開き直ってワンピ世界を楽しむ事にしました   作:歯磨き粉

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なお、中身は

 七武海に加入してから、しばらくの間は自由に行動していた。

 

 クロコダイルに挨拶するついでに、ロビンを一目みようとアラバスタ王国に行ったら、まだバロックワークスは設立しておらずクロコダイルが海軍の信用を得るために海賊を狩っていたので、それに便乗したり、七武海として海賊達を襲撃しまくったり、海軍の船を休憩所として利用させてもらったり、様々な春夏秋冬の訪れる島々を巡ってワンピ世界を満喫していた。

 ただ、その際に立ち寄る島の街の殆どで、まるで祭りのように島中の人間から歓迎されるのは予想外だった。

 

 確かに賞金首として顔が知れ渡る前までは、襲撃されていた街の住民から感謝される事もあったが、それでもその島内で収まる程度だったのだ。

 時々耳ざとい記者が取材に来たりもしたが、面倒だった為、視認した瞬間からすぐ逃走していた。そんな記者達も自分が賞金首になってからは、裏切り者の英雄として好き放題叩いていたらしい。

 当時は夢だと思っていたから派手に暴れ回っていて、海軍だろうとお構いなしに襲っていたので、仕方ないだろう。

 

 ちなみに何故他人事なのかというと、これらの情報はたまたま近くに休憩に寄った島が過去に海賊の襲撃から救った島で、その島民たちから聞いたからだ。

 世間は自分を叩いておきながら、七武海に加入した瞬間に英雄として持ち上げるとはなんて恥知らずだ!と島民たちは怒っていたので、あれらの記者達の手のひらはドリルで出来ているので、仕方ない。と窘めるのは大変だったものだ。

 

 この大海賊時代は悪がもっとも勢力を強め、市民達はその脅威に怯えて生きている。そんな中に現れた海賊を潰しまくる【魔眼の狩人】に期待を寄せるのも仕方ないのだろう。

 とはいえ、その当人である自分からすると、非常に落ち着かないのでやめてほしいものだ。

 

 七武海に加入したら、社会的に動きにくくなるだろうとは思っていたがまさか海賊から狙われるのではなく、パパラッチから追われるとは思わなかった。

 彼らの情報網はすさまじく、近くで海賊を潰して海軍に受け渡してから、少し街で休憩しようかと思うと、数日のうちに大量の記者達が泊まっている宿に殺到してくるのだ。お蔭で最近はますます逃げ足に磨きがかかってしまった。

 

 それでも街中で不意に遭遇した記者に突撃取材された事があったので、七武海に加入した以上そういった事も多少は受けようと思い、素直に取材に受けたのが間違いだった。

 最初は当たり障りのない取材内容だったのが、次第に私生活に関する話題に変わっていった辺りで、自分はやめるべきだったのだ。

 あの手の記者達というのは人を乗せるのが非常に上手い。もう本当に上手いのだ。気が付けば何故か自分の写真集が出ていた。

 

 本当に訳が分からなかった…確かに、乗せられるがままに色々と写真撮影には応じたが、まさかそれを写真集として売り出すのは予想外だ。

 ソーンが美女なのは紛れもない事実だが、今の中身は自分なのだ。元男としては非常に複雑な気持ちだった。

 

 とはいえ、出てしまった以上もはやどうすることもできないのだ。割り切って生活していくとしよう!

 そんな風に考えていたある日だった。

 

「貴女に惚れました!付き合ってくれないでしょうか!!」

「…お断りするわ。」

「つ、次は私だ!私も「それ以降に控えている男性も含めて全てお断りするわ」

「「「「そ、そんな…!」」」」

 

 何故だ、何故俺はこんな目に遭っているんだ…名前も知らんモブ男から告白だと…?寒気しかしねぇわ!!!

 あの日、調子に乗って写真撮影に応じて色々と撮られたのがすべての原因だ!!何故あんなことをしたんだ過去の俺!

 

 とにかくこの場から一刻も早く逃げようとしたのだが、残念ながらまだここの宿屋の料金を払う前だった。窓から飛んで、受付に行こうにもその外にも男達は待ち受けていた。

 そんな光景に鳥肌が立ち、思わず【ディプラヴィティ】をしそうになったが、流石に一般市民に使うのはまずいだろう。

 …いや、待てよ?あの状態異常ならワンチャンあるんじゃないか?なんかこう…恋にシビれた的な!…あとは眠らせたり盲目にさせても凝りなさそうだしな!よし、そうしよう!

 

 さっそく、窓から飛び立ち、目につく男達にめがけて【ディプラヴィティ】を放つ。勿論ダメージはナシだ。その代わり…

 

「アヒィッ!!!」

「ウヒィッッ!!!」

「アババババ!!」

「な、なんだこの痺れ…そうかこれが!恋…ウッ…」

 

 男達は全員身動き一つ取れずに倒れ込んでいく。しかし何故か男達の眼はハート状態だった…気持ち悪い。

 先ほど男達に使用したこの状態異常は【麻痺】だ。

 

 実はこの【麻痺】こそがソーンが十天衆の中でも取得率No.1となる一番の理由だ。

 麻痺は多くのゲームでも登場する非常にポピュラーな状態異常で、多くの場合は確率で行動不能になる物だが、グラブルはそんな生易しい性能ではない。

『3ターン完全行動不能』もしくは『1分間完全行動不能』となるのだ。

 この1分間が非常に重要で、グラブル内で終盤に1分間殴り放題となれば、大体の場合は決着がついてしまう。それほどまでに圧倒的な性能を誇るのがグラブルの【麻痺】だ。

 

 この【麻痺】の為だけに取得する価値があるほどで、数多くの状態異常があるグラブル内でもダントツで最強の状態異常だ。

 あまりに強すぎるがゆえにゲーム内でバランス崩壊を起こしているので、この麻痺に対して完全耐性を持っていたり、非常に耐性が高かったりする敵も居るのだが、そこはご愛敬だろう。

 

 ちなみにこの麻痺をかけるには【ディプラヴィティ】の他に、女ヶ島で武々をした時に使用した【アストラルハウザー】という奥義を使用する必要がある。

 

 この奥義を使用すると殲滅の鏑矢というバフが付与されて、その状態で三つ目のアビリティ【クリンチャー】を使用することで麻痺が入るようになっている。

 こちらの麻痺はより効果時間が長くなっている。

 

 そんなゲーム内でチート性能を誇る麻痺はワンピ世界でも健在で1分どころか相手によっては半日も身動きがとれない性能になっていた。

 相手の実力が高い程、麻痺の効果時間は下がっていったが、今の所は完全耐性を持つ相手には出会っていない。

 

 今回は手加減して数十分で解けるだろう。地面に転がる男達を唖然とした表情で見つめている受付に、宿代を払った後、次の島へと向かっていくのだった。

 

 

 




週一更新とかいっておきながらアレなんですけど、気分転換で書いてるんで、あくまでも目安なので、遅れても怒らないでね!

この【ディプラヴィティ】が一番扱いが難しい…まだまだ登場していない状態異常があるんですけど、ワンピ世界に落とそうとすると凶悪すぎるんですよねw

11/1追記
すいません、次の更新は結構遅れると思います…

次の更新も古戦場前にはやらないと更に遅くなるので、もう少しお待ちください。

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