アルベリヒと西風の二人を忘れていたことに気づきましたので正しくは
レクター、ミリアム、クレアの三人はアルベリヒ、ゼノ、レオニダスの相手をしています。
時間は黒との決戦前へと遡る。
アリアンロードより齎された黒の持つ力、そしてそれに対抗するためには盟主より授かる外の理の力を持つ武具が必要だという情報を入手したリィン・オズボーンは熟慮の末、結社の使徒であるアリアンロードとヴィータ・クロチルダの案内の下、結社の最高幹部たちが集う星辰の間を訪れていた。
「やあやあようこそ獅子心将軍閣下。前から盟主は君に会いたがっていたからね、こうして来てくれて嬉しいよ」
出迎えたのは執行者NO0道化師カンパネルラ。
何がそんなに嬉しいのかとてもうれしそうな笑みを浮かべていた。
「お招きに預かり感謝する」
「アハハハ、君は本当に真面目だね。僕達結社のことは気に食わない、だけど黒を打倒するには僕たち結社の協力を得る必要がある。だから内心忸怩たる思いがあれどそうやって同盟を組む相手に対して礼節を守った態度を取っているわけだ」
「そちらの力を借りる以上当然のこと」
結社の最高幹部二名の協力を得て、組織において頂点に君臨する盟主にも会って武具を借り受けようというのだ。誰がどう見ても獅子心将軍リィン・オズボーンは結社身喰らう蛇と組み、協力関係にあると評するだろう。
そのような状態で馴れ合うつもりはないなどと告げて敵意をぶつけても空しいだけだ。下手にそんな態度を取って相手にヘソを曲げられでもすれば困るのはリィンの側なのだから。組むと決めた以上は同盟相手として相応の礼節を取って然るべきであった。ーーー例えこちらのそうした内心を見透かしているかのようにニヤついた笑みを浮かべる目前の存在が気に食わないとしても。そんな私情はまさしく些事だ。
「それじゃあまあ過去の遺恨は水に流すということで……そんな話をしている間にどうやらいらっしゃったみたいだね」
姿を表したのは神々しささえ感じさせる美しさの女性。
そしてその姿を視認した瞬間にリィン・オズボーンの
今すぐ目前の存在に跪き、頭を垂れて平伏せよと。
己が忠誠を表明するように恭しく跪くアリアンロードにヴィータ・クロチルダ、そしてカンパネルラの三名へと続けと。この方に無礼を為すような事が決してあってはならないと。
そんな魂の叫びをリィン・オズボーンはその意志によって捻じ伏せ傲然と胸を張りながら現れた女性を見据える。何故ならば自分は目前の人物に忠誠を誓いに来たのではなく、あくまで同盟相手として交渉に訪れたのだから、リィン・オズボーンが結社の盟主へと跪くなどあってはならぬ事なのだから。
「初めまして獅子の心を受け継ぎ、焔の意志を宿す英雄殿。こうして貴方と会えた事嬉しく思います」
自身へと向けられる視線に宿った焔のように燃え盛る意志、それを感じ取った盟主は万象を魅了する微笑を浮かべる。
「こちらこそ結社の
正直貴方が一体何者なのか興味は尽きないところではあるがーーー」
「お望みとあらば教えて差し上げても構いませんよーーー貴方が結社に加わってくれるならばの話ですが。
もしもその気がお有りでしたらすぐにでも第八柱の席を用意しますよ」
「せっかくのお誘いだが断らせて頂こう。我が忠誠は祖国に、愛は妻へと捧げた。これは生涯違える事のない誓いだ」
「そうですか、残念です」
残念だと告げながらその返答を予想していたのだろう実際のところ大して落胆したようには見えなかった。
「さて、それではまずは貴方が今宵此処に来た目的の品をお渡しするとしましょう。どうぞお受け取りください、この終焉の双剣レーヴァテインを」
「有難く頂戴する……と言いたいところだが、私が今回求めたのは騎神用のものなのだが?」
「それならばご心配なく。その剣は貴方の為に用意した物。貴方の意志に呼応し姿形大きさを変えますから」
「……この世の理に喧嘩を売っているとしか思えない出鱈目さだが、いやそれこそが《外の理》、この世界の常識では測れぬ代物という事なのだろう。改めて有難く頂戴する盟主殿」
手に取った双剣、そこからすさまじい霊力を感じ取ったリィンはそう己を納得する。
何せこの世の常識云々を語るならば自分とて既に相当無視しているのだから。
「さて、それで貴方が用意してくれたこちらの品に対して私は如何なる対価を用意すればいいのかな、盟主殿」
推し量るような視線をリィンは目前の存在へとぶつける。
リィン・オズボーンは今回何としても外の理の武器を入手しなければならない。
何せそれがなければ黒との戦いの土俵にそもそも立てないのだから。
だからこそ向こう側の要求をある程度は呑まざるを得ない。
如何なる術理が働いているのかわからない以上、受け取ったから用済みだと言わんばかりに契約を反故にするなどは悪手にしかならないのだから。
「特に、何も」
「何?」
「特別あなたに何かを要求するという事はありません。
強いていうのであれば貴方は貴方の思うがままにその意志を貫いて欲しい。
そうして貴方が綴った軌跡、そして至った答えがそのまま私にとっての報酬となります」
真実求めるのはそれだけだと微笑を浮かべながら盟主は告げる。
しかしふと何かに思い至ったような表情を浮かべて
「ですがそうですね一つお願いを述べるのであれば、結社に所属する者たちを極力殺さないようにして下さい。
彼らもまたそれぞれの可能性を持った大切な愛し子達、絶対に殺すなとは言いません。出来得る限りで構いませんから」
告げられた言葉にはまるで母親が我が子に向けるような惜しみない慈愛が込められていた。
そしてそれらがリィンに否応なく盟主の正体を連想させる。
(かのリアンヌ・サンドロットが忠誠を誓い今尚魂が全霊を挙げて跪けと叫び続けているカリスマ性、女神の七至宝をターゲットとしながらも合理の観点からはとても測り切れない結社の行動、今尚こちらへと向けられている慈愛の念、そしてこの世の理をも侵すような品を容易く用意してのける力、まさか盟主の正体はーーー)
「さてどうでしょうか。答え合わせがしたくなったら是非とも我々の同志となってください。貴方でしたらいつでも大歓迎ですので」
まるでリィンの内心を見透かしたかのようにクスリと楽し気に盟主は笑って
「それではあなたに
・・・
「もう、もう、もうもうもうもうもう!リィンってば!リィンてば!リィンてば~~~~~!本当にどこまで素敵なの貴方って人は♡」
愛しの人が見せる神々しささえ感じさせる輝く雄姿。
それを感じ取ったシャーリィ・オルランドはテスタロッサの中で恍惚とした様子で呟く。
暗黒竜との戦いの時に既に見ていて良かった。
そうでなければその雄姿に完全に目と心を奪われて危うく目前の敵を忘却する等という無様を演じかねなかったのだから。
「だからこそ、そんな貴方と釣り合う女であるためには私も何時までもこんなところで足踏みしてられないよね!」
咆哮と共にこの地の底に充満している瘴気、大地の聖獣が必死に抑えこまんとしながらもその身から零れ落ちているそれをシャーリィ・オルランドはテスタロッサへと吸収させていく。
それは暗黒竜に呪われ、呪いと極めて高い親和性を持つようになったテスタロッサなればこそ可能な芸当。
しかし、それは当然ながら暴挙であり愚挙だーーー当然のように呪いはシャーリィの身と心を蹂躙して闇へと堕とさんとする。
「
しかしシャーリィ・オルランドはそれを前にどこまでも不敵に笑う。笑う。笑う。
こんな程度で堕ちる程に自分は安い女ではないのだと笑い飛ばす。
何故なら自分の心はとっくの昔に
想い人があんなにも素敵な姿を見せてくれているというのにこんな稚拙なアプローチに靡く程私はふしだらな女ではないのだと怒りさえ滾らせながらシャーリィ・オルランドはそれらを糧にして高みへと昇る。
「ま、今の私じゃこの辺りが限界か」
しかし、それだけで英雄や聖女の領域に並ぶまでには至らない。
その事を悔しく思いながらもシャーリィは事実を事実として受け止める。
何せ想い人は自分が眠りこけている間もずっと進み続けて居たのだから。
すぐには追いつけなかったとしても仕方がない事だと切り替える。
そしてだからこそそんな愛しの相手に追いつく為には自分もまた起爆剤が必要だと獲物に向けて獰猛な笑みを浮かべて
「だからさぁ糧になってよ猟兵王!私は愛しの彼に追いつかないと行けないんだから!」
余りにも身勝手すぎる理屈になっていない暴論、それを並べ立てながらシャーリィ・オルランドはテスタロッサを駆り猛然と猟兵王へと襲い掛かる。テスタロッサの有する固有能力、それを用いて矢の嵐を紫紺の騎神へと浴びせる。
「やれやれ本当にフィーの奴がこうならなくて良かったぜ」
猟兵などというやくざな稼業から足を払い晴れて遊撃士となっていた自慢の娘の姿、それをしみじみと思い返しながら猟兵王はその矢の嵐を掻い潜る。
「ああ、シルフィードの事?どうやら猟兵から足を洗って遊撃士になったみたいだけど、まあ正解だったんじゃない。だってあの子この稼業向いてなかったし」
しかしそれはただの牽制に過ぎない。
テスタロッサの所有する千の武具ではない、結社に用意して貰った愛用の巨大なチェーンソーそれを以て近接戦闘を仕掛ける。
「お前さんもそう思うかい?」
「うん、だってあの子って貴方達に見捨てられたくなくてやっていただけだったじゃん。
どう足掻いても
出力に於いて自身を完全に圧倒している敵手の猛攻、それを猟兵王は巧みにいなし掻い潜り続ける。
「……その領域に至れない奴をみんな向いてない扱いにしちまったらこの世で猟兵に向いている奴なんざ極一部になっちまうが、まあ敵であったお前さんの目から見てもそう見えたんだったらやっぱり俺の判断は間違っていなかったって事だな。
荒療治だったが紫電の嬢ちゃんのように良い方向に転がってくれたようで何よりだ。感謝しないとならんだろうな」
繰り広げられる苛烈な攻防とは裏腹に両者が交わすのはまるで酒場で行うような世間話めいた談笑。
殺し合いに際して敵意という鎧を心に纏わなければ戦う事など出来ない正常な感覚を宿した人間であれば全く以て理解不能な光景だろう。
しかし、これが
ならばこそそこでぶつかり合う敵もまたある意味では友人のような物であり、戦意をぶつけど敵意をぶつける相手には非ず。
故にこうして戦いながら旧交を温める等というのは彼らにとっては日常茶飯事だ。
「良い方向に……か。貴方はそう捉えるんだ、あの腑抜けちゃった様を」
余りにも無様だったかつて自分も憧れていた先達の姿。
それを思い出しながらシャーリィは一転不満気に口を尖らせる。
「ああ、そりゃそう捉えるさ。猟兵なんざあそこのおっかない兄ちゃんに殺されても文句は言えないヤクザな稼業。俺のようにそういう風にしか生きられない連中もそりゃ居るが、足を洗って真っ当な道を歩むことが出来るならそりゃそうするに越したことはない。だからな嬢ちゃん、そういうのは腑抜けたって言うんじゃねぇ。成長した、真っ当になったって言うんだよ」
猟兵王にとって西風の旅団に所属する者たちは大切な家族であった。
だからこそその家族が自分の下から巣立ち真っ当な道を歩んでくれるというのならばそれは心から喜ばしい祝福すべきことだ。
「じゃあ私は真っ当になんてなりたくないね!」
しかしシャーリィ・オルランドはそれを否定する。
何が成長だ、何が真っ当になっただ、全く以て馬鹿馬鹿しいと。
「だってそんな余所見をしていたら彼に追いつく事なんて出来ない!
そこらに居るどうでもいい存在とみなされるなんてそんなの……そんなの死んでも御免だね!」
シャーリィ・オルランドに過るのはこちらを冷たい目で睥睨する想い人の姿。
そこには敵意も怒りもなくただただ氷のような冷徹さが存在していた。
自分を倒したことに対する感慨や達成感、そんなものはまるで存在せずどうでもよい障害物を順当に取り除いただけだと言わんばかりの冷たい目。
あの目でもう一度愛しい想い人に見られることーーー初恋の人に取るに足らない存在と認識される事、それだけはシャーリィ・オルランドにとって何があっても看過し得る物ではない。
「だから私は自分を磨きに磨いた。その結果がこれ!こうして貴方さえも圧倒できるようになった!」
戦況は完全にシャーリィの側が有利だった。
元よりテスタロッサの性能はゼクトールの上を往く。
そして修羅の領域に至ったシャーリィ・オルランドの実力は猟兵王ルトガー・クラウゼルに劣るものではない。
その上で英雄に追いつかんが為にさらなる覚醒を遂げたともなればどちらの方が優勢になるのかは明らかだ。
現状何とかやり合えているのは偏にルトガーが足止めと時間稼ぎに徹しているからに他ならない。
「それでそんな私を前に腑抜けた紫電とランディ兄はあっさりと地面を這いつくばる事になった。
それが成長?馬鹿馬鹿しいよ本当に。戦いに身を投じる者にとっての成長っていうのはね、強くなる事以外にないんだよ!!!」
そう自分が焦がれた英雄のように!
どれだけ自分が全力で追いかけて追いかけて追いつこうとしても追いつこうとしてもその度に引き離してしまうあの人のように!
魔竜は咆哮する。自分の身も心も溶かした英雄の背中こそが全ての者が目指すべきものに他ならないとでも言うように。
「やれやれ、逆鱗に触れちまったか。とんでもねぇ女がとんでもねぇ男に惚れるとこうなるんだな、おっかねぇ。本当に……本当にフィーの奴がこんな風になっちまわなくて良かったぜ」
しみじみとした様子で猟兵王は呟きながら、こちらを両断せんと放たれた袈裟斬りをすんでのところで躱す。猟兵王も自らの勝機が薄い事は百も承知。自らの雇い主が悪党の側だという自覚もある。
しかし、それでも猟兵王には雇い主への義理がある。何故ならば成長した娘の姿を見る事が出来たのは雇い主が与えてくれたボーナスタイムのおかげなのだから。その義理分は働いて返すのが、彼の猟兵としての筋という物であった。
「だけど俺にもまあ意地ってもんがあるんでな、そう易々とはやらせないぜ嬢ちゃん!」
「望むところだよ!そうでなきゃこっちとしても喰らい甲斐がない!」
そうして両者は戦いを続ける。どちらかの命の終わり以外には幕を下ろす術を持たぬ文字通りの殺し合いを演じるのであった……
猟兵王と西風の旅団に対する自分の認識は大体白ひげ&白ひげ海賊団です
ヴァリマール・デスティニーとアルグレオン・レジェンドを超サイヤ人2だとするなら今回シャーリィちゃんがやったのは俺は超ベジータだって感じのアレです。