戦姫絶唱の世界で某錬金術師の成り代わりかと思ったら死神の世界って… 作:シヒイシレアサ
あと本家のと結構変わります!←
目を覚ますとさっきまで感じていた浮遊感がなくなってた代わりに硬くて冷たい感触を背中で感じ、起き上がると森林に近い元公園からどこかのビルの屋上にいた。
まさかと思って見渡すと今いるビルより低い建物が結構あるが、もしかして都会に瞬間移動させられたのか?
おそるおそる下を覗くとパトカーやらバスみたいな形をした車やらが何台もビルの付近に止まっており、さらに白黒の人が何十人もいた。
え、何、まさかこのビルで籠城事件が発生してるの?うっわこっわ。
だけど白黒の人たちをよく見ると、武装はしてるが制圧するための武器はないのがぼんやりと分かるからその線はないな。あと多分向こうはこちらが小さすぎて見えないだろう。
なんか叫んでるように見えるけど何て言ってるんだ?
どうにか何て言っているのかわかればな・・・。
・・・あ、そうだ。ダウルダブラを起動すればワンチャンあるんじゃないか?幸いなことに竪琴は倒れてるけどここにあるし。できるかどうかはわからないけどやってみるしかない。
そう思っていそいそと中央に倒れてる竪琴を起き上がらせて深呼吸し、奥から手前に奏でる。
すると竪琴が起動してくれて、ファウストローブとして自身に纏うのと同時に全身に痛みはないが幼女から大人の姿に変わるのも感じた。
よかった、この世界の主人公やもう一人の子(で合ってる?)みたいに全身が熱や激痛を感じるタイプじゃなくて。もしそのタイプだったら確実に詰んでた。私Mじゃないから熱いの痛いの嫌だし。
纏い終わると両手を胸の辺りまで上げて開いたり閉じたりしたり、背中を見ながらくるりと一回転したりなどといろいろ確認した。
「・・・成功・・・だな」
あ、声がちゃんとキャロルになってるやったー!
いや~まさかできるとは思ってもみなかったけどできるとは・・・もう感無量です。←
そういえば幼女から大人の姿になる事に一部のファンから「もどして」って言われてたんだよな。え?その時の私はどうだって?・・・これでも自分は生物学上女で周りからはよく男っぽいと言われてたが、だからって「もどして」何てことは言ってもないし思ってもない。少女になっても大人になってもキャロルはキャロル。容姿も魅力的だがぶっちゃけ性格と戦闘シーンの方に私は惹かれたんだ。まぁその一部のファンの嘆きの言葉にはさすがに若干引いたが。
話を戻そう。実は大人の姿になって纏えたのは良いのだが本家とは違う部分があって、それが胴体の部分の露出部分がなぜか前の布?と同じ素材のほぼ黒に近い蒼の布?が前の布?とくっついてた。なのでよく見なくてもわかる露出部分が下半分の二の腕と太ももだけ。何でだ?この世界が少年向け作品だからそれなりの規制がかけられた?←
・・・話を戻そうと言ったのに話が脱線しすぎたな、いい加減実行に移さないと。
気を取り直して人差し指を立てて弦を一本出し、それを特に人口密度の多いところにバレないように伸ばし、両端をコップの形にして耳を澄ます。要は糸電話の要領だ。
『・・・ぎ・・・ら!ぉ・・・何・・・りやっ・・・・・・だ!さっ・・・バラし・・・ま・・・よ!』
・・・まぁわかってはいたがちゃんとしたものじゃないから途切れ途切れで聞こえるのがやっとなのはいいが、バラし・・・バラす・・・ばらす・・・どっかで聞いたことがある単語だな・・・何だっけ?
・・・あ!思い出した!バラすって
深呼吸して何とか落ち着きを取り戻し、どうやって助けようかと考えながら浮遊してから下の人たちに見つからないように爆弾のあるフロアまで勢いよく飛び降りた。
――――――――――………――――――――――
防護服を着ないで後ろの仲間に説明しながら爆弾を解体する襟足が長めの男性が途中で鳴り出した電話に説明を中断して出る。
「って松田、何の用だ」
『萩原!お前何のんびりやってんだ!さっさと
「おいおい、そうがなりなさんな、」
そのまま通話を続けると、止まった筈のタイマーが再び動きだした。
「っ!みんな逃げろ!逃げるんだ!!」
残り時間が僅かで逃げる暇もなく、これまでかと誰もが思ったその時・・・
パリィンッ
突然窓が割れそこから一人の女性が彼らの前に現れ、爆弾を見るやいなや片手で操る五本の弦でそれを持ち上げ、そのままその腕を外に振ってそれを勢いよく放り出した。
かなりの距離まで放り出され落ち始めようとした直後、それは大きな音を立てて爆発し、たとえ距離があってもそれなりの爆風が来ると全員身構えたが女性が外側に背を向けて間に立ち、庇ってくれたおかげか爆風はほとんど感じなかった。
「た、助かった・・・」
隊員の誰かがそう呟いたのを切欠にその場にいた隊員全員が腰を抜かしたりと安堵した。
「・・・おい」
通話が切れた携帯を片手に床に座っている萩原に女性が声をかけた。
「ん?俺に何か用かいお嬢さん・・・?」
「・・・この愚か者が。なぜ爆弾という危険物を前に防護服を着ないで解体処理を行い、その途中で煙草を吸い始めたり、そして最後まで処理を終わらせなかったんだ?まさか自分は防護服がなくとも余裕で処理できるから態とギリギリまで時間をかけようと思ったのか?それとも着なかったのはただ単に暑いし動きにくいからという浅はかな理由で着なかったのか?だとしたら大層なことだな。全くもって緊張感や危機感が足りんな。お前のような怠慢、いや慢心している奴が先程のような愚かな行いをすると周りの人間まで巻き添えになるのを分かっていなかったのか?それに本来解体処理を行う際に着る防護服は己の身を爆発による衝撃から護る為にあるのだから絶対必要、義務付けられているのを忘れたのか?見る限りお前は常に死と隣り合わせの部署にいるようだがお前が自ら死を望んでいないのならそれぐらい分かっていた筈だ。あと爆発物を目の前に煙草を吸うとは相当いかれてるな。そもそもあんな爆弾がただ単に処理して終わりとは限らないだろ。タイマー機能の他に盗聴器や水銀レバー、遠隔操作などの線も考えられるがそうは思わなかったのか?あぁ??」
「お、おっしゃるとおりです・・・」
仁王立ちして腕を組みながら上から目線で説教するコスプレのような変わった武装をした金髪美女、愚か者がと言われた時点で正座に座り直している萩原を見た彼の仲間は・・・
「「「「(は、萩原さんが変な恰好の美女に説教されてる・・・!?)」」」」
声を出したくても出せないまま、ただ驚きを隠せないでいた。
「・・・今日のことで防護服の大切さや自分が如何に愚か者だったか分かっただろう。もう二度とこんな愚かな真似をするなよ、いいな?」
やっと終わったようで女性は踵を返し、入ってきた窓に向かいだした。
「ちょっ、ま、待ってくれ!君は一体、誰で、また・・・会えるか・・・?」
「・・・誰なのかはノーコメント、会えるかどうかはお前がもう今日のような愚かな真似をしなければ会えるんじゃないか?」
あとはよろしく、と自身を呼び止めた萩原に女性が振り返りややいたずらっぽく笑って言い残すと窓から飛んで出て行き、途中青寄りの紫色の光に包まれて消えていった。
「・・・あーあ、行っちまった・・・」
「な、何だったんでしょうか萩原さん・・・?」
「さぁな、ただ言えるのは・・・あの美女は俺たちの命の恩人の女神様ってことだな」
「女神様って・・・女神というより恰好的に魔女じゃないんですか?」
「いーや!俺から見ると魔女じゃなく女神様だ!!」
正座したまま確信した萩原の片手に持った携帯が鳴りだし、慌てて電話に出る。
『おい萩原ァ!いきなり空中で爆発したがお前もしかして爆弾を投げ出したんじゃねぇだろうな!?』
電話の相手の怒鳴り声で萩原の気分は急降下した。
「え、あ、あーいや、その・・・投げたのは俺じゃなくてだな・・・爆発する数秒前に窓から飛んで来た女g「「「「萩原さん!」」」」・・・パツキン美女が投げて今さっき窓から飛んで出てったからそっちでも見えただろ?まぁすぐに光って消えちまったが」
『ハァ?投げたのが美女でしかも飛んで出てった上に光って消えただ?
爆発してからずっと見上げてるがそんなもん全く見えなかったが?お前もしかして爆風でどっかおかしくなったか?』
「は!?嘘だろ!?お前の目おかしくなってんじゃねぇか!?」
『おかしくなってねぇよ!視力は警察学校時代からずっと良好だ!とにかく萩原!お前後で説教だかんな!あと報告書とかも待ってんからな!!』
覚悟しとけよな!!!と怒鳴られて電話を切られた。
「おいおい、二回も説教させられんのかよ。勘弁してくれ・・・ぅゎ足痺れた・・・感覚がねぇわ・・・」
Q.なぜ飛び降りた時と出て行った時に外にいた松田たちに目視されなかった?
A.実は無意識にガリィの能力で空気中の水分を鏡に見立ててある意味透明人間的なことをしてたので下から見てた人たちには見えませんでした。
あれ?ここは厳しめにする気は全くなかったのですがなんか厳しめっぽい・・・?