ハイスクールD×D Be The One   作:ユウジン

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前回までのハイスクールD×D Be The Oneは……

戦兎「続けてディオドラ眷属達に快勝し続けていた俺たち」
龍誠「しかし俺達の戦いはまだまだおわらない!何と奥にはまだまだ敵が!」
戦兎「つうかお前この戦い終わっても多分部長と朱乃さんに挟まれて地獄じゃね?」
龍誠「誰のせいだと思ってんだよ!」
戦兎「お前の女性関係のだらしなさ?」
龍誠「なんだとぉ!?」
戦兎「まあそんな感じで遂に六章も佳境の47話スタート!」


荒れ狂う龍

さて、中々に酷い絵面でクイーンとビジョップも片付けて更に奥に進む。

 

しかし残るディオドラの眷属はナイトだが、こちらの残る眷属である祐斗と龍誠どちらか一人だけでも充分だろう。それくらいパッとしないやつだった。

 

正直ディオドラは、ゲーム運びと言うか、眷属を出す順番が余り上手いとは思えない。そう思いながら進んでいると、

 

「あれれぇ?もうここまで来ちゃったんですかぁ?流石グレモリー眷属の皆様ですねぇ~」

「お前は!?」

 

廊下のど真ん中に立っていた人影に皆が止まると、そこにいたのはディオドラの眷属ではなく、

 

「フリード!?お前生きてたのか!?」

「イエスイエス。桐生戦兎君。ボクちんしぶとさもウリなんだよねぇ~」

 

そう言ってニヤニヤするフリードだが、なぜこいつがここに?ディオドラのナイトなら分かるのだが……なんて思っていると、

 

「もしかしてディオドラのナイト探しちゃってる?残念いませぇん。何せ……()()()()()()()()()()()()

 

そう言ったフリードの体は、ビキビキと音を立て、様々な生き物の特徴が混ざりあったような、化け物に姿を変えた。

 

「ヴァーリに回収されたあとなぁ……アザゼルから解雇宣告されちまってよぉ。そのあと禍の団(カオス・ブリゲード)に雇われて今度は合成獣(キメラ)だとよ。全くひでぇやつらだよなぁ!」

そう言ってずっしりとした足取りでこちらを見る。

 

「それにしてもよぉ。ディオドラのやつも良い趣味してるよなぁ?あれ?知らなかったっけ?」

 

突然なんの話だ?と 皆は首をかしげた。それを見たフリードは、

 

「ヒャハハハハハ!知らないなら教えてやるよ!ディオドラはな、教会に通じた女が好みなんだよ。例えばシスターとかな?何せ屋敷とかで囲ってる女も元シスターとか元聖女そんなんばかりの筋金入りだぜ?いやぁすげぇよなぁ、言葉巧みに誘惑して落として手込めにしちまうんだからよ。まさに悪魔の囁きだよなぁ」

「何が言いたいんだよ……」

 

龍誠を苛立ち混じりの声音でしゃべる。龍誠の第六感が言っていた。録な内容じゃないことを。だがディオドラは、

 

「そんなある日の事、ディオドラは最高にキュートで堕落させたら楽しそうな聖女を見つけちゃったのです。ただちょいと警備が厳しくてね。だからある作戦を思い付いたのです。なにせ知り合いから彼女の神器(セイクリットギア)は悪魔でも有効なのを知っていたので、自分が怪我して彼女に見られれば優しい彼女はきっと治療してくれる。そしてそれを誰かに見られればきっと問題になるぞってねぇ!」

 

皆の血が一瞬冷えたような……そんな気がした。アーシアが教会を追い出され、どれだけ苦労したか皆知っている。

 

だがそれがディオドラの計画だったと?

 

「ギャハハハハ!最高ですよねぇ?信じていた教会に裏切られ、絶望した女の子の身も心も堕とす。それがディオドラの楽しみなんですよぉ!」

 

ゲラゲラ笑うフリードの声が、イライラを増幅させる。もう……こいつにしゃべらせたくない。そんな思いが生まれ、前に出ようとした龍誠を、祐斗が止めた。

 

「彼はボクがやる。君の怒りはディオドラにとっておくべきだ」

「祐斗……」

 

祐斗の声音はゾッとするほど冷たく、龍誠はそのまま道を譲る。そして祐斗は静かに聖魔剣を作り出すと、

 

「久し振りだねぇ。だけど今の俺はひと味違うぜぇ?なにせナイトの眷属を二人食っちまったからなぁ。少なくともその二人分の力と俺の力が合わさってるからよぉ。お前とは駒の数の時点で勝てね……んだよ?」

 

フリードは喋りながら瞬きした。そしてその次の瞬間に祐斗は消え、何故か自分の視界が急に低くなった。そしてそのままゴロンと回り、そして気づいた。自分の体が跡形もなくなるほど切り刻まれ、自分の残った体は頭だけになったのだと言うことに。

 

「な、なんだよそれ……」

 

あまりにもあっさりとやられ、フリードは呆然としていたが、ヒヒヒと笑い出す。

 

「まあ良いさ。どうせお前らはアイツには勝てやしねぇ……あれは誰も勝てねぇよ。ああいうのを反則じみてるって言うんだけどな」

「そうかい」

 

ザスッ!と祐斗が投げた聖魔剣がフリードの脳天に刺さり、

 

「続きは地獄の死神に言うと良い」

 

最後の最後までかっこ良く締めたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『せぇ……の!』

 

フリードを秒殺した後、皆は道を今まで以上に焦って走り抜けた。とにかく急いでアーシアの元に行きたい。そうしてる内に今までとは作りの違う大きな扉があり、戦兎と龍誠が二人掛かりで開けた。そしてそこにいたのは、

 

「アーシア!」

 

龍誠の視線の先にいたのは、目を真っ赤にして、明らかに泣いた後だと分かるアーシアと、楽しそうに笑みを浮かべるディオドラだ。

 

「ディオドラ……まさかお前話したのか!」

「あぁ、話したよ。全部ね」

 

戦兎が問うと、ディオドラはあっさりと認めて、

 

「ふふ、何時だって絶望したときの女の顔は良いよね。やっとだよ……やっとアーシアをじっくり堕とせる。何せ本当ならレイナーレから救うのもボクがやるはずだったんだ。なのに君たちが邪魔してくれたお陰で遅れてしまったよ。でもまぁ……ここで君達を殺せばアーシアを更に強く絶望させられるから良いとするよ!」

 

そう言ったディオドラの体から魔力が溢れ出す。

 

「そう言えば万丈 龍誠?アーシアの体の具合はどうかな?やっぱりこれだけ可愛いと彼処の具合も良いものかな?それとも知らない?いやぁ、処女も良いものだけど折角だし君から寝取るって言うのも良いと思うんだよね」

 

ブツリ……と龍誠の中で何かがキレた。

 

「手を貸すか?」

「良い。俺だけでやる」

《ウェイクアップ!クローズドラゴン!》

 

戦兎の問いに、龍誠は答えながらビルドドライバーを装着し、クローズドラゴンにドラゴンフルボトルを挿して、ベルトに一緒に挿す。そして、

 

「変身!」

《Wake up burning! Get CROSS-Z DRAGON!Yeah!》

 

そうしてクローズに変身した龍誠に向け、ディオドラは魔力を放つ。

 

「残念だけど今のボクなら最上級悪魔にも匹敵する力さ!幾らその力が強くても所詮は転生悪魔の力ボクにはかてっこ……」

「っ!」

 

ブン!と龍誠は腕に蒼炎を纏わせて、ディオドラの魔力弾を殴り飛ばす。それにより、飛んできた方向に戻って飛んでいったソレは、ディオドラの顔を真横スレスレを通りすぎ、

 

「へ?」

 

ディオドラは呆然とした。だがそんな中、龍誠はゆっくりと歩を進める。

 

「い、今のは手加減しただけだ!調子に乗るなよ!」

 

そう言ってディオドラは、何発も魔力弾を撃つ。一発一発本来なら必殺の一撃となる魔力を込められている。

 

だが龍誠はその全てを叩き潰し、弾き返していく。それを見たディオドラの顔が恐怖に歪む中、龍誠はディオドラとの間合いを詰めると、

 

「オラァ!」

「ぐげぇ!」

 

腹に渾身の一発を叩き込んでやると、ディオドラは目を見開きながらゲロを吐き散らし地面に転がった。

 

「がはっ!げほぉ!」

「何が最上級悪魔にも匹敵だ。タンニーンのおっさんの方が強かったぞ」

 

龍誠はそう言いながら、胸ぐらを掴んでディオドラを立たせると、

 

「ラァ!」

 

バキィ!と一発。ディオドラは後方に大きく吹っ飛びながら、また地面を転がる。

 

「どうしたよ!その程度かよ!」

「く、くそ!」

 

ディオドラは腕を突き出し、魔力を溜めた。だが、

 

「ギャアアアアアア!」

 

次の瞬間またひっくり返り、地面を転がる。そして次の瞬間には、地面にゴトリと、地面に落とした音がして、見てみればそれはディオドラの腕だ。

 

一瞬でビートクローザーを抜いた龍誠は、そのまま振り抜いてディオドラの腕を切り落としたのだろう。

 

「う、うでがぁ!」

 

地面を転がりながら悲鳴を上げるディオドラを踏みつけ、龍誠は見下ろす。

 

「ぐぁあああ!クソがぁ!」

 

そう叫ぶディオドラに、龍誠は蒼炎を纏わせた拳を顔面に叩き込んだ。

 

「はぁ……はぁ……」

 

体が熱い……龍誠は不自然に体が熱を持ったことに気づく。ソレだけじゃない。ディオドラが憎くてたまらない。そして殴れば殴るほど、言い様のない感覚が龍誠を包み込む。

 

もっと殴りたい……もっとこいつを痛め付けたい。いや、()()()()()()()()。その時、

 

「しねぇ!」

 

一瞬、龍誠の動きが止まったとき、ディオドラが魔力弾を放った。だが、

 

「っ!」

 

ヒョイっとそれを回避しながら、龍誠は再度顔面に拳を叩き込む。

 

「ぷぎぃ……」

 

変な声をディオドラは漏らしたが、構わず2・3・4と連続して殴った。

 

殴る度に地面にヒビが入り、ディオドラの頭部が床にめり込む。

 

そしてもう一発……と拳を振り上げたところで、龍誠は動きを止め、

 

「……アーシア」

 

と背を向けアーシアの元に駆け寄る。危なかった。正直このままディオドラを殺そうと思った。だが、それを思い止まれたのはアーシアが生きていたからだ。あくまで自分はアーシアを助けに来たのだから。

 

「取り敢えず踏み止まったね」

 

そう祐斗は言いながら緊張を解いた。あれ以上やるなら止める。そう思っていたが、杞憂だったらしい。

 

「だな……」

 

と言うのは戦兎。祐斗と戦兎だけじゃない。皆あれ以上やるなら止めにはいる予定だった。ディオドラを助けるためじゃない。ただ怒りに任せて殺せば、アレでも一応アスタロト家も現魔王の一人を輩出した家なので、問題になる可能性があったからだ。

 

そう思いながら龍誠の方を見ると、アーシアを縛っていたロープをビートクローザーで切って解放すると、

 

「龍誠さん!」

「おっと!」

 

アーシアに抱きつかれ、慌ててバランスをとる龍誠。そんな姿を見ながら戦兎が、

 

「妬かないんですか?」

「あそこで水を差すほどヤボじゃないわよ」

 

と、リアスは肩を竦めた。そうしている間に、二人が戻ってきて、

 

「皆さん……ありがとうございました!」

 

頭を下げるアーシアに、皆が頬を掻いたり笑みを浮かべたりする。アーシアがいるだけで空気が和む。

 

とは言え、何時までも和んでいる場合ではない。取り敢えずディオドラを捕縛しなくては……

 

そう思い、皆はディオドラの元に移動する。その中から少しだけ遅れて歩き、アーシアは皆の背中を見る。

 

ディオドラから真相を聞いてから、心が引き裂かれるような感覚襲われていた。でも皆が来て、龍誠に抱きついたときから、その苦しみがスゥーっと消えていき、教会に追放されたことで皆に出会えたのならば、意味があったのではないだろうか……なんて思ってしまう。

 

「アーシア!何してんだ?」

 

振り替えって聞いてくる龍誠に、アーシアは今いきますと歩みを早める。でももう少しだけ我が儘を言わせてもらえるならば、今度はあの人に結婚を申し込まれたい。そんなことを思い、歩き出した次の瞬間、

 

『え?』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く、役立たずが」

『……』

 

何が起きたのか理解できなかった。何故ならアーシアを呼んだ次の瞬間、突然アーシアを光が包み、そしてそのまま消失したのだ。そしてそこに響く声……その方を見ると、そこには一人の男がいた。それを見た戦兎は、

 

「何もんだ……」

「俺はシャルバ・ベルゼブブ。真の魔王の血筋である。突然で悪いが、お前たちには死んで貰う。理由はただ一つ、主が偽りの魔王の血筋であるからだ」

 

そう言って悠々と地面に降り立ったシャルバは、体から魔力を滲ませる。ディオドラとは比べ物にならない力だが、

 

「アーシアをどこやった」

 

ゼノヴィアは肩を震わせながらシャルバに問う。すると、

 

「あぁ、あの女ならもう死んだだろう。次元の狭間に送ってやったからな。だが安心しろ、お前たちもすぐ送ってやる」

「ふざけるな!」

 

シャルバに向けて、ゼノヴィアは飛び出す。更に、

 

《シュワッと弾ける! ラビットタンクスパークリング!イエイ! イエーイ!》

 

戦兎も飛び出し、スパークリングに変身すると、ゼノヴィアにあわせて飛び上がると、

 

《Ready Go!スパークリングフィニッシュ!》

 

デュランダルの一撃と、スパークリングフィニッシュが同時にシャルバに襲いかかる。しかし、

 

「ふん!」

 

シャルバの片腕から放たれた魔力の波動。それだけで二人を簡単に弾き飛ばしたのだ。

 

『がはっ!』

「二人とも!」

 

吹っ飛ばされて転がる二人に皆が駆け寄る。

 

「残念だが、この程度では俺には敵わんよ。俺は真の魔王なのだからな」

「……」

 

そう言って笑うシャルバを、龍誠は静かに見つめていた。

 

「龍誠?」

 

戦兎が龍誠の名前を呼ぶと、

 

「……す」

『え?』

 

龍誠が何かを呟いた。だが聞こえず、思わず疑問符を浮かべると、

 

「殺す殺す殺す殺す殺す殺す」

「何故お前たちは邪魔をする」

「いつだってそうだ。いつだってお前達は拒絶する」

「ただ静かに暮らしたいのに」

「ただ普通に居たかったのに」

「無理矢理戦わせる」

「嫌でも巻き込ませる」

「普通でよかったのに」

「平凡が大切だったのに」

「お前達はどんなときでも……」

 

龍誠の口から紡がれるのは、怨嗟の声だ。正直、他に例えようがない。老若男女の声音で紡がれる絶望に染まった声。それは最後に、

 

『滅びを選択するんだな』

 

バキバキ!と言う音と共に、龍誠のクローズのアーマーの左半分が砕け、その下から現れたのは真っ赤で有機的なフォルムのプレートアーマー。そんな突然の変化に、

 

「なんだ?お前は人間からの転生悪魔では……」

 

そうシャルバが呟いた次の瞬間、

 

「アァアアアアアアアアアア!」

 

大気が震えるほどの龍誠の咆哮に、皆が思わず咄嗟に耳を塞いだとき、龍誠は一瞬でシャルバと間合いを詰め、拳を叩きつけていた。

 

「ごばぁ!」

 

シャルバは壁を突き破り、そのまま外まで吹き飛ばされる。そのまま外まで飛んで来ると、

 

「な、なんだ今のは……神器(セイクリットギア)すら持たない転生悪魔風情が……何故あんな変化を。あれもクローズとか言う力の一つなのか?」

「ゴガァアアアアア!」

 

シャルバがふらつきながら考察する中、龍誠はまた間合いを詰め、なんとそのままシャルバの肩に噛みついた。

 

「ぐぁあああああああ!」

「なんだよあれ……」

 

バキバキとシャルバの肉と骨が噛み千切られる中、戦兎たちも外に出た。だが、あんな力は勿論戦兎も知らない。

 

「くそ!化け物め!」

 

そう言ってシャルバは魔力弾を放つが、全て効いていない。弾くのではない。喰らって尚、効いていないのだ。先程とは明らかに違う。更に、

 

「なっ!」

 

口から灼熱の炎を吐き出し、それがシャルバを包む。

 

「ぐぉ!なんだこれは!?」

 

体を払っても、魔力で水を作って被っても消えない。そんな炎だ。地面に転がり、自然に消滅した頃には、シャルバは既に全身大火傷。体の一部は炭化している。

 

「く、くそ……こんな化け物の相手をしていられるか」

 

シャルバはそう呟き、魔方陣を作り出す。そしてそのまま消えようとするが、

 

「っ!」

 

龍誠の突進は魔方陣による転移の起動より早く、シャルバを強烈なアッパーで吹き飛ばす。そしてそのまま、蒼い龍を作り出し、それをシャルバに放つと、何時もより巨大なそれは、シャルバを余裕で呑み込み、

 

「終わった……?」

 

リアスの呟き。余りにもあっさりと終わった。だが、

W

「アアアアアアア!」

 

龍誠はまた一回鳴くと、地面を殴り火を吹き、暴れだす。

 

「まさか暴走してるのか?」

「そのようだな」

 

戦兎の呟きに、誰かが返事をした。その声に聞き覚えがあったため、皆が咄嗟に振り替えると、そこにいたのは、

 

「ヴァーリ!?ソレに美猴と聖剣使い!」

「お久し振りです。桐生戦兎さんでしたね。名乗り遅れました。私はアーサーともうします」

 

あ、これはご丁寧に……と戦兎が思わず頭を下げる中、アーサーは手に持つ物を見せる。

 

「こちらの女性はそちらの方でしょう?」

『っ!』

 

アーサーが見せた女性に皆が一瞬我が眼を疑った。だが間違いない。それは先程シャルバが死んだといった、

 

「アーシア!」

 

最初に飛び出したのはゼノヴィア。アーサーから受け取り、地面に下ろすが、目立った外傷は無さそうだ。

 

「良かった。無事そうね」

 

リアスの言葉に皆は同意し、

 

「後はあのバカをどうするか……か」

 

シャルバとは一瞬しか戦ってない。だが、スパークリングフィニッシュとデュランダルを纏めて弾き飛ばしたあの力は、本物だったはずだ。だが、それをあんなにあっさり倒した龍誠……

 

「あのシャルバを倒すほどだ。桐生戦兎。お前一人ではまあ無理だろうな」

 

ヴァーリの言葉に、戦兎は確かにと素直に認めた。正直、あのパワーは見ただけでも驚異だ。

 

そう良いながら、戦兎は懐からあるものを取り出す。それは赤を基調とし、スイッチがついたアイテムだ。それを見たリアスは、

 

「戦兎……それは?」

「ハザードトリガー。ビルドの強化アイテムですよ。スペックの上昇量だけならスパークリングより上なんです……ただこれは暴走の危険があって、龍誠と一緒になって暴れなきゃ良いんですけどね」

 

そう言って戦兎はハザードトリガーを撫でると、

 

「なあヴァーリ」

「ん?」

 

いきなり話しかけられ、ヴァーリは怪訝な眼をしながら返事をした。すると戦兎は、

 

「俺がもし暴走したときは……頼むわ。このハザードトリガー外すか、ある程度ダメージ与えて変身を強制解除させれば良いからさ」

「……は?」

 

ヴァーリは戦兎の言葉が理解できず、ポカンとした。そして、

 

「何故俺がお前を止めなければならんのだ」

「いや、だってお前って多分結構お人好しだろうからさ」

 

なに?とヴァーリは戦兎の言葉に眉を寄せ、

 

「ふざけるな。俺はそんなんじゃない。お前のように誰かのために戦わん。俺は俺のためだけに戦うんだ。時には他者を利用するだろう。だが使えなければ捨てる」

「じゃあ何でお前は黒歌を助けたんだ?あの時多数の悪魔が向かってた。使えなきゃ捨てるってなら態々助けになんて来るか?」

 

戦兎の言葉に、ヴァーリは言葉を詰まらせる。

 

「それだけじゃない。お前は態々俺たちに忠告してきた。アーシアも助けてくれた」

「それはお前()ためじゃない!」

 

つまりここにはいない俺たち以外の誰かのためだったんだろ?戦兎がニヤッとしながらそういうと、ヴァーリは視線をそらした。

 

そんな姿に戦兎は笑いながら、ヴァーリの肩を叩き、

 

「頼りにしてるぞ」

 

そう言い残し、戦兎はビルドドライバーを装着しながら龍誠に向けて歩を進める。

 

「龍誠……今助けてやるからな!」

《ハザードオン!》

 

ハザードトリガーのスイッチを押し、ビルドドライバーの上部に挿す。そして戦兎はラビットフルボトルと、タンクフルボトルを出して振り、ベルトに挿す。

 

「さぁ、実験を始めようか」

《ラビット!タンク!スーパーベストマッチ!ガタガタゴットン!ズッタンズタン!ガタガタゴットン!ズッタンズタン!》

 

戦兎はレバーを回すと、何時もの変身シークエンスには見られない、黒いプレス機が現れ、

 

《Are you ready?》

「変身!」

《アンコントロールスイッチ!ブラックハザード!ヤベーイ!》

 

プレス機は閉じ、チーンと音が鳴ると、中から現れたのは眼の色だけがラビットタンクの特徴を残した、真っ黒なビルドが立っていたのだった。

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