今後もこのくらい間隔あくと思いますが、のんびり待ってくだされば幸いです。多分きっと恐らくメイビーで次話は早いです。
あれからというもの、行く先々の島で歓迎と同時に多数の男達が言いよってくるようになってしまった。
どうやら、例の写真集はとんでもない売れ行きらしく、今でも再販と同時に売れ切れてるらしい。そのせいで記者達の追撃も更に厳しくなってしまっていた。
最近はもはや取材等ではなく、その写真集の第二弾をどちらが先に出すかの戦いと化しているのは気のせいではないはずだ。
このような状態になってしまったのは間違いなく自重せずに好き放題暴れ回っていた過去の自分のせいではあるが、もはやこれでは海賊などではなく、ネズミ小僧のような義賊になってしまっているような気がする。
確かに、元は世界一平和な日本出身なだけあって、気に入らない奴以外の略奪行為もしていないし虐殺行為などは趣味ではない。なんなら、実はこのワンピ世界に来てから殺人すら一度もしていないのだ。
勿論必要ならば殺す事も厭わないと考えてはいるし、覚悟もできている。
ごく普通の日本人だった自分は、人を殴った事もなければ、その殴るのさえ強い拒絶感を覚える程度には喧嘩嫌いで争い事は非常に苦手だった。
それなのに、躊躇なく人に矢を射かける事ができるのは憑依転生ゆえの特性だろう。肉体に精神が引っ張られている奴だ。
それでも日本人としての感性は残っているので、なるべく相手を傷付けないようにしている。
その為、相手を無傷で無力化できるソーンの能力は非常に優秀だ。
おかげで最近は海軍からも信用されてしまっている。海賊はなるべく生け捕りにして、見せしめとして公開処刑するのが海軍の方針だからだろう。
そのせいで驚いた事に近頃は海軍の若い海兵からも求婚されるようになっていた。当然全てバッサリ切り捨てたが、それでいいのか海軍…。
さて、どうした物か…自分の予想以上に知名度が上がってしまったせいで、最近は島中から沢山の贈り物をされるのだが、自分は船を持っていないので、そのたびにその全てを断っている。
本当は女ヶ島に贈りたいが、それはできないので諦めるしかないだろう。
ここまで市民や海軍からの期待が高くなると、気軽に七武海を辞めにくくなってしまうので勘弁してほしい。
確かに、市民に対して略奪行為を行う海賊は嫌いだし、あの支部のような腐った海軍も嫌いなのは事実だが、べつに正義の味方になるつもりもなければなったつもりもないのだ。
例えばだが、カイドウやビッグマム本人や幹部が一般人を襲っていたとしても、見て見ぬふりをするだろう。理由は単純にリスクが高すぎるからだ。
原作最強格のキャラとガチバトルなんて今の所はするつもりは全くないのだ。自分の今の目的はあくまでもこのワンピ世界を観光したり過去を覗き見て満喫する事だ。周りの雑魚を蹴散らす程度の手助けはするが、それ以上は踏み込むつもりはない。
もし、今以上に敵を増やしてしまえば更に動きにくくなるだろう。それだけは避けなければならない。
そういえば、四皇で思い出したが白髭や赤髪に会いにいくつもりだったのをすっかり忘れていた。
この二人ならば手土産を持っていけば問題ないだろう。
赤髪はルフィが小さい頃に出会っていることは覚えているので、今ならフーシャ村に居るかもしれない。
よし、さっそくフーシャ村に行くか!
すぐさま旅支度をして、宿代を払い、島を出ることを伝えると、それなら島の住人全員で送りたいと宿屋の主人が言い出してきた。
だが、自分はあくまでも海賊だ。いつものようにそんな物はいらないと伝えた後、フーシャ村の場所を教えてもらう為に海軍支部へと向かう。
協定は軍艦を休憩所として利用するだけのはずだったが、海軍の信用を得てからは、様々な島の場所も教えてもらえるようになっていた。
本当ならば、海軍が海賊に島の場所を教えるなんてしないだろう。教えた先で市民が襲われてしまえば、海軍の責任となるからだ。
しかし、自分の場合は行く先々で海賊を捕らえまくっているのだから、教えない理由がない。むしろ海賊の被害が大きな島の場所を積極的に教えに来るほどだ。
一応、教えてもらった場所が近ければ、観光ついでにそこにも向かうが、遠かったり、興味が惹かれなければ無視している。どちらにせよ、海軍が被害を把握しているなら遅かれ早かれ鎮圧されるはずだ。
あまり海軍にいいように利用されるのも癪なので、島の住人には悪いが海軍が来るまで我慢してもらうしかない。
実際、たまに勘違いした将校が、自分を駒のような言い方をしてくるのだ。勿論、そういう奴には容赦なく【ディプラヴィティ】で黙らせている。
自分は海兵ではなく海賊だ。…海賊っぽくないのは確かだが、それをまるで自分が海賊掃討専門屋みたいにいうのはお門違いというものだ。
そして、軍艦で休憩してる時に教えてもらった近場の海軍支部に向かうと次第に巨大な島が視えてきた。
その島は、真ん中の島は塔のように聳え立ち、その周囲を囲むような形で湖があり、更にその周囲にも陸地がある島だった。
ドーナツ状の陸地にはまるでハリネズミのように張り巡らされた多数の砲台で固められていて、まさに鉄壁の要塞の名にふさわしい強固な見た目をしていた。
飛行機や飛行船もなければ気球すらないこのワンピ世界ではこのような要塞は大きな脅威となるだろう。島の出入り口もたった一つしかないので、守るにはうってつけだ。
この要塞の形どこかで見たような記憶があるな…恐らく原作で出てきた所だろう。
それに原作云々関係なく、単純にこの特徴的な島に興味が惹かれたので、訪ねる事にした。
ただ、海軍から信頼されはじめた七武海とはいえ海賊が侵入してしまえば、大騒ぎになりそうだったので、その門扉に立つ海兵に話しかけようと空から話かける。
「こんにちは、海兵さん。」
「上から…?うわぁっ!?」
飛翔術で飛んでいる状態で話しかけたせいか、海兵は自分を見た瞬間に驚きのあまり尻餅をついていた。
「大丈夫?上から突然話しかけてごめんなさいね。」
「ま、まさか貴女は…!ソーンさんですか!?」
「そうよ。それで、さっそくで悪いのだけれどここの支部長さんと話を…」
「恥ずかしながらじ、自分ソーンさんのファンなんです!海賊でありながら海賊を討伐する…海兵の身でありがならも、その行いに感動しています!」
「ありがとう。で、ここの…」
「もし、よかったらサインとか!もらえないでしょうか!!!」
「それは構わないのだけれど、それより…」
「本当ですか!!!な、何に書いてもらおうかなぁッ!」
…どうやら自分に会って舞い上がっているようだ。肝心の話をまるで聞いてくれない。とりあえず正気に戻すためにももっと近づいてから話かけるべきだろう。
あたふたと服のポケットを弄っている海兵にグイッと近づく。
「か、書くもの…は自室か、すいません、いま取ってきま…ッッ!???!」
「それよりも!私の話を聞いてくれるかしら?」
「は、はは、はいィィッ!!」
「ここの支部長さんに話をしたいから、それを伝えてきてからにしてちょうだい?」
「か、かかかか、かしこまりましたァ!!!!」
素早い動作で敬礼をしてから、凄まじい速度で建物に向かっていく海兵。
はぁ、これでやっと話が通じそうだ。それにしてもどんだけ緊張していたんだ、顔真っ赤だったぞ?…いや、でもソーンさんに詰め寄られたら自分もめちゃくちゃ緊張する自信があるぞ?
どうにもまだ人と話す時は男の頃の感覚で接してしまうな。これではワンチャンあると思われてしまう、気を付けないといけないな。
しばらくすると、あの海兵がすっ飛んできたので、案内してもらったが、その道中は海兵達からの視線が物凄かった。…果たして、どういう原理で目がハートの形に変化しているのだろうか??
同時に、自分が案内をお願いした海兵は冷や汗をダラダラと流し、動きはまるで錆びついたロボットのようにギクシャクと動いていた。
大きな島なだけあって、支部長が居るという部屋に到着するまでに、それなりの時間がかかったので先ほどの海兵に適当に世間話でもしようかと思ったのだが――
「随分と大きな島ね、ここはどういう島なのかしら?」
「ひゃいッ!こッ、ここッ、ここは要塞ナバロンという場所でしてッ!」
要塞ナバロン?そうか、ここがあのナバロンか。ルフィ達が最初にやってきた海賊だったけど、自分が前例を作ってしまったな。
「一度も海賊から攻められた事のない難攻不落の要塞として有名ですッ!!」
「確かに、これほどの規模の要塞となれば、海賊達にとっては大きな脅威でしょうね。」
「ひゃいッ!!!ソ、ソソソッ、ソーンさんにそう言ってもらえるのは大変うれしく思いますッ!!!」
「…えっと、それで、さっき言っていたサイン?は海兵として色々と大丈夫なのかしら?」
「ひゃいッ!!!!なッ、なな、内緒でお願いします!!!!」
「ふふっ、いいわよ。誰にも言わないでおいてあげるわ。」
「ひゃいィィッッ!!!!」
それにしても、大丈夫かこの海兵?ものすごく挙動不審なんだが…。そんな風に考えているうちにようやく支部長の居る部屋に着く。
すでに連絡は行き届いているらしく、多くの海兵に迎えられながら、支部長に対面する。
「私はジョナサン少将だ。それで、王下七武海の中でも話題の君がこの要塞ナバロンになんの御用かな?」
「フーシャ村…いえ、ゴア王国の場所を教えてほしく訪ねたわ。」
「ゴア王国に?何の目的で?」
「それはナイショね。私は海兵でもないのだから、答える必要はないでしょう?」
「ごもっともだ。君の申し出ならば仕方ない。ゴア王国までの地図を渡したいのだが…その前に一つ提案がある。」
「なにかしら?」
「それを言う前に、全員この場から退出してもらえないかな?
「「「「はっ!」」」
随分と聞き分けのいい部下だな、普通に考えて海賊と海軍のお偉いさんが一対一で話し合うなんて明らかにおかしいだろ…果たして何の話をするのだろうか
「訓練に付き合ってもらえないだろうか?」
「訓練に?どのような?」
「この要塞ナバロンは、鉄壁の要塞だ。あまりの頑強さにほかの支部のように海賊が襲ってくることがない程にだ。」
「それはそうでしょうね。私や一部の人以外は空を飛べないもの。」
「それゆえに、この内部に勤務する海兵達は少々だらけてしまっているのだ。そこで、その海兵達の意識を変えさせる為に訓練をしたいという訳だ。」
「それは構わないけれど、見返りはあるのかしら?ゴア王国の場所を教えてもらうだけでは不釣り合いよ?」
「当然の要求だな、何が望みかね?」
「そうね…それじゃ、もしもその訓練の成果を見せる時が来ても、海賊を一度だけ見逃してくれないかしら。」
「どういう事だ?」
「言葉通りよ?海賊が侵入してきたら、一味全員の島内脱出だけは保証してほしいの。それ以外は特に何しても構わないわ。そうじゃなきゃ訓練の意味がないでしょう?もちろん、襲撃だけしにきた海賊じゃなくて、更に島内に侵入してきた海賊だけが対象よ。」
「…わかった、いいだろう。」
「あら?言っておいてなんだけれど、随分あっさりと引き受けるのね」
「正直、訳がわからない要求だが一度だけ脱出の保証をして、それ以外は何をしようと構わないのだろう?それなら私が後で秘密裏に逃がしてしまえばいい話だ。」
「それ程に貴方にとってこの訓練は重要な物だと考えているのかしら?」
「この要塞ナバロンを攻める事のできる海賊など数えるほどしか居ないのは事実だ。そのせいでここが出来てから一度も攻められていない。その為少々まずいことになってしまうのだ。それを回避する為にも今回の訓練をお願いしたわけだ」
恐らく、この要塞の実用性を本部に訴えるのだろう。軍である以上必要のないものは切り捨てられしまうからな。
「とりあえずその訓練自体は私としては特に問題はないけれど、訓練って何度もして身体に覚えさせる物でしょう?一度だけで大丈夫なのかしら?」
「ごもっともだ。なのでどちらかといえば演習だろう。日頃の訓練だけでは如何に不十分か思い知らせてほしい。」
「随分スパルタなのね?それほど慢心しているのかしら?」
「否定はしないでおこう。それで、早速だが始めてほしい。」
「わかったわ。それで私はどう動けばいいのかしら?」
「そうだな…とりあえず超長距離狙撃と深い傷を負うような攻撃はやめてもらいたい。一応演習だからな。それ以外は特に制限はない。」
「という事は、眠らせたり、見えなくしたり、装備品を破壊してもいいのかしら?」
「もちろんだ、海兵でもない上に海賊相手にそこまで要求はせんよ。とはいえ装備品の破壊も程々にして欲しいがな。それで、そちらの勝利条件は最深部の保管庫にあるゴア王国の地図というのはどうだ?そして、敗北条件は海楼石入りの網に捕らえられたら負けだ。」
「わかりやすくていいわね、それでいいわよ。」
「では、今回は襲撃を予想した演習なので、少々準備させて欲しい。それが終わり次第、こちらからわかりやすい形で合図をしよう。それまで門の空中で待機してもらいたい。」
「わかったわ、私は空で待ってるわね。先に言っておくけれど容赦はしないからそのつもりでよろしくね。」
「望むところだ。」
さて、つい勢いで受けてしまったが、なんだか楽しそうだし、ここまでの数と規模を相手にするのは初めてだからな、いい特訓にもなりそうだ。
それじゃあ、準備が終わるまで——どういう配置になるのかじっくり観察させてもらおうかな!!
最初、永久指針渡そうと思ったんですけど、ゴア王国ってグランドラインにはないですから永久指針とかないですよね?
後、闇古戦場は個ラン15万位目指してまったり頑張ります。
光古戦場までにソーンさんをアレ状態にしたいけど、流石にインターバル短すぎてキツそうですね…