戦姫絶唱の世界で某錬金術師の成り代わりかと思ったら死神の世界って… 作:シヒイシレアサ
視点が途中で変わる時は、――――――――――………――――――――――を間に使います。
少年は顔や腕に怪我を負い、悔し涙を流しながら木々の中を無我夢中で走っていた。
その理由は少年の目立つ容姿だった。
周りと違うだけで常に喧嘩が絶えず、それをよく幼なじみが仲裁に入るが、今回はその幼なじみがいなかった上にいつもより強い喧嘩相手にコテンパンにやられて頭に血が昇り、気がつけば日が昇っているにも関わらず薄暗く生い茂る木々の中を無我夢中で走っていた。
途中冷静になったが時すでに遅く、薄暗い木々で少しだけ恐怖を感じた。
身体が震えつつ早く帰ろうと踵を返そうとすると・・・
・・・~♪・・・・・・♪~・・・・・・♪~・・・
ほんの僅かだが奥の光の先から何かしらの音が聞こえ、その正体が何なのか知りたいという子どもならではの好奇心で奥へ奥へと進み、やがて光の中へ行くと・・・
♪~♪~♪~♪~♪♪♪♪~♪~ ♪~♪~♪~♪♪ ♪~♪♪~♪~
そこにはひと際大きな木の下で変わった形をした竪琴をおぼつかない動きで弾きながら同じリズムを繰り返し口ずさんでいる自分と同じ、いや自分より少し幼い感じの子どもがいた。
少年は夢中になっている子どもに音をたてないようにゆっくり、少しずつ近づいた。
近づくにつれて少年はその子どもの容姿に息をのんた。
夜空に光輝く星を彷彿とさせる金髪の長い三つ編みが木漏れ日の相乗効果で更に輝いて見え、外に出たことがないのかと思わせるような白く透き通る肌と細い身体、泣きぼくろが右側にある美少女-というより美幼女-だった。
気がつけば少年と幼女との距離があと9~10メートル程の所で少年は立ち止まった。
幼女の演奏が繰り返している内に段々と上手くなり、もっと近くで聞きたいと思って再び近寄ろうと一歩踏み出した瞬間-
パキッ
足元の枝を思わず踏んでしまい、小さな音だったが少女が気づくには充分だった。
「だれ・・・?」
幼女は演奏を止め、少年と目が合った。
幼女の瞳は一つの目に異なる色彩が出ていてまるでホワイトオパールを彷彿とさせる不思議な色合いで、少年はその瞳に引き寄せられ、
怯えているのであろう声は弱々しく、容姿と相乗効果で庇護欲を掻き出たせる。
「ご、ごめん!邪魔する気はなかったんだ!!
ただ、その、演奏が気になっちゃって・・・」
少年は謝りながら腕を伸ばせば届く距離まで幼女に近づいた。
「・・・下手すぎて聞いてて不快だった?」
「そんなことない!確かに最初聞いた時は少しぎこちなかったけど段々と上達していって最後はとっても上手になった!」
「・・・ありがとう」
少年の言葉にふわりと笑う幼女。
「ところで顔や腕とか怪我してるけど大丈夫・・・?」
それに涙の痕も・・・と幼女は哀しそうに少年の頬に残った涙の痕に触れる。
その表情と白くて細い手に少年は顔を赤くして視線を下に向ける。
すると幼女の足に少し驚く。
「足、少し汚れてる・・・!
靴とか履いてないみたいだけど何で?」
「・・・気がついたら、裸足だったの。何を履いてたのかも分からない」
「・・・!ちょっと待ってて!」
そう言って少年は一時幼女から離れ、噴水の近くの蛇口を捻ってポケットからハンカチを取り出して濡らし、
辺りを見渡すと少年が入ってきた所の近くに真新しい幼女の服と同じ色をした爪先が丸みのある幼女の足に丁度良いサイズのバレエシューズが無造作に捨ててあったのを見つけ、片手で拾い上げて幼女の元へ戻ってきた。
「これ?君が履いてたのは?」
「・・・多分」
幼女の曖昧な答えをよそに少年はごめんねと一言謝ってからしゃがみ、幼女の片足を持ち上げて拭き始めた。
「・・・っ!」
少年の行動に驚いたからかそれとも濡れたハンカチが冷たかったからか幼女の肩がビクッとわずかに跳ねた。
もう片方も拭き終えると数分程自然に乾かせてから少年は靴を持ってゆっくりと履かせ、また離れて手を洗い直し、戻って幼女の両手を握ってゆっくり立ち上がらせ、爪先を地面に軽く打ちつけさせてから数歩前に歩かせた。
「うん、ピッタリだね」
「・・・ありがとう。でも、ハンカチが・・・」
「ハンカチくらい別に平気だよ。
それより君、名前は?」
「・・・名前?」
少年の言葉に幼女は首を傾げる。
「え・・・?もしかして・・・ないの?」
幼女は何の躊躇いもなく頷いた。
「困ったな・・・。
・・・あ、そうだ!ないなら僕が君の名前を考えてもいい?」
少年の大胆発言に幼女はただ頷くしかなかった。
「う~ん、そうだな~・・・。
花はないけど葉っぱから見て桜の木の下にいて・・・
・・・閃いた!
理由は桜の木の下で竪琴を弾いてたから!!」
「桜琴・・・みこと・・・」
「もしかして、気に入らなかった?」
「ううん、素敵な名前。ありがとう、えっと・・・」
「僕は―――」
・・・~い
少年が入ってきた方向から声が段々と大きくなりながら聞こえ、その声の主が姿を現した。
「お~い!ここにいたのかよ!ずっと探してたぞ!」
「あ、ごめん・・・」
「ったく。・・・ん?お前さっきまで誰かと一緒にいたのか?」
「ああ、紹介するy・・・あれ?」
少年は幼女を紹介しようと振り返るが、そこに幼女はいなかった。
「おっかしいな~。さっきまでここで演奏していたのに何でいないんだ?」
「演奏?」
「ああ、不思議な子で変わった形の竪琴を弾いててそれがすっごく上手かったんだ!今でもハッキリ覚えてるよ!」
「ふぅ~ん、それよりも早く帰ろう?ここって最近誰も近寄らなくなった森林に近い元公園だろ?先行くぞー」
「あ、うん・・・」
また会えるかな?、と少年は思いながら幼女が演奏していた木の下を見る。
「置いてくぞ
「あ、待ってよ
「・・・ありがとう・・・れーくん」
少年の前から姿を消した幼女は竪琴を手にかけて宙に浮かんで微笑み、見下ろしていた。
口調はこれでいいのかな・・・?
余談ですが投稿する前に利き手の人差し指を破片で切っちゃいまして、本州みたいなカーブの切り傷ができてしまい、めっちゃくちゃ痛い・・・(´;ω;`)