胸を貫かれ、吹き飛ばされて壁に叩きつけられたオーレリア。地に伏せるリィンとクロウ。
その光景をセドリック達はただ茫然と眺める事しか出来ない。
無理もない自分たちを足手纏い扱いした師に対して成長の証を見せるのだと勇んで来たのは良い物の目前で繰り広げられた戦いは余りにも次元が違い過ぎた。
援護する事など不可能、巻き込まれぬように立ち回るだけで精一杯だった。
とはいえセドリック達がこうしてきたことそれ自体が無駄だったわけではない。
セドリック達は足止めにならぬよう立ち回るのが精一杯であってもクレアとレクター、達人の力量にあるこの両名はその限りではない。
如何にアリアンロードが武神と言えども、それでも彼女はマクバーンのような人外ではない。
並大抵の攻撃ならばその闘気の鎧に阻まれて終わるだろうが、クレアやレクターが全力を込めた一撃ならその闘気の鎧を突破して手傷を負わせる事も出来ただろうし、少なくとも
そしてそれはアリアンロードの配下足る鉄機隊も同じ事。
ならばこそ傍から見ればただ観戦しているだけのように見えても彼女達はその場に居るだけで意味があるのだ。
例え相手が介入して来たとしても必ずや味方がそれを阻止するーーーそうした信頼があればこそ目前の敵手に全精力を注げたのだから。
そういう意味で生徒を連れてくるという判断を下したクロウの判断は英断だったと言えるだろう。
アリアンロード単騎を相手どってこれだったのだ、そこに鉄機隊という忠臣が加わればアリアンロードは己が切り札を使う必要さえもなく勝利を収めていたのだから。
そういう意味で生徒たちーーーひいてはその護衛役を務める事になるはずであったクレアとレクターをこの場に連れてきたのは紛れもない正解だったと言えるだろう。
しかし
「……ッ!」
「止めておきなさい、彼我の力量差がわからぬ程に未熟という事もないでしょう。
彼ら三人が倒れた今、貴方達では私に対して万に一つの勝機もありませんよ」
ゆっくりと倒れ伏したリィン、それに向かって歩み寄るアリアンロード。
そんな彼女を止めんと銃を構えたクレアをアリアンロードはただ視線と言葉だけで釘付けにする。
「先ほども言いましたが、私には誓ってこの子に対する害意はありません。
むしろその真逆全てはこの子に幸福になって欲しいと願うが故の事。
手荒になってしまった事は認めますが、それは私にとっても不本意な事。
もう一度言います、この子に対する害意は誓って存在しません。
逆に問いましょう、貴方方はあくまでこの子に背負わせ続けるつもりですか。
常人ならばーーーとうの昔に潰れているであろう重荷を。
当人が望んでいるから、強く素晴らしい人物だから。
---だから任せても平気だとでも言うつもりですか?」
「それ、は………」
「貴方が帝国に忠誠を誓う軍人として、あくまで彼の部下として使命を果たさんと言うなら私の行動を阻まんとする事は理に叶っているでしょう。灰の騎神を駆る獅子心将軍はもはや帝国の守護神とでも言うべき存在、帝国の持つ力の象徴として諸外国にも認識されている。
それをみすみす失うのを軍人として見過ごすことが出来ないというのならば、ええ理にはかなっているでしょう。ですが貴方自身の想いはどうなのですか、
「わたし、は……」
「貴方もです、
この子に対してただの上官と部下ではくくれぬ絆があるというのならーーー真に弟のように思っているというのなら彼に何もかもを押し付けるような真似を恥じる事です。
兄や姉とは弟を守る側であるべきなのですから」
「ッ……!?」
クレアもレクターも動く事が出来ない。
それは彼我に存在する実力差を悟るが故ではない。
ただ彼らは迷ってしまったのだ。
正しいのはアリアンロードの側で自分達の方こそが間違っているのではないかと。
このまま起動者でなくなる事がリィンの為なのではないかと。
そうすれば愛する義弟は尊敬する父と骨肉の戦いを演じる必要も無くなるのだから。
ーーーこのまま目前の聖女に全てを委ねる事に一体何の不都合があるのかと。
そう思ってしまったが故にその場から動く事が出来なかったのだ。
「ええ、それで良い。
後の事は全て私に任せておきなさい。
私は必ずやこの身に代えても黒を討ち、この国とあの人を呪われた運命から解放します。
そしてそんな運命にこの子が巻き込まれる必要などないのですから」
これでリィン・オズボーンが起動者でさえなくなればアリアンロードは後顧の憂いなく黒を打倒する聖戦へと挑むことが出来る。
どんな難敵が立ちはだかろうと必ずや真っ向から打ち砕き、勝利を掴み、そして250年前より続く因縁、自分達の物語に終止符を打とう。
それこそが自分がこうして生き恥を晒し続けた理由なのだから。
「勝手な事を……ぺらぺらと……!誰が一体そんな事を貴方に頼んだ……!
これは俺が背負うべきものだ。誰かに譲る気など毛頭ない……!」
そんなアリアンロードのエゴにリィンは異を唱える。
息も絶え絶えの様子で地を這いつくばりながら、されどそれでも決して屈する気は無いと何よりもその瞳で雄弁に語りながら。
「確かに意識を刈り取ったはずだったのですが……どうやらこちらの想定よりも我が奥義の威力が減衰されていたようですね。それとも私が威力を加減してしまったのか……まあその辺りは今は考えても詮無き事ですか。
どちらにせよ、もう貴方は立ち上がる事さえできない身。私が為すべき事に変わりはありません。
例え貴方に恨まれたとしても私はこの場で貴方と灰の契約を断ちます」
もはや問答は無用。
親には時に心を鬼にしてでも子供を止めねばならぬ時がある故に。
その結果、一生恨まれる事になったとしてもアリアンロードは構わなかった。
アリアンロードにとってはアルティナ・オライオンよりもリィン・オズボーンの方がはるかに大切であるが故に。
哀れな子だとは思う、生まれながらに死すべき時に死ねるよう定められた存在など理不尽にも程がある。
だがそれでもアリアンロードはもう割り切ったのだ。止む得ぬ犠牲として。
人には誰しも優先順位というものがある以上、それは当然の事だ。
それが出来ぬ者が名将として世に讃えられる事など決してあり得ない。
優先順位を定めて何を捨てるか、その選択を間違えず迅速に決断を下した者こそが名将と呼ばれ、勝者となるのだから。
アリアンロードはリィン・オズボーンを優先し、アルティナ・オライオンを切り捨てると決断したーーー要はそういう話なのだ。
「来い!ヴァリマール!!!」
しかし、そんな事をリィンは決して認められない。
あるいはアリアンロードの言う事は正しいのかもしれない。
こうしてアリアンロードを前に三人がかりで挑みながら地を這いつくばっている自分達が黒を打倒する等吠えるのは勇気ではなく蛮勇、勇者ではなく愚者との誹りを受けるものかもしれない。
だが、それでも此処で屈するわけにはいかないのだ。
総てを俯瞰する神から見れば自分の行いこそまさしく愚行であり、アリアンロードに全てを任せる事こそが最善なのかもしれない。
だが、そんな事はやってみなければわからない。
言える事はただ一つ、最初から挑もうとすらせず賢しら気に後から論評するだけの批評家に為せる事などこの世に何一つとして存在しないという事。
ならばこそ此処で屈する、諦める等という選択肢はリィン・オズボーンには存在しない。
どれほど勝機が薄かろうと足掻ける余地があるのならば足掻くまでの事。
「応!」
それは紡いだ絆と強き意志のなし得た奇跡だろうか。
ヴァリマールへの念話は展開された結界によって封じられていたはずだった。
にも関わらず己が起動者の呼びかけに応え、灰の騎神がその場へと姿を現した。
「---アルグレオン、灰を抑えなさい」
しかし、それさえもアリアンロードにとっては予想の範疇だ。
アリアンロードは目前の青年を決して見くびってはいない。
奇跡の一つや二つ、平然と起こして見せる英雄なのだと知っている。
ならばこそ、毛ほどの動揺も見せずに対処を行う。
騎神を有しているのはリィンだけではなく、アリアンロードも同じ事。
そしてこと性能において銀は灰のそれを大きく凌駕している。
あっさりとリィンの呼びかけに応じて現れた灰は銀によって抑え込まれる。
「ぬ、ぐっ……!おおおおおおおお!」
激痛に塗れながらもリィンは立ちはだかり、文字通り最期の力を振り絞り双剣を振るう。
諦めない諦めないーーー決して諦めてたまるかと。
本来ならば身動き一つすら出来ない状態から立ち上がったそれはまさしく奇跡だ。
雄々しさに溢れ、見るものの心に感動を呼び起こさずにはいられない英雄の雄姿。
「もう止めなさいリィン、貴方がそのような重荷を背負う必要はないのです。
そろそろその荷を降ろして楽になりなさい」
しかし、そんな英雄の雄姿も武神を前にしては単なる愚行となる。
満身創痍の状態で振るわれた一撃が武神に届くはずもなし。
あっさりとそのリィンの放った一撃は弾かれ、続けて振るわれた武神の攻撃にリィンの身体が吹き飛ばされる。
「否、否だ!こんなところで……こんなところで俺はッ!」
如何に気概を吠えても、もはや英雄は立ち上がる事さえできない。
そもそも武神の奥義を叩きこまれながらも起き上がり、尚も剣を振るった事それ自体が奇跡であったのだから。
ならばこそリィン・オズボーンの紡ぐ英雄伝説は此処に終わる。
武神という人の身に在りながら人を超えた存在に粉砕されて。
これより先の物語を紡ぐのは250年前よりこの時の為に歩み続けた槍の聖女リアンヌ・サンドロット。
彼女が自分達の物語に終止符を打つべくリィン・オズボーンの背負っていたものも引き受け、歩むのだ。
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオ」
雄たけびが響く。
そしてそれは発したのは英雄ではない。
銀によって抑え込まれていた灰が発したものだ。
そしてそのままの勢いで灰は銀を吹き飛ばす。
それは本来であればあり得ざる事態だ。
灰の騎神と銀の騎神の性能を比較した場合、灰は明確に銀の後塵を喫している。
そして機械が本来のスペックを超えて駆動する等という事は如何に至宝と繋がって居ようとあり得ないはずなのだ。
何故ならば至宝とは人の意志に呼応して力を授けるもの。
そしてどれだけ流暢に会話が出来ようと騎神にあるのはあくまで地精によって用意された人工知能に過ぎない。
ならばこそ騎神には至宝よりその意志を以て力を引き出す事が出来る起動者が必要なのだから。
それにも関わらず灰は本来あり得ざる力を出し、銀を吹き飛ばした。
まるで
「立て、我が起動者よ!汝は此処で斃れるべきではない……!」
「ヴァリ、マール……」
響くのは熱き呼びかけ。
灰の騎神は熱く必死に呼びかけていた。
そこにそれまでの機械故の無機質さは欠片たりとて存在しない。
まだだ、此処で終わるな我が起動者よ。それは違うぞと
それは決して此処でリィンが己の起動者でなくなってしまえば、来るべき相剋に於いて自分の勝ち目が消えてしまうからではない。
ましてやそう在るように作られたからでもない。
ならば何故、ヴァリマールはここまで熱く叫んでいるのか?
ーーーそんなものは決まっている。
「このようなところが汝の終わりか?いいや、否!
汝こそが紛れもなく史上最強の人類種。己が意志を以て未来を切り開かんとする紛れもなき英雄であろう!
その気概、その情熱、今も決して諦めないと雄弁に語る強き眼差しが我が心を熱く駆り立てるのだ!
そんな男が此処で終わって良いはずがない、それが例えあのリアンヌが相手だったとしても。
立ちはだかる壁が強大であればあるほどよりその魂を燃やし、最後にはそれを乗り越える。それこそが汝であろう!!!!」
灰の騎神ヴァリマールはこの時代で目覚めてよりずっとリィン・オズボーンと共に在り続けた。
その雄姿を間近で見続けた。
だからこそヴァリマールは吠えるのだ。
否、否、否だと。こんなところでリィン・オズボーンの英雄伝説が終わりなどと自分は決して認めはしないと。
それはまさしく、ただのプログロムに従って動いていた機械には存在しなかった自我。
灰の騎神ヴァリマールが一個の生命体として抱く
「我が起動者は汝以外にあり得ぬ!汝以上の存在など我には存在しないのだ!!!
故にそうだ、我が
そうだ自分は見てみたいのだ。
この素晴らしき英雄が掴みとるであろう輝ける未来を。
そしてそのための剣となる事ーーーそれこそが自分がこの世に生まれ落ちた意味なのだと灰の騎神はその産声を挙げる。
「ゆえに立て!リィン・オズボーン!!我が起動者、我が担い手、尊敬すべき英雄よ!!
此処で勝たねば我は決して汝を許しはしないぞ!煌めく真価を見せてくれ!!!」
「ーーーならば」
己が相棒からの祈り。
確率絶無である求めを聞いた事で、英雄の瞳に再び決意の炎が宿る。
それはクロスベルの地に於いて魔神を前にしたのと同じ瞳。
己が無茶を以てこの世の道理を踏破せんとする
「俺にお前の持つ霊力
お前の霊力と俺の鬼気、その二つで相剋を起こし、至宝への道をこじ開ける!
ーーーそして今この場に於いて我が肉体を新生させる!」
ヴァリマールが己が意志に目覚めた事によって生じた唯一の勝機、それを共に掴みとるぞとどこまでも雄々しく英雄は宣言した。
騎神、それは内部で無限に自己相剋を繰り返す鋼の至宝の力の受け皿となるべく用意された七体の騎士人形。
その担い手たる起動者の意志に応じて力の根源たる鋼の至宝より力を引き出して進化する巨いなる騎士だ。
しかし、鋼の至宝より引き出せる力は騎神毎に上限が定められている。
無論、これはかつてのように力を引き出し過ぎた事による暴走を防ぐために地精と魔女の眷属が施した処置だ。
だが、リィン・オズボーンは既にそれを一度超越している。
クロスベルの地に於いてクロウ・アームブラストと共に。
それは本来ならば起こり得なかったロジックエラー、リィンとクロウの強靭な意志と絆が成し遂げた奇跡だ。
ならばこそ、ヴァリマールがただの機械から確固たる意志を持った存在となった今ならば可能なはずなのだ。
リィン・オズボーンの有する鬼気とヴァリマールの持つ霊力、それらをぶつけ合わせ、高め合う事で以てリミットを取り払い、鋼の至宝よりその膨大な力を引きだす事が。
そして鋼の至宝の有する能力で以て今地へと伏しているリィン・オズボーンの肉体をその魂に見合った一つ上のステージへと作り変えるという事も。
ーーー何せ一度死んだはずの者が蘇りを果たしたというこの上ない事例が今リィンの目の前にはこの上ない実例として存在するのだから。
「だが、しかしそんな事をすれば汝の魂はーーー」
だが、それはまさしく
不死者になるというのは本来であればその資格を持った強靭な魂を持つ者が数か月に及ぶ記憶の旅路を通してゆっくりと己が肉体を再構築していくものだ。
それを
肉体、それ自体は至宝の力で再構築出来たとしても魂、それ自体が砕け散ってしまえばもはやどうしようもない。
生きる屍がその場に生まれる事となるだろう。
「ヴァリマール、誰に向かって物を言っている」
しかし、そんな狂気の沙汰を行わんとする英雄の瞳に宿るのは溢れんばかりの覇気。
発せられる鋭い眼光は理性を持たぬ狂人のそれではなく、確固たる決意を以てあらゆる道理をなぎ倒して進まんとする益荒男のそれだ。
「俺はリィン・オズボーン、お前と共に武神を超え、黒を打倒する男。
英雄帝も獅子心皇帝もなし得なかった事を為さんとしている大馬鹿者だ。
その程度の事が為せずして、偉大なる先人を超える等とどうしてほざく事が出来る」
そうだ、前提を間違えていた。
数百年の歳月の差があるから自分一人では聖女を超える事は決して出来ない?
なんと女々しく惰弱な言葉だっただろうか。
最初から超えようという気概を持たぬ者がどうしてそれを超える事が出来る。
仲間の力を借りる事に躊躇いはない、他力に頼る事が重要な局面とて有るだろう。
だがしかし、それは己が力を最大限引き出し全力を尽くしてからの話だ。
それは不遜なる愚者の愚考にして愚挙だとの誹りを受けるかもしれない。
結構、言わせたいものには言わせておこう。
そんなもので止まる程にリィン・オズボーンの愚かさは甘くはないのだから。
行く先に何があろうとも全速力を以て突き進み、道理という壁を粉砕し、跡に続く者が居る事を信じて道を切り開くまでだ。
「故に加減は不要だヴァリマール、我が騎神、我が朋友、同じ未来を夢見る同志よ。
「-----うむ」
轟く宣言に感動を覚えながらヴァリマールは頷く。
ああ、そうだ。この男は何時だってそうだった。
強固な意志と不断の努力で以て諦めなど知らぬかのように突き進み、不可能を可能にする超ド級の
そんな男に対して自分がするべきは気遣いなどではなかったとヴァリマールは笑みを溢す。
「止めなさいリィン!貴方がそんな無茶をする必要はない!後の事は私に任せれば良い、そう言っているでしょう!
あなたには帰りを待つ人が、英雄ではない貴方をこそ大切に思う人が無数にいる、何故それがわからないのですか!!!」
血相を変えた様子でアリアンロードーーー否、リアンヌ・サンドロットがその手を伸ばし静止せんとする。
しかし大馬鹿義息子とそんな大馬鹿に感化されてしまった馬鹿はそんな義母の切なる祈りなどでは止まらない。
何故ならば彼はわからないのではない、わかった上でこの上なく理解し大切に思ったうえで突き進むと決めているのだから。
国を、民を、そこに住まう愛する人を。誰かの為に己が魂と命を燃やす存在ーーーそんな大馬鹿者をこそ人は英雄と呼ぶのだから。
「往くぞリィンよ!」
「来い!ヴァリマール!」
宣言と共にヴァリマールからその膨大な霊力が、リィンより鬼気が迸る。
「「鬼騎合一!」」
霊力と鬼気、その二つが相乗効果で高め合い、鋼の至宝への道を開き、その膨大な力がリィン・オズボーンへと降り注ぐ。
圧倒的なる力の奔流、魂そのものがバラバラに引き裂かれそうになる激痛、リィン・オズボーンを奈落へと突き落とさんとする今もの至宝の内部で轟く呪い。
そんな最中でリィンがその脳裏に描くのは自分が護りたいと願う大切な人の笑顔。
それによってまずは己が意識を保つ。
そうしていると今度は声が聞こえてくる。
それは今この瞬間も自分を心配している魂で結ばれた己が兄妹達の声だ。
ーーーリィンさん、これが終わったら貴方には言いたい事が山ほど終わります。だから、必ず戻ってきてください!
---本当にいっつもいっつも無茶苦茶しやがってこの大馬鹿野郎が。このまま死んだらバカやって案の定死んだド級の馬鹿として語り継いでやるからな。それが嫌なら絶対に生きて帰ってこいよ!
---リィン!絶対に死なないでね!僕ヤダよ、僕を助けに来たせいでリィンが死んじゃったりしたらトワやアーちゃんに一生会わせる顔が無くなっちゃうんだから!
次々に届いてくるのはそんな今この瞬間も自分の帰還を願う兄妹たちの声。
そして最後に届いてきたのは。
---リィンさん、信じています。リィン・オズボーンは道理を踏破し、不可能を可能にする英雄だと。それが私の自慢のお義父さんなんだって。
愛する義娘の声、それを聞いた事で完全にリィン・オズボーンの魂は覚醒を遂げる。
決して力に呑まれるな、己を強く保て、力は所詮どこまで行っても力。
それが総てを破壊する者になるか、それとも誰かを守護する者となるかを担い手によって決まるのだから。
故にさあ今こそ、新生を果たす時だ。
貫くために、守るために。
偉大なる先人を超えるためにも。
膨大な力の奔流、そこから目当てのものを引きずり出す。
「炎鬼覚醒!」
さあ未来を切り開くべく疾走しよう。
雄たけびと共にその場に新生を果たしたのは燃え盛る焔のような赤き髪となった偉丈夫の姿。
その瞳には見つめるのが恐ろしくなるような覇気が宿り、その身を覆うのは膨大なる熱量の焔。
「往くぞアリアンロード。
“勝利”をこの手に掴みとるまで!」
それはまさしく焔の化身。
敵対者は焼き尽くし、守るべきものを暖かく照らす炎のような益荒男。
焔の英雄リィン・オズボーンが此処に新生を果たした。
Q;リィン教官には足手纏い扱いされたけど、クロウ教官のフォローのおかげで同行出来ることになったし、頑張って成長の証を見せるぞと思っていたらなんか次元の違う攻防を見せられた挙句、当の本人はなんか人類を超越しだした姿を見せられた新Ⅶ組の面々の心境についてそれぞれの性格、リィンへの心情に基づいて類推して答えなさい(配点:各5点)