僕のヴィランアカデミア、始まります!
「諸君! 入学おめでとう!」
暗い一室で男の声だけが響く。しかし、その場所にいるのは話している男が1人だけ。本来、その声が誰かの耳に届くことは無い。
「ふっふっふ、そうかそうか。君たちはこの学園に招待されたことが不満なのかね? それはわたしとしても嬉しい限りだよ」
誰にも聴こえるはずのないその声は、まるで誰かの返事を聴いているかのように言葉を紡いでいく。
「入学の経緯は様々だろう。どこの高校にも入ることができなかった落ちこぼれ。入っているグループかなにかの伝手。そしてヴィランを志す者。その全てを歓迎しよう。たとえ君の中にヒーローへの憧れがあっても構わない。それはいずれ必ず君たちの力になるからね。と、まあ。先生の話というものはついつい長くなりがちですまないね。うちの学長なら何も言わずに選別するだけだろうから君たちにはまだ少し厳しいだろうね。それを考えれば話が長いくらい許してくれるよね?」
男は飄々と問いを向ける。もちろん、この部屋にいるのは彼だけだ。その言葉の先はこの部屋にいない者たちに向けて。相手と立ち会わずとも、声を交わさずとも、彼にはその意思を、感情を、問いを特定の相手にぶつけることができる。その力が彼にはある。
「さて、長くなった話もここでひとまず終わりだ。君たちは今日はまだ入学したばかりのひよっこ。授業は明日からだからね。いまここで何かあるわけじゃない。果てさて、今年は1体何人の生徒が外へ飛び立つことが出来るかな? 非常に楽しみだ」
彼の能力は伝達能力。所謂テレパシーだ。この超能力社会の中では直接戦闘に関わるものではなく、そして大して珍しい能力でもない。強いて言えばハズレではなかった程度の能力だ。
しかしそれでも彼は毎年こうして新入生を向かい入れることができている。幾度とヒーローとの戦闘を重ね、罪を重ね、時に平和の象徴と立ち会うことがあっても、彼は毎年無事な姿で新入生を向かい入れる。
「では改めて、新入生の諸君! 我が潰英高校への入学おめでとう! 明日から立派なヴィランとなるべく力を尽くすことをおすすめするよ」
彼は潰英高校対ヒーロー専用ヴィラン育成コース担任田心人云。真のヴィランを育成するスペシャリストである。
潰英高校対ヒーロー専用ヴィラン育成コース校則
第1条 理念のない犯罪は禁止。ヴィランたるもの理念を持って行動すべき。理念なき犯罪に、理念の籠った正義を潰す力なし。
第2条 目指すべきヴィラン像を持て。理念を持つには理想のヴィランを思い描くのがよい。そして思い描いたヴィランとなれ。
第3条 力を得よ。理念を突き通すには力が必要だ。ヴィランは勝ち続けるからヴィランなのだ。弱き悪はヴィランではなく犯罪者となる。
以上の校則を守れぬ者にヴィランとなる資格なし。
始まります!そして終わりました。
続きません(誰かヴィランアカデミア書いてくれませんかね?)