超次元ロマン海域アズールねぷーん   作:アメリカ兎

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泣く子も黙らせるのはな、「鬼神」っていうんだよ

 

 ──後日。無事に上層部から重桜の装甲空母一隻とユニオン所属の空母が着任した。

 

「重桜艦隊所属、大鳳です~。よろしくおねがいしますねぇ、指揮官様♪」

「ユニオン所属の空母、エセックスだ。よろしく、指揮官」

「よろしくねー。今日は歓迎会もあるし、案内とか色々あるから大変だと思うけど、そこは我慢してくれると嬉しい」

 新しく着任した二人の紹介も兼ねて指揮官が母港を案内する。

 その姿を見ていた補佐官は、コーラ(普通の)を飲みながら嫌な予感がしていた。

 まーた問題児増えるのかこの艦隊は、などと考えながら飲み干す。ふと、横を見れば木陰に隠れた赤城と目が合った。

 

「おや、補佐官様? 奇遇ですね」

「もう俺としては見慣れた光景だから驚きもどうもしない」

「冷たいですね」

「やめろ、俺もこんな環境に慣れつつあることに戸惑ってるんだから」

 住めば都とは言ったもので。今となっては赤城がいるであろう場所すら目星判定成功するようになってしまった。やめろ、人をなんか、こう、コズミックホラー探求者みたいな扱いにしないでくれないか。そんな事を思いながらエヌラスは空っぽのペットボトルをゴミ箱に捨てる。

 

「あの装甲空母、知り合いか?」

「…………ええまぁ。同じ重桜ですし」

「なんだ今の間は」

「お気になさらず、補佐官様が気に病むようなことは決して、ええ、決して起きませんわ」

「……俺はともかく指揮官が気に病むようなことは起きる可能性が?」

「はて何のことでしょうか? ふふ、この赤城は指揮官様にご迷惑となるようなことは一度もしたことがありませんので」

 愛宕と下着を奪い合っていたのは記憶に新しいような気がするのだが気の所為ということにしておこう。

 

「補佐官様、あの装甲空母には気を休めぬようお願いします。それでは、赤城はこれにて」

「え? ああ、分かった……」

 “あの”赤城が自分に忠告をしてくれた、という事に補佐官は戸惑いを覚えながらも残っている本日の業務へ取り掛かる。

 

 

 

 古ぼけた倉庫の前に立つのはこれで何度目だろうか。今だに全部片付けきれていないことに頭が痛くなってくるものの、それは紛れもなく指揮官のせいなのでいつか仕返ししてやろうと固く誓うことにした。

 非番の子達の手を借りながら片付けていたからか、第一倉庫は終わっている。第二倉庫も折り返し地点を過ぎて終わりが見えている。第三倉庫からは目を逸らす。

 中から出した物資は青いビニールシートをかけてある。さすがに野ざらしはマズいからだ。

 

「えっさほいさ」

 そんな重労働をしていると、大抵の場合は偶然見かけた艦船が手を貸してくれる。エヌラスは持ち上げた木箱を外に下ろす。中身は戦術教科書。少し汚れているが、鉄血の軽巡洋艦に手渡しておけば授業の手助けになるだろう。

 ちなみに女神達は基本的に手伝ってくれたりしない。どうやらノワールの口から黒いアレが出る話が広まったようだ。それでも手を貸してくれる物好きが居たりする。

 

「……」

「……」

 こうして顔を合わせるのは何度目になるだろう。本当に暇さえあれば人の顔を見て薄ら笑いを浮かべるプリンツ・オイゲンが小さく手を振っていた。

 

「はぁい、順調?」

「お前が来るまではな……」

「酷い言い草ね。積極的に手伝ってあげているっていうのに」

「それは純粋に礼を言わせてもらう、ありがとな。助かってる」

「どういたしまして」

「だがそれはそれとして、この後が問題なんだよ」

 余計なやつが飛んできて作業が進まなくなったりすることが多い。人手が増えるのは純粋に喜ばしいことなので、エヌラスはプリンツと二人で作業を進めていた。

 

「それにしてもアンタも変なやつね」

「なんで。よいしょ」

「よくこんなところで仕事していられるわ。むりやり連れてこられたって言ってたくせに」

「お前、仮にも自分の職場をこんなところ呼ばわりかよ……うまくいってないのか?」

「変な気遣いしないでもらえる?」

 最近はプリンツも他人行儀な口ぶりをやめて随分とフランクに話すようになっている。親しくなった証拠なのだとエヌラスは考えることにしているが、どうにもやはり苦手意識は拭えない。

 

「あ、そうだ。それと新しいやつ来てたな」

「そうみたいね。どうせ重桜辺りがまた賑やかになるんでしょうけど、よいっしょ」

「だろうな、赤城から忠告されたくらいだ」

「アンタが?」

「俺に。珍しいだろ。明日は艦載機でも降ってくるんじゃねぇの」

「冗談やめて。本当に降るんだから」

 主に赤城と赤城と赤城のせいで。雑談を交わしながら第二倉庫の中身を空にして、掃除の準備をする。埃臭い倉庫の窓を全部開け放ち、エヌラスが肩を回して左手を倉庫に向けていた。最近は業務に限って魔法の使用を躊躇わないことにしている。片付くかこんなん。

 意識を集中させて、渦巻く風を倉庫の中に撃ち込むとスクリューのように埃を巻き上げてそのまま海に向けて吹き飛ばす。何度か繰り返して大雑把に中の掃除を終えてから必要な物資と資材だけ中に入れ直したら、廃棄品は全部工廠で解体だ。そちらはエヌラスの作業になるので後日またドックにこもることとする。明石に任せると他の業務が立て込んで遅々として進まないからだ。

 

「ほんと不思議なチカラね」

「なんでもはできねぇけどな。せいぜい電気ガス水道の代わりくらいだ」

 属性魔法が得意、というだけ。しかも全部戦闘向け。その出力を限りなく下げて、こうして掃除機代わりにしている。一歩間違えると倉庫が吹き飛んでボートハウスになるだけだ。プリンツがこうして間近でエヌラスの魔法を見るのは何度かあったが、その度に首を傾げている。

 

「それ、どうやってるのか教えてくれないの?」

「何度も言ってるが勉強してできるような事じゃないからな、これ」

「ま、なんでもいいか。アンタが便利なやつってことに変わりはないし」

 第二倉庫の片付けを終えて、第三倉庫を開けると辛うじて扉が開くほどぎっしりと乱雑に詰められたゴミと宝の山。隣のプリンツが真顔になっていた。

 

「……また今度にしない?」

「そうするか……」

「この後、暇してる?」

「んなわけあるか。さっきの廃棄品解体する用意しないといけないんだよ」

「真面目ねぇ、変なところで」

「たまに思うんだが、俺はもしかして顔で不良だと思われているんじゃないだろうか……」

「カタギだったらそんな顔してないわよ」

「お前人のこと顔で判断するなよ!? 確かになんか睦月型の駆逐艦からは避けられているけど、別に俺はそこまでヤベェことしてねぇよ!」

「指揮官を片手で投げたり、明石のこと三味線にしようとしたり、素手で戦艦の装甲ぶち抜いたりできるような人がやばくないわけないでしょ?」

「すいませんでした嘘言いましたもうソレ以上は勘弁してもらっていいですかプリンツ」

 装甲ぶち抜き案件は、廃棄品のバルジに冗談で拳を叩き込んだら打ち抜いてしまったという不幸な事故だ。おかげで一部の戦艦からも距離を置かれている。

 一言だけ弁明するのなら「ちゃうねん」とだけ言わせてくれ。

 

「アンタもしかして、自分がヤバイ人間であることを自覚してないだけなんじゃない?」

「確かに俺は人には言えないようなことしてる節がある人種なのは認める。でも流石にそれだけで不良扱いは困るんだが」

「…………マフィア?」

「言うに事欠いて悪化してんじゃねぇか……」

 お前は人のことをそういう目で見てたのか、とプリンツに非難の眼差しを向けるが、唇に指を当てて小首を傾げていた。言っても仕方ないのでエヌラスはドックと戦術学園に移動する。

 一通りの荷物を運び終えて、小休止。ベンチに腰を下ろして身体を休めると、隣にプリンツが座り込む。何か考え込む素振りを見せてから、思いついたように肩を寄せてくる。

 ええい道すがらに人をからかうんじゃねぇぞ駆逐艦共──そんな思いを込めながら睨みつけると半泣きで逃げられた。すまんごめん、俺が悪かった。心に刺さるから逃げないで。

 

「おや、補佐官殿。休憩中ですか」

「ういーす指揮官。倉庫の掃除はやっと折り返し過ぎたところだ」

「いやぁホント助かります」

「終わったらしばく」

「えぇぇぇ……勘弁してほしいんですけど」

「残念だがしばき倒す。新人二人は?」

「今は別行動中です。大体の案内は終わったので」

 指揮官は軍帽を直しながら、エヌラスに肩を寄せているプリンツの不満そうな顔を見て小さく笑った。

 

「ごめんよ、プリンツ。邪魔するつもりはなかったんだけど」

「別に気にしてないわよ、指揮官」

「そっか。それならいいんだけど」

「今日は出撃ないの?」

「うーん……そうだね、今日は出撃無しかな。自主訓練とか」

「そう」

「……プリンツ。指揮官のこと嫌いなのか?」

「嫌いじゃないわよ? むしろ好感持てるくらい」

「おや、ありがとう」

「作戦指揮も優秀だし。私は信頼してるわ」

「はは、なんか照れくさいな」

「それだけ、よ」

「はぁ……そうだとは思ったけど」

 あくまでも上官と部下の関係に留まる。プリンツはそれ以上の感情はないらしい。それなら今、エヌラスと肩を触れ合わせているのはどういう感情からだろう。

 

「じゃあ、今度はボクから聞こうかな。プリンツはエヌラスさんのこと好きなのかい?」

「そうねぇ……好きよ?」

「だそうですよ。よかったですね、エヌラスさん」

「アンタはどうなの?」

「お前のことは嫌いじゃないが、ちょっと苦手だ」

「……ふぅん」

「なんかな、どうしても俺のことをからかってるんじゃないかと思えて仕方ない。感情が読めないというか思考が読めないっつーか。性分なんだから仕方ないんだろうけど」

 スッと、プリンツが身体を乗り出してエヌラスと唇を重ねた。咄嗟のことに二人が硬直するが、すぐに口を離して髪を手で梳く。

 

「……これでも、からかってるなんて思うかしら?」

「──……いいや、流石にここまでされたら俺も考え改める」

「えー、と……ボクはまだ仕事があるのでこれくらいで。プリンツ、もし必要だったら言ってくれたら買っておくからね。指輪」

「その時はよろしくね、指揮官」

 二人を残して、指揮官は会釈すると執務室に向かった。

 

 

(いやしかし、ちょっと意外だなぁ。プリンツがあんな大胆なことするなんて)

 見せつけるようなキスにちょっとだけヤキモチを焼いたのは秘密にしておく。本人が望んだことなのだから自分が咎めるようなことはすべきではない。彼女はあくまでも艦隊に所属しているだけであり、個人の所有物ではないのだから。個人の意思と自由は尊重すべきだ。

 指揮官が執務室に向かう途中、寮舎から出てきたベールが大きく伸びをしている。

 

「おや、ベールさん」

「あら? その声は」

「ゲーム部屋にこもってたんですか?」

「ええ、お恥ずかしい事に夢中になってしまってたようで。こうして外の空気を吸いに出てきた、というわけですわ」

 少しだけ気恥ずかしそうにしながら、ベールは頭を下げた。

 

「いやぁすごいなぁ。ボクも昔はそれくらい夢中にやってた頃があったなぁ……」

「……そういえば。指揮官様はFPSが得意でしたわね」

「ええ、まぁ人並みに好きですよ。今はやってませんけど」

「では、グリムゴーストと呼ばれるプレイヤーの方はご存知ですか?」

「いやぁ最近のはちょっと疎いので」

「昔、活躍していたプレイヤーみたいですが……」

「うーん、ボクはそういうの興味なかったので本当に知らないんですけれど。すごいんですか?」

「当然、素晴らしい腕前の方ですわ。わたくしもその伝説に挑戦してみたのですが……」

「伝説って?」

「ああ! 一試合に百人キル、ノーデス。という試合記録が動画に残されていたのですわ。それを見てわたくしのゲーマー魂に火が点いてしまって」

「女神様を燃やすほどのゲーマーなら、さぞ凄いんでしょうね」

 ベールが何度挑戦しても、キル数だけなら追いつけそうではあるが味方の巻き添えなどで敗北したりとミスが目立つ。あの完璧な立ち回り、敵の装備を奪い、即座に切り替える柔軟な思考。ヘッドショットを外さないだけならばベールにだって出来る。だが、あのグリムゴーストの動きはまるで戦場で息づいているかのような実感さえ感じられた。歴戦の老兵にも思える。

 

「ですので、わたくしとしては指揮官様にもあの動画を一度拝見していただきたいですわね。元ゲーマーでしたらきっと復帰も考えると思いますわ」

「そこまで勧められると、断りにくいですね。暇があれば、今度」

「是非観てくださいまし。ではわたくしはもう少し外の空気を吸ってから、シャワーをお借りしますわね」

「ええ。どうぞどうぞ」

(わたくしの見立てでは指揮官様でしたらなにか知っていると思ったのですが……どうやら本当に知らないみたいですわね)

 指揮官はベールと別れて腕を組みながら歩く。

 グリムゴースト、なんて名前は初耳だ。そんな凄いプレイヤーがいたのか、と。

 

「……そんなに凄いなら一度でいいから会ってみたかったなー」

 残念だが、今の自分は引退した身。復帰したとしても果たして会えるかどうか。

 執務室に向かう途中の廊下では、窓掃除をしていたベルファスト達がいた。気さくに挨拶を交わしながら通り過ぎる。

 すると、扉の前で立ち止まっている綾波がいた。ノックするかどうか考えている素振りで。

 

「あれ、綾波。どうしたの?」

「! 指揮官、ですか……驚かせないでください」

「はは、ごめんねー。ボクに用でもあった?」

「えっと、その……はい」

「じゃあ中で聞こうかな。今日は最低限の任務だけ片付けて休むつもりだったからさ」

 執務室に招き入れて、指揮官はお茶を淹れて綾波に差し出した。

 

「ありがとう、です……」

「気にしないで。それで、何の話かな」

「……えっと」

 もじもじと顔を赤らめながら、綾波は言い出しにくそうに指を合わせている。指揮官は言葉を待ちながら、緑茶を口に含んだ。

 

「あの、指揮官……隣、座ってもいいですか?」

「うん? いいよ」

 ちょこん、と。隣に席を移して綾波は固まっている。どうかしたのだろうか。疑問を抱きながら指揮官が緑茶を置いた。

 

「──指揮か」

「あ、そうだ。確か茶菓子もあったっけ」

「…………」

「ごめん、何か言いかけた? 悪気はなかったんだけど」

 戸棚の中から煎餅やらクッキーやら取り出してテーブルに広げる。綾波が少しだけ眉をつり上げていた。不機嫌そうな表情に、頭に手を置いて撫でる。

 

「ごめんってば。そんなに怒らないでよ、綾波」

「……んぅ……指揮官、ずるいです……」

「そうかな」

 隣に腰を下ろし、指揮官は軍帽を外してテーブルに置いた。仕事をしないのであれば帽子をかぶっていることもない。髪をかき上げ、手櫛で梳く。ショートカットの黒髪、特に何の変哲もない。

 横顔をじっと見つめてくる綾波と視線が合う。今日はいつもより様子がおかしい。

 

「もしかして、この前のこと気にしてる?」

「……指揮官が誰かを特別扱いしないのは、知ってるつもりです。でもやっぱり、あの時みたいに触れてきてくれると……綾波は、凄く、嬉しいです……」

「そっか。すごく嬉しいんだ」

「だから、あの……指揮官。綾波に触れてもらえますか?」

「ボクは補佐官殿みたいに女の子に慣れてないからなー……どんな風に?」

「頭、撫でてくれるだけでもいいです……だめ、ですか」

 そんなことはない、と答える代わりに指揮官は綾波の頭を撫でた。目を細め、頬を赤くしながら見つめてくる。その瞳に吸い込まれそうになりながらも、柔らかい髪の手触りを楽しんだ。

 

「……指揮官は、女の子が苦手ですか」

「ちょっと苦手かな。恥ずかしい事に、ボクは異性と仲良くなったのはこの仕事をやるようになってからだから。まだみんなとどうしたら仲良くなれるかは手探り状態なんだ」

「だから、みんなに優しくはするんですね」

「上司って立場だからねー。働きやすい環境に整えるのも仕事のうちだし」

「……綾波、指揮官になら……何をされても、怒りません……」

「えっ」

 撫でていた手を取り、綾波は自分の胸に当てる。冗談のように指揮官の顔が一気に赤くなった。ふっくらとした感触に硬直している。上着越しでも確かに感じる胸の柔らかさに、息も止めているほどだ。固まった指揮官に、綾波は手を下から入れて直接触れさせる。

 

「ふ、ぁ……!? うあ、うわぁ……綾波、その……ちょっとこれは、流石に……」

「……怒ら、ないですから……」

「じゃ、じゃあ……ちょっと、だけ失礼します……」

 指をわずかに動かしてみる。ふにふに……。

 弾力が心地よい、が。指揮官はいっぱいいっぱいになっていたので、コレ以上は危険だと自分の事を冷静に分析してすぐに手を離した。深呼吸を繰り返して、爆発しそうな理性と心臓の鼓動を落ち着かせる。頬を少し膨らませている綾波だが、顔が指揮官に負けないほど赤くなっていた。

 

「いや、ごめん綾波。ほんとごめん、そういうのはもうちょっと待ってもらっていい? ボク自身まだ心の準備とか色々さ、距離感とか掴めてないから」

「むぅ……指揮官、本当にガードが硬いです。伊達に一航戦から逃げてないですね」

「別に赤城から逃げてるつもりはないんだけどなぁ……“あの時”以来」

「……すいません。余計なことを言いました」

「気にしてないよ。綾波も仲良くしてるみたいだし」

 ブラスコヴィッチ式深呼吸で落ち着いてから、指揮官は綾波に向き直る。そして、小さな身体を抱きしめた。

 

「し、指揮官……!?」

「そのー、えっとー……まだ、ああいうのボクには早い気がするから……ハグ、ぐらいで我慢してくれるかな?」

「……わかりました。綾波はいい子なので……これで、我慢します」

「…………一応聞いておきたいんだけどさ、綾波。我慢しなかったら、ボクのことどうして──」

 るっ、まで言わせてもらえずに指揮官はあっという間に綾波に押し倒される。その眼が「鬼神」状態のソレになっていた。

 

「綾波は、指揮官をこうして、ああして、欲望の限りを尽くします」

「……ハイ、よくわかりました……ステイ、してくれる? いい子だから……」

 押し退けようにも、人間である指揮官の手では駆逐艦の綾波ですら手に負えない。いや、駆逐艦の中でも上位に食い込む程の実力を持っているからこそか。

 何とか解放してもらえて、そのあとは一緒にお茶とお菓子を食べて別れた。

 ……正直、生きた心地があまりしなかった指揮官だった。

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