ロクでなし魔術講師と東方魔術剣士と禁忌教典   作:KAMITHUNI

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オゥ、長ぇ〜……_| ̄|○
しかも、なんか最後の方は集中切れてゴタゴタだ。
ま、まぁ完成したからいっか?

感想や評価をお願いしヤァスッ!!


テメェが勝手にテメェの命を秤にかけてんじゃねぇぞッ!!

「ケ、ンヤ……」

 

 

弱った声で俺の名前を呼ぶルミア。

それだけで、彼女の心が憔悴している事がわかった。

だから、俺は敢えて気軽に話しかけ、明るいムードを繕うことに意識を傾けた。

 

 

「おう! みんな大っ嫌いで魔術嫌いで有名なケンヤ=サクライ君だ!嫌われ者だから、ルミアがどれだけ一人になりたくても、敢えて空気を読まずに話しかけるクズ男ですぅ」

 

 

顔も巫山戯気味に、お調子者でまかり通す。

その効力はあったのか、ルミアは先程よりも幾分かマシな顔付きになった。

 

 

「ふふ。 それ、ケンヤが自分で言ったらダメなやつだよね」

 

 

「あぁ、そうかもな……それより、笑ったな」

 

 

「ぁ……」

 

 

俺の言葉で気がついたようだ、口元に手を添えてその吊りあがりを確かめる。

それに続けて俺は言葉を紡ぐ。 出来るだけ、優しく伝わるようにゆっくりと語る。

 

 

「確かに、世の中には善悪があって、親が子を捨てるなんて合ってはならない悪だ」

 

 

 

蒼穹に澄み渡る空を見上げながら伝えたい気持ちを伝えていく。ルミアも何の事を言いたいか理解しているはずである。

だから、俺の方へ真剣な眼差しを向けて無言で耳を傾ける。

 

 

「悪は滅すべし。 なんてよく言うが、ありゃ只の欺瞞でしかない。 正義なんてモノは張りぼてでタダの大義名分に過ぎない。 その他大勢が認めた存在が正義でそれ以外は悪。 そう見切りをつけている時点で、人間って奴は貪欲で、醜くて、醜悪な存在だ」

 

 

暗がりの底で見た景色は決まって血塗れている。

俺の人生がそうだったように、人は人の死が無くては生きていけないのだ。

 

 

誰かが助かるということは、誰かが助からないということ。

 

 

誰かを助けるということは、誰かを助けないということだ。

 

 

 

「そう、トコトンまで人は汚れて穢れた存在だ。 それは、ルミアのお袋さんだってそうさ。 大義名分の為に、迫害されている『異能者』であるお前を捨てた。 それが正義なんて事はあり得ないし、納得は行かないよな。それでも、お前のお袋さんはその他大勢の為に娘を切り離し、正義と偽らなければならなくなった」

 

 

俺の言葉に、影が射す。

それは曇天な俺の心と同一であるかのように、ドロドロとした感情を運んでは理解させられ、一瞬にして絶望に変わるもの。

身体に纏わりつくように悪泥が心の隅々まで穢す。

それでも、俺は彼女に伝えていかなければならない。

それが彼女自身が望んだものでなくても、俺は代弁しなければならない。

 

 

「ルミアが望んだ未来と国が望んだ未来が違うように、正義と偽った陛下の御心も揺れている。 実際、何で陛下が態々、下々のいる場所を歩いてまでお前を探していたのか……考えるまでもないよな? それは、きっとルミアが1番知ってる筈だ。彼女がその他大勢のためにルミアを捨てた事は国的に間違いじゃない。寧ろ、正解だ。 だけど、それと同時に彼女は悪なる外道と同化したと、きっと内心では罪悪感に呑まれていたはずだ。 じゃないと、態々捨てた娘に会いに来ることなんて無い」

 

 

そして、見上げていた視線を降ろして、ルミアの目を真剣に見つめる。 できるだね安心するように、優しく頭を撫でて言葉を紡いでいく。

 

 

「ルミアは、賢いからな。 たぶん、俺が言うまでもなく、そんな事はとっくの昔に気付いていると思う。 だけど、お前の中にある()()()間違ってはいない事だけは伝えとく。たとえ、万人が悪だと言っても、俺だけーーーいや、俺だけじゃない。 フィーベルやグレン先生、それにクラスの皆だって、間違いじゃないって言ってやるよ。 だから、さ…………ルミアがしたい様にすればいいし、出来ることなら俺たちもそれを尊重して手伝ってやる。 だから先ず、ルミアの気持ちにある陛下への気持ちを本人にぶつけてやればいいさ」

 

 

「う、ん……わ、たし…………本当は、陛下の……ううん。 お母さんと触れ合いたいし、抱擁されて頭を撫でられて、『よく出来ましたね』って褒めてもらいたい………」

 

 

「うん」

 

 

嗚咽混じりの声色で、心の内を吐き出すルミアに優しく相槌を打ちながら、一言一言を聞いていく。

それは、学院に来てから恐らく初めての弱気。

何処までも健気で強い彼女が積み重ねた徒労が全部乗った言葉が重たくのし掛かる。

それだけ、彼女が募ってきた心労という事。

王室で産まれ、去れど王家の一員として認められずに捨てられた少女の懺悔だった。

 

 

「それでも……ッ! 私が、あの人を認めてしまったら、今迄、娘同然に育ててくださったシスティの両親にどういう顔をして接すればいいのか、分からなくなるのが……怖いの」

 

 

「うん」

 

 

語尾が弱くなった。

それだけ、彼女は抱え込み、消え入りそうになる心を強く保ち続けていた証だ。

今は倒壊した気の強さ。 それだけで彼女から溢れてきた感情はきっと常人ならば受け切れない。

だけど、俺は受け入れる。 彼女が俺を受け入れたように、俺も強く優しく受け入れてやる。

これぐらいは何ともない。 彼女が入り込んだ域に達していないモノぐらい支えられなくて、何が剣士だ!

関わった以上、自分の行動は自分で責任を持てよケンヤ=サクライ!

俺はどうして、彼女の心の内を受け入れると思ったんだ!?

 

 

ーー陛下の哀愁した顔を思い出したから?

 

あぁ、勿論それもある。 だが、それだけじゃない。

俺は、彼女に笑っていて欲しいんだ。 何でもいい、俺は彼女の笑顔に救われた。 だから、俺はルミアに笑っていてほしい。

だから、受け入れた。彼女の心の泥に片足を突っ込んだ。

あぁ、それなら最後まで歯ぁ食い縛れよーーーッ!

責任が取れないなら、俺は只の藁人形と変わらない。

それだけは、許されない。

分かっているからこそ、俺は彼女に俺が考える真意を伝えた。

 

 

「贋者が本者に劣ると誰が決めたーーー?」

 

 

「え?」

 

 

「ルミア。 確かに、お前の本物のお袋さんは優しくてお前を愛している。 そして、それは、その事をお前自身が受け入れるかどうかの話だ。 それ以上でもそれ以下でも無い。 だけど、それが今の両親……フィーベル夫妻を傷付ける行いと勘潜るには、ちと早いだろ。 それが本人達から言われていたら別だが、それはないだろう。 じゃなけりゃ、今ごろ、お前はあの場所にはいない。 だったら、それが答えだ。 今、ルミア=ティンジェルという存在を受け入れてるフィーベル家が贋者だとしても、本者の愛に劣るはずがないだろう? それに……」

 

 

そして、より一層頭を撫でて、少しクシャクシャに成るまでやる。

そこで、手を止めて、ルミアが恐る恐る俺の存在を確認する。

その様子を眺めたルミアと俺の視線がぶつかった。

 

 

「ーーー愛情に本者とか贋者があるはず無いからな」

 

 

「ぁ…………うんッ!」

 

 

ルミアは先程の笑みとは比べ物にならないぐらいの完璧な微笑みで俺の心を軽く掴み、鼓動が早くなるのを体感で理解するのにそう時間は掛からなかった。

 

 

 

 

 

コレにて、一件落着…………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……となるはずだったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーールミア=ティンジェルだな?」

 

 

「え? あ、はい……そうで、すけど……」

 

 

「貴殿は、恐れ多くもアリシア七世女王陛下を密かに亡き者にせんと画策し、国家転覆を企てたその罪、もはや弁明の余地なし! よって貴殿を不敬罪および国家反逆罪によって発見次第、その場で即、手討ちとせよ。これは女王陛下の勅命である!」

 

 

そんな騎士の言葉によって、総てが絶望に塗り潰されていく感覚が全身に駆け巡った…………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「は? ち、ちょっと待てッ! セリカッ! そりぁ、どういう意味だーーーッ!!」

 

 

 

時を同じくして、あまりにケンヤとルミアの帰りが遅いことに違和感を持ったグレンはセリカに救援要求をしたのだが、その彼女は、何時もより物静かな声色で告げた。

 

 

 

『さっきも言った通りだ。 私は何も出来ないし、私は何も言えない。 何か出来るとすればーーーグレン、お前だけがこの状況を打破する事ができる。 それ以上は何も言えない。 わかったな。 ケンヤにも伝えておけ、私は何も出来ないと、な。ーーー すまない』

 

 

そうして、最後に掠れた謝罪が聞こえた事に舌打ちをしつつ、グレンは駈け出す!

しかし、彼は足を止めることとなった。

 

 

「ちっ!」

 

 

今は魔術競技祭の午後の部。

担当講師が独断で抜け出すことはほぼ不可能。

だが、消息不明の生徒を二人もいて平然と居られるほど腐ったつもりは毛頭なかった。

 

「白猫! 悪いが、俺が戻るまでの間の指揮を頼むッ! あと、ケンヤが出るはずだった『探知&開錠』は状況判断の良いカッシュ辺りを代打で使ってくれーーッ!」

 

 

「ちょーーせ、先生ーーーッ!?」

 

 

システィーナは突然のグレンの無茶振りに声を荒げたが、グレンはシスティーナなら何とかしてくれることを信じて突っ走るのみだった。

 

 

 

 

複数の王室親衛隊と思わしき騎士たちが俺やルミアを囲うように配備され、手練れだと理解するに十分だった。

 

 

「おい、幾ら王室親衛隊と雖も、それは、ちと横暴が過ぎるってもんじゃねぇーのか? ルミアが国家転覆を狙って陛下を暗殺? 笑えねぇ冗談も大概にしろ。 それに、もしそれが本当として、証拠は上がっているのか? それも無しにいきなり惨殺ったぁ、偉く物騒だな……どういうつもりだ」

 

 

「ふん! アリシア女王陛下からの勅命である。 その様モノは必要なかろう。 何せ、女王陛下きっての御言葉であられるからだ。 よって、それに逆らう貴様も、そこのルミア=ティンジェル同様、死の覚悟はできておろうな?」

 

 

騎士が鞘から抜剣し、正眼に構えた。

殺意を帯びた剣はいつ見ても反吐が出そうなぐらいに気持ち悪く感じる。

ドロドロとした感情が再び押し寄せて、体の全体を蝕むように削る。

あぁ、何だ……腹が立つな……

 

 

「あぁ、上等だ。 テメェ等如きが束になって掛かってこようが、俺に通じると思うなよ外道ども……聖職か何か知らんが、テメェ等のその腐った思想は虫唾が走る。 だからーーー」

 

 

しかし、最後まで俺の言葉が紡がれる事はなく、ルミアが一歩前に出て俺を制した。

 

 

「は? ち、ちと待てッ! ルミア、お前ッーー?!」

 

 

その目は……ッ!?

また、だ……また、俺はあの目を見てしまった。

 

 

「分かりました。 私、ルミア=ティンジェルは罪を認め、その贖罪として首を差し出しましょう。 しかし、先程、無礼を申したかの者は見逃してもらえませんでしょうか? 彼はこの件に関して無関係です。 然れば、一般人を惨殺するも同義。 それは御心が広い陛下のご傷心になると思われますが、如何ですか?」

 

 

「おい! ルミアーーーッ!? テメェ、何勝手にーーー」

 

 

「ケンヤは黙っててッ!! お願いだから、貴方だけでも生きて……私は、貴方の言葉だけで救われたから、これで良いの……ありがとう、ケンヤ。 システィ達にはゴメンねって伝えてね」

 

 

「最後の別れは済んだか? 貴殿の要求は受け入れよう。 あの少年に手を加えない事を女神に誓おう」

 

 

「有り難うございます。 それでは、私は如何様にもされましょう」

 

 

「うむ。 その心意気には敬意を表そうーーー付いて来い」

 

 

ルミアが連れていかれようとしている。

だが、俺の体が動かない。

頭では助けないと行けないと理解しているのに、過去が足枷となって動かない。

鉛を入れられた気分だ。

クソッタレーーーッ!! 俺は、また……誰も救えずに……ッ!!

 

 

去っていくルミアと王室親衛隊。

目の前に助けるべき人がいるのに、体が言うことを聞かない感覚。 俺は知っている。 明らかに怖じ気付いているのだ。

助けようとして動いたのに助けられない恐怖は簡単には離れてくれない。 トラウマだ。

救いを求めた手を掴むことすらできずに、只死に行く事を許容した目が俺を外界から遠ざける。

 

 

完全に見失う……ルミアも、自分も、何もかもを見失ってしまう。

 

 

 

 

 

ーーーー(奇跡)は無く (希望)も無く (理想)は闇に溶けた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それでも それなのに まだ……()が残っているーーーッ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーーー【投影、(トレース・)「ん? 何だ? マナの流れがかわっーーーー」開始(オン)】ッ!!」

 

 

俺は自身の身体に張り巡らされた27の魔術回路に魔力を叩き込む。

ピキリッ……!

 

 

「ぁ……」

 

 

何かが壊れた。

ケンヤ=サクライの一部が欠損した事が明確に理解できた。

それはそうだ。 以前、テロリスト相手に使った【投影魔術】とは訳が違う。

前回は、自分の身体()から取り出したものだ。

だから自身への負担は極端に少ない。

だが、今回は違う。 この世界は俺の身体()では無い。

元が違う世界……しかし似た世界を内包した人物の物だ。

だから、取り出す剣は其奴が最も愛用していた夫婦剣を両手に投影し取り出した。

その名もーーーー

 

 

「ーーーー干将・莫耶ッ!」

 

 

右手に白、左手に黒の双剣が握られ、構築された戦闘技能までもを読み取り、自身へと具現化させた。

今は、これで良い。

自分の戦闘スタイルとかけ離れた武器だが、彼の戦闘技能を先取りした俺は完璧な模倣は出来ずとも、それらに準ずる力は使えるはずだ。

 

 

「チッ! 最後の情けをかけてもらい、自身の命を救われたのにも関わらず、まだ我らに楯突こうというのかーーーッ!! えぇい! 小僧ッ! 貴様、自分が何をしているのか理解できているのか!?」

 

 

「ダメだよッ! ケンヤ! 今すぐ、剣を降ろしてーーッ! 私はもういいの!! だから、早くその剣をーーーーッ!」

 

 

 

「うるせぇえええええええーーーーッ!!」

 

 

俺の怒号に周りにピリピリした空気が流れ始める。

それだけで静寂が訪れ、俺はゆっくりと右手の剣を騎士達に突きつける。

睨みつけるように眼力を込めて、殺気を凝縮した覇気を相手にぶつけた。

ゾワリ……

騎士たちの身体が、本能が告げたはずである。

今のケンヤ=サクライは歯止めの効かない殺人鬼である事を……!

 

 

「いい加減、腹が立つんだよ…… 王室親衛隊? 陛下の御言葉により死刑? 情け? ……ッザケンなよ! テメェ等は何処まで傲慢なんだッ!! 如何にも自分勝手な言い分で人を丸め込む姿が滑稽な事に気がつけよッ!! 虫唾が走る……ッ! あぁ、そうだーーーテメェ等が俺らの命を脅かすっていうなら……容赦はしねぇ。 あと、俺が一番イラついてんのは、テメェにだ……ルミア」

 

 

俺は怒りの視線を捕らえられたままのルミアに向けた。

辟易してんだ…… 何だ?あの目は…… あの総てを諦めた目は俺の平穏を打ち壊すのに一瞬だったぞッ!?

クソが!! 胸糞の悪りぃ話だ……

 

 

「何が、救われただーーーテメェが何か悪いことしたのかよッ! いいか? 周りの人間を救う為に自身を犠牲にすることが正義なんて、バカげた妄言を信じ込んでんじゃねぇよッ!! あれは美化された話だッ! それは、無責任な死を他人に押し付けているクソがする事だッ! 自分に価値が見出せないなんて言わせねぇーぞッ!!」

 

 

俺は一間おいて巫山戯た思想を打ち壊すために俺が下した“決断”を吐き出した!

 

 

「テメェが勝手にテメェの命を秤にかけてんじゃねぇッーーー! それを決めるのは俺たちだッ!! 俺は“決断”したんだよッーーー俺の級友に手を出した奴らをまとめてブッ飛ばすッーーー! それが、俺の【理想】だッ!! 文句あっかーーーーッ! 今チクショォォォォオッ!!!!」

 

 

「えぇいッ煩いぞ! 殺れェエエエエ!!」

 

 

「殺れるもんなら殺ってみやがれェエエエエッ!!」

 

 

「ケンヤッ! イヤァアアアアッ!!」

 

 

そうして、俺が一直線にルミアに向かおうとしていると……

 

 

「ケンヤ! ルミア! 目ぇ瞑ってろッ!!」

 

 

「は? チッ!!」

 

 

俺は咄嗟に声の主を判別し、言われた通りに目を瞑る。

ルミアも条件反射だろうが目を瞑ることに成功し、周りの騎士は茫然としたまま声の主の方へ視線を向けた。

だが、この場合それは最悪の悪手となる。

 

 

ピカッ!!

 

 

「「「「なーーーッ!?」」」」

 

 

突如、眩い光が世界を支配し、騎士たちの動きを一瞬だけ止めることに成功した。

 

 

「ふーーーッ!」

 

 

「キャッ!!」

 

 

俺はその一瞬を逃さずに、剣を捨て、ルミアの気配を辿って駆け抜けた。

状況が状況だけにルミアは動けないと判断した俺は無理矢理に抱え込み、そのまま声の主の方へ全力で走り去った。

 

 

その後、騎士たちの喧騒が滞りなく聞こえてきたが、俺たちは陰に隠れて無事に逃れる事が出来たのだった。

 

 

 

 

「ーーーで、どうしてグレン先生がこんな所にいるんですか? これだと、グレン先生も俺らと同じで犯罪者の仲間入りですよ」

 

 

冗談めかして、助けてくれたグレン先生に向けて尋ねた。

其れを呆れたように溜息をつき、怠そうに返答が返ってきた。

 

 

「いや、なぁに…… お前達がちょっと面倒ごとに巻き込まれているであろうことを聞いてな? 流石の俺でもそんな状況でのうのうと生きて行けるほど神経が図太いわけじゃねぇーから勘でお前らの事を探してたらドンピシャなタイミングだっただけさ。 あと、お前、無茶しすぎだッ! このバカッ!」

 

 

「あぁ!! 先生が生徒の事をバカにしたぁ〜!! いーけないんだいけないんだ♫ しーしょーにいってやろ♫」

 

 

「て、テメェッ! ガキかッ!!? てか、セリカに言うのだけはマジ勘弁ッ!!」

 

 

「若干、ガチすぎて引きますね……」

 

 

「2人とも巫山戯てる場合ですかッ!!」

 

 

俺の腕に抱えながら、必死な物顔で叱りつける美少女、ルミアは俺の胸板を痛くない程度にポコポコ殴ってくる。

か、かわぇぇぇええッ!!

涙が目頭に溜まっているので、ガチで怒っているのだろうが、そんな風に考えてしまう。

 

 

そして、ルミアの真剣な物言いに、俺とグレン先生は顔を見合わせて頷き……

 

「「当然だ(だろ)ーーーッ!!」」

 

 

「えぇぇ!? 本気で巫山戯でたんですかッーーー?!」

 

 

「あぁ、どうせやっちまったもんは取り返しの付けようがないからな。 取り敢えずは、考えるのを放棄した……めんどくさいから」

 

 

「俺も大体同じだ…… いい案が思いつかない以上、思考しても無駄だしな。 めんどくさいし……」

 

 

「そ、それは大人としてーーーじゃなくてッ! どうするんですかッ!? 私を助けたばかりに、ケンヤや先生までもが犯罪者になるなんてーーーッ!? これじゃあ、私は……」

 

 

「「約束(決断)……だからな(したからな)」」

 

 

「え?」

 

 

俺とグレン先生の言葉が重なり、ポカンと口を開けるルミアを路地裏まで来たところでゆっくりと下ろし、現在の状況と打開策を話し合う事にした。

 

 

だが……

 

 

コツン、コツン……

 

 

「マジで、面倒な……ッ!」

 

 

「おいおい……マジで勘弁してくれよ。 まさか、王室親衛隊だけじゃなくて、宮廷魔導師団まで動いてんのかよッ!」

 

 

2人の強力な気配を感じ取った、俺とグレン先生は警戒心を最大限にあげ、ルミアを後ろに庇う形で戦闘形態へ移行する。

 

 

二人の内一人が、前に歩み出て影から現れた。

 

 

「なーーーっ!?」

 

 

グレン先生が動揺の声を出した。

知り合いか? その割に、相手の殺気はかなりの物。

ヤバい存在としか理解できない。

見た目は幼気だが整った顔立ちだ。

青い髪を長く束ね、変化の乏しい表情のせいで人形に見えて仕方がない。

そんな少女がマナを腕に込めて、地面に叩きつけた。

 

 

「【万象に希う・我が腕手に・剛毅なる刃を】ッ!!」

 

 

その詠唱と共に、殴りつけた個所から少女の身の丈を上回る大剣が錬金術にて作成されたッ!

そして、剣を握りしめると同時にーーーッ!

 

 

「ヤァアァアアアーーーッ」

 

 

斬りつけに来たのだった。

 

 

 

 

 




マジで√ に入ってる気がする……
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