オリジナル設定入る際は前書きに注意入れます。
Side:Tom
父に捨てられ、母は壊れた。
気が付いたときには孤児院にいて、不思議なことが度々起こるようになって自分は他人とは違うことを思い知らされた。
僕は自分が他の子供とは違うことを知っていた。
物を浮かせたり、触ることなく誰かを傷つけたり。勿論それ以上のこともやろうと思えば出来た。最初はみんな出来て当たり前だと、ただやらないだけなんだと思っていた。
でも次第に、周囲から向けられる視線でそれが間違っていることに気付いた。
僕は選ばれた人間で特別な力を持っていたから、誰もが僕を恐れて近付かなくなった。
いつも独りだった。寂しいとか、悲しいなんて感情を持ったことは無い。
しつこくちょっかい出したりはしてくるが、大抵いつものように“お話”すればしばらくは大人しくしていたし、何より低俗な人間に関わりたくもないから都合が良かった。
くだらない毎日がこれからも続いていくんだと思っていた。
けれど、“そいつ”はある日突然やってきた。
「初めまして、トム。私の可愛い弟」
孤児院の中で周りに恐れられていた僕ににっこりと笑って話しかけてきた”そいつ”はあろうことか僕を『弟』と呼んだ。
僕が誰の弟だって?と鼻で笑い飛ばしてやろうとしたけれど、それができないくらい僕たちは似ていた。僕と同じ髪色、同じ色の瞳、そして笑い方までそっくりだった。
けれど『姉』と名乗った“そいつ”は僕以上に
目を合わせた瞬間に、体全体が何かに反応して皮膚がピリピリと痛んだ。
「何の用」
疑問符をつけずに答えた僕に“そいつ”は困ったような笑みを浮かべて僕の頭を撫でる。
元々他人に触られるのは好きじゃないから手を払いのけようとしたけど何故かそんな気持ちは徐々になくなっていった。
“そいつ”はシスターに許可をもらうと、僕を孤児院から連れ出した。
「ちょっと、どこに……」
「秘密の場所です、迷子にならないでくださいね?」
手を繋いでいるのに、迷子になんてなるわけないだろう。
“そいつ”は僕の手を握ったまま、孤児院から15分程歩いた辺りの一軒家の前でぴたりと足を止めた。
今度は何だ、と見つめていると僕の方を振り返って言った。
「将来は、ここに住もうね」
「……は?」
「私は一足先にホグワーツへ通うのでしばらく会えなくなりますが、トムはここへ自由に来ていいですよ」
「何?ホグワーツって」
「ここなら鬱陶しい視線も何も理解しようとしない
「マグ?何?何を言ってるの。好きにって、家なんてどうやって」
「どうやって、って勿論、
「そんな簡単に……」
その時ハッと我に返って“そいつ”の顔を見上げる。
自分と同じなその瞳が、妖しく輝いてるのを見て背筋がゾッとした。
自分と同じ『はず』の血が繋がっている”そいつ”の存在が急に恐ろしく思えて、その場から逃げ出したいと思えるくらいに、僕は恐怖していた。
「トム?」
「……どうやって、お願いしたの」
急に黙り込んだ僕の様子が気になったのか、”そいつ”は僕の顔を覗き込むが、絞り出すようにしてようやく言葉を吐き出すと、事も無げに”そいつ”は答える。
「手段ってそこまで大事ですか?結果がすべてでしょう?今、私とトムがいれる場所が此処にある、それだけでいいじゃないですか」
「……っ、」
「それに、手段がどういうものか、トムは気付いているでしょう?」
「そんな、こと……」
そんなことを言い出した”そいつ”に否定の言葉を返すと、心底不思議そうな顔をしてから微笑んで、爆弾を落とした。
「魔法、使えますよね?」
「っ……!」
しまった、こんな分かりやすく動揺を表に出すなんて……!
「トム、私は貴方の血の繋がった姉弟。それなら私も魔法が使える。……当たり前のことでしょう?」
聖女のような笑顔を浮かべた”そいつ”は僕の両手を自分の手で包み込んでそう言った。
「貴方は孤独じゃないの。これからは私がそばにいるわ」
あぁ、なんて甘い毒なんだろう。
この女は、この"姉"は。
「…………ねぇ、さん」
「トム、トム……私の弟、愛しい弟」
そっと僕の額にキスをするジルからは甘い香りが漂い、鼻をかすめた。