「キスマークや手形が凄いですね」
「流石NO.1ヒーローってか」
「やれやれ、ここまで足止めを食うとは。危うく約束の時間に遅れる所だった」
緑谷とオールマイトと合流した狂夜と桜は少し呆れ気味だった。オールマイトの顔には無数のキスマークがあり、身体には手形が残っていたからだ。オールマイトは手でキスマークを拭い取りながら呟いた。
「約束?」
「ああ、私の古くからの親友と会う約束をしていてね。悪いが少し付き合って貰おうと思ってね」
「あ、だったら俺達は席を外しましょうか?」
「そうですね。久しぶりにご友人に会うのに私達が居たんじゃ……」
緑谷がオールマイトの呟きを疑問に思うとオールマイトから答えが提示された。それを聞いた狂夜と桜は席を外そうとしたがオールマイトは手で制した。
「なーに、感動の再会するのにギャラリーは付き物さ。一緒に居てくれて構わないよ。勿論、キミ達が嫌じゃなければね」
「オールマイトの親友……是非!」
「そこまで言われたら断れない無いですよ」
「失礼の無い様に静かにしてますね」
オールマイトの発言に緑谷は鼻息荒く、狂夜と桜は同席するなら邪魔にならない様に静かにしていようと考えていた。その時だった。
「おじさまー!」
「ん?」
「あら?」
「え?」
狂夜達の背後からビョンビョンと何かが跳ねる音が聞こえたと同時に女性の声が聞こえる。振り返れば個性的なホッピングに乗った金髪の女性が。
「マイトおじ様!」
「OH!メリッサ!」
飛び込んで来た金髪の女性を抱き止めたまま、クルクルとその場を回り始める。ハッハッハッと笑うオールマイトに笑顔を見せる女性。
「アレがオールマイトの古くからの親友か?」
「だとしても歳が離れすぎてると思うんですが……」
「個性で若くなってるのか……それとも……ブツブツ……」
狂夜は思った事をストレートに口にして、桜は当然の疑問を口した。緑谷はいつもの調子で個性分析をしていた。
「おっと、彼等を置き去りにしたままだったね。紹介しよう。私の親友の娘で……」
「メリッサ・シールドです!はじめまして!」
「「「あっ、そういう事(ですか」」」
オールマイトと金髪の女性メリッサ・シールドの紹介で得心がいった狂夜達は同時に納得の声を上げた。
「あ、えっと……雄英高校ヒーロー科の緑谷出久です!」
「同じく雄英高校ヒーロー科の間桐狂夜です」
「私は間桐桜です。まだ中学生で兄さんと一緒に見学の為に来ました」
緑谷が自己紹介したのを皮切りに狂夜と桜もそれぞれ自己紹介をすませる。
「雄英高校って事は……マイトおじ様の!?」
「ああ、未来のヒーロー候補達さッ!」
メリッサが驚くとオールマイトが補足した。その様子に緑谷と狂夜は照れてしまう。
「いや、そんな……」
「俺達はまだまだ未熟でして……」
「そんな事は無いわ!おじ様の教え子なら将来有望ね!」
緑谷と狂夜は思わず否定しようとしたがメリッサは緑谷と狂夜の二人はオールマイトの教え子であり、太鼓判を押された有望株なのだと考えていた。
「アナタ達、個性は?そっちのアナタはフルメタルのプレートアーマーみたいだけど……こっちのアナタはコスチュームはカッコいいけどオーソドックスなデザインね。補助的なアイテムも無いみたいだし……コスチュームの改良が必要ね……」
「あ、どうも……」
「ち、近い……」
メリッサは狂夜と緑谷のヒーローコスチュームをジロジロと見る。狂夜の方は問題無いと思ったのか見定めが早く、寧ろ緑谷の方に問題がある事を見抜いていた。実際、緑谷の古傷を見て心配そうにしていた。緑谷は女性との距離が近い事で顔を真っ赤にしていた。
「ゴホンッ!メリッサ、そろそろ……」
「あ、ごめんなさい。つい癖で……行きましょう!」
オールマイトの咳払いでハッとなったメリッサは先程まで乗っていたホッピングを掴むと光と共にコンパクトに収納されていった。
「何気なくやってるけど凄いなアレ」
「あっという間に収納されちゃいましたね。凄いです」
サラッとされた事で見逃しそうなものだが何処かのアニメの収納カプセル並みに凄い機能である。
この後、研究棟に行ってオールマイトの親友のデビット・シールドと会った狂夜達は驚愕した。デビット・シールドはノーベル個性賞を受賞する個性研究の第一人者でオールマイトがアメリカで活動していた頃の相棒であり、オールマイトのコスチュームの全てを開発した天才科学者……と言う事が緑谷の口から語られ……狂夜と桜はオールマイトからの説明を聞かずとも目の前の人物が何者なのかよく理解していた。
その後、デビット博士とオールマイトが親交を温めると二人きりになる事になり、狂夜、緑谷、桜はメリッサの案内でI・アイランドのエキスポを回る事に。
メリッサの案内で緑谷、狂夜、桜は解説付きで楽しくエキスポを回っていた。多目的用モービル、潜水スーツ、36種類のセンサーが付いてるゴーグルと様々な物を見学して回っていた。
傍から見れば緑谷とメリッサ、狂夜と桜でカップルに見えるだろう。だからこそ緑谷とメリッサと少し離れた位置にいた狂夜と桜は気付いたのだ。
「兄さん、あれって……」
「麗日と耳郎と八百万だな」
緑谷とメリッサの跡を追う3人の女の子達。特に麗日は張り付いた様な笑顔だった。
「面白いから俺等も跡を追おう」
「兄さん、絶対に面白がってますね」
緑谷とメリッサの跡を追う麗日、耳郎、八百万の跡を更に追う狂夜と桜。
中々に異様な光景ではあるが人が多いエキスポでは案外目立たないものである。