開き直ってワンピ世界を楽しむ事にしました   作:歯磨き粉

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タイヨウの海賊団

あの後からやはりというか案の定、海軍の追跡が始まった。

眼のお陰で相手に見つかる前にこちらが遥か先から捕捉済みなので、未だに姿すら見られていないのは間違いないのだが、今までずっと姿を眩ましてきた大犯罪者が急に姿を現したので、躍起になっているのかもしれない

 

だがしかし、こちらは空を飛び相手から視認されない距離から逃げることができるのだ。賞金首で居る限りそう簡単に見つかってやるつもりもない。

 

そんな風にうまく海軍の船を撒いてるうちに、向こうもこちらの痕跡を見失ったのだろう。気が付けばパトロールをする軍艦程度しか見なくなったので、再び海軍にバレない程度に観光しに回っていた頃だった。

海賊船と海軍が戦闘している場面に遭遇してしまった。

 

 

さて、どうした物か…と考えながら海に目を向けると、そこには数人程見覚えのある人物が戦っていた。

 

「あれは…まさかフィッシャータイガーか?という事はあれはタイヨウの海賊団か!なら戦ってる相手は海軍だな?帆にはカモメマークもあるから間違いないな」

 

思わぬところでまた再会したようだが、ここからざっと見て数十kmは離れているので、向こう側は自分を認識していないだろう。魚人達は海の上ならば負け知らずの強さだし、やられる事はないだろうが、適当に援護でもしておいてから、久々に会ったし挨拶でもするか。

 

距離が少し離れているので、少し強めに矢に力を込める。そして先ほど海賊達を撃退したのと同じ「ディプラヴィティ」を使用する。海兵達に目撃されるのを避けたかったので、今回は睡眠の状態異常のみに絞っている。

寸分違わず全ての海兵達に命中したが、直に治ってしまうので、その間に用事を済ませてしまうとしよう。

 

 

――――

 

 

「な、なんじゃあ…いったい…」

「向こうから飛んできたよな?何も見えねえぞ…?」

 

 奴隷解放運動の最中に海軍に捕捉されてしまった俺たちはジンベエとアーロン達を含めた船員で迎え撃つべく、戦闘中だったまさにその時だ。

 突然光る矢が無数に飛んできたかと思うとその全てが海兵に直撃したのだが、無傷にも関わらず全ての海兵が倒れ込んでしまっていた。

 どうやら皆眠っているようだが、いったい誰の仕業なんだ…?いや待てよ?

 

「全て正確に撃ち抜く光の矢、目の見えない場所からの攻撃…まさかこれは――」

「タイの御頭!これ誰がやったのかわかるのか!?」

「あぁ、恐らくあいつの仕業だ。海兵のみを撃ち抜いた所を見るに俺たちに用があるんだろう。」

「まさか、いったいどれほどの距離から攻撃してきたっちゅうんじゃ」

「逃げても無駄、とでも言いたいのだろう。…癪だが、待っていようじゃないか」

 

 そして、数十分後空から降りてきたのは予想通りの人物だった。

 

「お久しぶりね、タイガー。元気にしてたかしら?」

「ソーン!やはり貴様の仕業か…」

「人間に援護されるのは嫌がるとは思ったのだけれど、久々に話がしたくなったから、少しの間黙らせて置く事にしたの。やっぱり嫌だったかしら?」

「ふん…この程度の海兵達など敵ではない。礼も言わん。恩を売った等と考えるなよ?」

「勿論よ、さっきも言ったでしょう?ちょっと見かけたから、挨拶をしようと思っただけよ。」

「見かけた…か、相変わらず飽きれた視力だ。それで、まさか本当にただ挨拶をしに来たのか?」

「最初はそのつもりだったのだけれどついでに一つ、感謝している事があるのと、それ以外にも伝えたい事もあるわね。」

「感謝?伝える事?一体なんだ?」

 

俺が次の言葉を促そうしたのだが、ソーンは何やら周囲を見渡すと、少しの間をおいて一つの提案をしてきた

 

「その前にできれば貴方と二人で話したいのだけれど、いいかしら?」

「テメェ!さっきから黙って聞いてりゃ図に乗りやがって!下等種族風情がさっきから何様のつもり——」

「やめろアーロン、わかったいいだろう。」

「タイの御頭!?」

「大兄貴!せめてワシだけでも!」

「そうね。言っておきながらなんだけど途中までならジンベエは大丈夫よ」

「貴様、何故ワシの名前を!?」

「秘密よ。でも安心して、海軍に情報を流すつもりはないわ。…と言っても人間の言葉は信用できないかしらね」

「当然じゃ!大兄貴!コイツは今ここで始末すべきじゃ!」

「やめろと言っているだろ!何度も言ってるが俺達は不殺の海賊団だぞ!それにこいつが今どこからやって来たのかもう忘れたのか?そんな事をしても簡単に逃げられるだけだ」

「私も貴方達とは戦いたくないから、戦闘になるならすぐに逃げさせてもらうわよ。もし、トビウオの魚人が居ても結果は同じだと思うわ。」

「…チッ、わかった話を聞かせてもらおう」

「ありがとね、それじゃ向こうで話しましょう?」

 

渋々といった様子で了承したジンベエやアーロン達を置いて、俺達はそのまま未だに熟睡状態の海兵達を避けながら、軍艦の奥へと向かう。

 

「それで、話とは一体なんだ?」

「マリージョアの時、悪魔の実の能力者三姉妹が居たの覚えているかしら?」

「…いや、覚えてないな。」

「そう…その3人は私の友達なのよ。だからあの時に助けてくれてありがとね。」

「あの時はとにかく奴隷解放をする事だけを目的にしていたから、人も魚人も関係なしに解放しただけだ。それに、貴様も勝手にマリージョアを襲撃していたじゃないか。」

「それでも私やあの子達は貴方に感謝しているわ、あの時に解放された子は皆同じ事を思っているはずよ。」

「ふん、それで?もう一つ伝えたい事とはなんだ?」

 

まさかこれだけという訳ではあるまい、こいつは最初に会った時からも思っていたが秘密や謎が多過ぎて得体が知れないのは確かだ。だが、少なくとも何も知らない普通の人間ではなく、俺達魚人達に多少の理解はある人間だ。ならば話を聞く価値は十分にあるだろう。

 

「その前にジンベエ、貴方は白ひげ海賊団を知っているかしら?」

「…知らん。」

「あら、そう警戒しないで欲しいわね、私個人としては貴方達魚人海賊団――特にジンベエやタイガーはとても気に入ってるのよ?…とは言っても会ったこともないような人からそんな事言われても気味悪いだけかしらね。」

「話はそれだけか?」

「そうね、いつか必ずその海賊団の名前を覚える時が来る。とだけ言っておくわね」

「そりゃぁ、どういう意味じゃ?」

「その時が来たら自ずとわかるわ。さて、タイガーに最後に一つだけ言いたいことがあるけれど、それは貴方と二人だけにしてほしいわ」

「そうか、おいジンベエお前はみんなの所に戻っていろ。」

「大兄貴、コイツの得体の知れなさは異常じゃ、やはりワシ一人だけでも…」

「くどいぞ、コイツは信用できなくても、俺は一人でも大丈夫って所は信用してくれないか。皆にもそう伝えておけ」

「その言い方は卑怯っちゅうもんじゃ…わかったよ、大兄貴。」

 

尚も何か言いたげなジンベエだが、俺が意見を曲げる事はないと察したのだろう。かなり気にしながらも俺たちの船に戻っていった。

結局折れたジンベエは自分たちの船に戻っていき、十分離れたのを見た俺はタイガーに向きなおす。

 

「凄く慕われているのね、流石だわ」

「御託はいい、早く本題に入れ」

「過去に起きた事が原因であなたの中に鬼が住み着いた事を私は知っているわ。…そうでありながらマリージョアを襲撃して、昔も今も奴隷解放をしている本当の理由をね」

「なッ…何故貴様がそれを知っている!?」

 

どうやって俺が過去に天竜人の奴隷だった事を知っている!?まさかこいつは天竜人と繋がりがあるとでもいうのか?

酷く動揺している俺をよそにソーンは更に言葉を畳みかけてきた

 

「これも秘密よ。それを知ったうえでひとつだけ忠告させてもらうわ。コアラという少女を保護して、もし故郷に送り届けるとなったなら、帰りに気をつける事ね」

「…いったい何を言っている?」

「それじゃ、伝えたい事は伝えたわ。勿論この事は誰にも言わないから安心して。」

「待て!貴様は政府側の人間なのか?」

「いえ、違うわ。私も天竜人はとても嫌いなの。でも海賊側でもないわよ。」

「貴様の目的はいったい――」

「なにかしらね?少なくとも私は貴方の味方で居るつもりよ。じゃあまた会う機会があったら、その時はよろしくね!」

 

待て!まだ話は終わっていない!――そう話を続けようとするも、フワリと空に浮かびあがり俺の声を無視して飛び去っていってしまった。

政府側の人間でなければ知りえない情報を知っているというのに、何故アイツは政府を敵に回すような真似ばかりする?

しかも俺が人間を受け入れられないと分かっているのに味方だと…?バカにしているとしか思えん。

クソッ、次に会った時は問い詰めてやる。




ジンベエが賞金首になったのはコアラを保護する前ですが、正確な日付はなかったので、遭遇時はまだ無名ということになってます。

この辺の時系列は原作が二年経過後なので調べるときに混乱しますね…
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