ロクでなし魔術講師と東方魔術剣士と禁忌教典   作:KAMITHUNI

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なんか、日に日に下手くそになっていく気がする……(;_;)

感想や評価をよろしくお願いします!


【復元する世界】で回復って軽くチートだよね!?

「『阻め拒めよ・嵐の壁よ・その価値に大いなる安らぎを』!」

 

 

瞬間、学院の通路に突風が吹き荒れた。

 

 

「「「「jpdjtdumpdtmgdtmpd……?!」」」」

 

 

その風に戸惑いを覚え、直進することがままならない再度召喚された【ボーン・ゴーレム】。

 

 

【ゲイル・ブロウ】……元々、フィーベルが得意としていた魔術だ。 ただし、通常時の【ゲイル・ブロウ】はこの様にして、長く広範囲にわたって持続できるような代物ではない。 そう、彼女は即興で改変して見せたのだ。

 

 

「よし! よくやった白猫!」

 

 

「でも、ダメ…… 完全に動きは封じられません!」

 

 

「大丈夫だ、フィーベル! 彼奴らの動きが鈍っている今なら、もう一回、【投影】で……」

 

 

俺が固有魔術を発動しようと、一歩前に出ようとすると、先生が手で制してきた。

 

 

「? せ、んせい? 何故止めるんですか?! ここは、俺の固有魔術で……」

 

 

しかし、先生は首を横に振りながら、口角を吊り上げた。

 

 

「いや、お前は充分にやってくれた。 というか、ここまで生徒にされちゃあ、立つ瀬がねぇーよ。 だから、こいつら如きは俺が何とかする。 白猫、続けてくれ……」

 

 

先生はそう言って、俺の代わりに一歩前に出る。

そして、ポケットから緋石を取り出し、両手を前に掲げた。

 

 

「『我は神を斬獲せし者・我は始原の祖と終を知る者・其は摂理の円環へと帰還せよ・五素より成りし物は五素に・象と理を紡ぐ縁は乖離すべし・いざ森羅の万象は須く此処に散滅せよ・遥かな虚無の果てに』ーーーえぇい! ぶっ飛べ! 有象無象! 黒魔改【イクスティンション・レイ】!」

 

 

先生の前で組み込まれた術陣が高速回転を開始し、極光と共に前方にいた、凡そ数百もの【ボーン・ゴーレム】を呑み込んだ。

 

 

「グゥッ!」

 

 

激しい爆音と風圧が押し寄せ、歯を食い縛ることで、何とかその場に踏み止まることが出来た。

フィーベルは【ゲイル・ブロウ】を持続していたおかげか、あまり人的被害は無かった。

 

 

今のは……?!

 

 

「凄い…… あんな高等呪文が使えるなんて……」

 

 

フィーベルは感嘆の声を出して、軽い羨望の眼差しを先生に向けていた。

黒魔改【イクスティンション・レイ】、だと? まさか、師匠が編み出した、比較的に固有魔術に近いと言われる最強の攻呪性魔術を使えたのか?!

確かに、グレン先生は俺よりも前から師匠に師事されていたらしいが、此処までの大魔術を魔鉱石を触媒としていたとしても、相当な魔力が消費されるはずだ。

それを凡人が放つと、どうなるか……

 

 

「……ぁ」

 

「「ッ!! せ、先生ッ!」」

 

 

! やっぱり、言わんこっちゃない!!

顔が蒼白く、全身に血が回っていない状態。

更には、気管内から溢れ出た血液が口から出てくる。

ーーーーマナ欠乏症。

それは、個人差の大きい魔力容量を上回るだけの魔術を使用した時に起きる発作で、魔術師にとっては切っても切れない縁である。

症状としては、寒気や器官へのダメージが主にあり、簡単に生命力を脅かすものでもある。

 

 

「ぐ、ぁーー…… はぁ、はぁ……ま、部不相応な魔術をぶっ放せば、嫌でもこうなるわ、な」

 

 

自嘲気味な笑みを俺らに向けて、大丈夫だと見栄を張った。

身体は既に麻痺しているであろうにも関わらず、無理に酷使して、立ち上がる。

そして、再び真剣な顔をして俺たちに指示を飛ばす……

 

 

「今すぐ、ここを離れるぞ! 早く何処かにーーーー」

 

 

「……先生、そんなこと言ってる場合じゃないですよ。 面倒な奴が来てますね」

 

 

俺は二人を庇う形で立ち上がり、鞘に入れた刀を抜き放ち、正眼で構える。

目前から感じる圧力。 そして、魔導器であろう黄金色に浮遊剣。 近づいてくる脅威な足音。

 

 

「ーーあぁ、そんな甘い相手じゃないよな……此奴らは」

 

 

先生の言葉にフィーベルもゆっくりと顔を足音の方へ向けた。

 

 

「まさか【イクスティンション・レイ】まで使えるとは……只の三流魔術師と聞いていたが、評価を改める必要がありそうだ…… そこの“刀使い”を含めてな」

 

 

まるで見下すように告げた男。 頬に剣劇で付いたであろう傷跡。 数え切れないほどの殺人を躊躇いもなく行ってきたと告げる眼。 常人では考えられない胆力を備えた相手が魔導具を既に起動した状態で現れたのだ。

 

 

 

 

「……もう、剣が浮いてるってだけでも嫌な予感しかしないのにーーーー」

 

 

「二人とも殺られるとは、誤算だった」

 

 

「ザケンナ…… 一人を殺したのは………… いや、俺じゃないけども、なんかスマン」

 

 

「おい講師! そこは生徒を庇うぐらいの気概を見せろよ!」

 

 

「いや、お前。 あの状態で擁護できる程、俺は寛容な講師じゃないぞ。 なにせ、非常勤だからな!」

 

 

ムカつくゥゥゥゥゥゥゥウ!!

あの腹立つ顔を向けられた俺は、軽く地団駄を踏むものの、警戒心は一向にあの剣から離さない。

 

 

「いいから! 二人とも、もっと真剣に考えて!」

 

 

勿論、調子に乗った俺とグレン先生はフィーベルから軽いお説教が飛んできた。

その中、テロリストのヤバい男が、一歩近づいてきた。

 

 

「どうした? 魔術師に刀使い。 来ないのか? 貴様の【愚者の世界】と、刀使いの【投影魔術】の事は理解している。 魔術の起源を抑えるだけのモノなら発動した状態なら関係なく、投影するまでに数秒を有するのなら、この高速の斬撃は防げまい!」

 

 

そうして、五本の浮遊した剣が一斉に襲いかかる。

直撃するのに、1秒と満たない五閃が見事に人体の急所を的確に捉えている!

 

 

……あぁ、そうだ。 それは『ケンヤ=サクライ』の【投影】では間に合わない。 今の俺に、それだけの魔術技能は無い。

 

 

悲愴な顔を浮かべて俯向くフィーベル。

全力で最善策を練ろうと顔を顰めるグレン先生。

勝ち誇った顔を浮かべるテロリスト。

 

 

三者三様の様子を走馬灯の如く横見して、握り締めている柄に力を込める。

“氣功”で浮遊剣の動きを予測し、それに這わせる形で高速の剣戟を撃ち込む!

 

 

「ーーーハァァァァッ!!」

 

右脚で踏み込み、上段に構えた刀を縦に振り下ろす!

今は、俺しか使う事のできない剣術。 極東にて生まれた最強の派生剣術。 弱きを助け、強気を挫く活人剣。

其れを、師匠との修行で殺人剣へと昇華させたモノ!

 

 

一閃のとうじんは、無限の剣楼!

原初は終。 終は原初。

始まりの桜木で、終の太刀を編む!

 

 

「ーー『桜井一刀流 (うい)の太刀 【桜花爛漫】』……………ッ!!!」

 

 

カチリと、鞘に刀を納めると、驚異的に降りかかってきた五本の浮遊剣は見間違えることなく、砕け散った。

 

 

「……何ッ!?!?」

 

 

ありえない筈の状況で動揺を隠しきれないテロリストの男は、気を取られ、魔術の起動が一瞬だけ忘却していた。

だが、気付いたところで遅い!

 

 

「! 『愚者のアルカナ』!? しまっーーーー!」

 

 

「オセェェェェェェェ!!」

 

 

先生は掛け声と共に、駆け抜け、相手の左顔を思いっきり殴りつけた。

ドグシャ……ッ! と何とも生々しく痛々しい音が響き、そのまま男は壁に叩きつけられた。

しかし、男は最後の最後に、先生に向けて置き土産のナイフを投擲し、見事に肩へ突き刺さった。

 

 

「ぐっ!!」

 

 

「がはっーーー!!」

 

 

男は血反吐を吐き、そのまま倒れるようにして気を失う寸前に呟いた。

 

 

「そ、うか…… お前が、あの、有名な…… コードネームは…………」

 

 

そのまま、男はこと切れた。

 

 

「ち! 胸糞ワリィ事を思い出させてんじゃねぇよ……」

 

 

軽く舌打ちした先生は、一瞬だけ影を落とした顔を浮かべたが、直ぐに通常の表情になり、こちらに寄ってきたのだった。

 

 

「ふぅ、何とかなったか。 七割ぐらいダメだと思ったけどな…… ケンヤ、お前さっきの技……ぐっ!!」

 

 

「せ、先生ッ!!」

 

 

「クソが! こんな時に……ッ!!」

 

 

苦しそうな先生を介抱するように、フィーベルが先生に白魔【ライフ・アップ】を掛ける。

正直、先生はマナ欠乏症で倒れる寸前だが、それ以外にも【ボーン・ゴーレム】から受けた細かい傷や、少し大きめの切傷が所々で目立ち、更には投擲によるナイフが突き刺さり、血液不足を加速させた。

だから、フィーベルの魔術で自己回復速度を比較的に早めるのは間違いではないし、寧ろ正解だ。

だけど、そのペースだと間に合うものも間に合わない。

何せ、フィーベルは白魔が苦手だ。 優秀で学年成績を保持する彼女でも、苦手なものはある。 それが白魔【ライフ・アップ】だ。

普段なら魔術を一節詠唱する事が多い彼女だが、【ライフ・アップ】では、教科書通りの三節でしか発動しないのだ。

それ故か、扱いは酷く、通常の1.5倍程度しか速度が上がっていない。

 

 

「もう、どうすればいいの……ッ!」

 

ほとんど泣き崩れた顔を浮かべた、フィーベルの肩に手を添える。

仕方ねぇーよな。 これは、俺がやるべき事だ。 その為に、俺はこの能力を身につけたのだから。

 

 

「大丈夫だ。 フィーベル。 後は任せろ!」

 

 

そして、俺は瀕死の状態の先生に向けて右手をかざす。

 

 

「な、何を……!?」

 

 

「あぁ、今から先生の体を、()()だけだ!」

 

 

深層心理に入り込む。

己にできるのは剣を作るだけじゃない。

俺の魔術特性は“概念の創造/回顧”だ。

だから、俺の固有魔術は【投影】だけではない。

 

 

「【復元する世界(ダ・カーポ)】……ッ!!」

 

 

俺の詠唱と同時に、蒼き術陣が現れ、蒼光が先生の身体を包み込む。

これが、俺のもう一つの固有魔術・【復元する世界(ダ・カーポ)】だ。

対象の24時間前まで巻き戻すことが可能な魔術。

それは、体についた傷も去ることながら、用途次第によっては、軽い転移も可能な優れ魔術だ。 ただし、此れには魔力の帰結というのは含まれておらず、体内に宿った魔力まで巻き戻ることはできない。 ゆえに、体に付いた傷を消すこと以外に使う用途が少ない魔術なのだ。

 

 

数秒間ほど、魔力を流し込み続けていると、先程まで粗かった先生の呼吸が安定してきた。

その事に安堵を覚えたのか、フィーベルはその場で気を失い、残った俺は、できるだけ辺りの警戒に当たることにしたのだった。

 

 

 

 

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