タッグフォース 未来の英雄を継ぐ赤帽子   作:TOUI

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第三十八話 未来の共鳴

 

 

 

 

 

side幸子

 

「全く、なぜわたくしがこんなところに……」

コナミが去った後、各々寮に帰ったのですが、わたくしだけはアカデミアの森の中に引き返してきました。

「随分と不機嫌な様子ですね」

「!?」

突然声を掛けられ思わず振り向いた。そこにいたのは、あの怪しい教諭、青海鱗子でした。

「こちらから言っておいてなんですが、来てくれるとは思っていませんでした」

わたくしがここに来た理由、それは今朝の会話のとき、この時間にここに来るよう頼まれていたから。来なくてもいいが、来る場合は誰にも言わず1人で来るようにと妙な条件を付けて。

「わたくしもつい先ほどまでは会う気はありませんでした。ですが先ほど、気の変わることがあったので」

「するともう、魔希子は彼とお会いしましたか?」

「……やはりあなたも!?」

「ええ、私も未来人ですよ、彼女たちと同じ」

「彼女“達”?」

あの神導と言う少女のほかにも仲間がいると言うの?

「おや、魔希子はそこまでは話していませんでしたか。まあいいでしょう。すぐにわかることですから」

「あなた達、何人仲間がいるの?」

「ここに来ているのは3人ですよ」

「……それで、わたくしを呼んだのは、仲間がコナミとあったか確認したかったからですの?」

「いえ、それだけならば魔希子本人に聞きますよ。本命は別です」

「ではいったい何の目的で?」

「私とデュエルしてはいただけないでしょうか」

「!?あなたと、デュエルですって!」

「ええ、もちろんただでとは言いません。私とデュエルしていただけたら、このデッキを貴方に差し上げます」

「デュエルをすればデッキを渡す、ですって?」

「ええ、勝敗にかかわらずデュエルさえしていただければこのデッキを差し上げますよ」

勝敗にかかわらず……何か怪しいですわね。

「怪しいものなどではありませんよ。これはかつて私が使用していたデッキです」

「あなたが使っていたデッキ?」

「ええ、この時代に来る際に、別のデッキを手にしたので、そちらのデッキはもう必要ないのです」

「……なぜわたくしにそれを?」

「彼の周りにいる者の中で、このデッキと最も相性がよさそうなのがあなたでしたから」

「彼とはコナミのこと?」

「ええ。それでどういたしましょうか?」

「……いいでしょう。あなたを倒してエクシーズモンスターとやらを使いこなすのも面白いですわね」

わたくしはデュエルディスクを構えて答えた。

「では、さっそく手合せ願います」

 

「「デュエル!」」

 

 

sideコナミ

 

「どうぞ。殺風景なところですが」

案内されたのは神導の部屋だった。

「ああ。だが女子寮にこんな抜け道があったとは、他の男子が知ったらとんでもないことになるな」

「ご心配ありません、そうそう簡単には見つからない様にしていますので、あなたが話さない限り見つかりませんよ」

「そうか……ならいくらで売ろうかこの情報」

「今すぐ塞ぐこともできますよ。今塞いだらあなたはどうやって帰るのでしょうか?」

「……冗談に決まってるだろ」

「本当でしょうか?……どうやら来たようですね」

神導がそう言った直後に扉が開き、1人の少女と恵が入ってきた。

「おう、今朝方ぶりだな恵」

「うん……今朝方ぶり」

「で、そっちの子が神導の仲間?」

「はい、まいちゃんは善羽麻衣って言います。まいと呼んでくれて構いませんよ」

「そうか。知ってると思うが俺はコナミだ。一応よろしく」

麻衣と名乗る少女と軽い挨拶をした。個人的な彼女の第一印象は裏では計算高そうな人と言ったところか。笑顔がどうも疑わしい。

「さて、全員が揃ったところで早速本題に入りたいのですが……」

「ああ、構わないぞ」

「それでは……」

そう言って少し間が開いた。妙な空気の俺も息を呑んだ。やがて神導が決心したようにこう言った。

 

 

 

「コナミさん、あなたのいた未来を断ち切って、私たちに協力してはくれませんか!?」

 

 

「……は?」

突然の提案に、意味が理解できなかった。

「……話が……飛躍しすぎ」

「そうでした。恵さんにはまだ何も話していませんでしたね」

「ある程度聞いていた俺でも今のは飛躍しすぎだ」

「確かにそうでしたね。それでは順を追って説明させていただきます」

そう言って神導は一呼吸置いた。

「まずコナミさんには先ほどもお話ししましたが、私達は未来から来た人間なのです」

「未来から……コナミも、なの?」

「ああ。ただしこの2人と俺は、この時代とは繋がっているが別の進化を遂げた未来から来ているんだ」

「別の未来……」

「はい、シンクロ召喚とエクシーズ召喚という別々の進化を遂げた2つの未来があったのですよ」

「ここまで言えばあなたをここに呼んだ理由もお分かりいただけましたか、レイン恵さん」

「ええ……シンクロ召喚を使う以上、私も……コナミと同じ未来から来た可能性がある……ということ」

「はいそう言うことだと、まいちゃん達は考えていたのですが」

俺はそうは思わないがな。そもそもあの未来では……

「私達の未来はすでに滅びの道を辿っているとお話しましたよね」

「ああ、障りだけだがな。だが辿っているということは、そっちの未来はまだ完全に滅んでいないと?」

「はい。ただほとんどの人が気力を失っており、私たちの様に動いている者はほんの数名です」

気力を失った人々……俺の時代のモーメントが爆発する前に近いな。つまり俺の居た時代よりも早く過去に行く手段を手にしたということか。

「その聞き方ですとあなたの未来はもう……」

「ああ、人類は滅んでいる」

「コナミが……最後の生き残りなの?」

「いや、俺以外にも4人いたらしいよ」

「「らしい?」」

「ああ、俺が向こうの存在に気づいたときはもう3人が老衰で死んでた。最も残った1人とも俺は行動していなかったが」

「あなたは個人で動いていたのですね」

「でも他の人が老衰で死ぬほど生きてるなんて……コナミさんって、帽子で素顔が見えないけれど、実は結構お歳なんですか?」

「何を言う、俺はまだ19だよ、ギリギリ青春の10代だよ」

だって人間の年齢って生命活動をしていた期間だけカウントするんだろ?だったら俺は19年しか活動してないから19でいいんだよな……

「高校2年よりは上なんですね」

「お前たちだって本当に高1の年齢か怪しいものだがな」

「うっ、確かにまいちゃん達も1つだけ偽っていますけど……」

「17か」

「15です!」

ああ上に偽ってたのか。まあ俺は第1話の伏線をようやく回収できて満足だ。

「つまり貴方は個人でここまでの事をしているのですか?」

「ここまでの事って?」

「アカデミア全体に張られている電波の事です!」

「ああ、気づいていたのか」

「私たちはこの時代でエクシーズ召喚を行い、それでいて下手に世間に広まらないよう特殊な電波をアカデミア全体にかけました」

「特殊な……電波?」

「はい。1つこの時代にはデュエルディスクにデータの無いエクシーズモンスターを使うための機械の情報操作の電波です」

そう、この時代でディスクにシンクロやエクシーズと言ったモンスターを出しても読み込まない。データがないのだから当然だ。だからこそそのデータの入った電波でこの島を囲うことにより未来のカードを使用可能としているのだ。

「そしてもう1つはこの島を出た瞬間にエクシーズモンスターの存在を抹消する記憶操作の電波です」

そしてこの時代でシンクロやエクシーズと言ったものが広まると、大きく未来も変わってくるだろう。ろくでもない方向に。だからこそこのカードの情報は島の外に万栄させるわけにはいかない。

「私達がこの時代に来たあと、以上の電波を島に張ろうとしたときに判明しましたが、この島はすでに今言ったもののシンクロ版が張られていたのです」

「ああ、それ張ったのは確かに俺だよ」

「個人でここまでの物が作れるとは……あなたいったい?」

まあ俺が張ったのは弱いから1週間くらいのうちに再び島に戻ると記憶は戻っちゃうけどな。

「もう俺の未来の話はいいだろ」

「……そうですね。では私達の話に戻りましょう」

掛けていたメガネをくいっと上げて神導が仕切りなおした。

「私達は未来を救おうと動いている少数の者の集い、通称未来機関に所属しております」

未来機関……何かコトダマで裁判でもやりそうな組織だな。

「私達はその組織の上官1人と共にこの時代に来ました」

「つまり今この時代に来ているのは2人を含め3人と言うことか」

最もその3人目が誰かも見当はついているが……

「で、もう1人と言うのは誰だ?」

「気づいているとは思いますが、教員の青海鱗子さんです」

やはりそうか。

「鱗子お姉ちゃんはまいちゃん達にデュエルを教えてくれた師匠でもあるのですよ」

「そして未来を救おうともっとも貢献している、私たちのもっとも尊敬する方です」

なるほど、2人にとって彼女はただの上官ではないのか。

「また少し話がそれましたね。未来を救う方法……そもそもなぜ2つの未来が滅びたかと言いますと」

また少し呼吸を置いてから神導が続けた。

「結論から言うと、人類が2つもの可能性を手にすることなど無理があったのです。それなのに未来を2つに分け強引に2つの可能性に手を染めた結果、2つの未来は共鳴し合い、その衝撃に耐えきれず2つの未来は滅びだしたのです」

「……」

「だからこそ、まいちゃん達は片方の未来を断ち切るために、可能性が分岐する前のこの時代に来たのです。可能性が分岐しないよう導くために」

「……」

彼女たちの見解は間違っている。彼女たちの未来がどう滅んでいるかは知らないが、俺の未来はモーメントの暴走によるもの。別の未来の共鳴など感じなかった。

「それは誰が言っているんだ?」

「可能性を示唆したのは鱗子さんです」

「だからこそ鱗子お姉ちゃんはこの任務の大役に選ばれたのですよ」

発言者は彼女達が信用しきっている者か。だとするとこの考えを正すのは少し難しいな……

「私達の話はこれで全てです。では、最初の質問の答えを聞かせてはいただけないでしょうか?」

「……」

「あなたの未来を断ち切って、私達の未来を救ってはくれませんか」

 

 

 

side幸子

 

 1ターン目:幸子

 

「まずはわたくしのターン、フィールド魔法《伝説の都 アトランティス》を発動!」

 

伝説の都 アトランティス

フィールド魔法

このカードのカード名は「海」として扱う。

このカードがフィールド上に存在する限り、

フィールド上の水属性モンスターの攻撃力・守備力は200ポイントアップする。

また、お互いの手札・フィールド上の水属性モンスターのレベルは1つ下がる。

 

「フィールド魔法、ですか」

「ええ、このフィールドがわたくしの聖地ですわ。この効果でレベル4となった《機海竜プレシオン》を召喚」

 

機海竜プレシオン

効果モンスター

星5/水属性/機械族/攻2300/守1800

自分フィールド上に海竜族モンスターが存在する場合、

このカードはリリースなしで召喚できる。

1ターンに1度、自分フィールド上の水属性モンスター1体をリリースする事で、

相手フィールド上に表側表示で存在するカード1枚を選択して破壊する。

 

《機海竜プレシオン》 ATK2300→2500

「先攻のプレイヤーは攻撃できません。これでターン終了」

 

幸子

LP4000

手札 4

モンスター 機海竜プレシオン(攻)

魔法・罠 伝説の都 アトランティス

 

 2ターン目:鱗子

 

「私のターンです。貴方の聖地、なかなかの効果ですが、1つ弱点がありますね」

「弱点、ですって?」

「ええ。私はフィールド魔法《伝説の都 アトランティス》の効果でレベル4となった《神竜アクアバザル》を召喚」

 

神竜アクアバザル

効果モンスター

星5/水属性/海竜族/攻2100/守1500

このカード以外の自分フィールド上に表側表示で存在する

水属性モンスター1体をリリースし、自分の墓地に存在する

永続魔法またはフィールド魔法カード1枚を選択して発動する。

選択したカードを自分の墓地からデッキの一番上に戻す。

この効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

《神竜アクアバザル》 ATK2100→2300

「わたくしのフィールド魔法の効果で生贄を軽減ですって!」

「続いて装備魔法《幸運の鉄斧》を《神竜アクアバザル》に装備させます」

 

幸運の鉄斧

装備魔法

装備モンスターの攻撃力は500アップする。

フィールドに表側表示で存在するこのカードが

相手の効果で破壊され墓地へ送られた場合に発動する。

自分はデッキから1枚ドローする。

 

《神竜アクアバザル》 ATK2300→2800

「攻撃力もわたくしのモンスターを上回りましたのね……」

「戦闘です。《神竜アクアバザル》で《機海竜プレシオン》を攻撃」

「くぅ!……この程度で!」

幸子LP4000→3700

「カードを1枚伏せ、ターンを終了します」

 

鱗子

LP4000

手札 3

モンスター 神竜アクアバザル(攻)

魔法・罠 幸運の鉄斧

     セット×1

 

 3ターン目:幸子

 

「わたくしのターン!永続魔法《ウォーターハザード》を発動しますわ」

 

ウォーターハザード

永続魔法

自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、

手札からレベル4以下の水属性モンスター1体を特殊召喚できる。

この効果は1ターンに1度しか使用できない。

 

「このカードの効果で《ロスト・ブルー・ブレイカー》を特殊召喚」

 

ロスト・ブルー・ブレイカー

効果モンスター

星3/水属性/海竜族/攻1400/守 0

フィールド上にこのカード以外の

魚族・海竜族・水族モンスターが存在する場合に

このカードをリリースして発動できる。

フィールド上の魔法・罠カード1枚を選択して破壊する。

 

「あなたのフィールドに海竜族がいることで《ロスト・ブルー・ブレイカー》を生贄に捧げ効果発動。《幸運の鉄斧》を破壊しますわ」

《神竜アクアバザル》 ATK2800→2300

「ですがこの瞬間《幸運の鉄斧》の効果が発動いたします。相手によってこのカードが破壊されたとき、カードを1枚ドローします」

「さらにレベルの下がった《ジェノサイドキングサーモン》を召喚しますわ」

 

ジェノサイドキングサーモン

通常モンスター

星5/水属性/魚族/攻2400/守1000

 

《ジェノサイドキングサーモン》 ATK2400→2600

「バトル、すなわち戦闘!《ジェノサイドキングサーモン》で《神竜アクアバザル》を攻撃!」

「永続罠《闇の呪縛》を発動します」

 

闇の呪縛

永続罠

相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象としてこのカードを発動できる。

そのモンスターの攻撃力は700ダウンし、

攻撃できず、表示形式の変更もできない。

そのモンスターがフィールドから離れた時にこのカードは破壊される。

 

「これで《ジェノサイドキングサーモン》は攻撃ができず、攻撃力が700下がります」

《ジェノサイドキングサーモン》 ATK2600→1900

「ぐぬぬ!これでターン終了よ!」

 

幸子

LP3700

手札 2

モンスター ジェノサイドキングサーモン(攻)

魔法・罠 伝説の都 アトランティス

     ウォーターハザード

 

 4ターン目:鱗子

 

「私のターンです。魔法カード《おろかな埋葬》を発動いたします」

 

おろかな埋葬

通常魔法(制限カード)

デッキからモンスター1体を墓地へ送る。

 

「デッキの《神竜-エクセリオン》を墓地へ送ります。そして《神竜アクアバザル》をリリースし、《神竜-エクセリオン》を召喚いたします」

 

神竜-エクセリオン

効果モンスター

星5/光属性/ドラゴン族/攻1500/守 900

このカードの召喚時に自分の墓地に存在する「神竜-エクセリオン」

1体につき、以下の効果を1つ得る。

ただし同じ効果を重複して得る事ができない。

●このカードの攻撃力は1000ポイントアップする。

●このカードが戦闘によって相手モンスターを破壊した場合、

もう一度だけ続けて攻撃を行う事ができる。

●このカードが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、

破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。

 

「墓地の《神竜-エクセリオン》は1体。よって1つ効果を得ることができます。私は、攻撃力上昇効果を選択します」

《神竜-エクセリオン》 ATK1500→2500

「戦闘です。《神竜-エクセリオン》で《ジェノサイドキングサーモン》を攻撃」

「ああぁっ!」

幸子LP3700→3100

「これで、私のターンは終了いたします」

 

鱗子

LP4000

手札 3

モンスター 神竜-エクセリオン(攻)

魔法・罠 なし

 

 5ターン目:幸子

 

「わたくしのターン!《ウォーターハザード》の効果で《ニードル・ギルマン》を特殊召喚!」

 

ニードル・ギルマン

効果モンスター

星3/水属性/海竜族/攻1300/守 0

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、

自分フィールド上の魚族・海竜族・水族モンスターの

攻撃力は400ポイントアップする。

 

《ニードル・ギルマン》 ATK1300→1500→1900

「ふふっ、調子にのるのもそこまでよ!」

「調子に乗ったつもりはなかったのですが」

「わたくしの切り札を見ても、そのような皮肉が言えるかしら!《ニードル・ギルマン》を生贄に、レベルの下がった《海竜-ダイダロス》を召喚!」

 

海竜-ダイダロス

効果モンスター

星7/水属性/海竜族/攻2600/守1500

自分フィールド上に存在する「海」を墓地に送る事で、

このカード以外のフィールド上のカードを全て破壊する。

 

《海竜-ダイダロス》 ATK2600→2800

「バトル!《海竜-ダイダロス》で《神竜-エクセリオン》を攻撃」

「……」

鱗子LP4000→3700

「どう?これでターン終了よ」

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