ハイスクールD×D Be The One   作:ユウジン

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前回までのハイスクールD×D Be The Oneは……

戦兎「龍誠の今更な正体も少し明かされ、と着々とロキとの戦いに向けて準備を進めていく俺たち」
龍誠「だがその合間にもこれまた面倒なことが結構あるんだな」
戦兎「つうかそれにしても俺が今回も目立たねぇ……」
匙「コメントでもネタにされるくらいだもんなぁ」
戦兎「いや、逆に考えるんだ。ネタにされるだけされればいいさ……と」
ヴァーリ「まあそんなわけで戦兎が目立たない55話スタートだぜ」


確執

「ほらヴァーリ、匙。スクラッシュドライバーの整備が終わったぞ」

 

戦兎が二人のスクラッシュドライバーを手に豪邸へ戻ると、空き部屋の一角でアザゼルが何やら床に魔方陣を書き、それを皆で補佐している所だった。

 

「何してるんですか?」

「ロキ対策を知っている奴に会いに行くためだよ」

 

戦兎がアザゼルに聞くと、そう答えられる。そんな奴がいるのかと戦兎が驚く中、

 

終末の大龍(スリーピング・ドラゴン)・ミドガルズオルムと言うドラゴンがいてな。こいつは元々ロキが作り出したんだが、余りにも怠け者北欧の海深くにて、世界の終わりになったら働けと言われてそのまま寝させられているんだ。義兄さん」

「成程ね。後、義兄さん言うんじゃねぇ」

 

スクラッシュドライバーを顔面に叩きつけたい衝動を我慢しつつ、戦兎はヴァーリに返却し、

 

「じゃあこれで北欧の海まで行くんですか?」

「無理だよ。深海過ぎるし、北欧へ転移するのは今の情勢では出来ない。だから意識だけこっちに呼び寄せるのさ。俺の人工神器(セイクリットギア)と、匙に今タンニーンも呼んでる。まあ普通なら龍王三体でも呼べるかはギリギリってところだが、龍誠もいるしな」

 

俺?と龍誠は首を傾げる。それを見てアザゼルは、

 

「あぁ、何せお前も二割はドラゴンだからな。ミドガルズオルムを呼ぶ切っ掛け作りには少し位は役に立つ。後はまぁ運次第だなぁ。もっと強いドラゴンがたくさんいれば良いんだが正直最低でも龍王クラスで協力してくれるドラゴンって言うのが殆どいねぇ」

 

そもそもドラゴンって言う種族自体が自由気ままな性分の奴が殆どだし、とタンニーンを見ているとそんなもんなのか、と思ってしまう事を言うアザゼル。そうこうしている間に、魔方陣は書き終わった。それと同時に、

 

「邪魔するぞ……む?」

「あ、おっさん!」

 

部屋に入ってきたのは、恐らく魔力でサイズダウンしたタンニーンだ。そんな彼の姿を見た龍誠は近づきつつ、

 

「あれ?小さくなった?」

「当たり前だ。元のサイズではこの屋敷にはいれん」

 

そう言いつつタンニーンはアザゼルの元に行き、

 

「おいアザゼル。どう言うことだ?」

「龍誠のことか?」

 

そっと耳打ちしながらタンニーンはアザゼルと話す。

 

「あぁ……いや、今はこの話はよそう。後で詳しくな」

「分かった」

 

そんな風に会話を終えると、

 

「んじゃあ全員集まった所で匙はそこに、タンニーンはそこで龍誠はここだ」

 

とアザゼルはテキパキと指示を出し、自分も所定の位置に着く。すると魔方陣にボンヤリと光を持つ中、匙が思い付いたような顔をして、

 

「そういえば先生。これってもしミドガルズオルムが来なかったらどうするんですか?」

「ん?そうだなぁ、異次元空間に取り残されて長い悪魔人生を異次元空間で過ごすことに……」

『はぁ!?』

 

冗談だちゃんと帰ってこれるって、とアザゼルは笑い、

 

「多分な」

『多分!?』

 

何てやり取りをしている間に、魔方陣に乗っていた面々はそのまま消えてしまったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「成功だな」

「え?」

 

ポンッと空中に投げ出されつつも無事着地したが、アザゼルは呟きに龍誠は首を傾げる。

 

成功と言うことは、ミドガルズオルムがいると言うのだろうか?だがそんなものはどこにも……と思っているとタンニーンが指差し、

 

「目の前にいるだろう?」

「へ?」

 

龍誠はポカンとしながら、前をゆっくり見る。そして見てると気づいた。これは最初、なんかの壁かと思ったのだが違う。これは一匹のドラゴンだ。タンニーンもでかいが、その何倍も巨大なドラゴンで、見上げても顔が見えない。すると、

 

「グォオオオオオ……」

「寝てる?」

 

大気がビリビリ震えるほどの寝息に匙が呟くと、

 

「全く。こいつの怠け癖は敵わん」

 

そうタンニーンが呟きながら息を吸い、

 

「起きろぉおおおおお!」

『っ!』

 

こちらも大気がビリビリ震えるほどの大声だ。思わず見ていた龍誠達が耳を塞ぐほど。だがミドガルズオルムはと言うと、

 

「んん……」

「む?起きたか?」

「グゥ……」

 

タンニーンが少し喜んだのも束の間、また聞こえてきた寝息に、全員でずっこけた。

 

そして、

 

「起きんかぁああああああ!」

 

遂にぶちギレたタンニーンのブレスがミドガルズオルムに直撃する。そんな光景に思わず龍誠と匙は、

 

『えぇえええええ!?ミドガルズオルム大丈夫なの!?』

「安心しろ。加減したしこの程度で死ぬような奴じゃない」

 

そう言うタンニーンのブレスによる煙が晴れるとそこには、

 

「ふわぁあああ……なんだい?遂に世界の終末が来たのかい?ってあれ?タンニーンじゃないか、それにヴリトラの気配も少しするな。あとファヴニールに、んん?この気配って……」

「良いから目を覚ませ、馬鹿者が」

 

タンニーンは言葉を遮るようにミドガルズオルムに話しかけ、

 

「お前に聞きたいことがあってここに来た」

「ん~?なにを聞きたいんだい?」

 

ミドガルズオルムは眠そうな声を出しながらも、しっかりと答えてはくれるらしい。そんな中タンニーンは聞いていく。

 

「ロキとフェンリルの相手をすることになった。何か良い方法はないか?」

「うぅん。ダディとワンワンか~。まあワンワンの方が厄介だしドワーフが作ったグレイプニルなら動きを封じれるんじゃないかな?」

 

ミドガルズオルムは割りとあっさり教えてくれた。そして更に、

 

「後ダディはねぇ~。ミョルニルでぶっ叩けば良いんじゃないかな?」

「だがあれは神の武器だ。雷神・トールが貸すとは……」

 

そうアザゼルが渋い顔をする。そんな様子を見たミドガルズオルムが、

 

「ならダークエルフの長老に頼んでみなよ~。オーディンに頼まれてミョルニルのレプリカを預かってるはずだよ~。レプリカでも充分すぎるほど強力だしダディ相手でもイケるよ~」

 

オマケに地図あげるね~と、ミドガルズオルムが念じると、アザゼルの持っていた宝玉が光り、地図が浮かび上がった。

 

「助かる。しかし良いのか?仮にもロキは父親だし、フェンリルは兄弟だろう?」

「うぅん、正直余り家族って感じがないからね~。僕はこうやって寝てられれば幸せだし~」

 

そう言ってもう既に微睡みの世界に片足を突っ込みつつあるミドガルズオルムに、皆は苦笑いを浮かべてしまう。それに取り敢えず聞きたいことはこれで全部だ。アザゼルはそう言って帰還の準備を始めた。それを見ながらタンニーンは、

 

「それではな。ミドガルズオルム」

「うん。次会うときは世界の終末かなぁ~」

 

なんて縁起でもない事を言い出すミドガルズオルムに、タンニーンはなら二度と会うことはないな。と軽くあしらい、魔方陣に入る。それの続くように龍誠と匙も入り、龍誠はミドガルズオルムを見た。

 

自分が見たことがあるドラゴンはタンニーンだけだ。いや厳密に言えばドラゴン系神器(セイクリットギア)落ち匙や、人工神器(セイクリットギア)をアザゼルに、兵藤一誠もいる。だが、意思をもった一個体のドラゴンはこれで二人目で、タンニーンとは全く違うドラゴンだ。

 

(色んなドラゴンがいるんだな……)

 

そんな事を思いながら、龍誠は魔方陣の光に包まれていったのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んじゃあまずはグレイプニルとミョルニルは、オーディンの爺にも協力して貰うとして、匙」

「はい?」

 

元の空き部屋に戻った四人は、ほかの皆が一息ついていたリビングに戻り、アザゼルは匙に声をかけた。

 

「お前はちょっと俺と来い」

「え?」

 

突然の誘いに匙が疑問符を浮かべると、アザゼルは説明してくれる。

 

「お前の左腕の異変。さっき言ったように龍誠の血が影響している。恐らくだが、それは元々龍王・ヴリトラをバラバラにして作られた四つある神器(セイクリットギア)のうちの一つ。強力なドラゴンの血に触れたことで、ヴリトラが目覚めかけてるのかもしれん」

「えぇ!?ドラゴン系神器(セイクリットギア)ってそんなことあるんですか!?」

 

普通はねぇよ、と匙の驚きにアザゼルは返しつつも、

 

「だがヴリトラは特殊でな。力そのものは龍王クラスでは最弱だが、呪いが強力なことで有名だ。なにせ殺したあともヴリトラの黒炎が100年単位で残ったとか、呪いを喰らった奴は死んだとか言われてる。それくらいしつこいドラゴン何だよ。となれば少し試したいことがあってな」

 

ニヤァ、とアザゼルは新しい玩具を見つけたような表情をしながら匙を見る。それに匙は本能的に恐怖を覚えるが、アザゼルは逃がさんとばかりに匙の腕を掴むと、

 

「安心しな。俺が考案した特殊なトレーニングとかいぞ……げふんげふん!」

「今改造って言おうとしませんでした!?」

 

匙がそう言ってもアザゼルは無視して匙を引っ張り、

 

「つうわけでソーナ。お前の眷属借りてくぞ」

「わかりました。匙、先生に失礼をしてはなりませんよ?」

 

嘘でしょおおおおおお!そう匙は叫び、戦兎たちを見た。

 

「桐生!万丈!助けてくれぇ!」

「大丈夫だって。アザゼル先生の修行は死なないから。いっそ殺せって思うだけで」

 

そう言う戦兎と、うんうんとその戦兎の言葉に頷く龍誠。そして匙はガーン!と白目を剥きながら、そのままアザゼルにドナドナされたのである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて匙がドナドナされた次の日、龍誠はリアスの元を訪れていた。

 

「あ、部長。ちょっと良いですか?」

「ん?どうしたの龍誠」

 

本を読んでいたらしい彼女に話し掛けると、リアスも本を閉じてこちらを向いてくれる。なので、

 

「朱乃さんとバラキエルさんの事についてなんですけど」

「……」

 

ここ最近バラキエルをずっと見てきた。そこで思ったのは、そんなに悪い人じゃないんじゃないかと言うことだ。

 

ずっと端から見ていても分かるくらい朱乃を大事にしてる。大事にしすぎてこっちが睨まれることもあるが……

 

だからこそ、朱乃があそこまで嫌う理由がわからないのだ。

 

「そうね、龍誠には話しておいた方がいいわね」

 

リアスはそう言いながら少し考え、

 

「あれは悲しい事故なのよ」

「事故?」

 

えぇ、とリアスは頷きつつ天井を見上げた。

 

「バラキエルはある日敵対する勢力との戦いで傷を負い、ある神社に流れ着いた。その神社には一人の巫女がいてね。彼の傷の手当てをし、二人は愛し合うようになった。そして生まれたのが……」

 

朱乃さんですか?龍誠がそう問うと、リアスはそうよと肯定する。

 

「三人は仲睦まじく暮らしていたそうよ。ただね、それは長く続かなかった」

 

朱乃の家と言うか姫島という家は、実はある筋としては有名な家柄らしく、その家の娘である朱乃の母がまさか堕天使と恋仲になった上に、しかも子供まで作ったというのは衝撃的だったらしく、堕天使に拐かされた娘を救うためと言うことで相当数の刺客を送り込んだ。だが歴戦の戦士であるバラキエルの敵ではなく全員返り討ち。とここまでなら良いのだが、負けたことを逆恨みした刺客の何人かが、自分達では勝てないならと何と堕天使と敵対している勢力にバラキエルの情報を流した。

 

「そして朱乃達の住む家を敵勢力は襲った。でもね、その時ちょうどバラキエルさんは仕事で家を離れていて……朱乃のお母さんは朱乃を守って命を落とした。バラキエルさんが駆け付けたのはその直後……そして刺客はバラキエルが着く前に朱乃に言ったの。朱乃の母は……朱璃が死んだのはバラキエルと結婚したからだ。そして朱乃(お前)がいたからだ……ってね」

 

リアスはそう言って龍誠の目を見る。

 

「その後の朱乃はバラキエルさんを憎んだ。憎まなければ朱乃は自分の心を保てなかった。自分のせいで母が死んだ……そんなことを認めれば心が壊れる。だから全て父のせいにした。母を殺され、父を憎んであの子は堕天使の血を引いてるからというだけで親戚から追放されて私に会うまでずっと一人ぼっちだった。その孤独も父を憎むことで自我を保った。幼かった当初なら分からないけど、今なら父も自分も悪くないことなんて朱乃だって分かってるわ。でもね龍誠、ずっと憎み続ける事で生きてきたあの子が、じゃあやっぱり悪くなかったから許しますなんて出来るほど器用じゃないし、強くないのよ」

 

そう言い、表情をリアスは曇らせた。その言葉に龍誠は頭を悩ませる。朱乃の過去は想像以上だ。

 

そして正直に言うと、解決の糸口が見えない。どこかで、どうにか出来ると思っていた自分がいた。だが実際はなにも思い付かない。そう考えて当然だと自嘲する。

 

自分には親がいない。家族との確執なんて経験がなく、どう対応すればいいのか検討もつかない。

 

助けたい、そう思ったのは本当だ。ただ正直今回の一件に関しては自分はなにも言えないんじゃないか……

 

そう思いながらリアスと別れ、自室に戻った龍誠を待っていたのは、

 

「お願い龍誠。私を抱いて」

「はい?」

 

そう言って自分をベットに押し倒す朱乃だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んでタンニーン。さっき言ってた龍誠のことだが」

「あぁ、あの気配は間違いない。弱々しく微かに感じる程度だが、あれはドライグ……赤龍帝・ドライグの気配だ」

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