「親愛なる隣人」

一部のマスメディアやプロヒーローたち以外にはこんな呼ばれ方してる僕の話。
僕のこと、知ってほしいんだよね。ちょっと時間ある?

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 やぁ!
 話を聞きに来てくれたんだね!

 じゃあ、椅子を用意するから座って座って!

 いつ、何が起きるかわかんないから、途中で終わっちゃったらごめんね?


The Origin

 じゃあ、改めて。

 君も知っていると思うんだけど、僕は【個性】なんてものが世の中に広まってる世界でヒーローやメディアにヴィジランテなんて呼ばれながら嫌われつつ趣味でヒーロー活動をしているんだ。

 そんな僕って言う人物を君にも知っておいて欲しかったんだよね!

 ん?なんでかって?

 ……まあ、こんな活動してるとマスメディアやプロのヒーローの皆に総スカン食らっちゃうんだよね!あっはっは!

 敵ばっかり作ってるのは、こっちとしても望んだものじゃないからさ?ちょっとずつ知っていってほしいなー?なんてね!

 

 まずは僕の起源である【Origin】から知っていってもらおうかな!

 僕は生まれてずっと【無個性】なんだよね。

 

 え?僕の【個性】を見たことがあるって?

 あー、実はあれ、【個性】じゃないんだよね……。

 どちらかっていうと科学の産物なんだよね!僕ってこう見えて頭がいいんだよ?

 バカっぽい話し方してるからそんな風に思えないって?

 ……なかなかズバズバっと心に刺さること言ってくるね。

 

 まあ、いいや!よくはないけどね!

 とりあえず、僕は【無個性】であることを認識してくれたかな?

 

 そんな僕はまあ、【個性】がないってことでいじめなんてものを受けていたんだよね。

 今時そんなに珍しいことでもないんだけど、やっぱり当事者としては凄くきつかったんだよね。

 でもそんな心が折れそうなときに知ったのが【オールマイト】なんだよね!

 彼に僕は一度救われてるんだよ。

 まだ僕が弱虫だった頃にみんなに見捨てられてヴィランに襲われているときにね。

 いやあ、ほんっとすっごいよね!

 

 あ、君もそう思う?

 だから僕は彼を目指して、【無個性】という枷をつけたままヒーローとしての活動する手段っていうものを探したんだよね。

 

 ん?諦めなかったのか?

 そうだね。僕は何度も挫折を繰り返したよ。

 ただ、僕には『オールマイト』以外にもあこがれのヒーローが居てね、その人たちはいつも隣から支えてくれてたんだよ。

 誰だと思う?わかんない?

 ヒントは……そうだね。みんなの近くにも居る人。

 

 そう!ご名答!【両親】なんだよね!

 まあ、僕の場合は両親ではなくて、叔父さんと叔母さんなんだけどね。

 二人は僕にとって両親の代わりだったんだよね。

 二人ともすごく優しくていい人たちだったんだよ。

 

 ん?なんで過去形なのかって?

 んー、それはまた後で話そっかな!

 

 まあ、そんな訳で二人に支えられながら僕は今のヒーローとしての活動を始めた訳!

 最初は荷物持ちやゴミ捨てなんかをしたりしてたんだよね。

 で、そんなことをしてたら色んな奴から目を付けられるんだよね!

 いやあ、襲われはするし、もの投げつけられる。

 一番怖いのは人間なんだって改めて思ったね。

 ただ、そういう活動を通してちょっとずつ鍛えられてたみたいんだよね。

 そのおかげで返り討ちに出来たりもした訳!

 そりゃあ、不法投棄なんてされてるゴミなんかはすっごいおっきいものもあるしね!

 

 実はそれだけじゃなかったりするんだけどね。

 僕の身体能力は君も知ってるよね?

 そう!すっごい身体能力でしょ?思いっきりジャンプしたらすごい高さになっちゃってね。

 毎回ちょっと怖い思いしてるんだよね!あっはっは!

 

 で、あれってさ、突然変異なんだよね。【身体強化の個性】とかじゃないんだよ。

 なんで言い切れるのかって?

 僕のことを捕まえにきた抹消ヒーローなんて言われてる『イレイザーヘッド』に消されなかったんだよね。

 自分でも【常時型の個性】なんて思ってたから、びっくりしたよね!

 

 ただ、そんな身体能力を持っちゃったら調子に乗ってしまうんだよね。

 あの頃の僕はバカだったよ。

 力に力で抵抗したら、跳ね返りがあるのは当然なんだ。

 ヴィランやヒーローを甘く見ていたんだよね。

 

 僕のヒーローである叔父さんはヴィランによって殺された。

 それも、僕が見逃しちゃったヴィランにね。

 まあ、当時の僕には多くの人からの悪意を受け流すことが出来なくってさ。

 事件現場の付近のヒーローたちに言われちゃったんだよね。

 『邪魔だ』『消えろ』『犯罪者』

 そういわれた僕は、ならもういいやなんて見逃しちゃったんだよね。

 沢山いたヒーローがヴィランを逃がしちゃうなんて思わなかったからね。

 

 当然その叔父さんを殺したヴィランにもその場にいたプロヒーロー達に対してもさ、復讐も考えたよ。殺してやりたかった。苦しめてやりたかった。

 

 ただ叔父さんは言ってたんだ。

 『大いなる力には大いなる責任が伴う』

 

 だから、僕はヒーローとして軽口を叩きながら戦った。

 僕が軽口を言いながら戦うのは自分の負の面を隠してーっていうのがあるんだよね。

 

 そりゃ、僕だって怖いさ。

 もし、暴走した電車を止められていなかったら。もし、博士を止められていなかったら。

 まだまだ高校生の僕だ。しかも一般の高校に所属してるだけのただの男子高校生だよ?

 

 でも、だから、普通の日常が分かるから。

 皆にとっての日常ってものを守りたいだなんて思ったんだよね。

 

 あ、そうそう!普通の一般男子高校生だからマスクして活動してるんだよね!

 イカしてるでしょ?

 わかってるね!サインいる?

 

 まあ、これが僕の【Origin】さ。

 おっと、相棒から連絡が来ちゃった!

 ごめんね、続きはまた今度!




 次は今までの事件についてなんて話そうかな!

 ほかになにか話してほしいものなんてあったらメッセージ頂戴!

 あ、サインは転売禁止だから!

 じゃあね!


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