※合体したのはあくまでヴァリマールとオルディーネです
BGMはDBの最強のフュージョンでも仮面ライダーWのW-B-Xでもファフナーの太陽と月でも好きなものを流して頂ければと思います。
唖然。呆然。
目前で起こった奇跡を前にその場にいた誰もが忘我の心地へと陥る。
当然だが、
女神を篭絡してこの世の理を捻じ曲げるのに強い意志を有している事は大前提として必要だが、相剋を果たさずしての騎神同士の融合という奇跡をリィン・オズボーンとクロウ・アームブラストの両名が為せたのにはいくつもの理由が存在する。
まず第一に蒼の深淵も述べた通りにヴァリマールとオルディーネがかつての煌魔城の戦いによって疑似的な相剋を果たしていた事。
---これによって両者の騎神は互いに相手を取り込む準備も、相手に取り込まれる状態も整っていた。
第二にその起動者たるクロウ・アームブラストとリィン・オズボーンの両名が戦術リンクというかつて騎神が作られた時代には存在していなかった新時代の技術によって霊的な結びつきが生じており、しかもそれが極めて密接な状態となっていた事。
---これによって両者は霊的に極めて近しい状態となっており、まるで二人で一個の生命体のように誤認させることが出来る下地が整っていた。
そして最後に魔神メア=ク=バルウド=ルアウングというこの世界の外からの来訪者が顕現し、結界によって隔離された事で今リィン達の居る場所が特異点とでも言うべき女神の理から外れたある種の異界と化していた事。
これらの条件が満たされていたからこその奇跡なのだ。
そう絆や精神力だけで起こせるほどに奇跡というものは安いものではない。
だが、それでもこの奇跡を為した最大の要因が何かと言えば、こう答えざるを得ないだろう。
リィン・オズボーンとクロウ・アームブラスト、親友の屍を踏み台にしての飛翔ではなく、共に並び立って天空へと飛び立つことを選んだ二人の持つ絆。
それこそが女神さえも予測だにしていなかった、この奇跡を生んだ最大の要因だと。
「ククク……クハッ、カ八ッ、はっはっはっは、アハハハハハハハハハハッ!!!!
フッハッハッハッハ、ハハハハ、アハハハハハハ、あーっはっはっはっは!!!!」
大笑。爆笑。大爆笑。
余りの事態に頭の理解が追い付いていない周囲とは裏腹に、魔神は歓喜の咆哮を挙げる
そこに先ほどまで存在した寂寥感を滲ませた諦観などは欠片も存在しない。
人の可能性とでも言うべきその輝きを目の当たりにした魔人の心を満たすのはただただ歓喜のみである。
「
ああ、50年間……待ち続けた甲斐があった。今のお前達なら俺の全力を受け止めてくれそうだ。
頼むから、俺をガッカリさせないでくれよ!!!」
言葉と共に振りかざした手から放たれるは劫火を纏いし不死鳥。
飛来したそれを前に蒼白の騎神は躊躇う事無く迎撃を選ぶ。
振るわれるのはヴァンダールの双剣術にアルゼイドの剛剣術が加わった閃剣。
それは今、騎神を動かしているのがリィン・オズボーンその人であることを示している。
そして達人の振るわれる剣技というのは心技体総てが備わった精密なバランスの下振るわれている。
如何にリィン・オズボーンとクロウ・アームブラストが心からの信頼で結ばれたパートナー同士であろうと一つの肉体を二人で同時に動かす等という事をすれば齟齬が生じてしまい、逆に弱体化する結果を生んでしまう。
故に今、蒼白の騎神を動かすのはあくまでリィン・オズボーンその人である。
船頭多くして船山に上るという言葉が示す通り、主導権を握る人物が複数いてはとっさの判断に致命的な遅れが生じてしまい、そして現状リィンの方がクロウよりも優れた使い手である以上、それは当然の措置ではあった。
ではクロウ・アームブラストは指を咥えてただ見ているだけかと言えば、無論そんなわけはありはしない。
鋼の至宝を構成する片割れたる焔の至宝は人の強き意志に呼応する至宝。
当然、それに呼びかけるものは多ければ多い程より多くの力を引き出せるのは自明の理というもの。
クロウが共に居る事にによって、当然ながら引き出せる力はリィン一人よりもはるかに大きなものとなる。
そしてクロウが居る事の恩恵をそれだけに留まらない。
騎神がその身に纏う霊力の形成、武器への付属、一点集束ーーーそれら総てに対してクロウ・アームブラストはリィン・オズボーンの意志に呼応して力を貸す。
それがリィン・オズボーン一人だけで振るうだけでは到達しえなかった境地へと導くのだ。
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
一刀目。極限まで凝縮された蒼焔を纏いし刃が不死鳥を両断する。
即座に背面に存在する光翼を展開。集束された蒼焔を一挙に解き放つ事で爆発的な加速で以て魔神へと肉薄。
決定打を与える為に二刀目を振るう。極限まで圧縮された蒼焔の刃、それがかつてとは比較にはならぬ突破力で以てマクバーンを護る障壁を突破し、その身を割かんとする。
「おおっと!そう簡単にはいかねぇぜ!!」
瞬間魔神の手に握られていたのは人間の際に振るった愛刀たる魔剣アングバール。
如何なる術理によってか、魔神となったマクバーンに呼応したサイズとなったそれが主人の手へと舞い戻り、その刃を受け止め、魔神はそのまま力業で以て蒼白の騎神を弾き飛ばす。
再び両者の間の距離が開く。
「ああ……最高だ。最高だよてめぇらは。
まさか黄昏を前に此処まで俺を熱くさせてくれる奴が鋼の奴以外に居るとは思わなかった。
このままずっとお前らとやり合い続けるってのも悪くはないが……ククク、流石に深淵や根源の奴が持たねぇか。
そろそろ終わりにするとしようや」
言葉と共にマクバーンの持つアングバールへとその身に纏う劫火が集束されていく。
次に放たれる攻撃こそが魔神の放つ最大最強の一撃である事は疑いようがなかった。
「さあてどうするよ親友、流石にアレを相手にしちゃこっちが圧し負けるのは目に見えているぜ」
何故ならば単純な出力においてヴァリマール・デスティニーは魔神マクバーンに未だ劣っているから。
相手も同様に力を集束させたとなれば、後は出力の差によって押し負けるのは目に見えているというものだった。
「そうだな、
「嫌な予感しかしないが……一応聞いていいか。その方策ってのは……」
「無論我が身さえも燃やす覚悟で出力を跳ね上げる事!それ以外に道はない!!!」
「やっぱりかよ畜生!!!」
現在ヴァリマール・デスティニーの力は非常に安定した状態にある。
それはリィンとクロウ、同時に存在する起動者二人が協力する事を選んだからこそ。
だが当然のように奥の手というのは存在する。
それは今、協力する事を選んだ両者が互いに闘志をぶつけ合い、互いの間で相剋を起こすのだ。
さすれば互いが互いを高め合い、それは単純な足し算ではなく乗算となり爆発的にヴァリマール・デスティニーの力を跳ね上げるだろう。
成功さえすれば。
「いくつかツッコミどころを挙げさせてもらうぞ。
まず一つ目、それをやるには俺の意志がお前相手に押し負けずに拮抗してなきゃならねぇ。
二つ目、当然だが出力が上がったらその分の反動が俺たちを襲う。多分滅茶苦茶痛ぇ。
三つ目、張り合うって事はさっきまでと違って下手すりゃ足を引っ張り合う結果にもなりかねねぇ。それを防ぐには本当の本気で寸分の狂いもなく俺とお前は心を一つにしなきゃならねぇ」
「一つ目、お前なら出来る。
二つ目、耐えれば良い。
三つ目、俺たちなら出来る。
何も問題はないな」
「~~~~~~~~~~~~~~~ああ、わかったよ!やりゃいいんだろやりゃあ!!!」
暴力的とさえ言える信頼を向けられたクロウはやけくそ気味に叫ぶ。
現実問題、活路があるとすればそれ以外にはない以上クロウに選択肢などなかった。
「「神鬼相剋!」」
放たれるは蒼い神気と赤黒い鬼気。
それら二つがぶつかり、一瞬の均衡が齎される。
そして
「「神鬼相乗」」
互いの闘気と意志が張り合うかのように出力が跳ね上がっていく。
負けない。心の底から認める親友のお前だからこそ俺はお前に勝ちたいのだと爆発的に闘気が高まっていく。
「グっ……」
徐々にリィンの発する鬼気がクロウの放つ神気を凌駕し始める。
ここに来てリィンの進む速度にクロウが付いてこれなくなり始めたのだ。
だが、リィンはその速度を緩める事をしない。
そんな相手に対する気遣いをしていては、それを成し遂げる事は出来ないが故に。
ただ相方が必ずや自分に付いてきてくれる事を信じて全力を出し続けるのみだ。
「ク……ソ……」
均衡が崩れ始める。
クロウの脳裏に諦めの文字が過ろうとした刹那
「~~~~~~~~♪」
聞きなれた唄が響き渡る。
それはクロウが幾度も聞いた己が導き手の歌。
帝都の劇場を満席にする蒼の唄姫ヴィータ・クロチルダがただ一人の為に歌う安らぎの唄だった。
ほんの一瞬、歌の聞こえる結界の外側に目を向けてみれば、こちらに向けてウインクをしてくる旧知の女が居て
「行きなさいクロウ、運命を超えたその先に。貴方の真価を見せて頂戴」
「……ああ、そこで見てろよヴィータ!お前の目が間違ってなかった事を証明してやらぁ!!!」
雄たけびと共にクロウの放つ神気が再び鬼気へと並び立つ。
「「神鬼合一!」」」
爆発的に高め合った神気と鬼気が混ざり合ってゆく。
余りにも膨大な闘気が騎神のボディを破壊していくが、問題ない。
壊れ切る前に敵を倒せば良いだけの事。
どの道勝負は次の一撃で決まるのだから。
「ジリオンハザード!」
「蒼覇十文字斬り!」
放たれた魔人の奥義。
それを前に二人は互いに張り合いながらもその呼吸を合わせるという離れ業をやってのける。
放たれるのは二人いてこそ放つ事のできるコンビネーションの極致たるコンビクラフト。
二つの光が拮抗する。
両者の振るう剣が砕け散る。
齎された衝撃と膨大なエネルギーによってついに展開された三重結界が砕け散る。
だが
構わず魔神がその手より焔を放とうとした寸前
「「オオオオオオオオオオオオオオ」」
「ガッ……」
焔翼による爆発加速で接近した騎神によって叩きこまれたのは渾身の頭突き。
鈍い痛みが魔神の頭に齎されーーー瞬間、魔神は全てを思い出す。
「ああ……そうか……そういう事かよカンパネルラ」
もはや原型をとどめていない星見の塔の
そこに立つのは人の姿へと戻ったマクバーンともはや身じろぎ一つする事すらできないであろう精魂尽き果てた様子の灰と蒼の二機の騎神。
ここに死闘の幕は降ろされるのであった。
盛り上がってきたな!(クロウを巡るアラサー共の戦いが)