どうしても出したくて我慢できなかった。
今、僕が知っている
一つは、カドックの担当するロシアの
二つ目は、オフェリアの担当する北欧の
そして、三つ目は僕ことエドワードが担当する日本の
他の五つの
まあ、ともかく。僕が知っている
というのも、あまりにも僕の
まず神話の神様揃いすぎ問題。更にはとんでもない生き物いすぎ問題。
主にこの二つのせいで僕の
この予想が正しいとすれば、この
つまり、何が言いたいかというと。
「うおぉ!このクソでか狸俺の剣を金○袋で防ぎやがった!!」
「また
森の奥地に住む神獣クラスの巨大狸だとか。
「やばいやばいやばい!こいつ神獣どころか神霊にすら匹敵するぞ!!」
「マジでどうなってんだよこの毒は……!俺が指一本すら動かせねえなんて……!」
蛇神として恐れられ祠に祀られていた、山を一巻きくらいできそうな神霊クラスの白蛇だとか。
「なあ、こいつ最早神すら超えてるよな。明らかに魔力の桁が違うんだけど」
「腹くくれマスター。俺たちマジでここで死ぬかもな」
そこらへんの神霊じゃあ束になっても勝てなさそうな九尾の妖狐だとか。
「ねえ、あれって中国の神獣じゃなかった?」
「さあな、渡ってきて住みついたんだろ。もういちいち驚かねえよ」
雷神のごとく雷を司り空を駆ける麒麟だとか。
「なあ、ここは一体どんな魔境なのよ。もはや人が住む環境じゃないぜ?ここ」
「それ故に我らは人の子へ恩恵を与えるのだ。この地でも生き抜けるようにな」
「まあ、それに日本全体で見ればそんなに数がいるわけでもないしね。遭遇することはまずないさ」
「いや、あんたらそこに僕とスサノオを送り出してるじゃん。遭遇しまくってんだけど」
「…………ふぁいと」
「あぁ……僕の癒しはかみむーだけだよ。あめのんとたかみーは鬼畜だし。試練しか与えない神様なんて酷いもんだよ」
僕はそう言って寄ってきた
「いやいや、私たちだってエドに恩恵与えてあげてるだろう?私とアメノミナカヌシの加護だって無ければとっくに死んでたよ?」
「うむ。我が契約者は我らへの感謝の念を抱くべきだ」
そうやって反論してくるのは、たかみーこと
……いや、確かに加護は凄かったけどさ、それ化物どもと戦う前提の加護じゃん。なんかこう遭遇しない魔除けの加護みたいなのつけてよ。テストなんて最早する必要ないのに怪物退治の作業押し付けてるだけだよね。
「てかさ、明らかに日本神話で聞いたことないような生き物もいたりするけどこの
「ふん、汎人類史と差異が生じるのは必然であろう。何千、何万年もの間我らが存在し続けているのだ。その神性、魔力は周囲に影響を与える。環境が変化すればそこに生まれる生命もまた変化するというものだ」
えぇ〜そういうもんかあ?
「それに」
僕が不満そうな顔をしていることに気づいたのか、たかみーが話を引き継ぐ。
「別に全部が全部変わってるって訳じゃないと思うよ。エドが生きてきた歴史と同じように生まれてきたものもあるさ」
まあ、たしかに神代には確実にいなかったであろう動物や魔獣、神獣なんかもいるしなあ。これが特異点と
「にしたってさあ、別にもう僕とスサノオがやんなくて良くない?タケにでも任せようよ」
「いやいや、あの子がやっても何も面白くないじゃん。人間であるエドが頑張ってる姿が良いんだよ」
結局ただの娯楽扱いやんけ!これが神様なりの人間の愛し方ってやつなのか?やっぱズレてるなあ。
ちなみにタケってのは
「くそぉ……こんなのブラックすぎる……!」
僕が自分の労働環境に絶望しているとかみむーが肩に手を置いてくる。かみむー………!
「…………えどわーど。今度はさいきん人をさらうって噂のおに————」
ダッシュで逃げた。
現在、僕は
……走るだけで雷落とすのはどうかと思う。
そんなことを考えながらある程度は整備されている道を歩いていく。村やら集落やらに近いと道くらいはちゃんとあるらしい。さて、どこへ行こうか。
今考えたら一人で地上に来るのは初めてかもしれない。いっつもスサノオがいたし。もともと一人で過ごすのも好きなタイプである僕からしたらなかなか珍しいことである。まあ
目的もなくぷらぷら歩く。たしかここから一番近いのは……ああ、あの村か。あそこの女の子にちょっと会っていこうかな。
よし、そうと決まれば早速行くっきゃねえ。そうやってこれからのことを想像しウキウキで足を進めていると。
突然、先程まで何もいなかった背後に何かが現れる。そして、その何かは僕の完全な死角から高速で手を伸ばし————————。
その手を、僕は掴む。かなりの速さだったが対応できる範囲内だ。
「なぁっ⁉︎」
驚く声が聞こえる。まさか防がれるとは思っていなかったのだろう。というか随分と可愛らしい声だな。
相手が驚いている間に次の行動へ移る。掴んだ手を振り上げると相手ごと持ち上げ、そのまま片手で地面に叩きつけた。
「ガ…………っ!」
衝撃で小さなクレーターが生じる。てかなんか軽くない?まるで小さな女の子を相手にしているような—————って、ばらきー⁉︎
僕を攻撃してきた謎の存在の正体が金髪鬼娘だった件。新しいラノベのタイトルかな?
いや、てか、え?茨木童子?なんでいんの?
「ぐ……その手を、離せ!」
僕が混乱していると下の方から何やら熱気が漂ってくる。気づいたときには茨木童子の全身は炎に包まれていた。そして、そのまま魔力放出による炎が辺り一帯を焼却する。あまりの威力に火柱が立ち上がった。
「フハハハハ!人間にしてはなかなかやるようだが吾の炎の前にはこんなものよ!」
なんかめっちゃ機嫌の良い声が聞こえる。てか熱っ!あっつ!!
急いで拳を振るうことでその風圧により炎を搔き消す。思ったより熱くてビビった。
「な……なんなのだ
「そういうお前も、いきなり襲ってくるなんてどういうことだ?大江山の首魁、茨木童子」
僕の言葉に彼女は驚いたような顔をしたが、すぐさま不敵な笑みを浮かべた。
「ふん、どうやら吾のことは知っているようだな。どういうこととは奇妙なことを聞くものよ。鬼とは人を喰らうものであろう」
そう言って彼女は笑う。その手には巨大な刀を構え体は彼女の炎によって熱く燃え上がっている。完全な臨戦態勢だ。
まじか。ばらきー普通に好きなキャラだったし敵対したくないんだけど。生で見てもめちゃんこかわいいし。CV東山奈央はダテじゃない。ぜひともキモい!って罵ってもらいたい。僕は前世で間違っている青春ラブコメが大好きだったんだ。由比ヶ浜はどうせ敗けヒロイ—————
「うわ」
僕を叩き斬ろうと迫る大剣を腕をクロスし防御する。変なこと考えてたせいで間抜けな声が出てしまった。恥ずかしい。
次に茨木童子は縦にぐるぐると回りながら剣を何度も叩きつけてくる。いて、いてててててて!!ちょ、痛い痛い痛い!……くそっ!
「いっ、てえ、なあ!!!!」
直接殴るのは気が引けたので防御用に構えている剣を思いっきり殴り抜く。そのまま力を乗せ茨木童子ごと吹っ飛ばした。森の方へ突っ込んでも勢いは衰えず木をなぎ倒しながらどんどんと奥へ進んでいく。やべ、ついやりすぎた。
あああ、どうしよう。かあいいかあいいばらきーを直接ではないといえ殴り飛ばしてしまった。てか完全に敵認定されちゃってるなあ。
どうしよう。てか何でいるんだろう。そんな思考に耽っていると前方に何かを見つける。なんか赤い————チカチカしている。あれは、燃えているのか?どんどん近づいてくるにつれ全体も見えてくる。
「んなっ⁉︎」
あれは、巨大な手だ。茨木童子の巨大な右手が炎を纏いながらこちらに迫ってくる。巨大化ロケットパンチ(炎)と言えばわかりやすいだろうか。
まじかよ!普通ただの人間に宝具なんて使うか⁉︎いや、原作でもないことはなかったな。あの世界例外みたいなのが多すぎでしょ。
————って、まずい!んなくだらないこと考えてる場合じゃなかった!
目の前に迫る煉獄の炎。その勢いは凄まじく手の通った場所は抉れ、燃え上がっていた。んー、どうしよ。
とりあえず正面から殴ってみる。えい。
茨木童子の宝具と僕の拳がぶつかり合った瞬間に僕の体は炎に包まれ、その衝撃で遥か彼方まで吹き飛ばされた。宝具には勝てなかったよ…………。
今、僕は山奥で拘束されていた。
縄で木にぐるぐる巻きにされ胡座をかいている。そんな僕の目の前には二人の女の子がいた。
僕と女の子たちは初対面なのだが、僕はその二人をよーく知っている。彼女たちの名は、茨木童子と酒呑童子。主に平安時代?辺りで人を攫ったりやらなんやらをして暴れていた鬼である。
もう一度言おう。酒呑童子だ。鬼娘だ。酒呑ちゃんだ。
……やばい、こんな状態なのにめちゃくちゃ興奮してる。これでは僕が縄で縛られていることに興奮してる変態みたいじゃないか。断じて僕にそんな趣味はない。
なら何に興奮しているのかと言うと、僕は前世で酒呑ちゃんが大好きだったのだ。エロ同人でお世話になったサーヴァントベスト5くらいに入る。ちなみに後の四人は頼光さん、ナイチンゲール、三蔵ちゃん、ジャンヌ(オルタ含む)だ。マシュはサーヴァントのカテゴリに入れていいのか迷うな。あと槍トリア(オルタ含む)なんかもなかなかお世話になった。武蔵ちゃんやBB、アビゲイルもなかなか……………。
「おい、人間。この状況で一体何を考えている」
いかんいかん。一人えちえちサーヴァント選手権を開催してしまっていた。不機嫌そうなばらきーの声で我に帰る。
「いや、この縄ほどいてほしいなあって。僕は別に二人に危害を加えたりしないし、敵対もしないって」
「ほどいたら逃げるであろう。ただの人間とは思えぬ身体能力の
んー、まあそう簡単にはいかないよね。
「にしても、えらいイケメンやなあ。茨木がこないな男連れてくるなんて想像もしてへんかったわ。少しはそういうことに興味も出てきたんか?」
そう言って彼女、酒呑童子が僕に顔を近づけてくる。うわ、良い匂いする。あと服装際どすぎない?下着と同じレベルの露出度である。
酒呑童子の発言に茨木童子が顔を赤くしてわちゃわちゃしている。んー、なんだこの状況。てか何でこの二人が僕の
あれか?ストーリーで必ず存在するはぐれサーヴァントってやつか?え?ってことはそろそろカルデア来るの?いや、カルデアが来るだいぶ前から召喚されるはぐれサーヴァントも居たか。
「なあ」
とりあえずアクションを起こそう。このままってのはちょっとな。そう思いイチャついてる二人に話しかける。
「まず一つ聞きたいんだけど。僕を襲ったのは僕を喰べるため?サーヴァントなら食事は必要ないと思うんだけど」
「ん?そないなこと言うてもなあ。鬼ってのは自分のやりたいことやるもんやさかい、必要あらへんからせえへんってのは違うなあ」
なるほど、まあそんなもんか。鬼を理解しようとしたって不可能だろうしそこらへんはいいや。
「じゃあ、何で僕をさっさと喰べないんだ?こんな風に拘束する必要はないだろ」
「汝のその令呪だ。どうやらマスターらしいが、ここは何だ?日本であることはわかるが、空気中の魔力濃度や人間どもの様子がおかしい。それに、あの樹は何なのだ?攫った人間どもに聞いても知らんと口を揃える」
あの樹、か。多分空想樹のことだろう。
——————ならば。
ほんの少しだけ魔力を放出する。二人の顔に緊張の色が宿った。こういう時に大事なのは雰囲気だ。不敵に笑い彼女たちを見上げる。
「それなら知ってるよ。というより僕がここの管理をしている。僕の名前はエドワード・エヴァンズ。日本の
面白くなってきた。どうやら今日も退屈はしなさそうだ。
「いや、縛られた状態でカッコつけられてもな…………」
「ほんま、おもろい子やなぁ」
……微妙にキマらないのはご愛嬌だ。
話が進まない。ばらきーと酒呑ちゃんの口調がわからない。鬼娘とイチャつきたい。酒呑ちゃんのフィギュア欲しい。
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