戦姫絶唱の世界で某錬金術師の成り代わりかと思ったら死神の世界って…   作:シヒイシレアサ

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・・・ここももしかしたら変な上に短いかも・・・


第6話:やってやる・・・

またもやあの光に包まれて、気が付いたら竪琴を片手にどこかの道路の蛍光灯に突っ立っていた。危なっ!

しかも今度はあのフワフワな青と白の服を上に着ていた。とんがり帽子がないけど。やっぱり救済したら服が追加されるのか、XD UNLIMITEDのミッションみたいに。

にしても寒い、寒すぎる。季節的に冬?冬なの?服が追加されたのはありがたい、ありがたいんだけどもさ、この気温でこれだと薄着すぎるわ。ないよりはマシだけど。

・・・あ、錬金術の火で何とかなるんじゃないか?そう思って早速震える手を前に翳そうとした。

 

「・・・あ、」

 

そこに話しながら歩く男性二人が視界に入った。危ない危ない、もし光でバレたらいろいろ拙いからな。でもよく見ると片方は爪楊枝を咥えてるタフガイな感じで、もう片方は隣と比べて失礼だが若干頼りない感じだ。あれ?頼りない方はどこかで見たような・・・?

う~ん、何だったっけ・・・?

乏しい脳を必死に使って思い出そうとしていると、遠くから車が猛スピードで彼らに向かってくるのが見えた。

あ、これはもう別の意味で拙いな。

そう判断してダウルダブラを起動して纏い、すぐさま行動に移した。

 

 

――――――――――………――――――――――

 

 

朝方に男性が二人、徹夜で張り込んだ帰りの途中、一人の男性が手帳を懐から取り出そうとしたらそれを落としてしまい、慌てて拾おうとした矢先に車が迫ってきた。運転手は居眠りをしていて全く気がついてない。

 

「伊達さん!!」

 

轢かれそうになる男性―伊達航―は顔を腕で覆い、目を瞑る。

 

だが来る筈の激痛が襲って来ず、おそるおそる目を開けると自分の前に無数の弦が張り巡らされ、車の軌道を逸らしていた。後ろを向くと自分にぶつかると思っていた車が障害物にぶつかるギリギリで止まっていた。

 

「な、何なんだ・・・?」

 

「伊達さーん!大丈夫ですかー!?」

 

「っ!た、高木!運転手の所に行って生存確認してから救急車と応援と現場保存!!」

 

「は、はい!」

 

我に返った伊達に指示されたもう片方の頼りなさそうな男性―高木渉―はすぐさま車の中の運転手に駆け寄る。

 

「・・・ッ!?」

 

伊達は途中視線を察知し、周囲を見渡してから見上げる。

そこには金髪に不思議な色の瞳、整った顔立ちに独特な武装の女性が蛍光灯の上に立っていた。

そのあり得ない光景に伊達は再び驚愕した。

 

「・・・」

 

女性は無言で蛍光灯からフワリとまるで羽根のように降り、僅かな音を立てて着地しコツコツと数歩進み、しゃがんで手帳を拾い上げ、軽く叩いて汚れを落としてから硬直している伊達に近づき、差し出す。

 

「え、」

 

「・・・大切な物なんだろ?」

 

もう落とすなよ、と男性に言う。

伊達は驚きを隠せないまま受け取る。

 

「た、助けてくれてありがとな、恩に着る」

 

「・・・今後は気をつけろよ」

 

女性はそう言って踵を返したが、待った!と静止をかけられる。

 

「何だ」

 

「お前さん、もしかしてあの“女神 アリアドネ”か?」

 

「は?女神?アリアドネ?何なんだそれは?神話の名前か?」

 

「いや実は数年前俺の同期二人が一人の女性に救けられたらしくてな。

名前はノーコメントって言われたからってその女性の事を一人は女神様、もう一人は糸というよりワイヤーみたいなのを使ってたが神話からアリアドネって呼んだみたいでな」

 

二人から聞いた特徴がお前と一致してたからもしかしてな、と伊達は落ち着きを取り戻す。

 

「・・・その二人は元気か?」

 

「やっぱりお前さんがあのアリアドネか!

助けてくれたおかげで今もあの二人は生きてるぜ!まぁ何でかは知らんがお前さんを必死に捜してるがな・・・」

 

とりあえず気をつけとけよ、と苦笑いをする伊達。

 

「伊達さーん!運転手は気絶してるみたいですがほぼ無傷で生きてます!救急車と応援はあと少しで着くそうです!」

 

「そうかー!分かったー!!」

 

高木に遠くから言われ、その方向へ視線を向けると。

 

「・・・Ich wünsche dir Glück.」

 

何やら女性の方から小さく呟くのが聞こえ、もう一度女性に視線を戻すと、そこにいた筈の女性が消えており、弦もいつの間にかなくなっていた。

 

「・・・ん?どこ行ったんだ?」

 

「伊達さ~ん!」

 

首を傾げる伊達に高木が駆け寄ってきた。

 

「おお高木、運転手の傍にいなくて大丈夫か?」

 

「はい!救急車と応援が来たのでお願いしました!」

 

「そうか」

 

「にしても車に轢かれそうだったのにその車が軌道を逸らしてしかもギリギリで止まってくれたおかげで伊達さんと運転手もお互い無事なんて奇跡ですね!」

 

「・・・実はな高木」

 

「はい!」

 

「・・・いや、何でもねえ」

 

俺とこいつのために言わないでおこう、密かに思った伊達であった。




Ich wünsche dir Glück.
 訳:お幸せに。
 直訳:私はあなたに幸運を祈ります。

今回はドイツ語を使ってみました!今後も何かしらに使う予定です!

これで警察学校組救済完了!特に伊達さんとスコッチさんが苦労しました・・・(-ω-;)

余談ですがなぜ伊達さんが言わないでおこうと思ったのは、高木さんがつい口を滑らせて爆処組に知られ、しつこく聞かれる可能性があったからです。

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