ハイスクールD×D Be The One   作:ユウジン

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前回までのハイスクールD×D Be The Oneは……

戦「姫島先輩を口説き落とし、帰る龍誠の元に現れたのはアザゼルと名乗る男!」
龍「誰が口説き落としただ!普通に会話しただけだ!」
戦「普通の会話が既に口説いてると言うのに気付かないんですかねぇ?そんな感じの22話スタート!」
龍「だから口説いてねぇええええええ!」


魔王・サーゼクス

『アザゼルに会ったぁ!?』

 

朱乃さんとの話し合いから次の日、先日のアザゼルとの出会いを話すとオカ研メンバーが驚愕した。

 

「だけどなにもされなかったんだろ?」

「あぁ、こっちも身構えたんだけど向こうは様子見だからなにもしないっていって、どっかに消えちまったんだ」

 

そう、昨日突然現れたアザゼルは特になにもしてこず、そのまま帰ってしまったのだ。

 

戦兎の問いに答えながらも龍誠は、ホントに何しに来たんだと、頭を抱えてしまう。すると、

 

「あ!でも何かクローズの事に関して聞かれた」

「それで?」

 

いや、どういう理由で動いてるのかチンプンカンプンなのでわからないって答えました。と龍誠が言うと聞いたリアスも含めてずっこけた。まぁ確かに、前に一度どういう理論で動いてるか説明したのだが、途中で船を漕ぎ始めたので、諦めた記憶があったのを戦兎は思い出した。

 

アザゼルも、聞くやつを間違えたな。

 

「戦兎君の方には来てないの?」

「いや、少なくとも話し掛けられてはいないな」

 

正直気配を消されたらどうしようもないけど。と祐斗に答えつつ戦兎は頭を掻く。そんな時、

 

「それだったら、やっぱり私の家に泊まらせるべきだったかしら」

『っ!』

 

ビキィ!と朱乃の一言に部室の空気が凍りついた気がした。

 

「どういう事かしら朱乃?」

「別に変な意味ではありませんわ。ただちょっと二人だけで内緒の話をしただけで……ね?龍誠君」

「は、はい」

 

空気がピリピリする。特にリアスと朱乃の間が。

 

「ど、どういう事ですか龍誠さん」

「あ、えぇと……」

 

龍誠はダラダラと汗を掻きながら、悲しそうな表情で聞いてくるアーシアに答える。

 

何だろう。浮気を問いただされる男の気分だ。そう思いながら戦兎に助けを求めるが、知らん知らんとスマホいじりに行かれてしまった。

 

何て薄情な奴だと、龍誠が呟いたその時。

 

「皆仲良くやっているみたいで何よりだ」

『え?』

 

突然の声に全員が声の方を見た。そこにいたのは、リアスと同じ紅の長髪を揺らし、メイド服に身を包んだグレイフィアを連れた男性。

 

「お兄様!?」

『魔王様!?』

 

リアスは驚きながら兄であり、現魔王のサーゼクスに駆け寄る。それを見ながら他の皆は頭を下げようとするが、サーゼクスはそのままで構わないと言って制止した。

 

「グレイフィアを連れて突然どうされたんですか?」

「いや、来週授業参観があるだろう?自慢の妹の勉学に励む姿を見せてもらおうと思ってね」

 

そう言って取り出したのは授業参観案内プリントだ。それを見てリアスはワナワナ震えながら、

 

「で、ですがお兄様には魔王の仕事があるでしょう!?」

「ハハハ。妹の為なら仕事を前倒しして、帰った後に多少徹夜になってでも時間を作るさ」

 

そんな二人のやり取りに、ゼノヴィアは目を細める。

 

「あれが現魔王の一人、サーゼクス・ルシファーか」

「知ってるのか?」

 

龍誠は、その呟きに反応して聞いた。龍誠としてはリアスの結婚騒動の時に少し話したくらいだが、結構気さくな人だと言う印象を持っているが、

 

「あぁ、教会でもその強さに関しては有名だった。恐らく世界のあらゆる神話体系を含めた強さのランキングでもかなり上位にくい込むと言われていた。クリムゾンサタンと言えば有名だぞ?」

「そんな凄い人だったのか」

 

超越者の一人とも言われているしね。と祐斗が会話に入ってくる。聞き慣れない言葉に、龍誠が首を傾げると、

 

「強さランクをつけた場合、悪魔なら僕達が分類される下級悪魔、中級悪魔、部長やライザー氏が分類される上級悪魔、そして最上級悪魔と分類されてる。因みに天使達なら悪魔の部分を天使に入れ換えれば良いし、堕天使も同様に分類されてる。大体はこれが強さの基準になるんだけど、悪魔にはその上がある」

 

それが超越者だよ。と祐斗は言いながら更に言葉を続ける。

 

「極々稀に悪魔にカテゴリーして良いのかすら怪しいほどの強さを持った悪魔がいる。現在は今いるサーゼクス様。後は現ベルゼブブである、アジュカ様。後もう一人いるらしいんだけどそっちは公表されてないんだ。一般的にはこの三人が分類されてるね」

 

部長のお兄さんってそんなに凄かったのか……と龍誠が感心してしまう。そんな姿に朱乃は苦笑いを浮かべながら、

 

「言っておきますが、龍誠君や祐斗君に戦兎君も若手の下級悪魔としては充分に逸脱した存在ですわよ?」

「そ、そうなんですか?」

 

朱乃の言葉に、龍誠はまたもや首を傾げてしまう。だが通常ならあり得ない存在のはずの聖魔剣や、上級悪魔を倒した龍誠、更に上級堕天使相当であったはずのコカビエルを倒した戦兎等、充分過ぎるほどあり得ない存在ではあるのだ。

 

そんな眷属達のやり取りを背にしてリアスは、まだサーゼクスに抗議している。

 

「ですがお兄様は魔王です!妹とは言え一悪魔にこのような事をしては示しが!」

「いや、これは同時に仕事でもあるんだよ」

 

え?と疑問符を浮かべたのはリアスだけではなく、他の皆もだ。それに対してサーゼクスは、

 

「前回のコカビエルの一件は記憶に新しいと思うが、それに関して堕天使側は謝罪と、三大勢力による会談を申し込んできた」

『っ!』

 

基本的に、三大勢力は仲が良いとは言えない。寧ろ不仲である。先の大戦からそれなりに時が経ち、取り敢えず戦争は休戦状態だが、基本的に不干渉を貫いている。それ故に今回態々会談を開くと言うのは凄いことなのだ。しかも、

 

「会場はここ、駒王学園だ」

『えええええ!?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いやぁ、突然すいません」

「いえいえ~」

 

さて、サーゼクスとグレイフィアの突然の訪問があった日の夜。戦兎の家に二人は居た。

 

何故かと言うと、今回の訪問はギリギリに決まったのもあり、宿泊施設がなかったのだ。なので戦兎が家も広いので来ないかと提案し、こうなった次第だ。

 

今日は美空は今度やる映画の撮影だかで居ないので、母は突然な客にもニコニコしながら迎えてくれた。

 

「しかし魔王様って言う割には結構フレンドリーだよな。あの人」

「確かにな」

 

お茶を啜りながらそんな光景を眺める龍誠と戦兎。その後も母の手料理に舌鼓を打つ姿や、失踪した父の古着を化して貰う姿に、本当に凄い人なのかと言う気持ちが若干湧き掛けた夜。

 

「いやぁ、ここは良いねぇ」

 

そう言ってサーゼクスは、地下の研究施設に隣接したスペースに布団を敷き、寝る準備をして居た。因みにグレイフィアは母と同じ部屋。

 

彼曰く、こういう秘密基地じみたものは今でも心踊るらしい。ホントにフレンドリーな人である。

 

「それにしてもライザー君を倒したりコカビエルを倒したりと凄いね。君達は」

「コカビエルはともかくライザーを倒したのは予想外だったんですか?」

 

そう戦兎が問うと、サーゼクスは少し悩んでから、

 

「正直に言えばね。僕的にはいざとなったら君達眷属とリアスを別の場所に跳ばして逃げてもらおうと思ってたから」

 

絶対に大問題じゃないか、と苦笑いしつつ戦兎はサーゼクスを見る。

 

リアスと同じ紅の髪に、横顔は確かに似ている気がする。その視線に気づいたのかサーゼクスはこっちに笑みを向けながら、

 

「どうかしたのかい?」

「あ、いや……そう言えば魔王ってどんな感じなんですか?」

 

いきなりの事に動揺し、戦兎がそんな事を思わず聞くと、龍誠も俺も聞いてみたいと言ってきた。

 

サーゼクスは、ふむと一言言うと、

 

「退屈なものさ。中々悪魔と言うのは昔からの伝統に拘る種族でね。勿論伝統が悪いとは言わないが色々あるからね」

 

アハハ……と力なさげに笑う表情は若々しい見た目には似合わない。それほど魔王と言うのは大変なのかと二人が推察すると、

 

「でもやりがいは大きいよ。そうだね……二人も魔王になってみたら分かると思うが?」

『いやいや』

 

絶対無理だろ。と戦兎と龍誠は首を横に振るが、サーゼクスはニコニコしたまま、

 

「本気だよ?と言うか魔王は誰でもなれる。いや、勿論強さや冥界の悪魔たちからの信頼等色々必要だけどね。いずれは転生悪魔だろうが純血だろうが関係なく魔王になれるようになったら良いと僕は思ってるし、しようと思ってるよ」

 

それに……とサーゼクスは更に続けて、

 

「僕は個人的にもこれからの若者にはそれにふさわしいくらいの悪魔になってほしいと思っている。伝統に囚われているだけでは冥界に未来はない」

 

そう言いきる姿に、戦兎と龍誠の二人は息を飲む。その体から発せられるオーラは、さっきまで見ていた気さくな男ではなく、魔王としての顔なのだろう。これがそうなのかと、二人が思う中、サーゼクスはニコリと笑って、

 

「そうだ、君達に魔王の心構えとはなんなのかを教えてあげようか?」

『心構え?』

 

魔王になる気はないのだが、個人的には気になる。そう二人は言うと、サーゼクスは口を開き、

 

「それはね……」

 

ゴクリと二人の喉が鳴り、そして!

 

「ひ・み・つ、だよ」

『……はぁ!?』

 

ここに来てどういう事!?と二人がサーゼクスを見ると、サーゼクスは楽しそうに笑ってから少し真面目な視線を向け、

 

「昇ってくると良い。様々な事を体験して、良いことも悪いことも見て自分の糧にして来なさい。君達がもっと強く、そしていずれは冥界を支える悪魔の一人になったと判断した時に教えてあげるよ」

 

一体何時になるんですか……と龍誠がそれを聞いてぼやくと、サーゼクスは笑う。

 

「なぁに。千年掛かったって良いさ。悪魔は長生きだ。それに余り若いうちから権力を手にすると苦労が多いし、まだ暫くは魔王の座は譲らないよ」

 

そうサーゼクスが笑うと、戦兎と龍誠は肩を落とす。きっとこの人には一生勝てない気がする。

 

そんな気がして、ならなかったのだった。

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