これは、世界に見捨てられた少年が魔女に拾われるお話。
雨が降ってきた。
親に捨てられ、歩く人々は俺を見ぬ振りしたり、ゴミを見るような目で来てきたりで誰も助けてくれない。
そりゃあそうだ。こんな出来損ないの子供1人のために自分達の時間を使うわけがないか。
それにまだ6歳の思考じゃない俺もだけど。
そんなことを考えながら濡れた体で座っていると雨を感じなくなった。前を見ると黒いローブを着た綺麗な女性が俺に傘をさして立っていた。
side三人称
黒髪で長く、凛とした顔でとても綺麗だった。その女性は八幡と同じ高さに屈んだ。
それに八幡は警戒するが女性は微笑み、八幡の警戒を解いた。
「……お姉さん、だれ。お、俺はひきがやはちまん」
「あら、礼儀正しいわね。私はアリス・ユーリよ。よろしくね?」
「よ、よろしく……」
アリスは挨拶をするが八幡はぎこちなく返す。アリスは至極真っ当なことを聞く。
「君はここで何をしているのかしら?服もボロボロみたいね……」
八幡はそれを聞き固まる。けどもう自分には何もないと悟り、正直に話す。
「親に…捨てられた……」
「……そう」
アリスはそれを聞き悲痛な顔になる。
「なら、うちに来るかしら?」
「……え?」
アリスは立ち上がり八幡を立たせる。
「……俺なんかいらないよ?」
「あら、この世にはいらない子なんていなのよ」
アリス自分が濡れるのも構わずに八幡を抱きしめる。
「それに私はあなたを救いたい。そしてあなたが欲しい。だから、救わせて。そして、あなたを貰わせて?」
八幡はその言葉を聞き、目に涙が溜まり溢れ出す。
「あれ……なんで…俺……」
アリスは優しい声を出して八幡の頭を撫でる。
「今は泣いていいの。あなたは辛いことを、苦しいことを経験した。だから今は、泣いていいのよ」
それを聞き八幡はさらに泣く。それでもアリスは八幡の頭を撫で続けていた。
雨はもう、上がっていた。空には、綺麗な虹がかかっていた。
~数年後~
「アリス姉、新薬できたぞ」
「あら、案外早かったわね……簡単過ぎたかしら?」
「あぁ。次は不老不死の薬でも作るか」
「あら、八幡はいいのかしら?永遠に生き続けるのよ?」
「アリス姉がいるから大丈夫。むしろずっといたいんだからそうするんだよ。分かれ」
「フフ、えぇ分かってるわ。可愛い坊や」
「それやめろって何回言えば分かる!?そして抱きついて来るな!」
「えぇ〜?いいじゃないの。私はあなたが好きなんだから」
「……あぁ。俺も好きだ」
「フフ、私の愛しの子。ずっと一緒よ」
「あぁ。ずっと一緒だアリス姉」
「えぇ!なら、今日もお願いね?」
「ッ……」
「あら、顔赤くなっちゃって。可愛いわ…………愛してるわ、八幡」
「……あぁ、俺も愛してるぞ。アリス姉」
「フフッ」
「ハハッ」
これは、世界から見放されそうになった少年が、魔女と一緒に暮らしていく物語である。少年には幾度の試練のような出来事に巻き込まれるが、それでも少年は恩師、いや愛しい人がいる限り歩いていくであろう。それが、少年の運命であるからーーーーー