クルト、アルティナ(旧Ⅶで言うラウラ、フィー)>>セドリック殿下、アッシュ(旧Ⅶで言うユーシス、ガイウス)>>ユウナ>>ミュゼ(旧Ⅶで言うアリサ)
位を想定しています。
ただアッシュは我流でこれですのできちんと指導者の下で真面目に取り組めばガンガン伸びると思います。セドリック殿下も1年前までは素人同然だったので伸び率という点で言えばかなり凄いです。
ユウナは凡才の星的なイメージなので……うん頑張れ。
「改めて、自己紹介をさせてもらおう。リィン・オズボーン、これから3年間諸君らの担任教官を務めさせてもらう事となる。よろしく頼む」
七曜暦1204年、3月31日。
入学式を終えて所属クラスへと移動したトールズ士官学院第222期生にして特科クラスⅦ組へと配属された生徒達の前に姿を現したのは185リジュの堂々たる体格を有す偉丈夫にして、この国でその名と顔を知らぬ者は居ない当代の英雄であった。
その一挙手一投足にさえ気品に満ち溢れ、その身には凄まじいまでの情熱と覇気が宿っている。
まさしく傑物。まさしく英雄。目前の人物が未だ成人すらしていない若者だと言われて一体誰が信じられるだろうか?
故にこそ、その姿を視界に収めた生徒達は瞬時に理解する。伝え聞いていた灰色の騎士の英雄譚、それは虚飾に彩られたプロパガンダではなく紛れもない本物なのだと。
ただそこに居るだけで飲み込まれかねないような、圧倒的な存在感、それを目前の人物は有していた。
「まず最初に言っておこう、諸君らは所謂選ばれたエリートだ。
無論諸君らの中でも首席で入学したものもいれば、合格ラインスレスレで入学したものも居る。
だが、それでもこの学院に入学を果たす事が出来たというそれだけで諸君は頭脳と肉体、双方に於いて同年代の中で抜きん出た存在である事は疑いようがない。紛れもないこの国の未来を担う俊英だ。
故に忘れるな、諸君らが笑顔でこの学院の合格通知を受け取った時、涙を飲んだ無数の者が居たという事を」
元よりトールズ士官学院はかの獅子心皇帝が直々に建立して皇族の男子が通う、名門中の名門だ。
特に近年はとあるこの学院の出身者が大活躍したのもあって、志望者は急増。
従来までは6クラス定員180名だったところを9クラス定員250名と増やしたが、今期の志願者数は1万を超え*1、その倍率は40倍を超えている。
今、この場に居る者達はすべからくエリートなのだ。
「諸君らは多くの者を蹴落として今、この場に立っている。まずはその自覚を持て。そして、それに奢るな。
敗れた者達があいつに負けたのならば仕方がない、そう思えるように高みを目指し続けろ。
そしてその覚悟無き者は今、この場で去れ。意志無き者の面倒を一から見ていられる程、私は暇ではない」
誰も足を動かす者はいない。何故ならば、彼らにとて各々退けぬ理由があるのだから。
そしてその光景を見たリィンは満足気な表情と共に柔らかな微笑を浮かべて
「それでは改めて、ようこそトールズ士官学院特科クラスⅦ組へ。
これからの三年間が諸君にとって有意義なものとなる事を祈っているよ
さてそれでは続いて副担任の紹介をさせてもらおう」
「クロウ・アームブラストだ。ま、俺は担任殿程固くはないんでな。気軽に接してくれて良いぜ」
先程までは真逆の気さくな様子でクロウはそう目前の教え子たちに挨拶をする。
まさか自分が教官なんてものになるとは思っていなかったとそう思いながらも、ノーザンブリアの時に続いて
「私の不在時はアームブラスト教官が諸君らの教導を担当する事となる。
何か困ったことがあったら彼を頼るように。
さて、それではカリキュラムの方を説明させて貰おう」
・・・
「……というわけでこれより諸君ら第一班の者達にはこの小要塞の攻略を行ってもらう。
ブレイブオーダーシステム、我が帝国の誇る頭脳たるシュミット博士が開発したこの新システムの実戦試験の為にな」
「ちょ、ちょっと待って下さい!なんで私達6人だけそんな事を!!」
そう憤懣やるかたないと言った様子で意志を表明する桃色髪の少女の名はユウナ・クロフォード。
オリエンテーリング終了後、他の生徒たちが解散となる傍ら担任教官より指名された6人の内の1人である。
「理由はいたって簡単。博士の開発した新機能を備えた最新鋭のARCUSⅡ、それへの適合を示したのが諸君ら6名だったというだけの話だ」
G・シュミット博士はかのエプスタインの三高弟の1人にしてエレボニア帝国最高の頭脳と謳われし学者だ。
導力鉄道や導力砲、巨大工作機械等を次々と発明し、帝国における導力技術の発展を推し進めたその功績によって熾煌翼獅子最高綬章*2を授かった当代の偉人である。
……なのだが、彼の行動原理はどこまでも己が知的好奇心を満たすためというものであり、自身の発明がどのような用途で使われるかも頓着しない。それ故か、凡そ彼の発明というのは汎用性というものを無視したケースが多い。
今回開発されたARCUSⅡもそれであった。詳しい理由は不明だが、現状これへの適性を示したのが選抜された6人のみなのだ。
かくして哀れなる6人の生徒は博士の知的好奇心を満たすための、生贄の供物として選ばれたというわけである。
「悪いが諸君に拒否権を与える事は出来ない。
ブレイブオーダーシステムは戦術リンクシステムに続き、戦場を変えうる可能性を秘めている。
これの開発を推し進める事は最高幕僚会議での決定事項である。
そして開発の責任者たるシュミット博士は帝国最高の頭脳であり、彼の代わりが務まる人物は居ない。
故にその要望には軍としては最大限に応える必要がある。
諸君も、歴とした軍属である以上これに従ってもらわねばならない」
「~~~~~~~~~~~~~」
「……ケッ」
激情を押し殺すような形でユウナは押し黙り、金髪の青年アッシュも面白くなさそうに呟く。
「さて、説明はこれにて終わりだ。それでは諸君、健闘を祈る」
「……という事は教官は参加されないのでしょうか」
「ああ、その通りだ。イーグレット候補生、私が居たら諸君らはどうしたって私の事を頼りにする。
それでは諸君の為にならないからな。古来より獅子は我が子を千尋の谷に突き落とすと言う。
見事、谷底より這い上がってくる事を期待している」
「話は終わったな、それでは見せてもらうぞ。私が開発したオーダーシステム、その機能をどれだけ引き出す事が出来るかをな」
音声スピーカー越しにシュミット博士の声が響いたその瞬間であった。
それまで立っていた床が大きく開き、そのまま落下していくのであった……
・・・
「イタタタ……もう、あの教官!いくら何でも本当に突き落としたりする!?例えでしょ例え!!!」
したたかに打ち付けた臀部をさすりながらユウナはそう怒りの言葉を吐く。ーーーしかし
「軍人に何よりも求められるのは即応力とでも言うべき、とっさの対応力。
それを推し量るための
対応できなかった己の未熟さを棚に上げて、教官を非難するのは如何なものかと思いますが」
「なぁ!?」
返ってきたのは同意の言葉ではなく、その逆の「お前が未熟なだけだろう」というこちらを非難する言葉。
その余りに冷たく切り捨てる発言にユウナは絶句する。
「セドリック、怪我は?」
「この程度で怪我をするようなヤワな鍛えられ方はお互いしていないさ。そうだろう、クルト?
僕を気遣ってくれる事には感謝するけど、此処はか弱い
そんなどこか冷たい印象を与える銀髪の少女、アルティナの言葉を証明するかのようにセドリック・ライゼ・アルノール、クルト・ヴァンダールもこの程度取るに足らないとでも言うかのように平然とした様子で着地していた。しかもセドリックに関して言えばーーー
「というわけで、怪我はなかったかな?フロイライン・イーグレット」
「はい、おかげさまで。それにしても皇太子殿下にこんな風にして頂けるだなんて光栄の至りです♥」
翠色の髪をした少女ミュゼを俗に言うお姫様抱っこをしながらのおまけ付きである。
「何、帝国男子として当然の努めというものさ。ーーークルトも次の機会があったら、僕よりもあちらのフロイラインを守ってあげると良い」
「そうかもしれないな。えっとユウナだったか、怪我はないかい?」
「ーーー平気よ、この程度!」
残る一人のアッシュもこの程度朝飯前だとでも言わんばかりの態度を見せ、自分だけ対応できなかったという焦りからどこかユウナの対応は刺々しいものとなる。
(帝国人には、負けないんだから!)
特科クラスⅦ組第一班の最初の特務活動となるアインヘリヤル小要塞攻略はそんな前途多難な様子で始まるのであった。
「私は暇ではない」←本当の本当に暇じゃない。暇がない。
ちなみにフロイラインというのは最近ではもう小馬鹿にした印象を与えるので使わ無いほうが無難な言い方らしいですね。