そんなある日、チルノ以外が⑨になってしまう。(⑨=バカ)
チルノが、みんなを元に戻すため、難問を解きあかす話!
[寺子屋]
カッ...カッ...
チョークの音が、静かな空間にひびく。
【問1『 2log2の(2-x) ≧ log2のx 』この不等式を解け。
問2 次の数列の一般項を求めよ。
1,4,13,40,121,364......】
「じゃあ...この問1は..大妖精」
「あ、はい!」
あたいの隣に正座で座っていた大ちゃんは、鉛筆を置いてぴょこんと立ち上がり、いそいそ黒板に向かった。
「じゃあ...この問2は...」
眼鏡をかけた慧音せんせーは、目線をあたい達の方に向け、迷い箸を始める。
でもその声は、今のあたいには粉みじん切りも聞こえていないのだ。
(∮0→1√[1-x^2]dxにおいて、置換積分法を用いx=sintとおくとdx/dt=costよってdx=costdtとなり、またxを0から1に極限まで近づける時tは0→π/2に極限まで近づくから与式は∮0→π/2√cos^2・costとおける。0→π/2の時根号を外しても符号は変化しないので....)
どこぞの烏天狗も追いつけないであろう思考速度で、あたいは結論を導き出し、ひとやすみのため息をついた。
....意味わからん!!!!!!
一般項を求めよ...ってなんなのだ!?...求めよ。ってことはつまりそうか、『どうかこのふつつか者に一般項を恵んでください』とけーねにスライディング土下座でもかませばくれるのかーーー!?
「うーん...誰に当たろうか」
げげげ、当てられるとやばいよ...!
...あたいは、先生と目が合わないよう、あぐらをかいている自分の足に目線を下げ...
「よし、じゃあチルノ、やってみろ」
...たけど、むだだったみたいだ。
「は、はーい」
しょうがなく、木の長机に手を乗せて、あたいは立ち上がる。
そう、今は午後、寺子屋での授業中なのだ。
気が進まないけど、黒板に向かい....
ボソボソ...ボソボソ...
ん、なんか聞こえるよ.....?
「...ルーミア、私はシャー芯4本!」
.....一歩踏み出した所で、あたいは耳に神経を集めて.....
「みすちー、わたしは5本なのだー、リグルはどうする?」
「ボクも、5本かなー」
.................
あたいは、黒板には向かわず、ルーミア達3人がいる斜め後ろの長机に向かった....
「おい、チルノ?」
「チルノちゃん?」
慧音せんせーと大ちゃんがあたいの名を呼ぶが、今はそれどころじゃないのだ。
ペタペタ....ピタッ
「ち、チルノ...?」
その机に着いて、3人が驚いた目でこちらを見る。
あたいは、勢いよくテーブルに両手を叩きつけ...
ドン!!
「わっ!」
そして、魂の限りこう叫んだ。
「あたいが間違えるかどうかで賭けるなっー!!」
「な、なんで分かったのかー!?」
「誰でもわかるよっ!!...ていうか、さっきの会話きいてたけど、みんなどっちに賭けてたのだっ!」
息が続く限りまくし立てると、みすちーが悪びれもなく、こう答えた。
「全員間違える方だけど?」
「賭け成立してないじゃないかー!!!」
ドゴーン!「わー!」
あたいは、テーブルをひっくり返した。
ガシッ
「ち、チルノちゃん!落ち着いてぇ..」
問1を正解した大ちゃんが、後ろからあたいに抱きついて止めてくる。
「これが落ち着いていられるかぁーっ!!大体問題も難しすぎるのだよーっ!!logだのΣだの漸化式だのっ!」
「チルノ、授業中だぞ!静かにしないかっ!」
「うるさーい!このクワガタ教師ーーっ!」
「な、なんだとぉ!?」
「だははははははは!!!」
「チルノちゃーん!それはダメだよぉ!」
ズゴン!!
その場を収めたのは、慧音せんせーのヘッドバットだったのだ...
*
[放課後]
「うーん...zzz」
「こらっ、チルノ!寝るなっ!補習は始まったばかりだぞ!」
「はーーーい....ZZZ」
「だから寝るなっ!」
「チルノちゃん...寝顔もなかなかいいなぁ...」
「はっ!」
真横から身の危険を感じ、あたいは飛び起きた。
教室の真ん中の机で、正面に慧音せんせー、そばに付き添いの、よだれが少し出た大ちゃんがいる。
「どうしてそんなに寝るんだ、チルノ...」
「せんせー、あたいは今意気しょーめつ中なんだよ...」
「チルノちゃん、『意気消沈』だよ...」
「そうとも言うね...」
はぁ...なんでもみすちーとリグルとルーミアは、かなり前から、あたいが先生に当てられる時や、テストのたびに賭けをしていたらしい。
ちなみに、さっきので99回目らしいのだが...
あたいは今回も間違えてしまったのである。
「ていうかっ!なんで誰もあたいが正解する方に賭けないんだぁー!」
「まあまあ、あいつらはしっかり注意しておいたから、落ち着け、チルノ」
こうやって、放課後に大ちゃんに付き合ってもらって補習を受けるのも、もう何度目なんだろ...?
「じゃあ、この問題だ」
『問題』
次の時刻表は、①〜④の中のどれか?
6:55
7:34
8:07
9:23
10:21 10:52
11:32
12:27
13:53
14:07
15:21 15:42
16:40
17:15 17:53
18:54
19:25 19:56
20:20
21:17
①成田空港のシャンハーイ行きの航空便
②東京郊外の住宅団地のバス停(最寄駅行き)
③人口約10万人の地方都市の駅前のバス停
④人口約5000人の山間部の村のバス停
「慧音せんせー、幻想郷にバスはな...」
「チルノちゃんっ!」
大ちゃんに口を塞がれた。
「といっても...わからないことばっかだし、こんなのテストで見ても、いつも適当に当てずっぽうだなー」
「...チルノ!お前に足りないのはそこだ!」
「え?」
「いいか、この問題はな...」
*
[夕刻、帰り道]
「ふーーい...今日も疲れた...いつも付き合ってもらってありがと、大ちゃん」
「ふふふ、チルノちゃんの為なら、どこにでもついてくよ」
な、なんか怖いな大ちゃん....
「はぁ...バカって、死なないと治らないのかな?」
「...チルノちゃん、自分が馬鹿だと思ってるの?」
「なっ、違うよ!?あたいは天才!ミステリアス!」
「ジーニアス、だね...」
「そうとも言う!...けど、なんというか、ルーミア達の賭けとか聞いても、あたいは問題を解くのが本当に苦手なんだなーって」
「........」
あ、空気がなんだか重くなっちゃったな...
「ま、それは置いといて、早く帰ろう、大ちゃん!」
そう言って、大ちゃんの白い手を引く。
「あ、香霖堂さんに寄っていいかな?」
「おっけーね!」
*
[香霖堂]
ぴっ
「はい。それにしても、君は本当に勉強熱心だね」
「いえいえ」
大ちゃんと店主のこーりんが、なんかの商品をやり取りしている。れじとかいう、精算用の機械を最近使ってみてるらしい。
帰り道、あたいと大ちゃんは、よくこの店に寄ることがある。主に、大ちゃんがいつも何か買ってるんだけど....
ふと視線を巡らせ、壁掛けの埃っぽい鳩時計を見ると、17時28分を指していた。もうそんな時間かー。
「よっ、チルノ。久しぶりだな」
「あ、魔理沙...」
金髪の魔法使いに、後ろから声をかけられた。
「相変わらず、なーんにも考えてなさそうな顔してるな!」
ワシワシと、頭を撫でられる。むぐ...
「あたいはバカじゃない!色々考えてるんだぞ!」
「ふーん、そうか...じゃあチルノ、1+2は?」
魔理沙は何かを期待するような目で、あたいの顔を覗き込んでくる。
しかし、あたいが...
「3に決まってるんだぞ!バカにするなぁ!」
と言うと、福袋からちゅーごくのパチモンが出てきたような顔になり...
「なんだよ、そこはああ言うところだろー?」
「うるさいっ!」
「まぁまぁ落ち着けって!よし、魔理沙さんが知識を教えてお前をまた一つ⑨から遠ざけてやろう」
と、魔理沙はふふん、と鼻を鳴らして腕を組んだ。
...あたいはご立腹ながら聞いてみることにした。
「今、私たちが生きてるこの場所は、地球って惑星なんだぞ!」
「え、えぇーっ!そうだったのか...って誰でも知ってるぞぉ!」
ズザザー、とあたいは床を勢いよく滑ってしまった...
「はははっ、今のは冗談だってーのぜ!...今、夏だろ?じゃあここから地球の反対側は何の季節だと思う?」
「えーと...夏なのかー?」
「誰の物真似だよ...正解は冬だ。どうしてこうなるかわかるか、チルノ?」
「え、でも地球は太陽のまわりを回ってるぞ?で、えーと...地球そのものもぐるぐるまわってるんだっけ。だったらどこも同じ季節なんじゃ」
「23.4°...これ何の数字だと思う?」
「うーん...まりさのテストのさいこー点数?」
「違うわ...地軸の傾きの角度だよ。要するに、地球は自転する時、23.4°傾いて回ってるのさ。だから四季があるんだ。太陽の届く距離に、1年の時期によって差がつくからな」
「ほ、ほうほう」
「こんなの外の世界じゃ常識だぜ?ちなみに、私たちが今いるところが北半球、その反対側が南半球って言うぞ」
「なるほど!あたいってばまたひとつ天才になったわね!」
「まあお前は太陽が無い方が元気よく生きていけるけどな...ぷっ...そう考えるとこの話を氷精のチルノにしたのは変だな...だはは!」
「な、なんだとこのぉ....!」
「ち、チルノちゃん、行こう...」
ケンカに入ろうかと思いきや、用事を終えた大ちゃんに手を引かれた。
「じゃーなー、お前ら」「まいどー」
そして、あたいたちは香霖堂を後にした。
*
[夜 霧の湖]
「明日も寺子屋だし、早く寝よ..」
あたいは、目を閉じた。
刹那、ある思考が頭に入ってくる。
あたいが、天才...だったらなぁ...みんな、どんな目であたいのこと見てくれるんだろう...?
今日おぼえたこと、もう忘れかけてるかも....
『・・・・・・・・・・・・・』
*
[翌日]
「ふわぁ〜」
半分寝ながら、寺子屋を飛んで目指す。
こういう時って、頭におーつーが足りてないから、深呼吸したらいいんだっけ...?
あ、大ちゃんだ。
寺子屋の前を歩いている、緑髪の妖精の後ろ姿が目に入った。
「大ちゃんー!おっはよー!」
「あ、チルノちゃん、おかえり」
おかえり?...まいっか。
「今日の授業は、理数系多くて辛いよねー」
「『りすうけい』って何?」
大ちゃんは、首を傾け聞いてくるけど...え?
「数学とか、物理とかだけど...」
「その、『すうがく』って、さんすうとはちがうの?」
「へ?いや、違いはしないけど、なんかこう算数がレベルアップした感じなのだ」
「そうなんだ、えへへ」
大ちゃんは、顔を少し赤らめて微笑んだ。
な、なんだ、今日の大ちゃん、おかしいぞ...?熱でもあるのかな?
あたいは、彼女のおでこに手を当ててみた。
「あっつ!!」
「つめたーい!」
真逆の反応をしたあたいと大ちゃん...しかし...
「あ、そうか、あたいは氷精で体温が低いから、熱く感じるだけで、平熱か」
手を見て、そう理解すると...
ギュッ
「チルノ....ちゃん...うふふふ」
その手を、大ちゃんが両手で掴んできた。なんだかキラキラした、色気付いた目であたいを見てくるけど....
「ど、どうしたの、大ちゃん...」
「まさか、りょう想いだったなんて、うれしいなぁ...」
「何が!?」
大ちゃんが何を考えているのか、全くわからないぞ...!
「もー、おでこに手を当てるのは、こくはくの合図だって、だれかが言ってたよー?」
「誰が!?絶対違うよ!?そんなの体調崩すたびに告白されるじゃんか!」
「う〜ん?まぁ、なんでもいいかな〜」
そういうと、大ちゃんは、あたいにひっついてきた。
...彼女に一体何が起きているのだぁーーーー!!!
*
[寺子屋]
カッ...カッ....
昨日と同じく、数学の授業だけれど....
慧音せんせーは、黒板に書かれたバスの絵に、大きくバツを書き足して...
「えー、つまり、幻想郷にバスは出ないから...問1の答えは0人だ」
「「「はーい!」」」
前言撤回。みんながやばいよ。
せんせーは、教科書(役に立ってない)から顔を上げ、こう言った。
「よし!じゃあ外に出て、ドッチボールをしようか!」
「わーーーい!」「ドッチきちゃああああ」「んふぉおおおお!」
まだ一問目なんだけど!?
しかもみんなテンション高すぎじゃないかー!?
*
その後のドッチボールときたら、酷かったのだ。
始める寸前にせんせーが「人にボールをぶつけて得る勝利なんていらないっ!」って言いながらコートに頭突きしたり...
ルーミアが闇をまとってボールを投げようとしたら、前が見えずにそのまま失踪したり....
みすちーがあたいとリグルとボールの見分けがつかなかったり...
これは....もしかしなくても....
今日のみんな、あたいより遥かにバカになっているような...
いやいや、まさかね..
きっと、みんな誕生日でも近いんだろう。そうに決まってるのだ。
*
[人里]
で、今日は何故か昼で寺子屋が終わったので、なんかひっついて求婚してくる大ちゃんと人里に来たのだけれど...小腹がすいたなぁ。
あ、丁度いいところにお団子屋さんがあるぞ。
「おねーさん!お団子二つ頂戴するのだ!」
「はい、まいど!えーと、...85×2...=5×17×2...=...1/5の-1乗×17×log2の4で...」
「なんで余計に計算をややこしくするのだ!?170円でしょ、はい!」
「あ、まいどー!」
「チルノちゃん、ろぐって何?」
大ちゃんがあたいの腕にしがみついたまま聞いて来た。
「えと、対数っていうものでだね、底のx乗=真数になるんだ。
log2の4だったら、2が底で、4が真数だから、2のx乗=4になって、x=2が答えだね」
「わー!よくわからないけどチルノちゃんすごーい!」
「すごいですねー!」
大ちゃんと団子屋のおねーさんが、天然記念物を見るような目で見てくる...
これは...まさか....異変なんじゃ.....
大ちゃんは、数Ⅲまで完璧なのに...
「ちょっと、よろしいですか?」
いきなり後ろから声をかけられ、振り返ると...
緑っぽい着物を着て、何かの書物を持っている、里ではとびきり賢いと噂の稗田阿求が立っていたのだ。
「あきゅー、どうしたのだ?」
「チルノさん、この電車はどこを走っているものか、お聞きしたいのですが...」
そう言って、あきゅーは、ぶ厚めの本のページを見せて、文字に指をさした。
電車?...ど、どれどれ...
『地平線』
あたいは絶句してしまった。
「うーん、よこはま県とかじゃないでしょうか?」
「なるほど!メモしておかないと」
「そんな県も路線もなーーーーーい!!」
昨日よりも大声で、二人にあたいは叫んだ。
人里は、商売にならず、店をみんな閉めてしまっている...
*
[博麗神社]
そうだ、これは異変なのだ......みんなが⑨になる異変なのだ...
となれば、異変解決のプロの霊夢に任せるっきゃないね。
このままじゃ、幻想郷が崩壊しそうだし...
大丈夫、あいつはきっと何の影響もないはず...
鳥居をくぐると、縁側でお茶をすする、いつもの紅白の巫女服を着た霊夢がいた。
よかった、ふつーそうだ。早く異変を伝えないと...
「霊夢!異変だよー!」
「あら、チルノと、大妖精じゃない。どうしたのかしら?」
こちらに気付き、霊夢はすすっていたお茶をおぼんに置いた。
...隣にある赤い瓶は、なんだろう?
「大変なんだ、霊夢!みんながこう、あたいみたいになってるんだ!」
「何が言いたいのよ...お茶でも飲んで、落ち着きなさい」
そう言うと、霊夢は立ち上がり、新しい湯のみにお茶を作って、お盆の謎に包まれた瓶の中身を入れて、あたいと大ちゃんに出した。
そ、そうだな、落ち着かないと...
「いただきます...」
ゴクゴク....辛っ!!!むしろ熱っ!!!
「からぁぁぁぁぁい!」
大ちゃんが、率直な感想を言っている。
「お、おい霊夢、このお茶どう作ったのだ!?」
「え?」
霊夢は、何を聞いてるのか、とぽかんとして...
「茶葉とお湯とデスソースを混ぜただけよ?」
「お前もかー!」
なんてことなのだ....霊夢も呪いにかかっている...
もしかして、ふつーなのはあたいだけ...?
どうしたらいいのだ...誰を頼れば....
考えにつまって、視線を巡らすと...
「ん?あれなんだ?」
和室部屋の、奥の壁に...黒い、穴があいている...?
立ち上がり、そこの目の前まで来ると...
あたいと大ちゃんがギリギリ入れそうな穴...
奥はまるで宇宙のように、漆黒の中にキラキラしているような感じだ。
「な、何よ、この穴...」
「ち、チルノちゃん....」
二人は困惑している。
カサッ....
ん?なんか落ちてる...紙?
穴の前に落ちていた紙を拾い上げ、見てみると...
『この異変を解決せんとする者よ、自らの英知を極めし者よ、この運命の洞窟に挑戦するべし』
...と、書かれていた。
ふーん...やってやろうじゃないかっ!
やっぱりこれは異変だったのか...
あたいは洞窟の前に立ち、深呼吸をする。
「あんた、行くつもり?」
「チルノちゃん、暗いところ平気なの?」
あたいは振り返り、カッコつけて言った。
「あたいは天才だということを、未来永劫証明してあげようとも
さ!」
そういうと、あたいはその洞窟に足を踏み入れた。すると...
「チルノちゃんっ!」
あ、穴がみるみる小さくなって...!完全に、消えた...
なるほど、自機は一人というわけか...!
....待ってろみんな!あたいがこの異変を解決して、元に戻してやるっ!
拳を握りしめ、真っ黒な洞窟の中を歩き始めた。
*
[洞窟奥]
トコトコ...トコトコ....
無限にも感じる闇の歩行...
それは、そんな中...突然起きた。
パッ...
【『例題』 難易度:normal
1=1
2=0
3=2
7=2
9=1
11=?】
!?
な、なんだ!?いきなり目の前の空間に...キラキラした、一つ一つが宝石みたいな白い文字で、問題が書かれたぞ...!
ど、どうしたら....
「残り10秒」
だ、誰だ!?女の声で、頭に直接テレパシーされてるように聞こえる...!
えー、えーとっ!!
「1っ!!」
【不解】
叫んだ瞬間に、画面がすぐに、きらびやかさを保ったまま切り替わった...
「残念、不正解ね..」
「だ、誰だ、おまえ!どこにいるんだ!?今起きてる異変は、お前がやったのか!?」
「ええ、そうよ...」
「な、なんでこんなことするんだ!今すぐ元に戻すのだよ!」
「あら、この幻想郷は、あなたが望んだことでしょう?」
な、なんだって...あっ、そういえば、昨日...
「自分以外が馬鹿になった今なら、あなたはこの幻想郷では、天才になれるのよ?幸せでしょう?...所詮人なんて、他人を見下すことでしか心の平衡を保つことができないんだもの...」
「そ、そんなの幸せじゃない!あたいはこんな世界は嫌なんだっ!」
「あら、馬鹿にされる方を選ぶのね...まさに馬鹿な子。...ならいいわ。あなたが『問題』を解ければ、元の世界に戻してあげる」
「も、問題...?」
「5問、あなたに出題するわ。その内、3問解くことができれば、あなたの勝ちよ。さっきのは例題だから、含めないでおいてあげる」
よ、よかった...けど、問題...か。あたいに...できるのかな?
「あら、元の幻想郷に戻したくないの?」
...!...そうだ、あたいがやらなきゃ...みんなが...元に戻らないっ!
自分がバカじゃないことをみんなに示す為にも...あたいが解くんだ!
「受けて立つよ!どんとこい!」
「そう...ちなみに、さっきの例題の答えは、『3』何故か、わかるかしら...」
「...数字を英語にした時の、eの数でしょ?1はoneでひとつ、2はtwoでゼロ、7はsevenでふたつ、11はelevenで3だ」
「ふふ、そう...さっき解けていれば、良かったのにね...」
もともと数に入れないくせに...!
「では、第1問」
きたっ...!
パッ...
【『問題』 難易度:easy
ある:アメリカ |||||なし:イギリス
ある:がむしゃら |||||なし:めちゃくちゃ
ある:おっちょこちょい|||||なし:どじ
ある:ほねぐみ |||||なし:にくたい
『ある』に共通することは?】
え、ええと....
わ、分からない...!
「あら、これはサービス問題なんだけれど...」
か、考えないと...『ある』になんの共通点が...あるんだ...?
コチ...コチ...
気がつくと、あたいは腕に時計をつけていた。
【残り15秒】と表示されている...
うーん...分からん...⑨かな...っていやいやいや...ちゃんと考えなきゃ...
...............
【不解】
気がつくと、そう表示されていた。
「あらあら、時間切れね」
くそっ...全く分からなかったぞ....
【『正答』
『ある』に共通するのは、お菓子の名前。
アメリカ→飴、がむしゃら→ガム、おっちょこちょい→チョコ、ほねぐみ→グミ】
こ、こんな...簡単な問題が...解けないなんて...
あたいって、やっぱり...
いやっ!今はそんなこと考えてる場合じゃない、頑張らないと!
「残念ね〜...不解、あと間違えられるのは、1問だけ...では、第2問」
不思議と、その声に嘲るようなニュアンスは、あたいは感じなかった
。
パッ...
【『問題』 難易度:normal
B C F H I K N O Q W
仲間はずれは?】
「さあ、これを間違えれば、もう後がないわ」
................................なんだろ、この感覚...
さっきは、とっかかりすら掴めなかった。でも、この問題は...あたいの無い頭に、何か引っかかってる...!
そういう問題なら...解けるはずだ...!
...............
【残り25秒】
氷精のあたいに、汗が滲んできた...
「あなたを、信じてくれる人は、いなかったの?」
........へ?
「問題を解くことができるって、信じてくれる人は、いなかったの?」
それは......いやっ!
「慧音せんせーだって、大ちゃんだって...いつか、あたいが問題を解けるって、信じてくれてたんだっ!だから、こんな出来の悪いあたいにも、付き合ってくれて....」
そうだ、あたいには解るはずだ....
【残り10秒】
ドクン...ドクン....
B...C....K...........あっ!!!そうかっ!!!
「Qっ!!」
パッ
【正解】
「や、やった...」
一瞬にして、その文字は、あたいの体の力を抜けさせた。
そうだ、これは元素記号...引っかかっていたのはQだ...
元素周期表の中で、Qは使われていない...!
「ふふ、おめでとう...やるじゃない」
「と、とーぜんだっ!あたいってば天才ね!」
これで1勝1敗...後2問解けば...
それにしても...この女の声、聞いたことがあるな...
「では、第3問...」
今なら...いける...!
パッ...
【『問題』 難易度:HARD
英語のなぞなぞに答えなさい。
what is the electric appliance in your left and right?
electric appliance→電化製品】
はぁ!?え、英語ぉ!?
な、なぞなぞは得意だけど、英語って...
でも、今なら...勢いに乗れば...あたいは...天才なんだからっ!
...in your left and right...[あなたの左右]かな?
what are the elect...
えっと...[電化製品はなんですか?]か...
つまり、『あなたの左右にある電化製品はなんですか?』という問題ってことか...え?
キョロキョロ、周りを見渡すけど...周囲には、電化製品どころか、何一つ無い。
そうか...これはなぞなぞだしね...
いつか...大ちゃんが、一緒に勉強した時、言ってくれたっけ...
『チルノちゃんは...この幻想郷の誰よりも柔軟な発想ができるよ』
うんうん...その後、『そして私はこの幻想郷の誰よりもチルノちゃんのそばにいたいよ』って言われたのは、一旦忘れて...
あなたの、左右、電化製品....
【残り15秒】
...なんで、この問題英語なんだ?...英語が関わっている...?
youの...左右...そばにいたいよ...って、余計な思考が...
【残り8秒】
『you』の左右......そば...ユー..
............!
『U』の左右っ!!!!
【残り3秒】
「TVっ!!」
パッ...
【正解】
「よ、よーし!」
そうだ、youの左右ってのは、Uの左右!
アルファベットの並びの....OPQRSTUVW...の、Uの左右...『TV』ってことだ!
これで、2連正解!後2問中、1問解けば、あたいの勝ちだ!
「ふふん、どーだ!降参するかー!」
「あらあら、流石ね...追い詰められて、真価を発揮するタイプかしら...?」
「なんたって、あたいはみすて...違う、じーにあすだからな!」
「そう...では、第4問」
これで、終わりだ...!
パッ...
【『問題』 難易度:HARD
次の①〜④の中で、正しいもの、または正しくないものが一つのみある。それを選べ。
① 2は誤りである。
② 3は誤りでない。
③徳川の8代将軍は、徳川綱吉である。
④1は誤りである。】
....あたいは、固まってしまった。
歴史は、一番の苦手としている教科で、綱吉が8代将軍か否かは、全く見当もつかない。
それに...正しいもの、正しくないものが...一つのみって...どう言う事なんだよ....?
分からない...頭で考えても、③が正か誤りか、判断できない。
【残り10秒】
もう...だめだ、分からない、知らないことは、考えようがないよ...
「②...」
パッ...
【不解】
【正答→1】
く、くそ...つ、次こそは...
「さあ、これで残り1問...運命の分かれ目ね」
運命...そうだ...あたいが...次の問題を解かなきゃ...全ておしまいだ...
この幻想郷のみんなが...元に戻らなくなっちゃう....
急に、腰の辺りが重くなる。
はぁ...はぁ...息が荒くなって...意識が遠のき....
『本当に解けるの?』
...誰だ...?今誰があたいにそう言った?...
『どうせ、無理なんじゃないの?』
うるさい...うるさい....あたいは...
「では、最終問題...」
!..きたっ...とにかく、解ける...さっきの元素周期表のやつみたいに、頭に引っかかるような...できれば知ってる問題なら...!
あたいは、乾ききった唇を舐めて、顎を引いた。
パッ
【『問題』 難易度:lunatic
日本で消費されるかぼちゃは、北海道産のものと、オーストラリア産のものが多い。
では、日本がオーストラリアからかぼちゃを輸入する理由を答えなさい。】
「この問題は、時間を3分にしてあげるわ」
その声は、頭の中に入らなかった。
終わった...論述問題、しかもあたいは...
かぼちゃのことも...日本とオーストラリアの関係も...全くと言っていいほど...知らない...
どこにあるかとかは...地図帳を大ちゃんとよく見たから...何となく知ってるけど...この問題は...かぼちゃとオーストラリアのことを...よく知ってなければならないのだろう...
何も...思いつかない...
ドサ...
あたいは、その場にへたり込んだ...。
分からない....やっぱりあたいは...
『馬鹿だ』
うるさい...お前、誰なんだよ...また頭に直接...
『だから、本当は信じてくれた人なんて...』
やめて...
『一人もいなかったんじゃないの?』
あ...これ...あたいだ。
あたいの中の...あたいだ。他の誰でもない...あたいがそう考えてるんだ。
『慧音せんせーも、大妖精もさ...立場上、あたいの前だけ、信じてるフリだけしてただけなんだよ』
...そんな、わけな...い...
【残り140秒】
『誰も...あたいなんか、』
やめて....その先を言わないで...
『信じてなんてーーー』
バサッ
...あれ?なんだ..足で、紙を踏んだ...?
洞窟に入る前のように暗い中、その紙をあたいは拾い上げた。
暗いけど...文字の光で読める...
これ...なんの紙だろ...
『香霖堂 ○月×日 17時28分
シャーペンの芯30本入り 0.5mm 113円』
香霖堂にあった...あのれじとかいう機械の...レシート?なんでこんなところに...いや、待てよ?
○月×日17時28分って...
昨日、あたいと大ちゃんで寄った日時じゃないか...
大ちゃんは、シャー芯を買ってたんだ...え?
大ちゃんは....鉛筆しか使ってないぞ?
ギュルギュルと、思考が入り乱れる....
そもそも、ルーミア達の賭けって、なんで99回も続いてるのだ...?
全員あたいが間違える方に賭けてるのに...
賭けとして...成立してるから...?
大ちゃんは、よく香霖堂に帰り道に寄るけど...毎回、シャー芯を買っていた...?
それだけ、『失って』いるから?
..............じゃあ、大ちゃんも...あの、ルーミア達のシャー芯賭けに参加していた?
それで...あたいは...毎回先生に当てられた時間違えてるから...
大ちゃんは、
あたいが、
正解する、
方に、
ずっと張っていた?
あたいが間違えるなんて、自明の理なのに?
ルーミア達に...あたいだって正解できるって...示す為に?
.......................
頰を...とびきり熱いものが伝って...落ちた。
【残り100秒】
ガタ...
立ち上がり、顔を上げると、雫が飛んだ。
絶対に...解くっ!!!
そうだ...バカだって...いい!
あたいはバカでいいんだ!
一番の友達さえも...信じられなくなるよりは!!
....といっても、この問題...どこから攻める?
あたいは、かぼちゃをよく知らないし、オーストラリアもあまり知らない。
【残り80秒】
...『問題の全てを知っている必要はない』
...『知らないことでも、分からないとは限らない』
そうだ....昨日の補習の時...!
[前日 補習]
「せんせー、あたいは飛行機もバスも知ってるけどさー、成田空港がどうとか、そんなの行ったことがないから解けるわけがないよー」
「チルノ、問題の全てを把握しておく必要はないんだ」
「チルノちゃん、『知らない』ことでも、『分からない』とは限らないよ」
「どういうことだー!」
「まず、この時刻表を見て、選択肢と照らし合わせるんだ」
6:55
7:34
8:07
9:23
10:21 10:52
11:32
12:27
13:53
14:07
15:21 15:42
16:40
17:15 17:53
18:54
19:25 19:56
20:20
21:17
①成田空港のシャンハーイ行きの航空便
②東京郊外の住宅団地のバス停(最寄駅行き)
③人口約10万人の地方都市の駅前のバス停
④人口約5000人の山間部の村のバス停
「あ、④...」
「そうだ、チルノ!④は、人口に対して、本数が多いだろ?」
「じゃあ、④を外して...うーん...」
「チルノちゃん、通勤ラッシュって知ってる?」
「知ってるよ!朝は人がたくさん電車とかバスに乗るんでしょ...
あ、そうか!③のバスなら、朝に時間帯が増えないとおかしいぞ」
「そう、それで、③も除外。あとは①か②だ」
「ううーーーん....」
ピトッ
顔を問題の紙に引っ付ける。
「チルノちゃん、いつもわたしと待ち合わせするとき、どうしてる?」
「え、えっと、30分前くらいになったら用意して....」
あっ....待てよ...そうだ!!
「①の飛行機も違うと思うよ!」
「どうしてだ、チルノ?」
「だって、飛行機って、乗るのに長い手続きがいるんでしょ!なのに、12時27分とか19時56分とか、中途半端な時間じゃ間違える人が増えるよ!」
「そうだ!つまり、正解は...?」
「②でしょー!」
「そうだ、チルノ!」
「おめでとう、チルノちゃん!」
「へへへー...」
「いいか、分からないと思わずに、冷静に問題に向き合えばいいんだ。知らなくても、正解する道はある!」
*
【残り60秒】
そうだ、知らないからって、分からないわけじゃない...!
さっきの問題だって、そうだ...!
よく考えたら、綱吉が8代将軍かは、知っている必要がない!
正でも誤りでも、答えになるのは①だった!!
なら、この問題は...!
【残り50秒】
『地球は23.4°傾いて自転してるんだ。だから...』
オーストラリアは...南半球にある...
......................
「さあ、あと30秒。これが最後の問題よ。英知を極めし者よ。わかったかしら?」
「...うん。わかったけど...あたいは、そんな高尚なものじゃない」
あら、と彼女は声を漏らした。
「そう...でも、答えていいの?あなたは、今の幻想郷なら、王になることだって可能かもしれないわよ?」
「いいのだ。幻想郷には...いろんな人がいて、一人一人が素晴らしいから。あたいは、今が...幸せだから...
だから...この幻想郷には、
バカはあたいだけでいいっ!」
【残り15秒】
「さあ、お聞かせ願おうかしら、チルノ...」
それは途方もなく優しい、声だった。
「答えは....!」
あたいは、あたいらしく、言った。
「日本は北半球。オーストラリアは南半球にある。
そして、南半球と北半球では、季節が逆になるのだ。
かぼちゃは一年中需要があるから、日本でとれない季節を、オーストラリアから輸入して補っているのだよ」
ニコッと、誰かが微笑を浮かべたような、気がした。
パッ...
【正解】
「おめでとう。元の...幸せな...愛おしき日常に戻りなさい...」
「ありがとう....誰かさん...」
体に、力が入らなくなって...
穴に落ちていくような...感覚...
ああ、結局、誰が起こした異変なんだろ...
*
[博麗神社]
「チルノちゃん!チルノちゃん!」
んんん....
「ふあああ....」
「良かった、起きたんだね..!」
左にいる大ちゃんが、泣きそうな顔であたいを見てる。
「あれ...ここは?」
「私の家よ」
右に、霊夢がいた。
「ねぇ、霊夢...お茶にさ...デスソースって入れるのだ?」
「は?んなもん入れるわけないでしょ馬鹿じゃないの」
うん...いつもの霊夢だ。
「大ちゃん...えい」
ピトッ
「わっ...!」
大ちゃんのおでこに、手を当ててみた。
「チルノちゃん....!そんな、起きてすぐに積極的な...いや、わたしは大歓迎だけど!」
う...ん。いつもの大ちゃんだ。
「あんた、洞窟に入ってから、いきなり天井に現れて降ってきたのよ。びっくりしたわね...」
「そうだったのか...」
きっと、みんなも元に戻っているだろう。
あたいは、立ち上がり、霊夢に言った。
「ありがとうだぞ、霊夢」
「はいはい。もう面倒かけるんじゃないわよ...」
あたいは、大ちゃんと神社を出た。
[人里]
「あきゅー、『地平線』って何?」
「地面と空の境界線のことです。この辺りでは見られませんが、外の世界ではあるみたいですよ」
[寺子屋]
「慧音せんせー、幻想郷にバスはないから答えは0人?」
「そんなわけあるか!いいか、この問題はだな...」
[霧の湖]
大ちゃんと二人で、草むらに寝転ぶ。
「ありがとう、大ちゃん。」
「え?な、何?わたし、何かしたかな?」
「あ、いや...いつも、こんなあたいのためにありがとう」
「...チルノちゃん。あなたは自分のこと、どうおもってるか、わたしは『知らない』けど...わたしは、チルノちゃんのこと...大切な友達だと、『分かってる』よ」
.....
「そう..なんだ」
損するのを...『知って』いても...あたいがいつか正解できることを『分からせる』ために、大ちゃんは、一人で戦ってくれた。
....よし!
勢いよく、あたいは起き上がる。
「わっ、チルノちゃん?」
「大ちゃん、明日だよ!」
「?」
*
[翌日 寺子屋]
カッ...カッ...
黒板に証明問題を書き終えた慧音せんせーは、振り返ると、また誰を当てるか迷い始めた。
「じゃあ...」
あたいは、そのタイミングで、また下を向く。
こい....!
「チルノ、この問題を解きなさい」
きたっ...!
机の下で、大ちゃんと片手ハイタッチをした。
「は、はーい」
自信なさげに、あたいは黒板に向かう。
ヒソヒソ...ヒソヒソ...
みすちーとルーミアとリグルは、また同じテーブルで話している。
.......................
「今日は、大ちゃんが正解の方に超大張りをしてきたのかー」
「シャー芯150本だよね...でも、チルノが解く問題は...黒チャートにも載ってない最難関問題...」
黒板には、『円周率が3.05以上であることを証明せよ』と書いてある。
「間違えないわけないのかー。わたしは賭けるのかー。」
「うん、わたしも!リグルは?」
「ボクは、やめとくよ」
「じゃあ、大ちゃんにサインを送るのかー」
そう言うと、ルーミアとみすちーは、大ちゃんに『賭けに乗る』と、サインを送り、今まで頂いてきたシャー芯を、大量に机に置いた。
あたいは...勝利を確信した。
勝った......!
振り返り、大ちゃんにウインクする。
パチッ!
...なんで大ちゃん鼻血出てるのだ?
「チルノ、分からなくてもいい、考えを書きなさい」
「おっけーね!」
黒板の前に立ち....チョークを握りしめて...
「ふふふ、記念すべき100回目、またシャー芯いただきなのだー...」
「そうね...!」
それは....どうかな...?
カッ
あたいは、黒板にチョークをくっ付けた...
そして....!
ギャリギャリギャリギャリギャリギャリ!
「なっ!」
「えっ!?」
「はっ!?」
『半径1の円の周の長さは2πである。また、この円に内接する正八角形の一辺の長さは....』
「うおおおおおおお!!!」
ギャリギャリギャリギャリギャリギャリ!
あたいは、黒板に証明を書き殴り続ける!
『...<πという円周率の評価を得る。左辺を計算すると...』
ガタッ
「ち、チルノを止めるのだー!!」
「チルノーー!やめてーー!」
ズダダダダ!!
やばっ、こっちにみすちーとルーミアが走ってきた!
ガシッ ガシッ
「頑張ってる奴の邪魔は許さんぞ!」
「せ、せんせー、離してなのかー!」
「チルノちゃんの証明は止めさせないからね!」
「大ちゃんーー!離してよーー!」
どうやら、二人が止めてくれたみたいだ。
ギャリギャリギャリギャリギャリギャリ!!
「これでぇぇぇえ....終わりだあぁああ!」
「「やめろーーー!」」
『3.061...となるので、円周率が3.05より大きいことが証明された。
証明終了。⑨.E.D!』
「正解だ、チルノ!」
「「ぎゃああああああ!!!」」
「へへーん、あたいをなめてると、こうなる運命なのだよ!さあ、大ちゃんのシャー芯を返してもらおうか!!」
「チルノちゃん...ありがとう...」
「ううう....分かったのかー」「返すわよ...」
100回目の博打は、大ちゃんの勝ちに終わった。
[その夜 ???]
「あの異変は、やっぱり、チルノにとってはいい影響になったよ」
「そう...ならいいけど...」
そういうと、八雲紫は、盃を傾けた。
「...びっくりしたわね、幻想郷の住人全員を、脳みその境界を操って馬鹿にしろ、だなんてお願いしてきた時は」
「はは、そうか」
そう言うと、私も、酒を口に含んだ。
ゴク...
「ねぇ、慧音...」
「なんだ?」
「最後の、かぼちゃの問題...あの子に解けると思っていたの?」
「いいや、分からなかったさ....でも....解いてほしい、とは思っていたよ」
「へえ...間違える可能性も十分あった訳ね」
いや、と私は切り返し...
「それでも...チルノが...自分で考えて..出した答えなら、なんだって正解だよ」
「.........あのレシートがスキマに紛れ込んだのは、全くの偶然なんだけれど....」
「何か、言ったか?」
「いえ.....結果的に、あの答えは正しかったのね...」
そう言うと、紫は、問題をまとめた紙に目を落とした。
『Q.5...日本のかぼちゃは、北海道産とオーストラリア産のものがある。オーストラリアからかぼちゃを輸入する理由を述べよ。
A、オーストラリアは南半球に位置し、日本と季節が交互に入れ替わるので、かぼちゃを輸入することで、日本のかぼちゃ需要に一年中応じることができる為。』
*
「チルノ、1+2はいくつだぁ〜?」
魔理沙は、また、なにかを期待する目で、あたいに質問してきた。
隣の大ちゃんは、またあたいが怒り出すと思って、おろおろしている。
あたいは、魔理沙の顔を見て、笑顔で、少ししたたかに、こう言ってみせた。
「⑨!」
長かった...