タッグフォース 未来の英雄を継ぐ赤帽子   作:TOUI

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第九話 学校の怪談

 

 

sideコナミ

 

 

アカデミアに来てからそこそこ時は経ち、6月も終わりに差し掛かったころ、

熱いな、ブルーやイエローの寮とは違い、レッド寮には冷房の設備が何もない。

これはゆゆしき事態、少し直談判してみるか。

 

「大徳寺先生、レッド寮に冷房設備をください」

 

「結論から言おう、それは無理ニャ」

 

「こんなに頼んでもだめですか」

 

「そんなに頼んでないと思うニャ」

 

やはりか。まあ言ってみただけだし実際通るとは思ってなかったよ。

 

「じゃあせめて涼しくなるようなアイデアをくださいよ」

 

「涼しくなる、そうだニャ……怪談話なんてどうかニャ?」

 

「怪談話?」

 

「そだニャ、身の毛もよだつ怖ーい話をすればきっと涼しくなるニャ」

 

「怪談話か……ありだな」

 

「お役にたてて良かったニャ、それじゃ、私はこれで失礼するニャ」

 

大徳寺先生が去った後、俺はとりあえずいつものメンバーに連絡取っておくか。

 

「お待たせしました、コナミさん」

 

「あなたの方から声をかけるなんて、珍しいこともあるものね」

 

「まあ僕は暇でしょうがなかったから仕方なく来てあげただけだけど」

 

「わたくしめまでお誘いいただけるなんて、光栄です」

 

夕食が済んだ頃にに呼びかけた4人がレッド寮の前に集まった。

 

「それで、これから僕達は何をするの?」

 

「ああ、怪談だよ」

 

「階段と言いますと……デュエリストとして肉体を鍛えようということでしょうか?」

 

「いや、そっちの階段じゃなくて、怖い話って意味の方だよ」

 

「ふーん、ま、最近暑くなってきたし、気持ちは分からなくもないよ」

 

「怖い話ですか!ちょっと楽しみです!」

 

「わたくしめはさほど得意ではございませんが、コナミ様に恥じぬよう一所懸命に語らせていただきます」

 

「いや、そんな重くならなくても……ん?」

 

怖い話と言ったとたん、雪乃は顔が瞬時に青くなっていた。どうやらこういう話は苦手なようだな。

 

「あ……ごめんなさい私仕上げなければならないレポートがあったの、悪いけど今日は帰らせてもらうわ」

 

逃げる気か、俺が逃がすと思うか?

 

「レポートってあのクロノス教諭のレポートか?」

 

「そ、そうよ、クロノス教諭の……」

 

「ま、あのレポートは3日前に提出期限過ぎてるけどね」

 

「あ……」

 

墓穴を掘ったな。

 

「安心しろ、こういうのは皆でいると意外と怖くないぞ?」

 

「だ、誰が怖がっているものですか!?いいわ、私も残るわ!」

 

やはりプライドの高い雪乃を誘うのはそう難しいことではないな。

5人でセッティング済の暗い食堂に入った。と言っても蝋燭とカードの束があるだけだが。

1つしかない蝋燭を5人で囲み、目の前にはカードの束を置いている。

 

「ルールは簡単だ、5人で順番にカードをドローし、そのモンスターのレベルに合わせた怖い話をしていくんだ」

 

ちなみに大徳寺先生の入知恵です。

 

「はい!じゃあ私から行きます!」

 

 

 

「それ以降、カードに取り込まれた彼の姿を見たものはいなかった」

 

「す、すごいですコナミさん」

 

「もう、そんな本気にならなくても……」

 

「うぅ……いじわるぅ……」

 

俺が引いたのはレベル9の《ブラック・デーモンズ・ドラゴン》。全員腰を抜かすような話をしたつもりだったが、

 

「……」

 

1名微動だにしない者がいた。

 

「紫ちゃんもすごいです、怖くなかったですか?」

 

「……」

 

「紫?」

 

「……」

 

「この子、気絶してるわ」

 

なんと、雪乃よりも上がいたか……

 

「おい、紫?」

 

「はっ!こ、ここは、何処でしょうか?」

 

「しっかりしろ、ここはレッド寮の食堂だよ」

 

「そうでしたか……」

 

そうでしたかって…

 

「大丈夫なのか、まだフィクションの話しかしてないのに?」

 

「フィクションってこういう話は基本そうでしょ」

 

「話はな。でもこういう話をしてると寄ってくるって言うじゃん」

 

「寄ってくるって何ですか?」

 

「そりゃ……」

 

「いま、足音が聞こえてきませんでしたか?」

 

紫の発言に一同が凍り付いた。

 

「な、何を言ってるの?僕にはそんなもの」

 

コツン、コツン、

 

「き、聞こえてきますよ!」

 

「な、なんなの……」

 

一同はおびえているがこの時間なら十中八九……

 

「ほっほ~!皆さーん、何をしてるですかニャ?」

 

「「「きゃあぁぁぁ!!」」」

 

食堂の奥から現れたファラオを抱いた大徳寺に、3人が今までで1番驚いてた。

 

「……あぁ!」

 

1人遅れて驚いた。

 

「び、びっくりしましたぁ」

 

「脅かさないでくださいよ!」

 

「もう……だめ……」

 

3人は涙目になりながら必死に呼吸を整えていた。なにもそこまで驚かなくとも。

 

「……」

 

「紫?」

 

「はっ!いえ、寝ては御座いませんよ」

 

箱入り娘がどこで覚えたんだよそんな言葉。

 

「コナミ様は驚かれなかったのですか?」

 

「突然背後から大徳寺先生に声かけられることなんてレッド寮では日常茶飯事だからな」

 

「え~……?」

 

そして大徳寺は眉を歪めていた。本人としては、普通に話しかけたつもりなのだろう。

 

「なにをしてるかって言いますと、カードのレベルだけ怖い話するってゲームやってるんですよ」

 

「なるほど、昼間の私の助言をもう実行したわけですか。しかも黄色い悲鳴に囲まれながらとは、いいご身分だニャ。どれどれ?私も……」

 

本来ならば、そろそろ消灯時間。早めに部屋に戻るように、寮長ならば言うべきだろ。まあ、色々な意味で決まり事に緩い大徳寺らしいちゃらしいな。

 

「うわっ!出たよ、レベル12……」

 

「とっておきなものをお願いします」

 

「うぅ……もう帰りたい…」

 

なんて灌漑に更けていたら《F・G・D》引きやがったよ。

ゆまとツァンは怖がりながらも期待しているようだ。雪乃は放心状態、紫は、よくわからない表情だ。

 

「そういえば、この島の奥に……使われていない寮があるの、ご存知ですかニャ?」

 

「「「「「使われていない寮?」」」」」

 

「そう。昔、この学園の特待生達の寮だったらしいのですが……その寮では、何人もの生徒が行方不明になってるそうだニャ~」

 

「ほ、本当ですか……?」

 

「何でも、その寮では『闇のゲーム』に関係する研究をしていたらしいのニャ」

 

「「「や、闇のゲーム?!」」」

 

3人のあまりの怯えっぷりに、大徳寺もノリノリで話を続ける。

 

「伝説のアイテムによって発動する恐ろしいゲームだって、話ですニャー。私がこの学園に来た時には、あの寮は立ち入り禁止になってたんだニャー。噂では、夜な夜な闇のゲームの被害者達が……デュエルの相手を求めて徘徊しているとか……」

 

「にゃ~」

 

大徳寺先生の腕の中のファラオが欠伸にも似た声を上げている。

 

「おっと、そろそろ、部屋に戻る時間だニャ?では、お休み」

 

小さく会釈をし、大徳寺はファラオと共に食堂の奥へと消えて行った。

「は~い」

 

俺は軽く返事をしたが、果たしてこいつらがすぐに動くことができるかどうか……

 

 

 

「皆でお泊りなんて久しぶりだから楽しみです!」

 

「わたくしめまで呼んでいただいて、光栄の至りです」

 

「まあ僕はどうしてもって雪乃が言うから」

 

「あら、だったらツァンは来なくてもいいのよ」

 

どうやら4人は一緒の部屋で寝るようだ。ブルー寮の個室はそんなに広いのか、決してうらやましくはないがな。

 

「じゃあ皆、気負つけて帰れよ」

 

「待ちなさい!」

「待って!」

「待ってください!」

「お待ちくださいませ!」

 

部屋に戻ろうとした俺はなぜか引き留められた。

 

「なんで俺まで……」

 

「あら、暗い夜道を女の子だけで歩かせるなんて男の風上にも置けないわよ」

 

「ぼ、僕は怖いわけじゃないけど、みんながコナミもって言うから」

 

「コナミさんがいれば夜道も心強いです」

 

「はい、コナミ様がいれば百人力でございます」

 

そんなに褒めても今の俺からはため息しか出ないぞ。

 

「うぅ、夜に通るとこの道って、結構不気味で怖い所だったんですね」

 

「ふ、ふん。夜の道は、ど、どこでも怖く感じるものだよ」

 

「あら、結局怖いんじゃない」

 

ツァンも雪乃も口では強がってるが、足が震えてるぞ。

 

「怖い怖いって言ってるが、俺はこの後この道を1人で帰るんだぞ」

 

「ならコナミも今夜は泊っていく?」

 

「ちょっと雪乃、何を言って」

 

「そうですよ、その方が心強いですし」

 

「はい、コナミ様なら歓迎いたします」

 

「気持ちだけ受け取っておくよ」

 

こんなくだらないことで退学なんてごめんだからな。しばらく進むと、廃墟同然の建物の前を通りかかる。おそらく大徳寺先生が話していた廃寮だろう。まあ今は特にかかわるようなことは……

 

「ん?」

 

「あら、どうかしたのコナミ?」

 

「いや、なんでもない」

 

少し気になることはあったが、今はスルーしブルー寮に向かった。

 

「じゃあな、喧嘩するなよ」

 

「子供じゃないってな」

 

「はい、仲良くします」

 

「それではコナミ様、お気をつけて」

 

「……」

 

「ああ、じゃあな」

 

4人とわかれた後、俺は真っ直ぐ寮には向かわず、廃寮に立ち寄った。さて、気配を感じた部屋はっと…

 

 

side雪乃

 

さっきのコナミの様子は変だったわ。さっきまでだるそうにしていたのに、急に何か使命感か何かを見つけたような…

 

「私、ちょっとコナミを見てくるわ」

 

「は、はあ?何を言ってるの!?」

 

普通はツァンの言う通りだわ。やっとこの夜道から寮に帰れたのに再び外に出て行こうというのだから。

 

「もしかして、コナミさんに何かあったんですか!?」

 

ゆまって普段はどこか抜けてるのに、こういうところは鋭いのね。

 

「ちょっと気になっただけよ。別れ際のコナミの様子が普段と少し違った気がしただけだから」

 

「そ、そんなの気のせいじゃ…」

 

「でしたらわたくしもついてゆきます」

 

「わ、私も行きますぅ!」

 

ふふ、相変わらずモテモテねコナミ。

 

「わかったわ、じゃあ3人で」

 

「ちょ、ちょっと、僕を仲間はずれにしないでよ!」

 

「あら、だってツァンは」

 

「僕も行くんだからね!」

 

「…ええ、わかってるわよ」

 

そして私達4人はコナミを追って外へ出た。そしてしばらく行くとコナミを見つけた。

でもやっぱり様子がおかしかった。真っ直ぐ寮に向かわず、今はだれも寄り付かない立ち入り禁止の廃寮にやってきたのだ。

そしてコナミはその廃寮の中に消えて行った。

 

「コナミ様!」

 

「なんであんなところに」

 

「と、とにかく追いかけなくっちゃ!」

 

「そうね」

 

ここまで来て見失なっちゃたら話にならないわ。私達4人はコナミを追って廃寮の中に入った。

 

 

 

sideコナミ

 

 

廃寮の1部屋の中心で闇の様に黒い渦がゆっくりと逆巻き、その渦の中には、絵柄も何もないカードが何枚かあった。

 

「ビンゴ、あれはさしずめ未完成の闇のカードと言ったところだな」

 

闇のカードとは、力を得る代わり、持ち主を暴走させたりダメージを現実にしたりする、まあよくあるあれだ。

誰が何のために作ったか、まあ俺にはなんとなく察しはついているが、今のうちに回収しておくべきだよな。

 

「……シンニュウシャ…ハッケン…」

 

「ん?」

 

声が聞こえた気がしたが……気のせいか?

 

「……シンニュウシャ…ハイジョ…」

 

いや、気のせいではないむしろ…俺が声がした方を振り向くや否や、そいつは気弾らしきものを放った。

 

「うわっ!」

 

思わず声を上げながらかわすが、奴は攻撃の手を緩める気はなさそうだ。一先ず今いる部屋を飛び出し、別の部屋に身をひそめる。さすがに生身で砲弾には対抗しかねる。

 

「「「「コナミ(さん)(様)」」」」

 

「え?」

 

逃げ込んだ部屋の先ではなぜか雪乃たちがいた。

 

「なんでここにいる?」

 

「雪乃がコナミの様子がおかしかったって言うから、あの後みんなでつけてきたのよ」

 

こいつらごときの尾行に気づかなかったとは、俺もずいぶん落ちたものだな。

 

「それより今、すごい音がしましたけど」

 

「まさか、コナミに何かあったんじゃ」

 

「コナミ様……」

 

「説明はあとだ、今は逃げ、」

 

俺が言い終わる前に、部屋全体が黒い霧で囲まれてしまった。

 

「な、なんなのよこれ」

 

「わかりませぬが、なんだか気分が悪くなりそうです」

 

「この霧、進んでも進んでも出口につけません!」

 

「閉じ込められたというわけね」

 

ただの霧じゃない、闇の霧だ。

 

「シンニュウシャ、ハイジョ…ハイジョ…」

 

そして奴が部屋に入ってきたが、今度はデュエルディスクを構えていた。

 

「な、なんですかあの人は!」

 

「デュエリストなの?」

 

「ああ、おそらくあいつを倒さなくてはここから出られないだろうな」

 

俺もデュエルディスクを構えつつ前に出た。

 

「コナミ!」

 

奴の前に出ようとする俺を雪乃が止めようとする。

 

「大丈夫だすぐに終わらせる」

 

「き、気を付けてね」

 

「頑張ってください!」

 

「勝てるようお祈りします」

 

「もし負けたら、許さないわよ!」

 

 

「「デュエル!」」

 

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