バカとテストと召喚獣 ~僕はこの歪んだ運命に抗い続ける~   作:天沙龍月

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 今回、明久が……! っと、言えないです!

 では、本編をどうぞ!


第7話 翌日 そして、忠告

 吉井 明久……両親は海外赴任、姉も海外留学で家には居らず、彼は自由なまま一人暮らしを満喫していた。

 

 

 明久side

 

 はぁ~……、昨日は夕食を霧島さんの家で食べたから良かったけど、食材を買ってくるの忘れちゃったよ……。今日の朝食はカップラーメンかぁ。まぁ、テンション上げていこう……。

 

 「やっぱり、朝食はっ! 軽く済ませて夕方はリッチにいきたいよね~。」

 

 僕はキッチンでカップラーメンの麺を半分に切っていた。実は見えても僕は朝あんまり食べれないのだ。夕食は食材も調達するし、豪華にしてみよう。あ、カップラーメンの麺が綺麗に半分にはなってない。どうするかな?

 

 「ん~、こっちを朝食にして~、こっちのちょっと大きい方を夕食にしようっ!」

 

 僕は小さい方を朝食として食べ、夕食の料理に使うことにした。まさか、このまま捨てるのも勿体ないしね。

 

 

 ……満喫していた!

 

 

 

 うん? なんか、失礼なこと言われたような……。まぁ、いいか。さて、お湯はっと沸いてる。早速作るか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それから、僕は朝食を食べて学園に向かって登校していた。この坂道長いんだよね。だが、僕が走っているこの道は学園への一本道なので絶対に通らないといけないのだ。おっと、

 

 「おはようございますっ! 福原先生。」

 「あぁ、吉井くん、おはようございます。」

 

 僕は前を歩いていた福原先生に挨拶をし、通り過ぎる。福原先生は少し遅れて挨拶を返してくれた。やっぱり、挨拶っていいよね。一日の始まりって気がする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 しばらくして、僕は坂道の上にある曲がり角を通ろうとしただが……、

 

 「「あっ!」」

 

 走っていた勢い余って誰かとぶつかってしまったようだ。これは悪いことをしてしまったな。あ、食パンが空を飛んでいる。あっちの人が落としちゃったのかな? 僕が代わりに処分してあげよう。っていうか……

 

 「君はFクラスの吉井くん……!」

 「君はたしか、Aクラスの久保君?」

 

 何とぶつかった相手は久保だった。まさか、昨日負けたAクラスの人に会うなんて……。まぁ、そんなこともあるか。

 

 「いかにも、学年次席の久保 利光だ。」

 

 ていう風に立ち上がって、賢そうに自己紹介してくれたけど、見た感じ怪我は無さそう……だな。良かった。

 

 「じゃあ……「ねぇ」……なんだい?」

 「それ……いらないの?」

 

 僕が言ったのは久保君が落とした食パンのことだ。あのままにしておくのは環境にも良くない。カラスなんかの餌になりそうだしね。

 そして、僕のバカの演技にも使わせてもらおう。僕は貧乏ってクラスでは思われてるし、ここでもアピールしておかないと。

 

 「……そうだね。もう食べれないから。」

 「貰っていいかな……?」

 「……! 君は平気なのかい? 「うんっ、平気だよ!」僕は困るな……。」

 

 えぇ!? このままゴミをポイ捨てするなんて……、ありえない……。ていうか、さっきから寒気が……。

 

 「えぇ!? どうして!?」

 「大胆すぎるよ、君は……。人が……見てるじゃないか。」

 

 まさか……久保君ってそっち系の人なの? 知らなかったな……、これは気を付けないと。まぁ、僕としてはあんまりAクラスの人と面倒な関係になるのは御免だし、自分からは関わらないようにするか。そして、久保くんの言い分にも参考にするべきところはあった。人が見ているということだ。

 周りを見ると大勢の人が集まっているのが分かった。これでは僕がバカの演技をしなくてはならないことがはっきりと分かる。はぁ、しょうがないか。

 

 「そうか……、それもそうだよね……。」

 「じゃあ、またの機会に……。」

 「う、うん。」

 

 久保くんが眼鏡を上げながらそう言う。もうこんな機会かなければ良いのに……。久保くんが行ったらすぐにパンを取ろう。

 

 「今だっ!」

 

 僕は久保くんが向こうを向いた瞬間にパンと取ろうとする。しかし……、

 

 プニュッ

 

 「うん? 「あ、あぁ……。」おや? 何か踏みましたか?」

 「はい……、僕の生命線を……。」

 

 後ろを歩いていたはずの福原先生が、パンを踏んでしまった。僕は泣きの演技をする。だけど、結果オーライか。普通にゴミ箱に捨てられるし。福原先生が歩いて行った後に、僕は泣き(の演技をし)ながら食パンをゴミ箱に捨てた。これでよし。

 さて、学校に行こう。僕は学校へと走り出した。

 

 

 

 

 ブー、ブー

 

 

 おっと、誰からかメッセージだ。僕はその場で立ち止まり、スマホの画面を見る。すると、そこには木下さんの名前が表示されていた。

 

 内容は今度の集合場所を伝えたいから、またどこかで会えないか? というものだった。どうしよう? たぶん、ムッツリーニには僕が木下さんと会っていたことがカメラから伝わっているだろうし……屋上は使えないか。

 

 

 あ、そうだ。僕は学校の中でおそろく生徒の誰も近づきたいと思わない場所を思い付いた。あそこならムッツリーニのカメラは無かったはずだ。

 早速木下さんにその場所に来るようにメッセージを送る。程なくして了解とメッセージが来た、これでよし。

 

 「よし、行くか。」

 

 そう言って、僕はまた走り出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 久保くんの食パンを処分してから走ること数分、学園に着いた。昇降口に行くと姫路さんが手に何かを持って佇んでいた。

 

 「あ、おはようっ、姫路さん。」

 「えっ!? おはようございますっ、吉井君っ!」

 

 僕に声をかけられた姫路さんは、慌てて手に持っていた手紙を隠し僕に挨拶をして逃げるように行ってしまった。何かあったのだろうか? あ、そういえばあの手紙って前に書いていたものか? だとすると手紙を下駄箱に入れるところだったのだろう……ちょっと間が悪かったかな。ごめんね、姫路さん。

 姫路さんに心の中で謝っておく。だけど、姫路さんって雄二が好きなんだったら霧島さんがいるし、本音を言うと諦めてもらいたいな。

 自惚れる訳ではないけどもし、その相手が僕だったら姫路さんには悪いけど付き合えない。僕の家の事情もあるけど、僕自身が恋愛事は苦手としているからだけどね。

 

 

 

 

 

 

 「よう、珍しく早いな。明久。」

 

 僕がそんなことを考えていると、隣から雄二の声が聞こえた。声のした方を振り返ると下駄箱に寄りかかっている雄二がいた。

 

 「昨日はどうだった?」

 「今月の食費が一瞬で映画の闇の中に消えた。雄二は?」

 「目が覚めたら……繋がれた牛が殺されるシーンだった。隙を見て逃げ出そうとしたら……また電気ショックを喰らって気を失い……目が覚めたらまた牛が死んで……」

 

 そう語る雄二の姿は地獄を見て来たような、そんな雰囲気が漂っていた。霧島さんも別のアプローチをすれば良いのに。ただあんまり関わっても仕方ないし僕からはなんとも言えない。

 

 「ホントに二回見たんだ……。」

 「……逃げようとしたらまた気を失って、また牛を殺すシーンで目覚め続けるんじゃないかと脅迫観念に襲われて……逃げられなくなった……!」

 

 あの映画ってそんなに怖いやつだっけ? 僕も見たことがあるけど普通に現実の世界に問題点を訴える良い映画だったと思うけどなぁ。まぁいいや。この暗い空気をなんとかしよう。

 

 「……永遠に映画の最初は見れないんだね……!」

 

 僕は深刻な表情でそう言った。

 

 「はぁ、そんなことより次のお仕送りまでどうやって生きていこう?」

 「あのゲームの山を売れば良いじゃないか?」

 「なんてこと言うんだっ! 何物にも代えがたい、優秀な作品の数々を食べ物なんかに変えられるわけないじゃないか!」

 

 劇的に言ってみた。あのゲームたちはすごく勉強になる(プログラムやビジネス的に見るから)。

 

 「自業自得って言葉、知ってるか?」

 「雄二はまだ余裕があるからそんな事言えるんだよ! 僕なんか命に関わるんだよ!」

 

 まぁ、僕は普通にお金には困っていない。口座には数百万はあるしね。ただ、バカの演技をするためにそう見せているだけだ。

 雄二は僕の肩に手を置き、

 

 「明久……お前は俺に命の危険がないと思ってるのか……?」

 「あ……ごめん……。」

 「……いいんだ。」

 

 なんて劇みたいに言うので僕はそれに合わせた。はぁ、そろそろ茶番を止めて教室にいきたいなぁ。

 

 「じゃあ、そろそろ教室に行くか。」

 「そうだね。」

 

 僕と雄二は教室に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 僕はFクラスの教室の扉を開く。中にはミカン箱を机として使っている僕らの仲間がいた。

 

 「……まさか、あれ以上設備がひどくなるとは思ってなかったよ……。これと言うのも……! すべて貴様のせいだ!」

 「皆が力を合わせた結果に文句を言うなんて無粋な奴だな。」

 

 そう言いながら教室に逃げ込む雄二。まぁ、Aクラスとの試召戦争については僕的にはあの結果で満足している。もし、あそこで勝っていたら……Aクラスの生徒にFクラスの設備を使わせる事になるからだ。もしかしたら、あっちの生徒にも体の弱い人がいたかもしれないし勉強にも集中できないだろう。そんな事はさせたくはない。

 まぁ、姫路さんは可哀想と思うけどもこれが現実だと受け止めてもらうしかない。それか学園長に頼んで何かを条件にまた振り分け試験を受けれるようにしてもらうか……?

 

 「雄二が一人で負けたんだろう!」

 「何言ってんのよ、アキ? 人の事言える立場じゃないでしょ。ウチらだって全然戦力にならなかったんだから。」

 

 島田さんが立ち上がってそう言ってくる。ここはバカにしとこう。

 

 「……そうだね。美波様も、読みが全然浅く、秀吉のお姉ちゃんに……頭が割れるように痛いっ!」

 「何よ、美波様って! バカにしてんの!」

 

 そう言いながら、島田さんは僕にアイアンクローをお見舞いしてきた。くぅ……! バカの演技のためとはいえ島田さんに暴力を振るわれるのだけはなれない……!

 

 「そう呼べって!「普通に美波で良いのよ」美波は全然読みが浅くて……こめかみに穴が空きそう……!」

 「……その技、面白くない。」

 

 いつの間にか島田さんのスカートの中を覗こうとしていたムッツリーニがそう言う。そんな事言ってないで助けてよ! その後、なんとか島田さんに離してもらった。あぁ~それにしても痛い……! 他の皆も面白がって助けてくれないし……まぁ、それで僕がバカとして認識されてるなら良いんだけど。僕は体は頑丈だからね。

 

 

 

 

 「だけどこいつは……! 小学生レベルのテストで百点取れなかったんだよ!?」 

 「坂本君を責めちゃダメですよ?「あ……。」良いじゃないですか私、この教室好きですよ?」

 

 姫路さんが上機嫌でそう言ってきた。それが不味いのだ。もし、姫路さんまでこのクラスの雰囲気に飲まれたら僕はどうすればいいのだろう? もしそうなったら僕は本気にならざるを負えない。

 

 「だってこの教室……好きな席に座っていいし……。」

 「キーンコーンカーン。ようし、HRをはじめるぞ。皆、席につけーって座ってるな。」

 

 え? そんなことのために? このクラスにいたら間違いなく姫路さんは悪影響を受ける。それだけはなんとか避けないと。あれ? 鉄人いや西村先生? 何で? 今日は福原先生に何かあったのだろうか?

 

 「あれ? どうして西村先生が?」

 「お前らがあまりにもバカなので、少しでも成績向上を目指そうと今日から福原先生に代わって補習授業担当のこの俺がFクラスの担任を勤める事になった!」

 「「「「「何ぃいい~~~~~~!!!???」」」」」

 

 クラスの皆が驚きに包まれた。

 

 「そして、私がナレーションを語る事になった。」

 「「「「「何ぃいい~~~~~~!!!???」」」」」

  

 そんなメタな事は置いておいて……、

 

 「鉄人が担任に!?」

 「容赦なくビシバシしごくから覚悟しとけ!」

 

 皆の顔が絶望に染まった瞬間だった。まぁ、僕的には補習の内容は結構たくさんあるから好きだったりする。バカを演じているため、ほとんど頭の中で解くけどね。

 

 

 

 明久side out

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ムッツリーニside

 

 「……明久。」

 「何? ムッツリーニ?」

 

 鉄人の地獄のような授業が終わった後、俺はミカン箱に突伏す明久に声をかけた。

 

 「……ちょっと一緒に来てくれ。」

 「分かったよ。」

 

 俺は明久を連れて屋上に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 「どうしたのさ? ムッツリーニ? また秀吉の写真? いくらだい?」

 「……違う。お前に聞きたい事があったからだ。」

 「どうしたの? 改まって?」

 

 明久はいつものようなバカみたいに明るく接してきた。俺たちに見せているこの顔は本当の顔なのか?

 俺は制服のポケットからスマホを出し、ある映像を明久に見せた。

 

 「これは……! 違うんだよ! ムッツリーニ!」

 「……そうじゃない。問題はこれから。」

 

 そこには明久と木下 優子が屋上で何かを話していた映像が写っていた。そして、明久が何かのサインをし木下 優子とカメラの死角に行ってしまった。

 

 「……これは一体どういうことだ?」

 「……。どういう事って?」

 「……お前はこの映像を見ると、このカメラの位置に完全に気づいている。」

 「そんな偶々だよ~。僕がそんな事知ってる訳ないでしょ?」

 

 明久は当たり障りのないような事を言ってきた。じゃあ、核心に近づいてやろう。

 

 「……じゃあ、明久。この映像と映像の音声が入っているデータを雄二たちに見せてもいいか? この音声データにはお前と木下 優子の話し声がバッチリ入っている。」

 「えぇ!? やめてよ! ムッツリーニ! 僕たちの仲じゃないか~。頼むよ。」

 

 明久の顔は嘘をついている顔ではない。だが、本当に信じてもいいのだろうか? まぁ、音声データの方はブラフだが。俺の中でなにかが引っ掛かっている。だったら、

 

 「……じゃあ、お前の身辺を捜査するがいいか?」

 「ムッツリーニ。」

 

 そう言った瞬間、明久がさっきまでのバカな表情から一変する。今まで初めて見せた、大人の雰囲気を纏った鋭い眼差しの明久の顔だった。一体なんだ!? 本当にこいつはあの明久か?

 

 「……これは忠告だよ。僕の事を調べるのはやめた方が良い。」

 「……何故だ?」

 「僕の事を調べた瞬間、君は後悔する事になる。そして、今までの関係が壊れてしまう。だから、それは止めてくれないか? 僕がいつか話すまで。」

 「……。」

 「……まぁ、忠告はしたからね。後は君の自由だ。それじゃ、先に戻ってるよ。」

 

 明久は教室に戻っていった。明久は話している時ずっと悲しそうな顔をしていた。俺はその明久の顔を見て何も言えなくなった。俺は一体どんな深みにハマろうとしていた? だが明久はいつか話すと言っていた。だったら俺を明久を信じよう。そう思い、明久を追って教室に向かった。

 

 

 

 ムッツリーニside out

 

 

 すこし時間を遡る。

 

 

 

 明久side

 

 「……。」

 「……まぁ、忠告はしたからね。後は君の自由だ。それじゃ、先に戻ってるよ。」

 

 ごめんね、ムッツリーニ。今、僕の事を調べても何も出てこないだろう。そして、ムッツリーニが持っている音声データがブラフである事は知っている。あの盗聴機にあの時の僕と木下さんの音声が入るような事はない。

 僕はムッツリーニいや土屋 康太という人間を信じている。だが、もしムッツリーニが僕の事を調べてしまったら……きっと……。だけど、それだけは避けてやる、絶対に。

 そう思いながら僕は教室の向かう階段を降りていった。




 はい、お疲れ様です。今回、明久がムッツリーニに忠告をしました。これは明久がムッツリーニたちの事を思ってのことです。別にムッツリーニたちがアンチの対象に入っている訳ではないので安心してください。

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 では次回をお楽しみに!
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