今すぐ死になさい!」

 

 

 ちなみに葵の体はフェニックスよりも制限なくほぼ無限に再生出来るため、自身の意思で再生を止めるような自殺行為でもしない限りは、基本的に殺し切ることも半ば不可能だったりする。後、やけど以外のバフとデバフはしっかり入る。

 

 

 

 








~Q&Aコーナー~


Q:そもそもなんで主人公ってこんなに強いの?

A:メタい話だと一切実力面での成長をしないからです。なのでハイスクールD×Dの世界のインフレに最初からついていけるだけの肉体的スペックをしております。


Q:なんでもう付き合わせたん?

A:実は私はとか、君に届けとか、付き合ってからの名作もあるからね、仕方ないね。


Q:なんでもう付き合わせたん?

A:ほら、修学旅行はデート状態の方がニヤニヤできますし……。


Q:なんでもう付き合わせたん?

A:作者の執筆力もとい表現力の問題で付き合ってない状態での描写が凄まじい縛りプレイだからだよ! 書いててこっちがモヤモヤするんや!(正体現したね) ちくしょーめぇ!(投げたペンが当たる音)

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