ロクでなし魔術講師と東方魔術剣士と禁忌教典   作:KAMITHUNI

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長いなぁ〜(*_*)
しかも、語彙力のなさが際立ち、原作沿いなのにゴチャゴチャだぜ!
変にオリジナル話も入れたから、狂ってるかもしれない(笑)
そこは、ご愛嬌という事で、よろしくお願いします!



ちっと、頑張ろう

パシンッ!

 

 

空気が張り裂けな程、勢いよう放たれた平手打ちは、まるで自然な運びで吸い付くように頬へと直撃した。

 

 

「最低っ! 貴方なんて、大っ嫌い……!」

 

 

目頭に涙を溜めた少女は、自身の『理想』を全否定した相手を射殺すように睨みつけてから、感情任せに教室から駆け出て行った。

 

 

「…………」

 

 

そして、叩かれた方は何処か辛そうな面持ちを浮かべて、影を落とす。

 

 

それに伴って、クラス内では何とも居た堪れない空気が散漫し、誰もが言葉を発することはしなかった。

 

 

(たく、ウチの兄弟子は何してやがる……)

 

 

少々、呆れを含んだ目線を送ってから、直ぐに瞼を閉じて現実との接続を遮断した。

事の発端は、昨日。

 

 

 

 

 

あまりに惰性過ぎる非常勤講師のグレン=レーダスの講義は、とにかく酷いもので、来る日も来る日も自習という言葉を黒板に書き記して、即机に突っ伏すという暴挙に出た。

 

 

この事に痺れを切らした、我らが『説教女神』のフィーベルが基本使わない親の権力にモノを言わせて、真面目にやらないのであれば、グレン先生を退職させると脅迫した。

 

 

ただ、通常の講師なら、態度を改めて全力で行うのだが、何せ相手が悪い。 グレン=レーダスは元々、成りたくて講師になった訳ではない。

 

 

単に、セリカ師匠に聞いただけだが、グレン先生は1年程前から前職を無断で退職し、それからはセリカ師匠の脛をかじって生きてきたようだ。

当然、本人は働きたくないという願望だったのだが、セリカ師匠のお仕置……ごほん、御説教で強制的にやりたくも無かった非常勤の講師を引き受けることになったそうだ。

 

 

そんな人物が、辞められる理由をみすみす見逃す筈もなく、諸手を挙げて喜ぶという、事情の知らない生徒たちは誰しもが驚きを見せた。

それも仕方がない。

基本は温室育ちのボンボンが多い、この学院は由緒正しいをモットーにしており、こう言った喜び方をする人物を誰しもが見たことなどない。

というか、普通の人間でもないけど。

 

 

フィーベルは明らかに魔術を貶すようなグレンを許せなかった。

 

 

そこで、彼女は、左手の手袋を取り外し、グレン先生の左胸に叩きつけた。

 

 

所謂、決闘だ。

 

 

その後、フィーベルが勝った場合は真面目に講義すること、逆にグレン先生が勝てば、御説教を二度としないという誓約を立てた。

 

 

ルールは、怪我をさせる訳にはいかないということで、三節詠唱の【ショック・ボルト】にて決着を付けることとなる。

 

 

結果は悲惨だった。

 

 

文字通り、大敗を喫することになったのは、生徒のフィーベルではなく、非常勤でも曲がりなりにも講師のグレン先生だった。

通常、三節詠唱であっても、超初級の【ショック・ボルト】は第四階梯クラスでは一節が当たり前で、目前のフィーベルですら第二階梯なのに一説詠唱だ。

しかし、グレン先生は、あろう事か、略式センスの欠片も感じない三節詠唱が限界のようで、勝負はボコボコだった。

 

 

この時点で、クラス内でのグレン先生の信頼度は地に堕ちた。

 

 

対する俺も、有名な『魔術師殺し』という事で、ちっと期待したが、直ぐに落胆した。

 

 

たしかに、セリカ師匠に教えを請うてるだけはあり、帝国式の軍隊格闘術は様になっていることは、立ち姿で理解できた。

ただ、達人の領域かと問われれば、答えは否である。

良くて準達人クラスだ。

勿論、年齢は二十代を下回っているから、怪物の一人である事は確かだ。

だけど、それだけで格上の魔術師を相手に勝てる訳ではない。

 

 

セリカ師匠が教えるのだから、彼には何か期待しているのかもしれないが、俺からすれば、正直あまり期待していない。

……何せ、小手先だけでどうにか出来るほど、俺は甘くは無い。

 

おっと、戦う訳でもないのに、如何してかこんな思考に陥る。

落ち着こう。

 

 

 

次の日、つまり今日。

勝負に負けたグレン先生が真面目に講義を…………始めるはずもなく、ダラダラとした講義が続いた。

 

 

そこで、分からない所を聞きに行った、メガネが似合うリン=ティティスだが、ダラシない奴に任せられないといった理由で、フィーベルが間に入り、こう言った。

 

 

『魔術の偉大さも理解していない』

 

 

と、いつもみたいに魔術の崇高さを説き始めた。

 

 

それに対して、グレン先生は沈黙から一転、言葉を紡ぎ出した。

 

 

 

曰く、魔術は人の為にならない。

 

 

曰く、術と付く物には、人が役に立つが、魔術は何もしてこなかった。

 

 

曰く、魔術は……人殺しの役に立つ。 と……

 

 

全くもって、その通りだと、他のクラスメイトが理解できずとも、俺には容易に理解できてしまった。

 

 

軽い殺気が漏れ溢れる程の言葉責めにクラス全員が顔を青ざめ、フィーベルに至っては、焦点すらあっていなかった。

 

 

そこからは、先の通りで、耐えられなくなったフィーベルが全力の平手打ちをして、グレン先生はそのまま再び机へ突っ伏した。

この時、クラス全員は一つの音も出さないようにしていた。

 

 

 

 

 

「ふむ、なるほどな。 やはりグレンは……」

 

 

「? 何のことか知らないけど、師匠まで暗くなるなよ。 正直、落ち込んでる師匠はキモーー」

 

 

「んん? なにかな?! 私に喧嘩を売っているのか? あぁん!?」

 

 

「いや、悪かったって。 えぇ、えぇ。 ちゃんと息子の事を気にかけるいい母親ですよ。貴女は。 だから、魔力を手元に溜めないでくれ。 本気で怖いから……!」

 

 

「そ、そうか? 私なんて、子育ての才能なんか一つもないぞ///」

 

 

「その割に、嬉しそうな顔しやがって。 そんで? どうすんの? このままじゃあ、あの人、本気で壊れかねんぞ」

 

 

逡巡するセリカ師匠。 その答えを待つ俺。

この状況が繰り広げられているのは、夕日が差し込む学院長室(セリカ師匠の私有化)である。

放課後。 フィーベルが教室が飛び出して、そのまま早退した件について、セリカ師匠が気に掛けていたらしく、帰宅予定だった俺をとっ捕まえて一頻りの事情説明を促されたのだ。

 

 

「……まぁ、私達からは何もできんだろ。 彼奴がコッチに相談してこない限り、極力何も手助けなんて出来ないんだからな」

 

 

「それもそうだが……」

 

 

「それに……」

 

そう言って、彼女は橙色の光が射し込む窓辺に視線を移して……

 

 

「彼奴なら、きっと自分で乗り越えられるって、私は信じているからな」

 

 

と、まるで本物の母親かのような潔さと儚さがあった言葉を紡ぐのだった。

 

 

 

 

「ーーすまなかった」

 

 

後日、講義前に突然、フィーベルの前に立ち、頭を下げるグレン先生。

どうやら、言い過ぎたと反省をしたらしい。

 

「ーー確かに、俺は魔術が大っ嫌いだが、他人に其れを押し付けるのは間違っているからな……その、ほんと、すまんかった!」

 

 

困惑するフィーベルとを余所に、照れ隠しを隠しきれずに顔を赤くしたグレン先生は、頬をポリポリと掻いて、教壇へと戻っていった。

 

 

その際に、クラス全体が驚愕する中、唯一、ティンジェルのみがニコニコと慈愛の微笑みを浮かべていた。

……成る程、彼女が何とかしたのか。

やはり、情愛の大天使様は御健在だと、両手を合掌した。

ありがたやぁ〜、ありがたやぁ〜。

この子達、知らないかもしれないけど、目前の先生が精神崩壊でも起こして、一生家から出てこないことになってみろ。 此奴の保護者は大陸全土を燃やしかねないぞ。

いっそ、過保護を通り越して、モンスターペアレンツだから、世界滅亡まで行く寸前だったかもしれない。 流石、大天使様。 本当にファインプレーデス!

 

 

そうこうして、一つの問題が解決すると、グレン先生が何時もより5割増しの腹が立つ顔で言った。

 

 

「ーーお前ら、バカだろう」

 

 

 

そっからは、てんてこ舞いだ。

 

「極めたってんなら、『雷精よ・紫電の・衝撃持って・撃ち倒せ』。 こんな風に、三節の呪文を四節にしたらどうなる?」

 

 

「その呪文は成立しませんよ。 必ず、何らかの失敗を起こします」

 

 

「んなぁ事はわかってんだよ。 バカ。 俺は、その失敗がどんな形で起こるかって、聞いてんだ」

 

 

「そんなの、ランダムに決まってますわ!」

 

 

「ランダム〜? お前、極めたんじゃ無かったのかよ〜!」

 

 

「くっ!」

 

 

 

成績上位者のギイブルやウェンディが答えられなかった時点で、このクラスで答えを出せる存在は限られてくる。

恐らく、フィーベルぐらいかな? ただ、フィーベルは生真面目な性格上、教科書的な答えしか持ち得ない。 つまり、この問題の正解を導き出せるだけの応用力は無いわけだ。

 

全員が全員、首をかしげている様子を見せており、グレン先生はニヤリと口角を押し上げる。

 

「なんだ、全滅かぁ? それじゃあ、答えは「右に曲がる」……へぇ〜」

 

その瞬間、視線が一斉に移り変わる。

一点的に集まる視線が、痛々しく感じるし、なんだかんだで目立つのは嫌いなんだよ……

それでも、グレン先生の一人勝ちみたいな状況は、少々、いや、かなり癪にさわるのだ。

 

 

「なんだ、答えられるやつがいるんじゃねぇーか。 お前、名前は?」

 

 

グレン先生が興味を示し、それに準じて、他の生徒は俺というイレギュラーを眺めてあり得ないと戦慄を走らせる。

……いや、痛い痛い。 視線が痛ぇーよ。

ほんと、こういう状態って嫌いだわ。

 

 

そんな事を考えつつも、俺は立ち上がり、名前を告げた。

 

 

「俺は、ケンヤ。 ケンヤ=サクライです」

 

 

とりあえず、名乗ってペコリと会釈。

そんで、そそくさと着席する。

しかし、先生の興味が引くことはない。

 

 

「まぁ、そんじゃあ実践してもらうか! おい、ケンヤ! 前に来て、やってみろ!」

 

 

「……は!?」

 

 

「いや、『は!?』じゃなくて、前に来て四節詠唱してみろって言ってんだ」

 

 

如何してか、俺に白羽の矢が立ってしまったようだ。

この瞬間、俺の心の中で、若干の後悔と私怨が生まれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『雷精よ・紫電の・しょうげき持って・撃ち倒せ』!」

 

 

紫色の術陣が現れ、若干の紫雷を前方に放つ。

黒板に向かって、放った雷光は、本来ならば黒板に焦げた跡をつけるが、今回は4節呪文。 手前で右に90度程曲がる。

 

 

その瞬間、クラス中の誰もが衝撃という雷に撃たれた。

 

 

しかし、その驚きも更に上書きされていくように、呪文の形を変えていく。

 

 

「よし、じゃあ、ケンヤ。 五節では?」

 

 

「射程が三分の一まで落ちる。 『雷・精よ・紫電の・衝撃持って・撃ち倒せ』!」

 

 

俺が詠唱を終わらせると、先程と同様に紫雷が真っ直ぐに伸びるが、今度は予想通りに三分の一しか進まない。

 

 

「ほぉ…… お前、よく知ってんなぁ〜。 ま、いいや。 そんじゃあ、1節消すと?」

 

 

「威力が大幅に落ちる。 『雷精よ・撃ち倒せ』!」

 

 

今度は、静電気ほどしか無い電流が可視化され、途中で勢いなく消えていく。

そして、お手上げのように手を横にやって、首を振る。

 

 

「いやはや、学生で此処まで出来るとは思ってなかった。 全問正解だ。 とまぁ、ケンヤに実践してもらったが、こんな風に魔術は用途次第では如何様にも変化させることができるし、まぁ、その基本と公式さえ覚えれば……『まぁ・兎に角・痺れろ』」

 

先生の翳した左腕から術陣が現れ、魔術が問題なく発動された。

 

 

「「「「……なっ!?」」」」

 

 

「あれ? 思ったより威力が弱かったな。 まぁ、このぐらいの改変なら余裕でできるぜ。 実際に、ケンヤ」

 

 

「なんか、俺って軽いモルモットですよねぇ〜」

 

 

「ま、そう言うなって。 なんだったら、お前の得意魔術で良いからさ」

 

 

先生はウインクをして、促してきた。

いや、男のウインクなんて誰得だよ(笑)

ま、いっか!

 

 

「じゃあ、『ちょびっと燃えろ』」

 

 

ポンと、指先に小さな火種が灯り、無事に魔術が発動したことを示していた。

ふぅ、何とか改変に成功したか。 良かった良かった。 晒し者にならずに済んだぜ!

 

 

「「「…………」」」

 

 

「あ、れ? なんか、俺、やらかしたか?」

 

 

「いや、あれは同年代で嫌われ者のお前が、其処まで出来たことが直視できてないだけだろう」

 

 

と、全員が現実を見つめ直すまで、数分かかったが、とりあえず先生の講義は続く。

 

 

「ーーで、さっきケンヤや俺がやったみたいに、呪文の改変自体は文法と公式を覚えれば、難しくは無い。 お前らは、魔術は真理を追い求める学問だ何だ言っているが、それは違う。 魔術ってのは、人の心を突き詰めたもんだ」

 

 

いつに無く真剣な眼差しをクラス全体に向けて、まるで本物の講師のように振る舞う先生。

このクラスで、先生を『無能』と罵る者は既にいない。

目の前の非常勤講師は、大変優秀な魔術講師だと、認識したのだ。

 

 

「今のお前らは、単に魔術が使えるだけの魔術使いに他ならない。 魔術師は、自分に足りない物を認識し補う努力をするものだ。 それをこの教科書は、覚えろだの詰め込めだの……アホか」

 

 

ポイと手に持っていた教科書を放り投げ、最後に行った。

 

 

「じゃあ、今からお前達に、その魔術のど基礎を教えてやるよ。 寝たい奴は寝ときな!」

 

 

自信気に言い放たれた言葉に看過されたクラスで、眠る者などいない。

全員が全員、真剣な表情を崩さずに、講義の言葉に耳を傾けるのだった。

 

 

あ、ついでに俺は、その辺の部分はマスターしているということで、先生の補佐役を頼まれました。

メンドクセェ〜……

 

 

 

「ニョホホ! だぁから私は知ってたんだよねぇ〜! 彼奴がやれば出来る子だって!」

 

 

「今では立ち見の生徒までいるとは……」

 

 

「そりゃあ、私が一から育てた自慢の弟子だからなぁ〜!」

 

 

「何とまぁ!」

 

 

(おのれ! グレン=レーダス! お前をいつか必ず……!)

 

 

 

 

 

 

昼食時間。 いつもは自然と一人になって屋上でメシを食う時間。 だが、今日は打って変わって両手に花状態で学食に来ていた。

 

 

「ーーそれにしても驚きだよね!」

 

 

「なにがだ?」

 

 

「勿論、ケンヤ君があんなに魔術が詳しいことだよ」

 

 

俺の右隣に座るティンジェルが目輝いてやがる。

言わんとすることがわからない訳ではないが、というか、それで俺を誘った理由が高いのは明白だ。

何せ、ティンジェルの前に座る少女が俺と相席を望む時点で魔術関連以外でありえないからだ。

 

 

「そうよねぇ。 普段はあの先生と同じで、魔術が嫌いなくせに、なんでそんなに魔術に詳しいのよ?」

 

 

「あん? そんなん、どっかの怪物に扱かれてたら……! うぅ……何だから背筋に冷たいものが……(ガクガクブルブル……)」

 

 

「その、何? ご、ごめんなさい……?」

 

 

「システィ、この話はここまでにしよっか」

 

 

うむ、そうしてください。

大変、俺の心臓に悪いです。

というか、内容を聞かされただけで脳細胞が狂いそうになるほどに詰め込まれたからなぁ〜。

そう考えると、俺より長いこと続けている先生は、もっと魔改造されてるのか…… 御愁傷様。 南無三。

 

 

「で? 俺をこの場に誘ったのには、理由があんだろ? まぁ、どうせさっきの固有魔術の事だろうが……」

 

 

「! え、えぇ……。 そうよ。 固有魔術が汎用魔術を何らかの形で超えたものと先生は講義中に言ってたけど、それって、魔術を強化したという認識で構わないのかしら?」

 

 

おっと、そういう悩みですかい。

中々、面白い解釈してんなぁ〜。

だけど……

 

 

「いんや。 それは違うな。 大体、固有魔術は、その人が固有する力であって、他者に使えたら意味が無い。 それは既に汎用魔術だ。 例えば、お前の得意な【ゲイル・ブロウ】だって、他の人が使えない訳じゃないだろ?」

 

 

俺の問いかけに真面目に頷く。

ティンジェルはニコニコしたまま聞いている。

 

 

「じゃあ、【ゲイル・ブロウ】を仮に強化したとしよう。 威力、速さ、効果領域の広大化……などと、あるが、それらを只々強化したところで、強いだけの【ゲイル・ブロウ】になる訳だ。 それじゃあ、どうすればいいのか…… これは至って簡単。 まぁ、ちっと見せるとするなら……【投影、開始(トレース・オン)】!」

 

 

再現するのは、ミスリルの短剣。 以前、市販で売り出されていた普通の剣を複製する。

右手に収まる形で、短剣が突如として現界した。

 

 

「「えっ!?」」

 

 

驚く2人。

しかし、この程度で驚くなら、セリカの固有魔術を見たときには発狂ものだな。

少し苦笑を漏らして、説明を続ける。

 

 

「今のが、俺の固有魔術の【投影(トレース)】だ。 この能力は、一度見た剣を完全複製するというモノで、基本的に構築速度は錬金術の其れを遥かに上回る優れ能力だ」

 

 

俺は短剣を消すと、再び説明を始めた。

 

 

「今さっきやった投影魔術は本物と同義、もしくはそれに準ずる贋作を創る。 其れには、材質から構造、歳月までも見分ける『眼』が必要なんだ。 基本的に、誰にでも真似することなど出来ない俺だけの『眼』だ」

 

 

そう言って、俺は右の人差し指でトントンと目の当たりを押す。

 

 

「『眼』って、どういうこと?」

 

 

「ま、答えを言っちゃうと、投影って、元々そんなに大した事ないんだよ。 材質がわからなければ、外見しか真似れないし、構造が理解できなければ、空っぽの鉄屑だし、歳月が認識できなければ、その辺の石ころと変わらない。 只の幻惑系統の魔術と変わらないんだよ」

 

 

ふむふむと、二人は顎に手を当てて頷く。

 

 

「だから、俺は『眼』を鍛えた。 あらゆる鍛冶の技術を見て剣が作られる工程を。 師匠に頼んで、一緒に遺跡へ連れて行ってもらって、歳月を読み取れるように。 そこら中に存在する鋼鉄や創り上げられた錬鉄を見分けれるように。 それこそ、限界を超えるまで叩き上げた。 その結果、生まれた固有魔術がコレだ」

 

 

再度、ミスリルの短剣を投影し、目前に差し出す。

二人は余程、興味深いのか剣を凝視する。

まぁ、そんなことをしたところで、投影がそんな簡単に習得はできない訳だが。

何故か、微笑ましく感じたので、暫くその光景を眺める事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ーーそんで、固有魔術を作るには、改変の技術が必要不可欠っていう事だ。 以上。 他に質問は?」

 

 

二人は満足気に首を横に振り、残り時間ギリギリで目前の食事を放り込むことにしたのだった。

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