それと11/2にBLEACHの小説も出るので、この際に読んだ事がない方は是非BLEACHを読んでみてください。
小説の方で霊王について色々と書かれてますし、卍解初披露のキャラもいて最高です。
「第1狩猟部隊より入電。虚圏へ侵入した死神、萩風カワウソとジェラルド・ヴァルキリーが交戦中。また'特記戦力,黒崎一護とキルゲ・オピーが接敵、現在交戦中です」
無線に届いた情報は、そのまま放送されユーハバッハの耳へと届く。
玉座に座るユーハバッハはその放送を聞くとニヤリと笑い、腰掛けていた玉座から立ち上がると「さて 行こうか」と衛兵に告げながら歩を進める。
「陛下、どちらへ?」
「決まっているだろう、
即答したユーハバッハに衛兵の滅却師も驚きを隠せない。宣戦を布告して間もない、約束の5日はまだ先だ。その疑問に答えるように、ユーハバッハは話し出す。
「萩風カワウソと特記戦力である黒崎一護が虚圏にいるのだ、これ以上の好機はないだろう。萩風カワウソは予期せぬ行動をするが、虚圏へやって来るとは都合が良い」
そう話すユーハバッハの顔は今までに変わりないように見えるが、恍惚とした表情をしている。この瞬間を待ちわびていたのだろう、この瞬間から起こす悲劇の幕を開けるのを。
「星十字騎士団へ通達せよ、これより
『
☆☆☆☆☆
瀞霊廷を独特の緊張感が張り詰めていた、その中で阿散井恋次、そして隣にいる吉良イヅルもその緊張感に包まれている。
「吉良、今回の敵をどう思う」
阿散井には力はあっても、そこまで頭は残念ながらない。なので今回の敵の狙いなどを読む事ができないし、この戦いの意味もよくわかっていない。
「僕の意見で良いなら、今回の敵はかなり計画を練ってる。手際の良さとかでもそうだけど、情報での利は向こうが握ってる」
それに対し、阿散井も肯定を意味した頷きをする。涅隊長からも有益な情報はまだ来ていない、それが如何に不利なのかは理解している。こちらの戦力も能力も知っている、だからこそ既に一番隊の隊士116人の被害を出しているのだ。
この116人は宣戦布告にやってきた滅却師と同時刻に行われた虐殺であり、その時に雀部副隊長も致命傷を負っている。
「僕等の考えや常識は通じないと考えた方がいいのかもしれない、卍解を封じるとも聞いてるしね。でなければ雀部副隊長が簡単に負ける事はあり得ない。僕等副隊長の中じゃ、一番強い死神だったと思うからね……」
確かに、雀部副隊長は白打や剣術はそこまで高い実力を持っているわけでは無いが斬魄刀においては最上位の一振りの一つだろう。
これを知っているのは本当に一部の死神だけだが、同じ副隊長であり唯一の親友である萩風曰く「雀部さんの卍解はヤバいぞ、嵐を相手にしたような力だ」と言うほどだ。
なお、本気の萩風が嵐を切れるのは誰も知らない。
「君の卍解も気をつけた方がいい」
「そういう吉良は卍解はできないのか?俺からすれば出来てても可笑しくないんだが」
「一応できるようになったよ、僕だって鍛錬を怠ってはいないからね。むしろ鍛錬をしてないと気を保ってられなくてね……」
それを聞いた阿散井は「あー……」と踏んではいけない地雷を自分で踏みやがったなと思いながらも優しく肩を叩き「今度飲みに行くか」と友人として慰める事にする。
最近、吉良は失恋したのだ。相手は同期の雛森で、そのお相手は日番谷冬獅郎。十番隊隊長である。なお、色々とゲスい事をしたキューピッドが萩風なのは日番谷しか知らない。
吉良が雛森の事が好きなのを阿散井は学院の頃から知っていたが、やはり幼馴染で隊長の日番谷は強敵だったのだろう。
「……ありがとう、僕も前を向いていくよ」
そんな吉良の愚痴に付き合うのが偶々居合わせて仲良くなった萩風なのだが、最近だと「日番谷隊長みたいでめんどくせぇ…」と思われているのを、吉良は知らない。
そして吉良が立ち直ろうとしている時、外から何かが爆ぜる音が聞こえる。
「っ!?」
また、同時に二人は気づく。途轍もなく巨大な霊圧を複数感じたのを。
「吉良!こりゃ…」
「間違いなく、滅却師の仕業だろうね……!」
二人は直ぐに外へ出ると、青白い柱を確認する。
その数は10数本だが、高密度の霊子でできたその青い炎の柱が何を意味するのか、それは護廷十三隊の全ての隊士が理解している。
「何なんだよ、あいつら……!!」
戦争の始まりだ。
☆☆☆☆☆
異変を感じた七番隊の副隊長である
「観測班!結果はどうじゃ!」
射場の後ろには十二番隊の隊士が何かの計器を弄っているようだが、中々結果が出ていないようである。
無理もない、目の前の柱の霊子の濃度は計器を狂わせるほど高いからだ。だがその緊張感が隊士たちの中で張り巡り、十二番隊の隊士の声を待つ。
「高密度過ぎて反応が……っ!今、出ました!サンプル抽出霊圧との適合率93!間違いありません、滅却師です!」
それを皮切りに、全員が雄叫びをあげる。それを最初にあげたのは射場副隊長だ、全員の士気を高めつつ道の敵への恐怖を払拭する為だろう。
「「「うおぉー!!!」」」
そして、柱の中に人影がついに視認できる。
「全員、かからんかい!」
射場は始解した斬魄刀を片手にそのまま突撃する。隊士たちも雄叫びをあげながら突撃するが、瞬間。何かが柱から飛び出す。鬼道の攻撃のようであったが、それとは全く違う。
「い、射場副隊長!!」
そして、その攻撃を受けた射場副隊長の半身は大きく抉れて無くなっていた。
「悪いな、皆殺しって命令なんだわ」
そう呟きながら、柱から現れたモヒカン頭の滅却師は素手で隊士たちを倒し始める。始解した席官でも一撃で踏み潰し、殴り殺していく。
「う、うぉぉ!!」
「だめだ、勝てっこねぇ…!」
「待て、逃げるな!戦え!」
絶望し逃げ出す隊士がいたのも、仕方なかった。
「待たんか!」
だが、その声に振り返ると隊士たちと滅却師の間にその大男はドスン!と音を立てながら着地する。
死神で唯一、人狼と呼ばれる種族の男の死神は、怒声と共にやって来た。
「貴様が、これをやったのか…!!ワシの副隊長も殺したのは、貴様だな!」
「あぁ、知らないな。殺した雑魚は覚えない主義なんだ」
その、答えに斬魄刀を引き抜きながら吠える。
「ならばワシの名を覚えておけ、七番隊隊長
憤怒に燃えながらも、周りを叱咤するように、自身を叱咤するように突撃する。
「
☆☆☆☆☆
「なんやねん、ホンマ…!」
いち早く駆けつけた五番隊隊長
「しっかりせぇ、桃!」
自身の部下である雛森副隊長を含め、他の隊士も身動きも出来ずに気絶させられていたからだ。更に、それを悠々と殺す滅却師もだろう。直ぐに平子はこの滅却師の能力だと把握する。
「無駄だぜ、こいつらは動けねぇ。でも安心しな、すぐにあんたも動けなくしてやるからさ」
顔の上半分をゴーグルで覆い、歯を交互にお歯黒にしたのが特徴的な滅却師はポケットに手を突っ込みながら不敵に平子へと笑いかける。
「ほな……そっちも動けないようにしたろか!!」
そして、平子は抜刀すると直ぐに斬魄刀を解放し戦闘を始める。無論、今寝ている隊士たちを巻き込まないような場所でだ。
平子真子 vs ナナナ・ナジャークープ
☆☆☆☆☆
「ふむ、貴様は隊長か!」
隊士たちをプロレスの技のような攻撃で殺戮を繰り返していく、そこへ飛び蹴りしながらも登場したのはSUPER副隊長である
過去に副隊長であったが、戻って来たときには既に檜佐木が副隊長としていたので代わりに与えられた名前だけの役職だ。
とは言え元は副隊長、実力は確かだ。その蹴りを受け止め弾く目の前の滅却師は、間違いなく強者であった。
「白。気をつけろ、強いぞ。最初から仮面付けとけ」
そして後ろから現れたのはその隊長である
「ワガハイが目立つに、絶好のチャンスだな!」
そう言うと霊圧が解放される。滅却師の幹部格であるのに相応しい力は、護廷十三隊の隊長格と遜色ない力であった。
「むぅ、スーパー副隊長は負けないのだ!」
白は虚化し仮面をつけると、六車はそのまま斬魄刀を片手に霊圧を高める。
敵の力は強大、いくら虚化している白が居ても勝てるかは微妙な所だと六車は理解している。
「白、奴の動きを見てろ。奴が何をしてくるかをだ、頼むぞ」
そう言うと隣でゆっくりと彼女は頷く、それを横目で確認した六車はマスクを前にして霊圧を解放し、斬魄刀を最終解放まで一気に行う。
「
六車の全身を覆うその卍解は鎧のようだ、しかしそれを前にしても滅却師のマスクは意に介していない。それどころか、それを目にするとワクワクしたように懐から円盤を取り出す。
「っ!?」
すると異変が起きる。卍解が解けたのだ。
無論、六車が自ら解いたわけではない。
「え!?けんせい、何で卍解解いたの!?」
隣の白を見るに、敵の動きはあの円盤を取り出した事だろう。そして六車に僅かにわかったのは、その円盤に卍解が吸い込まれたのだろうという事だけだ。
「わかんねぇのか!奴は卍解を、奪ったんだよ……!」
六車拳西&久南白vsマスク・ド・マスキュリン
☆☆☆☆☆
卍解を奪う力を敵は持っている、その報は直ぐに全ての隊士に伝えられた。
だが隊長格の死神達は既に感じ取っている、どこで誰の卍解が奪われたのかという事を。
「報告は十番隊からでしょうが、どうやら二番隊、六番隊、九番隊も奪われたようですね」
卯ノ花達四番隊に総隊長より命ぜられたのは'待機,だ。
怪我人が運び込まれても迅速に対応する事が出来るようにという配慮であるが、戦闘が始まり多数の死者が出ているのにも関わらずに未だに怪我人は一人も運び込まれてこない。
恐らく、戦闘が終わるまでは運ばれてこないだろうと卯ノ花は考えている。このままでは無残に一方的に倒されるとも。
「卯ノ花隊長……私達は、どうすれば」
隣では不安な声で三席である虎徹勇音が青い顔をしている。無理もない、副隊長クラスの実力を既に有している彼女はもうわかっているのだろう。
この事態の不利さと、敵の圧倒的な力を。
「勇音。もしもの時は……四番隊を、任せましたよ」
鞘に収まる自身の斬魄刀を見つめながら卯ノ花はいつもとは少し違った笑顔を見せる。その顔は何かの覚悟を決めたような笑顔であり、虎徹はそれにザワリとした嫌な予感を感じる。
「え、縁起でもないこと、言わないでくださいよ!萩風さんだって……その、すぐに来てくれますから!」
虎徹三席が言い澱むのも無理はない、理由は二つある。
一つは萩風が来ただけでは、戦況をひっくり返す事は出来ないのだろうという事。ましてや卍解を奪う奴等を相手に、だ。
もう一つは、既に約束の1時間は過ぎている事だろう。
「これは、後で久々に説教しなければなりませんね」
卯ノ花のその呟きは、まるで願望のように聞こえていた。
「その時は、ご一緒しますよ……」
虎徹もまた、弱々しく答えるのであった。
☆☆☆☆☆
「この程度とは、呆気ないものだな」
瓦礫と死神の骸の街へと変わった瀞霊廷を前に、ユーハバッハは哀れんだような目でその街を見る。
既に自身の部隊である星十字騎士団が隊長格にも戦果をあげ始め、もはや護廷十三隊の死神達に同情とは違う憐れみを感じていた。
「やはり目下の敵は零番隊か、護廷十三隊もこの程度とは」
隣では星十字騎士団のトップであるハッシュヴァルトが周りの死神達を切り捨て、控えている。やはり呆気ないと思いながらもそのまま瓦解した街を歩む。
このまま死神達の終わりを見届けるのも一興かと思っていると、後ろから「ヨォ」と声をかけられる。
「この雑魚どもの親玉はお前か?」
その男の手には…いや、刀には3人の人が串焼きの具材の様に刺されて運ばれていた。ドサリと落とされたその者達と、その男が誰かと知りハッシュヴァルトは驚愕する。
「特記戦力
十一番隊隊長にして、剣八の名を背負う怪物。更に驚くのはその刀から落とされた滅却師達だろう。
全員が星十字騎士団の滅却師だ。精鋭を集めたこの部隊の滅却師達は強い。現にこの3人を除く滅却師は誰一人として死んでも、負けてもいない。だがこの3人も倒す怪物は、たしかに特記戦力に相応しい力を持っていた。
「星十字騎士団を3名も…化け物とは聞いていたが、ここまでとは」
特記戦力は未知数で選ばれた5人の死神の事であり、更木剣八は底知れない【戦闘力】で選ばれている。
すると刀を振り、付いた血を払うとそのまま更木剣八はニヤリと笑いながらユーハバッハへと向かう。
「てめぇに用はねぇ!俺があんのは、こいつだからな!!」
☆☆☆☆☆
煙をあげ、血に染まりながら瓦解していく瀞霊廷を見下ろす山本重國は目的の敵を見つけたのか、霊圧が少しだけ揺らぐ。
だが直ぐに抑え込むと、ギロリとした鋭い目付きである一点を見る。見えるのは更木剣八と戦うユーハバッハだ。
自身が千年前にユーハバッハを殺しそこねた結果が今である。自身の右腕であった雀部長次郎忠息を亡くし、自身が守ってきた瀞霊廷を好き放題にされて壊されている。
もはや、我慢の限界であった。自身の不甲斐なさもあるが、それ以上にこのまま滅却師をのさばらせる事を許せなかった。
「出る、お主は残り 此処を守護せよ」
背後に控えるのは本来であれば副隊長であった雀部であるが、今は一番隊三席の
胸中を理解してるつもりではあるが、沖牙は総隊長からの命令に対して短く
「御意」
と言う。
それを聞き届けた山本重國は、爆ぜるようにその場から消えユーハバッハの元へと駆けていた。
弾ける霊圧に怒りが込められる、その霊圧の力強さは間違いなく総隊長に相応しく、死神達を鼓舞する力を持っていた。
護廷十三隊 vs 星十字騎士団&陛下
二番隊隊長 砕蜂 vs 蒼都
三番隊隊長 鳳橋楼十郎 vs バンビエッタ・バスターバイン
五番隊隊長 平子真子 vs ナナナ・ナジャークープ
六番隊副隊長 阿散井恋次
&三番隊副隊長 吉良イヅル
&六番隊隊長 朽木白哉 vs BG9
七番隊隊長 狛村左陣vsバザード・ブラック(バズビー)
八番隊隊長 京楽春水 vs ロバート・アキュトロン
九番隊隊長 六車拳西
&九番隊Super副隊長 久南白 vs マスク・ド・マスキュリン
十番隊隊長 日番谷冬獅郎
&十番隊副隊長 松本乱菊 vs エス・ノト
十一番隊隊長 更木剣八 vs ユーハバッハ
十三番隊隊長 浮竹十四郎
&九番隊副隊長 檜佐木修平 vs ドリスコール・ペルチ
☆☆☆☆☆
虚化できる六車が卍解を奪われたのについては21.5話でやりますのでお待ちください。