開き直ってワンピ世界を楽しむ事にしました   作:歯磨き粉

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海軍本部

 

 とある日、正義の象徴たる海軍本部の会議室に数人の海兵達が緊張した面持ちで会議の様子を見守っていた。

 というのも、敵であるはずの海賊達4人が我が物顔で椅子に座っており、その海賊達は全員が世間にその名を轟かし、恐れられている海賊達だった

 

 そして、そんな海賊達が集められる原因となった二人の女性はまさに絶世の美女と言うべき美貌ではあったが、その二人から感じられる覇気はまさに強者そのものであり、このような場において威風堂々としている事から胆力も相当な物と取れる人物だった。

 

 ――――

 

「私の名前はソーン。新しく王下七武海の一人としていれさせてもらったわ、よろしくね?貴方達とは仲良くしていきたいわ」

「わらわはハンコックじゃ。だが、男にわらわの名前を呼ぶ権利なぞないと知れ!」

「フッフッフ!こりゃまた豪胆な女達だな!」

「………」

 

 海軍本部に呼び出されたので、観光ついでの軽い気持ちで来たら王下七武海になっちゃいました。

 最初は何事かと思ったが、まさか七武海勧誘とは予想外だった。

 海賊を潰し回ってた頃ならまだわかるが、海軍支部やマリージョア襲撃をした自分が政府側に付くことになるとは思いもしなかった。

 確か七武海に入るには「強さ」と「知名度」だったはず。夢だと思い込んで暴れまわってたせいで賞金が1億を超えてるんだから、十分加入条件を満たしてるな。

 当然クロコダイルやドフラミンゴみたいに国家を乗っ取るつもりもないので、七武海としての恩赦もほとんど意味がないのだがそれでも七武海になった理由は面白そうだったからに尽きる。

 

 やらかす前に現実だとわかっていた頃なら考えたが、すでに開き直ってやりたいように生きていく事にしたので面白そうな事は率先してやっていくことにしているのだ。

 チートスペックを誇るこのソーンの肉体なら自衛程度ならできるしな!

 

 それにしても、ハンコックも同じように七武海勧誘を受けていたんだな。七武海入りはわかっていたが、時期がちょうど被ってしまったせいであんな風な別れ方をしておきながら、あっさりと再会してしまった。

 

 だが、ここで自分とハンコックが前から知り合いだとバレてしまうとどのような関係性なのか疑われてしまい、最悪ハンコックのあの過去がバレてしまいかねない。

 ハンコックも最初に顔を合わせた時点でそれを察したのか、こちらを見て一瞬だけ驚愕の表情を浮かべたがすぐに取り直していた。

 

 しかし、いつも通りの男嫌いだ。それによく見れば何人かの海兵はハンコックに見惚れて鼻の下を伸ばしているな。

 そんなんだから余計男嫌いが加速するんだと思いつつ、自分がそっち側だったら同じリアクションをしているのは間違いないので大目にみるとしよう。

 ハンコックの過去は原作内でも中々の胸糞エピソードだから、早くルフィと出会って救われて欲しいものだ。

 

  こうして顔合わせも終えたところでひとりの将校が今回の会議事項を話し始めた。

 

「今回新たに二人の七武海が決まったが、後一人に関してはもう少々待っていてもらいたい。また決まった時に連絡をする。」

「それよりもう顔合わせは終わった。女ヶ島に帰るゆえ、会議で決まった事だけ知らせるがよい!恩赦の件忘れるでないぞ!」

 

 話の流れをぶった斬ったハンコックは見下しすぎて見上げるあのポーズを決めた後、制止しようとした海兵達を蹴り飛ばして会議室から出て行ってしまう。その際一瞬だけ自分を見ていたが、後で話をするからと目で訴えていたのでとりあえず納得してくれたようだ

 

 いやはや、流石はハンコックだな。自分が言うのもなんだがやりたい放題だったぞ。

 

「…そ、それで政府公認の海賊になったのならば海賊行為をした収穫の何割かを政府に納める事、そして緊急時の招集命令に応じる事の二つが恩赦の条件となる。これに従わなかった場合は協定決裂となり、称号は剥奪となる」

「政府公認の海賊なのに随分と緩い協定なのね?」

「フッフッフ!公認とはいえ海賊である事には変わり無い。信頼関係なんぞあってないようなものだからな。」

「的を射ている」

「それもそうね、それじゃ私も自由にさせてもらうわ。でも、新しい七武海には興味があるから、決まったらまた軍艦のマストに書いてもらえるかしら?」

「それは構わないが、電伝虫ではダメなのか?」

「私は船を持っていないから電伝虫だと携行するには大きすぎるわ。でも子電伝虫だと今度は念波が狭すぎるのよ、だからマストに書くのが一番いい連絡手段だと思うわ」

 

 恐らく最後の七武海はジンベエだ。

 原作でもう一人の七武海だったモリアは魔の海域で影の軍団を作るために仲間集めをしている最中に七武海勧誘があったのかもしれないが、その枠に自分が入ったのでそのまま魔の海域に篭ってしまうので、残りの候補としてジンベエが選ばれてもおかしくはない。

 

「それなら、貴女が出した恩赦の【軍艦を休憩所として利用可能にする】を使用した時に、その軍艦にも連絡が伝わっていればその時に報告でも構わないな?」

「それでいいわよ。」

「それにしても噂には聞いてたが、マストに書かれた文字を遥か彼方から認識するなんて馬鹿げた視力をしているなァ。」

「色々と便利なのよ?例えば、今貴方が私にちょっかいかけようと糸を近付けているのが見えたりするわね。」

「フッフッフ!女が二人も七武海に入るなんて政府も随分と腑抜けたと思ったが、最低限はやるようだな」

「あの天夜叉に褒めてもらえるなんて、光栄ね」

「フッ、ホントおもしれぇ女だな。」

 

 ドフラミンゴもまさに悪のカリスマが似合う好きなキャラだから、普通にうれしかったんだが皮肉に取られてしまったか。交友を深めれるとは思っていないが、同じ七武海同士で少しは仲良くなりたかっただけに残念だ。

 

「それにしても、七武海なのにここに居るのは4人なのね?一人は欠員だとしても後二人居るはずだけれど、欠席かしら?」

「さっきも言っただろう?俺たちは海賊だ。七人全員が揃うなんてことはまずねぇのさ。今日来たのは気分にすぎん。そこのくま以外はな」

「……」

「それは残念ね、クロコダイルとミホークにも会ってみたかったわ。…ねぇ、海兵さん別に私からその二人に会いに行っても問題ないのよね?」

「最初に言っておくが七武海同士での争いは禁止だぞ。」

「そんなことしに行くわけないじゃない、本当にただ挨拶に行くだけよ。だめかしら?」

「…クロコダイルはアラバスタ王国に居る。ミホークの正確な位置はわからない。だがいくつかの候補地は教えておく」

「助かるわ、それじゃ私もこれで失礼するわね。…そうだわ、バスティーユから借りてた永久指針(エターナルポース)はお返しするわ。」

「バスティーユ少将から?」

「最初は船で案内してもらおうと思ったのだけれど、コレの方が早いと伝えたら貸してくれたのよ。バスティーユには助かったと伝えておいてちょうだい。」

「そういう事か、バスティーユ少将が本部に戻った際には伝えておこう」

 

 最後にミホークの居る候補地やアラバスタ王国の永久指針(エターナルポース)を借りてから、会議室を出た自分はそのまま空に飛び立つべく、飛翔術を発動させようとした瞬間とある人物に話しかけられる。

 

「おぉ?お主はもしやソーンか?ここに居るっちゅうことは七武海に入ったんかのう?」

「あら、ガープ中将。これからよろしくお願いするわね?」

「ぶわっはっはっ!まさか本当に七武海に入るとはのう!」

「七武海といっても、以前とはそんなに変わらないのよね。あ、でも軍艦を休憩所に使えるようになったのは便利かしら」

「海軍の船を休憩所呼ばわりとは言ってくれるではないか!」

「実際、ずっと飛んでいるのは流石に疲れるのよ?ガープ中将も何日間も月歩しっぱなしは疲れるでしょう?」

「そうじゃのう、若い頃に比べて体力が減ったせいで1日中くらいしか飛んでいられんな!年は取りたくないもんだ!」

「それでも丸一日は飛んでいられるのね…流石は海軍の英雄様かしら、貴方から逃げられたのは運が良かっただけね。それじゃ私はこれで失礼するわ」

「あの時お主を捕まえられなかったのは残念だったが、もし七武海を脱退した時は覚悟しておくんじゃな!」

「それは怖いわね、その時は私も本気で相手するわ。」

 

 最後にそう言い残してから今度こそ飛翔術で海軍本部を離れていく。

 

 さて、先程も言ったが完全に気分で七武海に入っただけだから、七武海加入時に提出した協定条件は非常に緩いものだ。

 まず一つが先ほど自分が言っていた【軍艦を休憩所として利用可能にする】これは休憩したいときに軍艦が居れば便利なので条件として出した訳だ。

 

 次に【とある特定の海賊団との無期限休戦】勿論この特定の海賊団とはルフィ達の事だ。モリアを打倒した際に政府がくまに対して抹殺指令を下していたのを覚えていた為、先に先手として打っておくべく出した条件だった。

 

 当然、どんな海賊団なのかと聞かれたのだが、いつの日か名を上げる海賊団なのでその時に指定させてもらうと伝えてある。

 政府側にとって四皇の海賊団でなければ——その海賊団が世間を騒がす強大な海賊団になるのだが——一つの海賊団くらいなら問題ないと判断したようだ。

 

 気分で入った為、同じく気軽に脱退できるように恩赦もあったら便利だな程度に抑えた訳だ。七武海脱退となれば世間的には大ニュースだろうが、

 とはいえ、七武海の仕事は最低限やるつもりなので、今後は定期的に適当な海賊団を襲って自分の糧になってもらうつもりだ。こうした収穫の何割かを政府に献上することになっている。

 

 おそらく今後は七武海入りしてしまった事で、自分を倒して名乗りを上げようと考える海賊達がやってくると予想できるのでそういう意味では多少動きにくくなってしまうだろう。その代わり海軍から追われる事が無くなった為、本来の目的である原作主人公達の過去を覗き見たり、ワンピ世界の観光巡りがしやすくなったので結果オーライと言えるな。

 

 向かってくる海賊達もその辺の有象無象程度であれば蹴散らせる自信はあるし、頂上戦争あたりでは適当なタイミングでバックレるつもりだ。

 それじゃ、さっそくアラバスタ王国に行ってみるとするかな!




書き溜めを全て消化したのでこれからは大体週一くらいの更新になります。
気長にお待ちください。

そろそろ麦わら一味と会わせたいですね。

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