シルヴァリオ ヴェンデッタの主人公系ボスのヴァルゼライド総統。
進撃の巨人のラスボス系主人公エレンさんの影響を大分受けています。
鉄血の子筆頭のガチガチの軍人にして主題歌で言われている怒りの刃を鬼にして戦い続け、走り続け目前に立ちふさがる物を超えて進み続けたその軌跡が答えになる系英雄主人公を考え、作者が自分の好みに素直になった結果そうなりました。
「あ、あり得ません……あり得ませんわ!一体何なのですか彼は!?」
デュバリィの叫びはその場に居る者達の代弁であっただろう。
目前の光景にその場に居た者達はもはや唖然とする他ない。
強き意志によって奇跡を為す、ああそれは物語に於いては定番の展開だろう。
どのような強大な存在を前に決して砕けず、朽ちず、諦めず、最期には奇跡を起こして“勝利”を掴みとって見せる主人公。
辛いとき、苦しいとき、どこからともなく駆け付け邪悪を砕く無敵のヒーロー。
そんな存在に、誰しもきっと一度は憧れる。
だけどやがて気づくのだ、そんな存在などこの世界には居ないと。
決して諦めない、言葉にするだけならば容易いだろう。
しかし決意という名の刃は容易く錆びつき、摩耗し、やがては折れる。
それが“現実”というものだ。
だというのに今、そんな御伽噺を現実に具現させている存在が目の前に居る。
何故ならそれはーーーそれは彼女がかつてすべてに絶望しかけた時に見た輝きと
あの日仰ぎ憧れ、その背を追い続けると誓った至高の輝き。
それを為し得ているのが自分よりも年下の青年という事実にデュバリィは戦慄が隠せなかった。
無論、意志の力だけで起こせる程に奇跡というのは安くはない。
しかし、かつて女神が人に余りにも早くに授けた七至宝、これの存在がその強き意志に呼応して不可能を可能にする。
全ての人間を愛する女神だが、その愛は決して全てに対して平等というわけではない。
無論女神はどのような悪人であれど決して見捨てるような事はしない、いつか必ずその罪を悔い、自らを改めてくれると信じ見守り続けている。
されどそんな女神とてある種の贔屓を行う事とてある。
そしてそんな女神よりの寵愛を受け、この世に於いて為すべき使命と加護を授かり、本来女神にしかなし得ないはずの奇跡を人の身でなし得る存在を教会はこう呼んでいるーーー曰く、“聖人"と。
「「「「「-----------」」」」」
故にさあ刮目して見よ、未だ巣立ちを迎える前の雛たちよ。
これより男が紡ぐ
彼こそが先人たちの伝説を継ぎ、超えて運命へと挑まんとする者。
女神より寵愛を受けたーーーいいや、その強き意志によって女神さえも魅了した英傑。
その焔によって
今こそ男は挑む、250年にも及ぶ修練の末に武神の境地にまで達した偉大なる先人へと。
この時代の主役は今を生きる自分達なのだと示すために。
「炎華一閃」
纏う焔を放ち、爆発的な加速を以てアリアンロードとの間合いを一挙に詰める。
そしてそのまま放たれるは双剣による高速の弐連撃。
業火が集束されたアリアンロードの纏う闘気の鎧を十二分に突破するだけの威力が込められている必滅の刃だ。
並の敵ーーー否、理に至った達人であろうと先ほどとはもはや別人と言える落差による動揺も手伝って相応の手傷を負う事となっただろう。
しかし焔の英雄が挑むは武神。
動揺していたのは一瞬にすら満たぬわずかな時間、即座に臨戦態勢へと移り、初撃を躱し、弐撃目も槍を側面から叩きこみ捌く。
そしてそのままがら空きとなった胸へと神速の一閃を放つ。
「瞬火転身」
回避不能なはずの一撃、それをリィンはまたもやその身に纏う焔を爆発させることによって人体の構造上本来であれば不可能な機動を以て躱す。
当然そんな真似をして無傷で居られるはずがない、無茶苦茶かつ強引な機動をした反動で骨はひび割れ血管がいくつか破裂し、筋繊維が断裂するがーーー
何故ならば今のリィンは己が愛機たるヴァリマールを通して鋼の至宝と深く繋がった状態にある。
その程度の傷ならば立ち所に修復される。
故にさあ立ち止まるな。
進み挑み超えろ。
相手は自分よりもはるかに鍛錬を重ねたから勝てる道理がないというのならば、そんな道理をこそ粉砕しろ。
自分が討たんとしているのは因果さえも操る神なのだから、道理の一つや二つ踏破できずして一体どうしてそれを討つ等と吠えることが出来る。
相手に敬意を払う事と単騎では敵わないと弱気になる事は断じて違う。
心を燃やせ。
今、この場で伝説を超えるのだ。
「炎華乱舞」
放たれるのは双剣を利用した乱撃。
躱したはずの一撃がまたもや焔を利用する事であり得ない機動を以てアリアンロードの身を掠めていく。
当然のように反動でリィンの腕の骨が鈍い音を立ててへし折れるがーーー全く以て問題なし。
ただただリィン・オズボーンを眼前の敵手を超える為のみに鈍い音を立てて崩壊していく自らの肉体の事など欠片も斟酌せずに双剣を振るうと共に、瞬火転身と炎華乱舞を行い続ける。
何故ならばそんな程度の傷はすぐさま治り、戦闘の続行には一切の支障がないのだから。ならばただ痛みを堪えるだけの事。リスクなどないに等しい。
それはまさしく眼前の敵を焼き尽くすまで消える事の無い荒々しき焔のような舞い。
正気の沙汰とは思えない、狂気に満ちた剣舞だ。
だがそれが何だというのか、彼我の間に存在する200年にも及ぶ経験の差、それをこの場で埋めて超えよう等という事を
正気にて大業ならず。その魂を燃やして獅子はその光の翼を広げて、武神という恒星へと目掛けて飛翔を行う。
「シュトルム・シュラーク!」
そんな猛々しき焔をアリアンロードは真っ向から迎え撃つ。
疾風の如き機動から繰り出されるのは雷光の如き突きの乱舞。
力と力、技と技がぶつかり合う。
研鑽と異能、対照的な手段を以て理の先に至った武神と英雄が激突を続ける。
拮抗しているように見えて依然押しているのは変わらず武神の側だ。
英雄の放つ乱撃は惜しい物こそいくつかあるものの未だ一太刀たりともその身に届いていない。
それに対して武神放つ突きのラッシュはいくつかが英雄の身を掠め、その肉を抉り取っている。
未だ英雄は武神に及んでいない。
それこそが厳然たる事実。
たかだか至宝によって得た上げ底の力で追いつける程にアリアンロードの重ねた研鑽は甘くはないのだ。
「オオオオオオオオオオオオオオオオオ」
しかし、そんな現実を前にしても英雄は一切怯まない。諦めない。
太陽へと近づく事で溶け落ちて往く我が身の事などまるで顧みずに飛翔を続ける。
力だけで目前の武神に追いつけぬ事など百も承知。
ならばこそ為すべき事はただ一つ、手にした力に比して未熟なその技を
---それ以外に活路がない以上是非もなし。
出来るはずがない等という弱音を捨てろ。
必要なのはそれを成し遂げんとする覚悟だ。
進め進め進め進め進め進め進め進めーーー進め!
挑め挑め挑め挑め挑め挑め挑め挑めーーー挑め!
超えろ超えろ超えろ超えろ超えろ超えろーーー超えろ!
学べ学べ学べ学べ学べ学べ学べ学べーーー学べ!
そう重ねた研鑽という点に於いて自分は目前の武神にはるかに劣っている。
それは即ち、目の前の武神に比べれば未だ自分の動きには改善の余地がある事に他ならない。
自分にはまだ鍛える余地があるという事なのだ。
ならばこそ今この瞬間こそそれを為す絶好の機会。
終の型煉獄はこれまで自分が教わり磨き続けた技と至宝の恩恵によって得た異能とを組み合わせて今この場で至ったばかりの型なのだから。
その動きは未だ荒々しく洗練されたものからは程遠い。
故にこそ高みへ向かって飛び続けろ。
勝利をこの手に掴みとる為に。
武神とは異なる自分だけにしか至れぬ境地を目指すのだ。
「ヒッ」
浮かび上がるのは鬼気迫るーーーいいや、鬼そのものの形相。
己が教官の浮かべたそれを前にミュゼ・イーグレットは小さな悲鳴を挙げる。
無理もない、元来彼女は上に立つ者としての才覚と責任感をこそ有していたものの武人でも戦士でもない。
ほんの数年前までは蝶よ花よと生きてきた貴族令嬢なのだから。
歴戦の兵士でさえも恐怖を覚えざるを得ないそれを前にして平静で居られるはずがない。
彼女だけではない、その光景を前にして畏れを抱かざるを得ない。
人を超越せんとしたその姿を前に。
(目を背けるな、全身全霊を以てあの人から学びとれ!)
しかし、その猛々しい焔を前に抱く感情は決して畏れだけではない。
その焔は確かに怖ろしい、あらゆる邪悪を焼き尽くさんとする浄化の焔を前に心が悲鳴を挙げている事が確かにわかる。
だけど同時にその焔は
それはきっとリィン・オズボーンという男の魂が放つ輝きそのものだから。
例え導く先が地獄だったとしても追いかけ、その行きつく先を見てみたいと思うほどに。
ならばこそクルト・ヴァンダールはそこから決して目を背けない。
兄弟子こそが“
追いつけるかどうかはわからない、だけどきっとその
クルト・ヴァンダールは兄弟子の雄姿を見続け、必死に学び取る。
クルトだけではない。ユウナもアッシュもそれぞれ抱いている気持ちは異なれど必死に何かを掴みとろうと死闘を見続ける。
---アルティナに至ってはそもそも敬愛する英雄の雄姿から目を逸らす等という発想自体が存在しない。
「………ギリッ」
だがセドリック・ライゼ・アルノールはその光景から目を逸らしてしまった。
血がしたたり落ちる程に己が手を強く握りしめて。
自分では生涯決して届く事の無いその輝きを見続けてしまえば、自分はきっと自分を抑えきれなくなると思ったが故に。
そして英雄が放ち続けるその輝きに目を奪われた者達はそんなセドリックの様子に気づけない。
余りにもその焔が眩しく輝やいているが故に、その作り出した暗い影に気づく事が出来なかったのだ。
「…………」
ただ一人、セドリックとは異なる理由でその焔から目を逸らしてしまった少女を除いては。
・・・
「獅子の子はやはり獅子である……というわけですか」
今この瞬間にも冴え渡っていく剣技、鬼の形相と化したリィンを前にしてアリアンロードは感慨深げに苦笑を零す。
ああ、本当に全く以て懐かしい。
この無茶を通して道理を蹴飛ばす失敗すれば単なる愚者として後世から誹られるであろう大馬鹿者はまさしく自分が騎士として忠誠を捧げ、女として愛した男に瓜二つだ。
(いえ、流石にこれは彼に失礼ですか。彼はもう少しだけ自重というものを知っていた気がします)
そうは言ってもドライケルス・ライゼ・アルノールは歴とした皇子であった。
どうにもその自覚がある種薄いところはあったが、それでも一応その立場をわきまえた行動をとっていたように思えるーーーあくまで目前の青年と比較すればだが。
「良いでしょうーーーならば我が200年、超えられるものならば超えて見せなさいリィン!」
万を超える攻防の末、両者を自然と距離を取り決着をつけるべくその闘気を高めてゆく。
「聖技グランドクロス!」
武神が放つはまさしく神域の一撃。
それは古に於いて神罰として恐れられた雷霆を彷彿とさせる秘技。
それに挑む事などもはや無茶無謀の域ではない。
天災に真っ向から挑みなどすればそれに呑み込まれ散るのが定めなのだから。
「破邪顕正・神焔の型
その身に纏う焔、その総てを双剣へと集束させ英雄は迫りくる神威へと挑みかかる。
神罰が一体なんだというのか、これから自分が為そうとしているのは
ならばそれに臆して一体何とするとどこまでも雄々しく突き進む。
戦場となる霊窟のみならずブリオニア島そのものをさえも揺さぶり破壊するかのような轟音と衝撃が響き、閃光が迸る。
「オオオオオオオオオオオオオオオオオ」
そしてそんな猛威を切り裂いたのは万象を焼き尽くす神威の焔。
満身創痍となりながらもついに英雄は神威の一撃を乗り越えた。
「---ええ、
アリアンロードにリィンに対する害意は存在しない。
むしろ今回の彼女の行動は全てリィンを守りたいと思いから始まった行動だ。
当然リィンを殺す気など欠片も有りはしない。
だが、それにも関わらずアリアンロードは
直撃を喰らえば機甲兵や戦車でさえも跡形も残らない一撃を。
それは全てリィン・オズボーンの力量を信じたが故の行動だ。
そしてリィンはそんなアリアンロードの
「神槍グングニル」
満身創痍のリィンに向けて放たれたのは因果を超える必中の一撃。
かの黄金の羅刹をして為すすべなく沈む事になった武人としてではない起動者としてアリアンロードが編み出したもう一つの切り札だ。
黒の騎神は因果律にまで干渉する。
だがそれは決して黒の固有能力というわけではない。
総ての騎神が繋がっている鋼の至宝ーーーその中に存在する焔の至宝の能力だ。
黒がその力を思うがままに振るっているのは結局のところそれだけ黒が強力な騎神でより深く鋼の至宝と繋がっているに過ぎない。
ならばそう黒のように大規模に世界に干渉する事は不可能でも、戦闘のような極限定的な状況に於いてのみならばその力を振るう事を起動者たる自分ならば不可能ではないとアリアンロードは気がついたのだ。
そしてそれを為し得るのはアリアンロードの強き意志と愛機アルグレオンとの間に結ばれた強き絆に他ならない。
不死者たるアリアンロードはアルグレオンから流れる霊力によって現世にその身を留めている身。
である以上リィンのやったように起動者と騎神との間で相剋を果たす事で至宝への道を開くやり方を真似る事は不可能。
しかし同様に自分のーーー否、自分とアルグレオンが編み出したこの神技を今この瞬間に生み出す事も彼らでは不可能だ。
何故ならばそれは自分と相棒の250年の歩みの結実たる絆の一撃なのだから。
超えられない決して、これだけは。
「オオオオオオオオオオオオオオオオオ」
そんな不可能を前にしても当然リィン・オズボーンは諦めなどしない。
だがしかし、
既にリィンはアリアンロードと渡り合うために開いた至宝への道、そこから限界を超えた力を引き出している。
この上更に因果にまで干渉する力を引き出そうとするには流石に未だ
如何に女神の寵愛を受けていると勇者はいえ、その
故にそう英雄伝説は此処に終わる、後少しのところにまでは至った。
それでも伝説の積み重ねた250年には届かなかったのだ。
---そう、リィン・オズボーンがたった一人で突き進む孤高の道を歩んでいたならば。
「これはーーー」
瞬間、灰のーーー否、焔の眷属たる獅子の騎士達の身体が輝きを放ち出す。
彼らの中に宿る思いはただ一つ今も限界を超え続けている英雄の力になりたいーーーそれだけだ。
想いだけでは奇跡を起こすことは出来ない。
されど獅子の騎士たる彼らは皆各々因果に干渉する異能を有していた。
クレア・リーヴェルトはそれを統合的共感覚という形で。
レクター・アランドールは超直感という形で。
更にOZシリーズたるミリアム・オライオンとアルティナ・オライオンはそもそもがこの世の理を超越するために生まれた素体だ。
そして灰の騎神ヴァリマールの持つ能力、それは起動者の力によって眷属を強化するのみならず、その眷属の持つ力を起動者へとフィードバックする事。
迷いを振り切りただ大切な存在の力になりたいと願う兄妹たちの想い、それがリィン・オズボーンの強固な意志に束ねられ、因果律をも超える。
「馬鹿、な………」
その光景を前にアリアンロードは真実驚愕する。
忌々しき怨敵を討ち滅ぼす為に
側面から弾かれたものの、それは本来であればリィンを貫くはずだった必中の一撃。
絶対の自信を抱いていた一撃を防がれたアリアンロードの意識に空白が生まれる。
それは一瞬と呼ぶことすら出来ないわずかな時間、戦闘開始時であれば英雄であっても付け込む事は出来なかったはずの隙と呼ぶことすらおこがましい時間。されどこの戦いで進化を果たした今の英雄に対しては致命的過ぎる隙であった。
「アリアンロード、
振り下ろされた一撃、それがアリアンロードのその甲冑に覆われた肉体を斬り裂き、此処に死闘の幕が下りるのだった。
クロウ君の超ファインプレー!
あそこで生徒(ひいてはそれの護衛を務める予定だったクレアとレクター)も連れていく判断しなかったら負けていたぞ!
よくやったなクロウ!というわけでほらとっとと起きろ。
お前が寝ている間にまたお前の親友ロケットブースターで彼方に吹っ飛んでいったぞ。
お前も頑張って追いつけよ!!!