今回は短めで、残念ながらデュエルはありません。
「来ないな……」
「来ないわね……」
「来ないね……」
「来ませんねぇ……」
幸子とのデュエルの翌日の放課後、いつも通り雪乃、ツァン、ゆまの3人とレッド寮で刺客を待っていたが、一向に来る気配はなかった。
「やっぱ幸子に勝ったから終わりってこと?」
「幸子さんなら何か知ってますかね?」
「最も、その幸子は今朝からこの学園にはいないのだけれど」
雪乃の言うように、幸子は俺のデュエルのあと、青海鱗子からもらったというデッキを俺に渡して、どこかへ行ってしまった。
自分だけのカードと言っていたが……まあシンクロやエクシーズは作れないだろうが、学園外だと記憶から消えるからな。
「しかし……おかしいな」
幸子から渡されたデッキを見ながら俺はつぶやいた。
「おかしいって、なにがかしら?」
俺の声が聞こえてきたのか雪乃が尋ねてきた。
「《ナンバーズ》のカードが入ってないんだよ」
デッキには《水精鱗》や《バハムート・シャーク》といった普通のエクシーズモンスターはあったが、2枚の《ナンバーズ》だけは存在しなかった。
「入ってない?幸子が渡さなかったってこと?」
「幸子さんがそういうことをするとは思えませんけど」
「まあそうだよね、僕もそう思うよ」
「……あのカード……闇のカード……」
ツァンとゆまは《ナンバーズ》の行方に全く当てがないようだったが、雪乃は何かに気づいたようだった。
「あのカードも普通のカードではなかったようだし……もしかして」
「ああ、俺も雪乃と同じ考えだが……」
side:遥
「……麗華先輩…やはり私が戦うべきなのでしょうか…」
昨日のコナミ先輩の発言に
「どうした?もう授業とっくに終わってるぞ?」
教室で考え込んでると、岬さんが声をかけてきました。
「岬さん、今日はちゃんと授業に出てくれたんですね」
「……お、おう!」
岬さんが目を泳がせながら返事をしてくれました。
「……今たまたま通りかかっただけですね」
「い、いやぁ……」
「……はぁ…」
「な、なんだよ……今日は張り合いがないな」
どうやらいつものようにお説教をしない私に疑問を持っているようですね。
「悩みがあんなら相談に乗るぞ」
「相談に?」
「ああ、ダチだろ。当然だ!」
友達ですか……確かに、下手の考え休むに似たりという言葉もありますし、1人で悩まず、誰かに話すだけでも何か変わるかもしれませんね。
「実は、麗華先輩だけは私が戦わなくてはと思っているのですが、いざとなると勇気がなくて」
「勇気?」
「はい、私はエクシーズを手にする前の麗華先輩にも1度も勝てないままでした。今の私が挑んでも……」
「そんなことで悩んでたのかよ」
弱気な私の肩をポンと叩いて言いました。
「勝つにしても負けるにしても、まず挑まねーとだろ!?」
「た、確かにそうですが……」
「熱い気持ちがあれば勝敗なんて関係ねーんだよ!」
「岬さん……」
彼女らしい楽観的考えですが……うだうだ考えるよりもまずは私も動くべきですよね!
「ま、オレは負ける勝負はしねーけどな」
「は、はははっ……」
そういって笑う岬さんに、思わず少し笑ってしまいました。
「明日だ!俺が一緒に行ってやるからよ!」
「岬さん……はい!?」
翌日の放課後、授業が終わると同時に、私は麗華先輩のもとへ向かいました。
「れ、麗華先輩!!」
足早に教室から立ち去ろうとする麗華先輩をギリギリのところで呼び止めました。
「……何でしょうか?」
「そ……その……私と、デュエルしてください!」
い、言えました!
「……お断りします、時間の無駄です」
それだけ言って麗華先輩はまた歩き出しました。
「え!?あのちょ「ちょっと待てよ!」
私の声にかぶせて岬さんが入ってきました。
「こいつはお前が一番かわいがってた後輩じゃないのかよ!そいつの頼みを時間の無駄なんて言い方はねぇんじゃねーか!?」
「……なるほど」
私をかばう岬さんを見て、麗華先輩は私に冷ややかな視線を向けてきました。
「あなたにも失望しましたよ遥、そんな底辺の人間と付き合うようでは。そんな底辺な人間と付き合っていればいずれあなたも「やめてください!」
麗華先輩の言葉に思わず声を上げてしまいました。
「なぜそんなことを言うのですか!今までの麗華先輩はどんな生徒も見捨てず、親身に接して……」
なのに……なのに……
「かつての麗華先輩は違ったはずです!」
「成長したんですよ」
とても冷たい目で麗華先輩はきっぱり言いました。
「しかし……いいでしょう、あなたの…いえ、あなたたちのデュエル、受けてあげましょう!」
「私……達?」
「ええ、あなたたち2人とのデュエルです」
「で、でも、岬さんは関係「望むところだ!」
また私の声にかぶせて岬さんが麗華先輩に答えました。
「い、いいのですか?これは私のけじめのためのデュエルなのに?」
「言っただろ、ダチに協力するのは当然だ!」
グッと親指を立てた手を私に掲げて岬さんが言ってくれました。
「ありがとうございます!」
「ふん」
岬さんと私の仲を先輩はまた冷ややかな目で見てきました。
「では、詳しいデュエルの日て「早速行くぞ!」
またしても私にかぶって岬さんが叫びました。
「え?今すぐですか!?」
「私は構いませんよ、あなたたちのとのデュエルに準備など必要ありません」
「れ、麗華先輩まで……ですが、わかりました!今すぐ勝負しましょう!」
せっかく勇気を出して言えたんです、今の私なら……
「……これは……知らせるべき……」
今、誰かに見られていた気がしましたが……まあ、気のせいでしょう。
そして私たちは、人気のない岸壁もで移動しました。
「デュエルリングではないのですね」
「あなたたちとのデュエルで、あの場所を使ってしまうのは申し訳ないですからね」
「別に場所なんかどこでもいいさ、さっさと始めようぜ!」
そういって岬さんはディスクを構えました。
「いいでしょう。ですが、2対1の変則デュエルなのでルールを確認しますよ」
「は、はい!」
「ま、後でもめるのもそれは面倒だし、いいぜ」
「あなた達2人はタッグフォースルールです。ライフ、フィールド、墓地は共有です」
「なるほど、あくまでバトルロワイヤルじゃなくてオレ達と2対1ってわけか」
「そしてあなたたちはターンは連続で行なって構いません」
「これは私達がだいぶ有利なルールでは?」
「あなた達相手ならこの程度のハンデは当然です」
「随分と舐められたものだな」
「ただし先攻は私がもらいますよ」
「好きにしな!確認が終わったならさっさと始めよぜ!」
「私も準備はできています!」
「では、始めましょう」
「「「デュエル!!!」」」
sideコナミ
昨日は結局誰も来なかった……やはり幸子を倒した時点で刺客は無意味と判断したのだろうか……
「そういや委員長は普通に授業出てるんだよな……」
「そう言えばそうだったわね」
隣から雪乃が俺の独り言に答えた。
「……いつの間に隣にいた?」
「少し前からよ。それより早く委員長のところに行ったほうがいいんじゃないかしら」
「たしかに、授業が終わるとすぐいなくなるからな」
もう授業が終わり少し時間がたっていたため、遅いとは思いつつも俺は委員長のもとへ向かおうとした。
「…コナミ……」
「うわっ!」
「きゃっ!」
突然後ろから恵に声をかけられた。
「びっくりした……どうした恵?」
「……委員長を探しに行くの?」
「あ、ああ。そうだけど」
「もしかして見たの?」
「ええ……長谷部さんたちと岸壁のほうへ行ったわ」
「遥……達?」
まあそのメンツならあとは岬か?
「とりあえず、行ってみるか」