USJ編から
想いや意志を引き出せる、引き継ぐ個性だとしたら、とか考えて数ヶ月前(下手すると1年くらい前)からつくったやつ
前任達の意思みたいなのが出てくるならこういうのもありなんじゃね?
知らんけど
「何十人ものプロ相手じゃさすがに勝てない…あーあ、ゲームオーバーだ…今回はゲームオーバーだ」
無個性の僕が憧れのヒーロー、オールマイトから
楽しくも自分の個性を知り人命救助にどう扱うかを学ぶ時間だったその授業に
「帰ろっか」
興がさめたと言うように肩を落とし僕らに背を向け報告に来た仲間に告げる死柄木と呼ばれたリーダー格の男。
突然現れ「
「ヤッタァ!俺たち助かるんだ!」
「ええ…でも、なんだか気味が悪いわ緑谷ちゃん」
「うん、これだけの事をしておいてあっさり帰るなんて…」
おかしい。
時間割や誰がここに来るかも調査をし、オールマイト殺害を邪魔されないように人質やヒーローとしての矜持を折るため僕らを殺す事を目的としたワープの個性によるクラスメイトの分散、そして相澤先生を圧倒する程の攻撃力を持つ恐らく対オールマイト用に連れて来られたヴィラン…これだけの準備計画をしておきながらこのまま本当に帰るのか?
(オールマイトを殺したいんじゃないのか?!ここで帰ったら雄英の危機意識を高めるだけだぞ!!ゲームオーバー…何だ、何を考えてるんだこいつら!!)
「けどもその前に、平和の象徴の矜持を少しでも…」
「 へ し 折 っ て 帰 ろ う か !! 」
ゆっくりとこちらを振り向いたと思ったら気がついたら僕らの目の前に居て梅雨ちゃんの顔に手を伸ばす死柄木。
脳裏をよぎったのはコイツの手に触れられて崩れた相澤先生の肘。
突然のことに停止した脳が動き出した時にはもう遅かった。梅雨ちゃんの顔に手が触れる…
「本当にかっこいいなぁ…イレイザーヘッドォ!!」
脳無に抑えつけられていた相澤先生がこちらを見ていた。
相澤先生の個性《抹消》の力で死柄木の能力を消してくれたんだ!!
だがそれも一瞬、すぐに脳無が相澤先生の顔を地面に叩きつけて視線を切る。
(ヤバイヤバイヤバイヤバイ!!!動け…梅雨ちゃ…助けて…逃げなきゃ!!)
「手ぇっ、離せぇぇぇ!!!」
考えている間に体が動く、個性を発動させた右腕が死柄木を狙う
「脳無」
あのヴィランを呼ぶも僕の方が早い!
肉を打ち叩く拳に確かな手応え。
しかし殴った右腕は壊れていない。
(折れてない?!調整ができたんだ!!)
やった………?
立ちはだかる黒い筋肉の壁。
分厚い胸板が弓なりに張られ、叩き潰そうと右腕を力いっぱい引く動作から見て、全力の右打ち下ろし。
僕の頭蓋を砕こうと拳が迫る。
人が死を目前にすると走馬燈を観たり、周りがスローモーションに見えるって聞いた事あるけど本当なんだって暢気にも思ってしまった。
ごめんなさいオールマイト。
ごめんなさい母さん。
僕はここで死【左斜めに転がれ】
豪!!!
んでなかった……。
体の横を大砲が通ったような圧を感じながら僕は地を転がって脳無の背後に回る。
何故動けたのかも分からない。
が、今こうして僕は立ち上がろうとしている。
【腰を穿て】
これだ。
頭の中で何かが指示とイメージが浮かんだら体がいつの間にか動…
【踏み潰せ】
待っ……!!!
ぐしゃっ。と、踏み込んだ足が
虫を素足で踏み潰したような気色の悪さ。
怖気が足先から伝わり膝を揺らす。
なんで……どうして……。
頭部を破壊されて痙攣する敵から、震える体をどうにか動かして離れ両膝を着いた。
僕は…いったいどうなってしまったのか。
突然脳内に現像されたヴィジョンと指示通りに体が動いた…いや、動かされた、そう気づいた時には僕の足元には血溜まりが出来ていた。
初めての感触と目の前のグロテスクさに喉元まで胃液が上り詰めてくる。
二度嘔吐くと、峰田くんの方から何かをぶちまける音が聞こえた。
【死にたくなかったのだろう?】
体の内から語り掛ける男の声。
(誰なんですか…僕はこんなこと)
【死ねないのだろう?】
(死ねない……死んだらオールマイトから託された意味が……でもヒーローは悪であっても人を殺しちゃいけない)
【それで殺されては何も護れぬぞ?】
(僕は……強くなりたい…笑顔で皆を護れるように…)
【そうか。】
【ならば続け九代目、過去を受け継ぐ者よ】
【
声が叫ぶとワン・フォー・オールとは違う何かが全身を巡る。
胸の内から、丹田から力が湧き上がってくる…??!
満遍なく力が行き渡ると、頭の中に映像が流れてきた。
中華系の赤毛の男が幼い頃からその身を終えるまで追い求めた理想が。
理念が。
信念が。
【目を拓け】
【立ち上がれ】
【拳を構えろ】
【お前が護るのだ】
声に従うままに眼を開け、立ち上がり、拳を作って
そこには頭部を半壊されたのに痙攣し煙を上げ、糸で引っ張られたようにして胸から起き上がる脳無。
あれでも死なないのかと常識を疑うも深呼吸して脱力。
丹田に気を練りそれを脚に、腕に身体に回して、
一歩。
音を置き去りに、2m程あった間合いをその一歩で詰め、半身のまま地を震わせる程の踏み込みと爆音と共に右肘を突き出して一打。
凡そ人体から鳴るような音ではない音が鳴ると脳無の腹部にめり込み突き刺さった衝撃が背後の木々まで突き抜け倒す。
【(まだだ)】
残心を解き、鳩尾に向けその場で踏み込み、身を返し左拳を斜め上へ突き上げる。
「【七孔噴血、撒き散れい!!】」
そして再度、地が揺れ爆音が鳴った。
人体が弾けたのでは?と思える程の一撃に脳無の体が浮き上がり三度目の地震と衝撃音。
震脚と共に地へしゃがみ込むかのように下げた体を相手の下へと潜らせ弾丸のように立ち上がるようにして背面での一撃、肩甲骨を胸骨に、背を腹に打たれた脳無がピンポン玉をバットで打ちとばしたように跳ね飛び木々をなぎ倒す。
【受け渡したぞ。】
【これが
【その名を】
「八極拳」
評価次第では続く(待て、しかして希望せよ)
続くな(本音)