艦隊これくしょん この世に生を授かった代償   作:岩波命自

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いよいよ、遅筆が確定し始めてきました。
それなのに、書きたいネタが次々に。
艦これイベント……ツイートの通りE2-2丁のボスマスで、友軍が来ても全く突破できません。

本編をどうぞ。


第二五話 ショートランドに潜む巨影

支援艦「アルバトロス」がショートランドの西北西三〇キロに進出した時、艦尾のウェルドックでクレーンの稼働する音や、作業員の確認の声で慌ただしくなった。

(艦首、針路固定。

後部バラストタンク、注水完了を確認)

(デッキクルーはウェルドックより指定待機場所へ退避)

(退避完了を確認。

アラート・オン、ウェルドックハッチ開放。

第三三戦隊各員は出撃位置へ)

 

ドック内管制指揮所からのアナウンスを聞きながら、愛鷹は艤装を保持する腰のベルトの締め具合を調整していた。

ベルトの背中側には艤装を接続するコネクターがある。

しっかりと自分にちょうどいい具合にベルトを締めると、「装備」と書かれたプレートの上に乗る。

「艤装を連結用意よし」

「了解」

作業員に準備よしを伝えると、クレーンを操作する作業員が頷き、愛鷹の艤装を背中のベルトのコネクターに会うように調整しつつ近づけた。

愛鷹との距離が一〇センチほどまで近くなると、別の作業員二名が寄って来て、トランシーバーで細かい指示を送りながらさらに艤装を近づけた。

程なく、ベルトのコネクターに艤装が連結された。

作業員二名の手で艤装とベルトの固定作業が入念に行われる。

「接続よし。

では、中佐、ご武運を」

「ありがとうございます」

作業を終えた作業員二人からの敬礼に答礼した愛鷹は、タブレットを呑み、深呼吸をする。

 

今日の天候は快晴。

雲は一〇パーセント程度。

 

「衣笠さんの大好きな天気ね」

そう言う愛鷹の視線の先には、いつにもまして張り切っているらしい衣笠がいた。

先に準備を整えた第三三戦隊メンバーに続いて、「出撃」と書かれたプレートの上に立つと、「ウェルドック注水開始」のアナウンスと共にドックへの注水が始まった。

「作戦の最後のおさらいを行っておきます」

第三三戦隊メンバーに聞こえる声で愛鷹は口を開いた。

「私たちは主力部隊に先立って出撃し、前方警戒及びショートランド基地の武装偵察に当たります。

基地偵察には彩雲を使用します」

「了解」

衣笠、夕張、深雪、蒼月、瑞鳳の返事が返って来る。

「敵を排除撃沈するのも大切ですが、生きて帰ることが一番重要です。

戦功は関係ありません」

「何事も命あっての物種、ね」

艤装の操縦レバーを握りしめながら夕張が言う。

「この戦いに生き残って、霞に自慢するとしようかな」

両手を合わせて拳の骨を鳴らす深雪に、蒼月もそうですねと頷いた。

「私も帰って青葉に自慢しよっと」

衣笠も強気の笑みを口元に浮かべる。

それを見る瑞鳳は少し不安げな顔になる。

「みんな、フラグ立てすぎじゃない?」

「意気込む程度ならいいでしょう。

それで生きて帰る事が出来るなら、問題はない」

そう愛鷹に返されると瑞鳳の不安な表情は消えた。

(ウェルドック注水完了。

第三三戦隊、出撃よし)

そのアナウンスが流れた後、出撃士官が片膝をつき、片手を艦尾のウェルドックハッチに伸ばした。

それを確認した愛鷹は最初に出撃する事にした。

「先に出ますよ。

第三三戦隊旗艦、超甲巡愛鷹、出る!」

主機が加速の白波を上げ、愛鷹が海上へと乗り出した。

 

 

「トラックへ?」

聞き返す大和に武本はそうだ、と頷く。

「第五特別混成艦隊と、第二水雷戦隊のメンバーと一緒に向かってもらう。

トラック方面で深海棲艦の活動が活発化していると言う報告が来た。

武蔵くんはしばらく休養が必要だから、戦艦は君だけだ。

明後日に輸送艦で向かってもらうよ」

「了解です。

一緒に行く人の名簿とかは?」

そう尋ねる大和に、武本は本棚からファイルを一つ出して、大和に渡した。

「これだ。

トラックには、今は日本艦隊しかいない。

北米艦隊は別海域の防衛に引き抜かれてあそこは手薄だ。

君の確かな技術と経験があそこでは必要だ、頼むよ」

「はい。

あの、あの子とは会えますか?」

ファイルを小脇に挟みながら、大和は武本に「あの子=愛鷹」の現況を聞いた。

「愛鷹くんか?

今はショートランド奪還作戦に従事しているから、会えないと思う。

会いたいのなら、こちらから調整は出来るよ。

でも、彼女はそれを望まないだろうな」

難しい表情を浮かべる武本に、大和はそうだろう、と思いはしたが話はしたかった。

日本にいる時でさえ、ろくに口を聞く気を持ってくれず、無視してばかりだった。

嫌われてもいい、許されなくてもいい。

でも、愛鷹と何か話をしたかった。

「嫌われても、憎まれていても、私はあの子の『お姉ちゃん』です。

話がしたいんです」

「何を話すと言うんだい?

愛鷹は君を嫌っている。

表面上は私とは普通に接しているが、私も愛鷹から憎まれる対象だ。

お節介と呼べることをする程、私は甘くはないよ」

確かに、「しだか」の艦内で会った時は一方的に拒絶されただけだった。

しかし、また違う状況であれば態度が少しは変わるのではないか?

そんな気がした。

今の気持ちを伝えたい、それが大和を突き動かしていた。

「お願いします」

武本の目を見つめて大和は頼む。

ほんの少しの間をおいて、軽くため息を吐いた武本は「分かった」と口を開いた。

「善処はするよ。

ただ、何を話すかは君が決める事だ。

いいね?」

「勿論です。

……提督はあの子とは」

「私は愛鷹くんが今置かれている境遇のきっかけを作ってしまった。

鼻から許しもくそもない。

彼女が残る僅かな寿命を全うできるまで支え続ける程度しか、私には出来る事は無い」

そう語る武本の目はどこか遠いものを見ている目だった。

「おそらく私が逝き付く先は、先に逝った仲間とはまた違う地獄だろうな」

「天国と地獄なんてものはあるのでしょうか?」

そう尋ねる大和に武本は顔をそむけた。

「天国があるかは分からない。

だが少なくとも、地獄は確実に存在すると思う」

 

 

蒼空に消えた偵察機、コールサイン・ターミガンの彩雲を見送った愛鷹ら六人は、第三戦速を維持してショートランドへと前進していた。

「久しぶりにここまで晴れた気がしますね」

空と同じくらい晴れ晴れとした顔の瑞鳳に、その通りだと衣笠が相槌を打った。

「雨女なんてジンクスは、やっぱり考え過ぎよ衣笠」

そう夕張に言われると衣笠は機嫌がさらに良くなっていた。

士気が高い事はいいものだ。

戦闘に大きく影響するだけに、高いに越したことはない。

一方で愛鷹の胸の内では、「アルバトロス」が抜錨する前に感じていた言い知れぬ不安が増していた。

どうにもこの不安が拭えない。

「羅針盤障害が発生しています。

障害レベル1」

羅針盤を見ていた蒼月が報告して来た。

自分の羅針盤を見てみると、画面の表示に乱れが混じり始めている。

太陽を見上げ、方位磁石や海図とも照らし合わせながら現在位置の確認を行う。

レーダーの出力や波長も微妙に変えて、警戒も強化する。

通信状態は良好だ、IFFもきちんと作動している。

今のところ問題はない。

ソナー、レーダーから敵影探知の反応は無く、逆探にも何の表示もない。

静かなものだ。

「嵐の前の静けさ、か」

独語するように呟く。

静かだが、突然の会敵に備えて火器の安全装置は解除済みだ。

今日の作戦は投入戦力から言うと、比較的小規模な方の作戦だ。

それでも水上、航空戦は想定しておくに越したことはない。

ショートランド近辺に出没する深海棲艦の近況は不明瞭だ。

偵察機が複数未帰還になっているので早期警戒防空網は確かと推定されているが、それ以上の詳しい事は分からない。

その為、第三三戦隊が派遣されている訳でもある。

「ねえ愛鷹さん。

深海棲艦の艦隊と会敵したら、撃っていいの?」

後ろから聞いて来る衣笠に、愛鷹は短く返した。

「交戦規程は『ウェポンズフリー、交戦を許可する。沈めて来い』です」

「そう来なくっちゃな」

にんまりと深雪が笑みを浮かべると、夕張が顔を向けて相槌を打つ。

「今回は最初から派手に行くように、って言われた作戦ね」

 

派手に、ね。

夕張さんが想像している形での流れだったら、確かに苦労はないでしょうね。

胸中で呟きながらも、そう上手くはいかないのが現実だと自分に言い聞かせる。

夕張も慢心、油断から言っている訳では無いだろう。

彼女も結構な場数を踏んできている。

いや、自分と蒼月以外はみんなベテランだ。

多くの死線を掻い潜って来ている。

経験豊富な艦娘達だ。

過度な心配はいらないだろう、心配しすぎても始まらない。

 

「アルバトロス」から発進して一時間が過ぎようとした頃、偵察機ターミガン1からショートランド泊地のあるショートランド島を目視したと報告が入った。

羅針盤障害が酷くなっているせいか、通信には雑音が混じり気味だった。

「敵影は見ず、ね」

報告を聞き、少し気が抜けた様に瑞鳳が呟く。

「張り合いがないな、不戦勝はつまんねえよ」

「不戦勝はともかく、静かなのか私は気がかりです」

頭の後ろで手を組む深雪に蒼月が不安そうに言う。

「確かに、妙に静かよね」

怪訝な表情で夕張が周囲を見回す。

「AWACSのガード・ドックに聞いてみようかな」

「そう言えば、今回もAWACSはガード・ドックだったな」

先のラバウル近海での海戦で世話になったガード・ドックが、今回のAWACSを担当してくれていた。

「アルバトロス」から出撃した後は、時々愛鷹が話している程度で何度も交信はしていない。

しかしガード・ドックが静かなのは、敵がいないという事を意味しているのかもしれない。

いずれにせよ、もうじき何が起きているかぐらいは分かるはずだ。

 

一同がそう思っていた矢先、ターミガン1から緊急電が入った。

(我、敵の猛烈な対空射撃を受く。

敵はショートランド泊地を自基地として運用している模様。

上昇し、偵察を続行する)

「ターミガン1、こちら愛鷹。

対空射撃を行っているのは、どの深海ですか?」

(ツ級二隻だ、他に巡洋艦から砲撃を受けている。

泊地に展開している艦艇は少数の中小艦艇のみ。

空母、及び戦艦などは確認できず)

無線の向こうからも対空砲火の轟音が聞こえてくる。

しかし愛鷹が気になったのは別のところだ。

泊地を防衛している、いや停泊している深海棲艦の数や規模が少ない。

主力艦たる空母や戦艦が展開していないのは妙だ。

警戒すべき事柄だろう。

するとターミガン1が戸惑う声が入って来た。

(おい、あの砲台を見ろ)

(なんだこれは?)

(砲台、いや予備の主砲塔か?

だが見たこともないデカさだ)

(いや、コイツには見覚えがあるな。

三連装のバカでかい砲口……こいつは見た覚えがある)

 

三連装……バカでかい砲口……。

 

(ワ級が大量に居やがるな。

何かの大量の資材を揚陸したみたいだな)

(前線展開泊地棲姫でも置く気か?

……いや、もうデカいドックを作ってやがる)

 

前線展開泊地棲姫……デカいドック……。

 

その時、愛鷹の表情が緊張で引き攣った。

「まさか、このショートランドに……?」

あり得ない話ではないだろう、現に証拠となるモノが揃っている。

「こちら愛鷹、全部署へ警告。

深海棲艦に巨大艦ス級がいる恐れあり、厳重な警戒を求む」

「ス級……!

あの大きな戦艦の事ですか!?」

頓狂な声を衣笠が上げた。

ス級と言う名前に他のメンバーも表情をこわばらせた。

「あいつがいるってか」

「あのス級が……」

顔を引きつらせる深雪と蒼月に加えて、夕張と瑞鳳も身を固くした。

忘れようもないあの巨大艦。

単艦で多数の艦娘を無力化する巨大無比な火力と、巨体に似合わない高い機動力。

愛鷹は二回もス級と対峙して死にかけ、その他のメンバーも瑞鳳以外修羅場を見ている。

そんなのがここにもいると聞いて、緊張しないはずがなかった。

「でも、前の戦いでス級がどういうモノかは分かったから、打開策はあるはずでしょ。

気負い過ぎないで、頑張ろう!」

緊張してはいるが、鼓舞する様に衣笠が一同に言う。

それに、そ、そうだね、と緊張した表情ではあるが夕張、深雪、蒼月、瑞鳳が応じる。

よし、と衣笠が大丈夫そうだと思い、愛鷹も大丈夫なはずだと前を見ると、タブレットを呑んだ直後らしい肩を細かく震わせ、上下させているのが目に入った。

「大丈夫、愛鷹さん?」

慌てて衣笠は愛鷹に尋ねる。

「大丈夫、すこし緊張が張り過ぎただけです」

脂汗を浮かべた愛鷹が少し顔を振り向けて応える。

無理もない。

二回も挑み、死にかけたのだ。

あれだけの目に遭って緊張しない方がおかしいだろう。

「瑞鳳さん、ターミガン1にRTBを。

他の索敵機でス級他、敵主力艦隊捜索に当たります」

「了解」

 

 

その一報は「アルバトロス」のFICでも大きな衝撃と共に受け止められた。

ス級を相手にどう戦うんだ、と狼狽える声が上がる。

そこへ磯口の淡々とした、しかしいつもとは違う雰囲気の一声がかけられた。

「全員、落ち着け、浮足立つな。

索敵機を増やし、敵部隊の警戒・情報収集能力を強化しろ。

ガード・ドックとのデータリンクは確実に行っておけ、奴の目は重要だ。

第三三戦隊の通信は絶やすなよ」

「はっ」

威厳のある声でもなかったにもかかわらず、磯口の言葉はその場の全員をすぐに静めていた。

「しかし、提督。

ス級を相手にどう我々は戦えと?」

副官の問いに磯口はすぐには答えなかった。

何か名案があると言う訳ではなかった。

ただ、ここでこの場にいるものが浮き足立てば、艦隊全体に動揺が広がって手が付けられなくなり、敗北へ繋がりかねない。

落ち着いていれば、打開策も捻り出せるはずだ。

既に攻略艦隊は全員が出撃し、「アルバトロス」の前方一〇キロに展開している。

「提督、攻略艦隊より航空隊の攻撃装備指示が来ていますが、どう指示を?」

ヘッドセットを外し、首にかけた通信士が磯口に命令を仰ぐ。

「攻略艦隊に指示、空母艦載機は対艦攻撃装備。

敵艦隊を発見次第、攻撃隊を発艦させ敵艦隊を撃滅せよ」

「了解」

通信士はヘッドセットをかけなおすと、マイクに吹き込んだ。

「『アルバトロス』FICより攻略部隊旗艦霧島。

空母部隊は航空隊の装備を対艦攻撃装備にして、敵艦隊発見の報告、及び情報を待て」

指示を出す通信士を見ながら、磯口は自分の端末に向き合うと、ス級に関する情報を洗いざらい出して考え込んだ。

(ス級の火力と機動力は脅威その物で、装甲も極めて厚い。

艦隊を正面からぶつけても勝ち目はほぼないだろう。

航空攻撃が有効かもしれんが……奴の対空戦闘能力が未知数だ。

 

ロングレンジの攻撃があてにならないとしたら、有効策はやはりクロスレンジ。

内懐に潜り込んで魚雷攻撃をかますことが出来れば。

だが、副砲の猛砲撃に晒される事にもなる。

長距離、短距離からの攻撃に強い鉄壁の防御と言う訳だな。

 

だが、クロスレンジでならあいつを使えば、勝てるだろうな)

アイツと言うよりは、アイツ「ら」かもしれないが、と付け加えた磯口は更に考え込む様に腕を組んだ。

ス級……連中、量産を開始したのかもしれんな。

 

 

ターミガン隊を収容し、フェーザント、グレイモスのコールサインの彩雲の発艦と大忙しの瑞鳳を護衛しつつ、第三三戦隊はショートランドへと前進し続けていた。

「もしス級と会敵した時、私達に勝ち目ってあるんですか?」

ふと不安げに聞く蒼月に、一同はどう答えればいいか分からなかった。

今のところ、単独撃破したのは愛鷹一人だ。

それもかなり危うい形で。

しかし単独で沈めた、という実績は確かにあり、そして生きている。

そこを考えると、蒼月は愛鷹がス級への有効策になりえる艦娘に見えて来た。

だがその期待をかけられている愛鷹の背中を見ていると、彼女にとって相当の重圧になっている事が分かった。

 

無理もない。

重傷を負いながらのス級撃破だったのだ。

その直後にはもう一隻に危うく沈められかけた。

プレッシャーやトラウマなどにかからない方がおかしい。

思うと蒼月が初めて会った時と比べて、愛鷹の考えている事、感じていることが随分分かるようになって来た。

普段接していない人間からすれば、あまり感情を表に大きく出さない人間に見えるだろう。

しかし、同じ部隊に配属になり、何度も戦いや普段の生活を共にしてくると、愛鷹の人間性と言う物が少しずつ分かって来た。

相変わらず目深にかぶった制帽の下の素顔を見せてはくれないが、もうそれはそれでいいだろう。

見せたくない理由があるなら、こちらから無理に探らなくてもいい事だ。

蒼月として愛鷹の望みや意思を尊重する気だ。

もしス級が出てきたら、司令部は過去の実績から愛鷹を対抗策として持ち出そうとするだろう。

その時は、自分なりに司令部に再考を促そうと考えていた。

 

 

(こちらガード・ドック、偵察機ドミノ2から入電。

我、敵機動部隊を発見、現在位置は参照点より一-九-五。

編成はヲ級二、ヌ級一、ホ級一、イ級二。

第一攻略艦隊は攻撃隊を出撃させ、敵深海機動部隊を撃滅せよ)

来た、と榛名はガード・ドック経由での偵察機の情報に目元を険しくした。

空母三隻は中々の強敵だ。

しかし、第二航空戦隊第二分隊所属の飛鷹と隼鷹の航空団の戦力は練度も機材も確かだ。

「飛鷹さん、隼鷹さん、直ちに攻撃隊の発艦を」

振り返って榛名が飛鷹と隼鷹に言うと、二人は頷いた。

「任せて」

「ぱーっとやってみよっか、なあ」

いつもの軽いノリで返す隼鷹に、飛鷹はやれやれと溜息を吐いた。

二人が巻物型の飛行甲板を展開すると、式神がいくつも飛行甲板から空へと飛びあがっていった。

飛び上がった式神は空中で烈風や流星、彗星へと姿を変え、編隊を組んで空の彼方へと消えて行った。

「気をつけてなー、帰ったら酒杯を盛大に上げようぜ」

飛び去って行く攻撃隊の編隊に隼鷹が手を振ると、飛鷹が一喝した。

「隼鷹、あなた飲み過ぎよ!

アルコール依存症を越して肝臓癌になるわよ」

「大丈夫だって、あたしは肝臓がタフだから」

姉からの叱責にケロリと返す隼鷹に、飛鷹は眉間に寄せている皺をさらに増やした。

飲兵衛癖の酷い隼鷹を飛鷹が止める、制裁を科す、はいつものことだ。

性格が全くあっていない二人だが、姉妹仲は良く、寧ろ仲がいいからこその光景でもあった。

それにだらしなく飲んでいるように見える隼鷹だが、これでも改二になっている実力者の一人だ。

一方で飛鷹は改止まりと、どこか妙な構図でもある。

普段の二人からは想像がつかないが、実は二人とも軍隊とは無縁の大企業の令嬢育ちである。

 

 

攻撃隊が発艦して三〇分ほどした時、ガード・ドックが艦隊に警告を発した。

(ガード・ドックから全艦へ通知する。

レーダー上にボギー多数マージ。

深海の攻撃機隊だ、参照点より方位〇-三-二、機数約六〇。

CAPは直ちにインターセプト、艦隊は対空戦闘用意)

「第一攻略艦隊旗艦榛名、了解。

全員輪形陣に陣形変換、対空戦闘用意!」

了解、と仲間達からの返事が返って来る。

三五・六センチ主砲に三式弾を装填し、対空機銃もスタンバイ。

他のメンバー、妙高、能代、川内、海風、山風、涼風、江風も主砲に対空弾を装填し、対空射撃の構えをとった。

上空に展開している烈風の防空隊が速度を上げ、敵攻撃機編隊の迎撃に向かう。

「頼みますよ、私達が被弾したら攻撃隊の帰る場所がなくなるわ」

航空戦力の運用能力を喪失した時点で戦えなくなる空母艦娘の飛鷹にとって、被弾による損害は出したくない所だ。

「分かってますよ。

榛名達がお守りしますから」

任せろと言う様に榛名が頷く。

四人の駆逐艦娘もやる気満々だ。

「がんばりましょうね」

「合点だ!」

「あたしも……がんばるよ」

「やってやろうじゃねえか!」

「調子に乗り過ぎないでよ」

元気なのはいいが、気を抜くなと川内が四人をいさめるように声をかける。

一方で能代は、妙高に少し不安げな表情で尋ねた。

「防空部隊がどの程度、敵機を削れと思います?」

「半数は無力化して頂けていたら、こちらとしては助かりますが……。

そう上手くはいかないでしょうね」

「ですね」

能代が頷いたとき、ガード・ドックがCAPの交戦開始を告げた。

 

 

第一攻略艦隊と敵艦隊が会敵か。

ヘッドセットから聞ける交信を聞き、戦闘が始まったことを愛鷹は知った。

自分たちは索敵機を多数上げて、敵、特にス級の捜索に当たっていた。

「なあ、もしス級と会敵しちまった時、こっちはどう戦うんだ、愛鷹?」

そう尋ねる深雪に愛鷹はすぐには答えなかった。

自分にも特に策がある訳ではない。

砲撃は、まず効果は無いだろう。

そうとなれば魚雷攻撃か、航空攻撃だ。

魚雷攻撃の場合は肉薄しないと当らない。

航空攻撃はス級上空の航空優勢か、制空権をこちらが確保出来れば、可能だろう。

あとは……自分の近接攻撃だが、流石に勘弁願いたいものだった。

「戦わず、逃げる、と言うのは?」

「抜かせ」

返された返事に深雪は苦笑を浮かべた。

「では、ス級を鹵獲して、私達が飼うとか」

「飼うのかよ」

「そもそも、深海棲艦は人類が飼っているのでは?

それか深海棲艦が人類を飼っている、いや人類と深海棲艦を地球が飼っているのかもしれませんね……」

「飼うとか、ブラックジョークにもならない」

少し呆れたように夕張が呟いた。

「でも、あの火力をこっちのモノにできれば、こちらとしても助かりますね」

「確かに」

蒼月の言葉に瑞鳳がその通りだと相槌を打つと、それを聞いた愛鷹が独語するように呟いた。

「それだけの火力なら……もうある……」

「何か言いました?」

何か小声で言った愛鷹の言葉が気になったので蒼月は聞いてみたものの、愛鷹は答えなかった。

 

それから一〇分程した時、愛鷹のレーダーに反応が出た。

「コンタクト、敵艦隊捕捉。

方位〇-九-〇、真東より、こちらに接近中。

艦影六、深海棲艦の警戒部隊ですね」

「来ましたね」

主砲を構え直した衣笠の言葉に愛鷹は無言で頷いた。

「全艦対水上戦闘用意。

夕張さんと蒼月さんはこの場にて待機、私と衣笠さん、深雪さんで敵艦隊を迎撃します」

「了解」

三隻ずつに分離した第三三戦隊の内、愛鷹と衣笠、深雪は六隻の深海棲艦艦隊迎撃に出る。

「最大戦速、砲戦、雷撃戦に備え」

(ガード・ドックから愛鷹。

お前らの会敵した深海はリ級三隻、イ級三隻の編成の模様だ。

楽な筈の編成だ、給料分仕事しろ。

グッドラック)

「了解。

敵は重巡三隻と駆逐艦三隻です」

「楽な相手だな」

「そうだと良いんだけどねえ」

不敵に笑う深雪に衣笠は少し不安そうに返した。

数では二対一だから、不安になるのも無理はない。

トリガーグリップを持ち、安全装置を解除する。

レーダーの反応を基に、先頭の重巡リ級に照準を合わせる。

「距離二〇〇〇、方位〇-九-〇、的針一-七-八、速力二七ノット。

射界確認。

第一、第二主砲仰角調整、徹甲弾装填」

まっすぐ単縦陣と言う訳ではなく、若干、衣笠が愛鷹の右手、深雪が衣笠の右手後方に位置した形で続航している。

「衣笠さんは重巡の三番艦を、深雪さんは駆逐艦をお願いします」

「了解」

「任せろ」

二人が返事を返すのを背中で聞きながら、照準を合わせた愛鷹は先手を打った。

「正面対水上戦闘、主砲撃ちー方始め。

てぇーっ!」

射撃トリガーを引くと、砲声と共に三一センチ主砲の砲口から真っ赤な砲炎がほとばしり、すぐに黒煙に変わった。

その黒煙の中心を突き破って六発の砲弾が空中を飛翔していき、黒煙は程なく、砲身から冷却水がしたたり落ちる白い蒸気にかき消された。

放たれた六発の徹甲弾が愛鷹の狙った位置へと着弾した時、すでにリ級は右側に至近弾を受けていた。

着きあがる白い水柱に煽られるリ級の表情には早くは動揺が出ていた。

 

イニシアティブを先取りした。

 

即座に再装填が終わっていた主砲を撃ち放つ。

射撃諸元を微妙に左にずらした愛鷹の二度目の砲撃によって、二基の主砲から撃ち出された砲弾はリ級の左右すぐそばに着弾し、挟叉となった。

まだリ級は発砲可能な射程距離になく、アウトレンジ攻撃を受けるがままの状態だ。

再装填が終わった時、深海棲艦艦隊は依然針路を維持したままだった。

距離を詰め続ける気か? 

それとも発砲した瞬間を見計らって転舵するか、それとも減速するか。

その動きはこの砲撃で確かめようと、三射目を放つ。

体を震わせる反動を伴い、砲口からたたき出された砲弾が空気抵抗の摩擦で赤く光りながら飛翔していく。

すると、その発砲を確認したリ級は右へと変針した。

「敵艦、面舵に切る、方位二-〇-七。

射角修正」

砲塔を左へ回し、射撃照準を合わせる。

再装填が完了し、トリガーグリップの発射トリガーに指をかける。

「衣笠さん」

「お任せ!」

愛鷹の声に衣笠が答えると同時に、愛鷹の後ろにいた衣笠が前へ出て、彼女の二〇・三センチ連装主砲三基が発砲した。

斉射の砲声が鳴り響き、撃ち出された砲弾が橙色に輝きながらリ級の三番艦に飛んでいく。

リ級の手前に落ちた砲弾に衣笠がしめた、と口元に笑みを浮かべる。

二番艦に発砲された、と深海棲艦艦隊が焦りを見せている隙に、愛鷹が主砲弾をリ級の一番艦に撃ち込んだ。

まずい、とリ級が気付いた時には四発が直撃し、三一センチ主砲弾と言う大口径砲弾の爆発の炎に包まれた。

一気に轟沈した一番艦の最期に二番艦が動揺を浮かべる。

すかさず再装填が済んだ主砲弾を二番艦へと叩き込む。

急いで主砲を構えようとした二番艦のリ級は、直撃した三一センチ主砲弾の爆発で吹き飛び、炎の中へと消える。

バラバラになった艤装の残骸をいくつかのこし、リ級は海上から消えた。

あっという間に二隻の重巡を立てつづけに失った深海棲艦艦が動揺を消して、態勢を立て直した時、三番艦に衣笠の砲弾が命中した。

金属の塊が破壊される音を立てて直撃はしたものの、リ級は持ちこたえ、反撃の砲火を撃ち出す。

主砲弾を再装填中の衣笠の右側に、外れ弾が水柱を高々と上げた。

その隙に三隻の駆逐艦は分離して愛鷹と衣笠の右側面に出るが、待ち構えていた深雪が魚雷を発射した。

「一発必中、深雪スペシャル!」

掛け声と共に右足の魚雷発射管から圧搾空気で三発の魚雷が発射され、着水し海中に潜り込むと、入力されていた諸元通りに駆逐艦三隻に突っ込んでいった。

ソナーの反応で航跡を引かない深雪の魚雷の攻撃から逃れようとイ級が回頭を始める。

しかし、二隻は避け切ることが出来ず、直撃と爆発の轟音が二回上がり、水柱が二つ海上にそびえたつ。

直ぐに黒煙にとってかわられた水柱の向こうから、駆逐艦が顔を出して主砲の砲口を突き出すが、そこへ深雪の放った一二・七センチ砲弾が二発直撃する。

直撃の爆炎を二つ上げ、もがく駆逐艦へ深雪はとどめの一撃を撃ち込んだ。

「くらえー!」

さらに二発の砲弾を撃ち込まれた駆逐艦が爆発炎上し、動きを止めた時、衣笠も四射目でリ級に深刻なダメージを与えた。

「よし!」

ほくそ笑み、五射目を撃ち込んだ。

大破していたリ級は、苦しそうにもがきながらも主砲を構えて反撃の一発を撃つ。

衣笠への直撃コースを確かに得ていた砲撃だったが、刀を引き抜いていた愛鷹がそれを何もない場所へとなれた手つきで弾き飛ばしていた。

悔しそうに顔を歪めるリ級に、衣笠の六射目の砲弾が命中する。

直撃を受け、致命傷を受けたリ級が爆発炎上して海面下に消えた後、海上には静けさが戻っていた。

 

「敵艦隊全滅。

重巡三隻、駆逐艦三隻を撃沈確認」

ヘッドセットでガード・ドックに報告を入れる。

(了解した、引き続き作戦を続行せよ)

「愛鷹了解」

刀を鞘に収めると、分離していた瑞鳳と夕張、蒼月と合流する。

「早いですね」

合流した愛鷹、衣笠、深雪に蒼月が感嘆の笑みを浮かべる。

「あの程度、簡単よ」

「衣笠、自慢する程活躍してた?」

にっと笑う衣笠に夕張がツッコミを入れると、深雪が腕を組んで頷いた。

「重巡を一隻ぶっ飛ばしただけだったな」

「ちょっとお」

頬を膨らませる衣笠を横目に、愛鷹は瑞鳳に寄った。

「瑞鳳さん、索敵機から何か報告は?」

「もう一群の空母部隊を発見した以外は、特にないですね。

ス級はまだ見つけてません。

新たに見つかった空母部隊は第二攻略艦隊が相手をしてます」

「もう一群発見か……。

あと何群いるか」

「普通の深海棲艦の艦隊なら、まだ対処のしようがありますけど。

本当にいますかね」

不安と疑念の入り混じる表情を向けてくる瑞鳳に、愛鷹は静かに返した。

「ス級は状況判断の域に過ぎなかったとはいえ、取り越し苦労であった事に越していませんから。

皆さん、陣形を再編、任務を続行しますよ」

了解、の返事が返り六人は単従陣を組みなおし、ショートランドへと前進を再開した。

ここまでは順調、作戦は順調。

そう自分に言い聞かせるように胸中で呟くが、不安な気持ちは大きくなっている気がした。

 

 

対空砲火の炸裂する轟音が響く中、榛名達第一攻略艦隊は回避運動で躱した爆弾の突き立てる水柱を縫うように航行しながら、対空砲を撃ち続けた。

出来る敵艦載機部隊です、と榛名は対空砲火を巧みにかわしながら、精度の高い爆撃を繰り返す深海棲艦の攻撃機を睨んだ。

艦載機はどれもタコヤキだ。

中々腕の立つタコヤキで、対空砲火で墜とすことが出来たのはCAPの迎撃を掻い潜った機体の二割以下だ。

飛鷹と隼鷹はまだ被弾していない。

これが幸いだ。

しかし、対空機銃でタコヤキの一機を撃墜した時、爆発音と悲鳴が上がった。

「涼風が被弾!」

「な、なんであたいが……」

江風の報告と、爆弾の直撃を受けた涼風の苦しむ声が聞こえた。

「江風さんは涼風さんを援護して下さい!」

「分かった」

「他の艦は対空戦闘を継続」

そう命じた時、ガード・ドックが焦りを滲ませた声で連絡を入れる。

(第二波接近、数およそ五〇。

第一波と同方位からだ、警戒しろ)

「了解、皆さん敵艦隊から第二波です」

「くそ、涼風が中破して大変な時に……。

江風、涼風を連れて早く離脱しろ」

川内の指示に涼風に肩を貸す江風は頷くと、「アルバトロス」へと帰還する為艦隊を離脱した。

無事に戻られれば、と思った時、榛名の耳に急降下して来る敵機の轟音が聞こえた。

一瞬の隙を突かれた形だった。

気が付いた時には左頭部に衝撃が走り、頭を強く突き飛ばされたような衝撃と鋭い痛みが走った。

悲鳴を上げて痛むところを押さえると、生暖かいモノが手に触れた。

「榛名さんが被弾!」

悲鳴のような声を上げる能代に、榛名は右手を上げて制した。

「榛名は……大丈夫、です」

「その様子じゃ、大丈夫と言われても信じられねえぜ」

心配する隼鷹の声が耳に入り、確かに大丈夫じゃないかも……と苦笑を浮かべた。

痛む頭を押さえていると、血の筋が額を流れて左側頭部にもダラダラと流れて来るのが分かった。

やはり大丈夫じゃないですね、と思っていると海風がほっとした声を上げた。

「敵機が離脱していきます、第一波は凌げましたね。

榛名さんの救護は私が」

「私がしますから海風さんは対潜警戒を」

海風にそう指示を出した妙高は榛名に寄って、救護処置を行った。

止血処置をして止血剤と鎮痛剤の注射を打ち、滅菌絆創膏を患部に貼る。

出血はひどいものの、榛名の意識ははっきりとしている。

「このままだと、敵のいい的です。

榛名さんも離脱を」

「でも、まだやれます」

「無理しないで榛名、私達で何とかするからさ」

いつの間にか近くに来ていた川内が肩に手を置くのが分かった。

「山風、榛名を連れて行ってやって」

「わかった」

鎮痛剤が効き始めて痛みが和らぎ始めたので目を開けると、右目だけが空いた。

「左眼は」

「血糊でくっついてるだけ、大丈夫だよ」

「次が来るから、行こ」

下向きの視界に小柄な山風が入った。

重たげな眼が無言で榛名に撤退を促していた。

「分かりました、手当てが済んだらすぐに戻ります」

「無理しなくていいんだって。

じゃ、山風、護衛頼むよ」

無言で頷いた山風は榛名に付き添いながら「アルバトロス」へと連れて行った。

 

 

「ガード・ドックより入電。

第一攻略艦隊、敵の空爆により榛名、涼風中破。

損傷・負傷により作戦継続不能、本艦へ帰投します」

女性オペレーターの報告に、早くも二人が戦列外か、と磯口は溜息を吐いた。

戦える艦娘が今は必要だ、戦えない艦娘は足手まといだ。

「ウェルドックに通達。

医療チームはスタンバイ、緊急帰投準備だ」

「アイ・サー」

艦内電話の受話器を取った要員の指示で、ウェルドックに医療チームがストレッチャーを用意して待機し、作業員が緊急帰投受け入れ準備の為ドック内で確認の声を投げ合う。

早くも戦艦と駆逐艦を一隻ずつ戦列から失ったが、もう一群の攻撃に向かった第二攻略艦隊からの報告では発見したヲ級二隻全てを撃沈し、重巡一隻を大破させたと言う。

結果はイーブンと言ったところか。

ただ、深海棲艦の艦隊がこれだけとは思えない。

まだまだ何群かいるだろう。

先行する第三三戦隊は、既に重巡三隻と駆逐艦三隻の艦隊を殲滅して尚も前進中だ。

愛鷹が存在する可能性があるス級はまだ発見できていない。

 

だが本当にス級はいるのだろうか、と言う疑問が磯口にあった。

状況証拠で愛鷹は判断しているとは言え、ス級を直接確認したわけではない。

アイツのただの取り越し苦労ではないか、という気もしなくはない。

しかし、ス級がいる可能性があるからには無視するわけにもいかなかった。

 

「第一攻略艦隊より発艦した攻撃隊、敵艦隊を発見。

攻撃を開始します」

抑揚のあるオペレーターの報告に「了解」とだけ返す。

五分もしない内に攻撃隊の攻撃が完了した。

「攻撃隊より戦果報告、空母ヲ級一隻とヌ級撃沈確認。

ヲ級一隻大破、撃沈は時間の問題。

護衛艦艇は駆逐艦一隻を撃沈。

我が方の損害、攻撃機を九機、護衛機六をロスト」

「一五機もやられたか。

奴ら、防空能力をさらに上げたな」

こちらが戦力を強化すれば、向こうも合わせるように上げて来る。

深海棲艦としては、差をつけられない為だから当然といえば当然だ。

厳しいものだ。

そう思いながら磯口は戦闘の推移を見守った。

 

 

榛名と涼風が離脱の話を聞き、やはり一筋縄ではないはいかないものだ、と実感するものを愛鷹は感じた。

そろそろ、こちらにも攻撃が来るかもしれない。

そう思っていると瑞鳳のAEW彩雲スカイキーバーから「敵機接近」の報告が入った。

「来たか……全員、対空戦闘用意。

防空隊は敵機をインターセプト、艦隊は輪形陣に陣形変換。

衣笠さん、腕の見せ所ですよ」

「了解、任せて下さい」

自信あり気に返す衣笠に、頼みますよ、と心の中で言った。

「艦載機のみんなも頑張ってね」

発艦した烈風改二を瑞鳳が期待の目で見送っている。

「蒼月、ちゃんとスコア数えとけよ、後で比べようぜ」

「深雪は蒼月ちゃんには勝てるわけないでしょ。

蒼月ちゃんは一種の天才なんだし」

そう夕張に突っ込まれた深雪は不敵に笑みを浮かべた。

「深雪様の腕を見せてみようじゃないか」

「が、頑張ってください深雪さん」

力む深雪の姿に引き気味に蒼月はエールを送り、本当に大丈夫か、と夕張は心配顔を返した。

 

飛来した敵機は七〇機あまり。

その内の約半数を防空隊は撃墜したが、残る機体は殆どが攻撃機だったので、深海棲艦の攻撃隊の戦力を大きく削ぐことが出来たのかは怪しい所だった。

「レーダーに感あり……来た。

主砲三式弾改二、信管VT、敵編隊前面。

方位〇-六-三、高度一二〇、敵速五〇〇キロ」

トリガーグリップで第一、第二主砲の三一センチ砲六門を深海棲艦の攻撃隊に向ける。

 

「敵機捕捉。

左対空戦闘、指標一番から一二番、主砲撃ちー方始め。

てぇーっ!」

 

真っ赤な火炎と轟音が六門の主砲の砲身から迸り、反動が砲身を勢い良く後退させた。

撃ち出された三式弾改二は、愛鷹が狙った通りの弾道を描いて深海棲艦の攻撃隊の前面へと飛んでいった。

六発の三式弾改二が攻撃隊の前面までに到達すると、接近する敵機を感知した近接信管が作動し散弾を撒き散らした。

編隊の中から被弾し、炎と黒煙を拭き海上へと落ちていく攻撃機が黒い筋を何本も空に引く。

(約三分の一の撃墜を確認した、良い腕だ愛鷹)

スカイキーバーが褒めて来たが、今は「どうも」とだけ返す。

再装填にかかる時間を考慮すれば、もう主砲は使えない。

高角砲でやるしかない。

 

「全艦、左対空戦闘、旗艦指示の目標。

三式弾改二、主砲撃ちー方始め。

てぇーっ!」

愛鷹の号令が下されるや、愛鷹と蒼月の長一〇センチ高角砲、深雪の一二・七センチ砲、衣笠の二〇・三センチ砲、夕張の一四センチ砲が対空射撃の砲火を放った。

空一杯に対空弾の作り出す着弾の黒煙が咲き乱れ、爆発音が鳴り響く。

被弾した攻撃機が黒煙を引きながら一機、また一機と落ちていく。

弾幕を貼る第三三戦隊の砲声と、撃墜された攻撃機の爆発音や墜落していく音が混ざり合って海上に響き渡った。

一〇機の攻撃機が撃墜され、空から消える。

「指標八番から一八番、撃墜。

全艦、撃ち方止め。

新たな対空目標、〇-一-〇。

全艦、旗艦指示の目標、主砲撃ちー方始め。

てぇーっ!」

レーダーと目視で確認する愛鷹が指示する通りに、第三三戦隊は対空戦闘を行う。

撃ち上げられる対空弾が深海棲艦の攻撃隊を次々に爆炎で呑み込み、細かな破片や飛行不能となった機体から炎と黒煙を引きながら落ちていく。

さらに撃ち上げられる対空砲火がさらに深海棲艦の攻撃機を落としていく。

対空射撃の腕を上げた衣笠の二〇・三センチ主砲弾が深海棲艦の攻撃機のすぐ近くで爆発し、姿勢を崩したところへ蒼月の長一〇センチ高角砲砲弾が直撃し、止めを刺す。

深雪が撃ち上げた一二・七センチ主砲弾と、夕張の一四センチ主砲弾の弾幕が攻撃機を足止めする所へ愛鷹が自身の高角砲を撃ち込む。

濃密で連携の取れた対空砲火は攻撃機に攻撃のタイミングをあたえさせない。

 

「指標二六番から二八番、三〇番から三四番を撃ち漏らした……。

サヴァイブターゲット六(残存目標)、方位〇-〇-二から接近。

蒼月さんに向かう」

若干の焦りを滲ませた愛鷹の警告に、衣笠が迫る敵機を見る。

「蒼月ちゃんを攻める形なの?

瑞鳳、エアカバーを」

「無理、近すぎる」

頭を振る瑞鳳の返事に衣笠が舌打ちした。

「何とか防ぎます」

そう言いながら蒼月は長一〇センチ高角砲を撃ち上げ、深雪も加勢し、愛鷹も対空機銃で援護する。

あっという間に四機が落ち、一機が続けて落ちるが、もう一機がなかなか落ちない。

そのまま急降下に転じる。

(あの高度からだと引き起こしが間に合うか。

いや『引き起こす気がない』としたら?)

 

体当たり、の文字が頭に浮かんだ。

 

そうはさせない、と高角砲を指向する。

全弾当てて、木っ端微塵にしないと、撃墜した攻撃機の大きな破片がそのまま蒼月に激突することになる。

それでは撃墜しても意味がない。

駆逐艦娘の蒼月は爆弾の直撃に脆い、体当たりなど論外だ。

「蒼月さん、頭部を護って衝撃に備え!」

警告した愛鷹は返事を待たずに高角砲の斉射を攻撃機に浴びせた。

至近距離だった事もあり、数発がまとめて直撃した攻撃機、機種はタコヤキ、が爆散し、頭を覆い、防護機能を展開した蒼月の直上で火球と化した。

爆発した深海棲艦の攻撃機の黒煙が蒼月の頭上にも降りかかって見えなくなる直前、幾つかの小さな破片が蒼月に降り注ぐのが見えた。

「被害報告を」

「大丈夫です、愛鷹さん」

黒煙から姿を現した蒼月が、微笑を浮かべて返してきた。

その時、深雪が叫んだ。

「蒼月、頭に注意しろ!」

「え」

 

直後、蒼月の頭の上で爆発が起き、爆炎の中に蒼月が呑み込まれた。

 

 

「索敵機より敵機動部隊、三郡目を発見の報告あり。

編成は空母ヲ級一、ヌ級一、戦艦タ級一、駆逐艦三。

座標を確認、第一攻略艦隊より攻撃隊が発艦します」

戦艦が確認されたか。

報告を聞いた磯口は眉間にしわを寄せて腕を組んだ。

こちらは対抗可能な戦艦が霧島しかいない。

榛名は先ほど涼風と共に帰投し、手当てを受けている。

軍医の話では、即時再出撃は不可能、との事だった。

作戦が終わったら見舞いにでも行こう。

作戦後の事を考えていると、オペレーターが別の報告を上げた。

「索敵機よりル級二隻を主体とする戦艦部隊を確認の報告が入りました」

「戦艦部隊のお出ましか」

参謀の一人が渋い表情を浮かべる。

霧島一人に対し、向こうは三隻の戦艦がいる。

火力ではやや劣る愛鷹を加えても、数的な不利は残る。

そこへ嫌な報告が入って来た。

「ガード・ドックより入電。

第三三戦隊の駆逐艦蒼月、敵艦載機の攻撃で大破。

旗艦愛鷹が本艦への第三三戦隊の緊急帰投許可を求めています」

「くそ、前に出し過ぎたか……。

許可してやれ」

悪態をつきながら、許可を出す。

大破状態で進撃しても戦力にはならないし、寧ろ死に行くようなものだ。

自殺行為はさせない。

「第三三戦隊が本艦に帰還するまで何時間かかる」

「およそ、二時間はかかります」

海図を見た航海参謀の答えに、磯口は眉間にしわを寄せた。

「怪我の具合についてはどう言っている?」

「呼びかけに反応がないそうです。

止血は出来ており、脈もあるとの事ですが傷が頭なので……」

「拙いな、大事に至る可能性がある。

ヘリを飛ばせ、護衛機を付け、ドアガンをセットしておけ」

「撃墜されたら、蒼月もヘリの乗員も危険ですが」

分かっていますね、という様に参謀が聞くと磯口は短く返した。

「やるんだ」

 

 

待機中のHH60Kレスキューナイトホーク一機が「アルバトロス」の飛行甲板に上げられると、すぐさま発艦した。

担当する役割ごとに色分けされた黄色や赤、緑、青、紫のジャージとヘルメットを着た作業員たちが見守る中、機体の両脇にM2重機関銃と射手(ガンナー)を追加で乗せたヘリが飛び立ち、その周りを「アルバトロス」から発艦した妖精さんが操縦する紫電改二戦闘機一六機がついた。

 

 

はっきりと見たわけではなかったと深雪は語るが、愛鷹にはその証言がしっくりくる気がした。

蒼月が被弾した理由。

深海棲艦の攻撃機が撃墜される直前に、既に爆弾を投下していたという事だ。

引き起こさなかったのは体当たりに見せかけた、又は体当たりと合わせての目論見だったのかもしれない。

頭から激しく出血する怪我を負った蒼月は、愛鷹からの全く呼びかけに応答しないばかりか、ペンライトで瞳孔を照らしても反応しなかった。

流石にこの容態には愛鷹も焦りが滲んだ。

一刻も早い治療が必要だが、愛鷹の艤装の機関部出力でも曳航速度は第二戦速も出せない。

それに無理をして高速航行すれば、頭部の傷に何らかの影響も出かねない。

ひとまず手持ちの医療キットで出来る範囲の医療処置を施し、ベルトで蒼月と自分を繋いで曳航を開始した。

救助ヘリが向かっているのが幸いだった。

愛鷹が蒼月を曳航している間、衣笠と深雪が曳航される蒼月の体を支えた。

「アルバトロス」から発艦したHH60Kとの合流地点に向かっている時、瑞鳳の索敵機がさらに二群の水上部隊を発見していた。

巡洋艦を中心とした部隊だったが、正直な所蒼月が戦闘不能な状況の第三三戦隊には充分脅威だった。

電波管制を敷き、レーダーの使用も控え、索敵機からの通信は受信のみに限定して航行した。

正直な所、蒼月の大破は痛い。

自分の防空能力も高いが、蒼月のずば抜けた防空能力には正直一歩及ばない。

それだけに防空艦としては非常に頼りにしていたのだが。

思わぬところで、思い通りにならなくなる、いつものことだ。

溜息を軽く吐きながら愛鷹は双眼鏡を見て、周囲を警戒した。

 

ヘリとの会合まで一時間と言う時、瑞鳳の索敵機から深海棲艦艦隊の一群を発見と言う連絡が入った。

「くそ、近いな」

発見したと言う場所の座標を聞き、海図を見た深雪が舌打ちをした。

「会敵は避けたいけど、この分だとヘリとの合流ポイントでかち合わせになるんじゃ」

不安げな表情で言う夕張に、海図を見る深雪は顎をつまんで唸った。

「ポイントを変更できれば、ドンパチしなくても済むだろうな。

でも、こっちから通信を送ったら確実に捕捉される。

逆探知してこっちの居場所を割り出すくらいは、たやすいだろうな」

「編成は分からないの、瑞鳳?」

問いかける衣笠に瑞鳳はヘッドセットを叩いている。

「もしもし、ターミガン5、聞こえる?

うーん、雑音が酷い、電波妨害かな」

「羅針盤障害ですね。

障害レベルが2、いや3に上がっています」

羅針盤を見る愛鷹の言葉に全員が緊張感を高まらせた。

「近くに深海棲艦艦隊がいるだけに障害レベル上がっていますね。

針路表示もずれるかもしれない」

潮流や海流を考慮して、天測航法で位置修正を行えば機械無しでも位置は分かる。

機械の目で見えなければ、人間の目で。

機械の耳で聞こえなければ、人間の耳で。

機械の五感で分からなければ、人間の五感で。

最後にモノを言うのは何でも人の力だ。

 

「人……か」

ふと呟いた時、深雪が「ん?」と艦隊の右手を見た。

「どうかした?」

不思議そうに聞く夕張には直ぐに返さず、深雪は水平線の先を見つめた。

しばらく見つめ続ける深雪に、何を見ているのか、と思った夕張は双眼鏡を出して深雪と同じ方向を見た。

その時、深雪が何かつぶやいた。

「何か言った?」

「ヤバい……最高にヤバい」

「どうしたの?」

「奴だ……」

「奴?」

深雪の言葉に反応した衣笠が振り返って、深雪の横顔を見ると焦りを強くにじませた表情で深雪は水平線の先を見ていた。

「どうしたのよ」

「気をつけて、深雪って目がいいから……」

その時、夕張の言葉をかき消す大声で愛鷹が叫んだ。

「散開、散開して下さい!

合戦準備、合戦準備、全員対水上戦闘用意!

同時に全員機関部リミッター解除用意」

その言葉にすぐさま衣笠、夕張、深雪、瑞鳳は四方へ隊列を崩して走り出した。

ぐったりとして動けない蒼月を抱えた愛鷹は、出せる限りの速力でその場から離れた。

 

程なく、高層ビルを思わせる巨大な水柱が一二個突き上がった。

「こ、この着弾の水柱は……!?」

立ち上がる巨大な水柱に声を失う夕張に、ヘッドセットを介してターミガン5から連絡が入った。

 

(ターミガン5から第三三戦隊。

巨大な艦影を探知、ス級です)

「まさか……」

愕然とした様に呟く衣笠の声もこんなところで、こんなタイミングでス級と?

最悪だった。

こちらは重傷者一名を抱えている上に、瑞鳳は水上戦闘が出来ない。

この状態でス級を含む艦隊と交戦するのは自殺行為に他ならない。

(ス級以下、軽巡ホ級二、駆逐艦イ級後期型三を確認。

第三三戦隊へ向かう、至急離脱されたし)

言われるまでもないわよ、と夕張が言おうとした時、「愛鷹さん」と困惑する衣笠の声が聞こえた。

どうしたのよ、と聞こうと振り返ると衣笠に蒼月を預けた愛鷹が、刀を引き抜いてこちらに背を向けていた。

「蒼月さんを、お願いします衣笠さん」

「ちょ、ちょっと愛鷹さん?」

「馬鹿野郎、何考えてんだ!?」

怒声を張り上げる深雪に愛鷹は静かに答えた。

「遅滞戦闘で時間を稼ぎます。

速やかに離脱を、私は後から追います」

それを聞いた深雪の顔から血の気が引いた。

深雪の脳裏には、あの光景、捨て艦として犠牲になった白雲の姿が蘇っていた。

あの時と同じだ……撤退する友軍を追ってから離す為に、有力な敵艦隊相手に勝ち目のない単独で遅滞戦闘を行い、帰らぬ人となったあの光景が。

「やめろよ、死ぬって……」

「死にません」

その返した愛鷹に深雪がしがみついた。

「深雪さん?」

「行くな、行っちゃだめだ。

行くな愛鷹……行くって言うなら、深雪様に任せろ」

心持ち震えている声で深雪は言った

「……出来ません」

「ダメだ、行くな」

頑として譲らず、自分にしがみつく深雪を愛鷹は無言で見つめた。

ヘッドセットからはなぜ離脱しない、と喚くターミガン5の声が入る。

長く感じられる間をおいて、愛鷹はやんわりと深雪離すと、その肩に手を置いて何か語り掛けた。

驚く深雪が反応しきれない内に、愛鷹は最大戦速で艦隊を離脱して、ス級を含む深海棲艦艦隊へ単独で向かった。

「愛鷹さん!」

離脱していく旗艦の名を呼んだ夕張のヘッドセットに愛鷹からの指示が入る。

(夕張さん、臨時旗艦として指揮を継承。

私が戻るまで、皆さんのまとめ役をお願いします)

 

何かを決している様な言葉遣い。

妙に説得力と有無を言わせぬ声。

悲壮な覚悟でもなく、確実に帰ると言う意思がある言い方。

夕張は、ここは指示通りに動くしかない、と自分でも驚くほど理解していた。

指示通りに動くしかないと体が自然に理解していた。

指揮権、頂きます、という返事ではなく、一言夕張は愛鷹に返した。

「帰ってきて下さいよ」

 

 

アイツなんて言ってた。

混乱する頭の中で、深雪は愛鷹が自分に言った言葉を反芻した。

白雲と同じ最期を遂げそうな予感がする自分の引き留めに、愛鷹は肩を置き、敵の来る方を見据えて自分に語ると、微笑し行ってしまった。

 

 

「先に行って下さい、深雪さん。

 

私は……幻の試製超大和型戦艦です。

ス級以外の、あの程度の戦力風情に、やられたりはしません。

 

殺されかけた過去の戦闘でどう戦えばいいかは分かっています。

 

白雲さんの様な最期は迎えません。

必ず、貴方の所に戻ります。

 

貴方が見守る中で、私は最期の時を迎える事を望みます。

陸の上で……」

 

 

日本艦隊基地を出港し、トラックを目指す輸送艦のキャットウォークから海を見ていた大和は、何かを感じた。

自分の大切な何かが、大きく動こうとしている事を。

「愛鷹……?」

 

 




重巡相手なら無双可能な愛鷹の対水上戦闘、そして青葉自慢の妹衣笠の活躍を大きく描いた回となりました。
代わりに皆勤賞だった青葉が初めての「名前のみの登場」に(アワレアオバ)……。

対空戦闘シーンは漫画(イメージ的にはアニメの方を)「ジパング」での描写が、元ネタになっています。

沖ノ鳥島以来のス級の対面です。
次回で、愛鷹がどうやって生きて帰るのか、これから大和と愛鷹がどう接するのか。
楽しみに待っていてください。

所々、艦これの劇場版で聞き覚えのある台詞を愛鷹が語るシーンがありますが、あれが偶然の一致なのか、それとも……(これ以上は言えません)

では、また次回のお話でお会いしましょう。
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