唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

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第137話

 

 

「……以上です。この事から医療機関からの支援者も増やしていけるでしょう」

 

「了解した。では次に唯我新人育成室長」

 

「はい……草壁」

 

「はい」

 

会議室にて俺が横に立つ草壁にそう指示を出すと、草壁はタブレットを操作して、会議室の巨大モニターの画面が切り替える。

 

「9月の正式入隊日までにB級昇格した隊員は9名、そして2名が次の正式入隊日までの3週間以内に昇格出来る可能性があります」

 

草壁がその2名をピックアップする。B級に上がるためには個人ポイントを4000まで上げる必要があるが、今ピックアップした2人は3900以上あるので昇格確実だろう。

 

「また昇格した隊員の2人と昇格寸前の1人の隊員は今期入隊した隊員ですので研修の効果はあったと確信します」

 

「まあ前期は6人、前々期は5名だったし、効果はあったでしょう」

 

「現在の訓練生の個人ポイントの分布はどうなっておる?」

 

「少々お待ちください」

 

鬼怒田開発室長の言葉に草壁がタブレットを操作すると2種類の円グラフが表示される。

 

訓練生253人(狙撃手志望を除く)

 

3500以上:9人

 

3000以上3500未満:14人

 

2500以上3000未満:29人

 

2000以上2500未満:41人

 

1000以上2000未満:79人

 

1000未満:81人

 

 

 

訓練生221人(狙撃手志望を除く)

 

3500以上:3人

 

3000以上3500未満:6人

 

2500以上3000未満:22人

 

2000以上2500未満:49人

 

1000以上2000未満:74人

 

1000未満:67人

 

「これが昨日とプレゼン当日における個人ポイントの詳細です。伸びている人は伸びてますが、落ちる人は落ちているという印象ですね」

 

「今期入隊した隊員の研修の出席具合はどうかね?」

 

やっぱり聞いていたか。プレゼンではあらゆる質問を想定しておかないといけないのは前世で学んでいるので問題ない。

 

「攻撃手と銃手として入隊した32人中、研修の出席率が5割を切っているのが7名です。しかし1名はスピード昇格した緑川で、2名は習い事が多いからであるので実質4名です」

 

習い事が多い2人は出席率こそ低いが、研修では人一倍熱心だから時間はかかっても昇格するだろう。

 

「やはりやらない人はとことんやらないみたいですね」

 

「世間ではボーダーはヒーロー扱いですからね。入隊してからイメージと違うとか思うように勝てないとかでやる気が抜けるのでしょう」

 

根付メディア室長と唐沢営業部長がそう口にするが事実だ。偶にC級の隊服を着て、トリオン体の見た目も変えて覆面調査をするが、やる気のない奴はとことんやる気がない。個人ポイントが低いのに訓練をサボって個人ランク戦をやる奴もザラだしな。

 

「否定はしません。とはいえ犯罪行為をしてないのでクビに出来ませんし、今後は新入隊員の加入を絞るべきです」

 

流石に加入者0というのはアレだが20名くらいまで絞るべきだろう。幾ら正隊員を増やせてもそれ以上訓練生が増えたら意味がないし、訓練生を減らせたら1年後の大規模侵攻で犠牲者を更に減らせるだろう。

 

問題は増えた正隊員がラービットによって拉致される展開だが、そこも何とか対策を練っておく必要があるし、もう少ししたら迅に相談してみよう。

 

「……わかった。来期の1月は厳しいが、次の5月入隊時には試してみよう」

 

「合格基準はどうします?トリオン量は大切ですが、木虎くんや緑川くんのような逸材がいるかもしれないですよ」

 

だろうな。木虎も緑川もトリオンは少ないが、実力を示している。

 

「身体能力や学力もある程度考慮するのはどうですか?後学力で思い出しました。2学期の期末試験の前に他の人の勉強を見ましたが、一部が酷過ぎました。今後ボーダー推薦が世間からの評価に対する足枷になるかもしれないんで、推薦については最低限の学力を必要とするべきです」

 

既にボーダー推薦で大学に入った太刀川が危ないからな。俺や他の大学生が助けても危ない状態だ。仮にA級1位部隊隊長の太刀川が留年してみろ、世間からボーダーのイメージが悪くなるぞ。

 

「ちなみにボーダー推薦がないと三門市立大学に受からないと判断した隊員はどのくらいいるのかね?」

 

根付メディア室長がそう聞いてくるが……

 

「自分が教えた限りだと……国近隊員、影浦隊員、当真隊員、米屋隊員、仁礼隊員、小佐野隊員は危険です。後鈴鳴の別役隊員も危険と聞いています」

 

柚宇の年代に教える際、今は別役の勉強を見るとか言って来なかったからな。期末試験はまだ帰ってきてないが赤点なんか取ったら、ランク戦の禁止令を出すように進言しよう。

 

これには他の上層部の面々も呆れている。

 

「……了解した。学力については重視するように注意しよう」

 

「学力が低過ぎる生徒は防衛任務より学業を優先するようにするべきてわすねえ」

 

「定期試験なんて授業をしっかり聞けば赤点なんか取るはずがないだろうに!」

 

鬼怒田開発室長は怒りを露わにするが、それが出来ないから赤点が取るのだろう。

 

「まあ合格基準はこれから詰めていきましょう。現状自分からの報告は以上です」

 

「ご苦労だった。来期も働きに期待している」

 

城戸司令はそう労いの言葉を吐いてくるが、それだけで報われた気分になる。何せ前世でプレゼンを成功したら、「次の案件は……までに取れよ」と当たり前のように言われ、失敗したら「何やらかしてこの屑が!」と罵倒の嵐だったからな。

 

そんな風に考えながら次の議題について耳を傾けるのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー、疲れた……」

 

「唯我先輩、だらしないです。人がいなくてもシャキッとしてください」

 

会議が終わり、新人育成事務室にて机に突っ伏すと草壁から真っ先に文句を言われる。

 

「というか前世ではサラリーマンですから会議に慣れているのでは?」

 

「半年近く経過してるから鈍ってないから不安なんだよ。大体表向きの俺は中3だぞ。上層部に入れられるとは思わなかったわ」

 

先月の始め、B級昇格者の数が前期の昇格者を上回った事もあり、正式に部署の設立が決まった。

 

それだけならまだしも室長は立案者の俺か草壁にやって欲しいと言われた。で、俺は会議という存在が苦手だから草壁に任せようとしたが、草壁も最初に考えたのは唯我先輩だからと俺に任せようとした。

 

最終的にじゃんけんで俺が負けて室長、草壁が室長補佐という形で設立されたのだ。

 

ちなみに太刀川隊に籍は残しているし、草壁も草壁隊を兼任している。室長になった事が通達されてから太刀川は「チームは兼任するのか?」と聞いてきた。

 

当初はどうしようか悩んだが、柚宇がチームは抜けないで、抜けるなら自分も太刀川隊を抜けると言い出したので兼任の道を選んだ。

 

閑話休題……

 

「別におかしくないでしょう。武富さんは中2だけど上層部のようなものじゃない」

 

ランク戦の実況と解説にプレゼンした武富もランク戦実況解説システム運営主任として割と上層部の会議に参加している。

 

「確かに前例はあるから仕方ないか」

 

「そうよ。それより早く仕事を済ませましょう」

 

草壁はそう言って自分の机に座るので俺もため息を吐いてパソコンを開く。俺達がやるのは研修のスケジュール調整、協力する正隊員のシフト調整が基本だ。

 

これについては以前からもやっていたが、これまでの研修データを参考にして新しい研修内容の考案もやるし、更に大規模侵攻に備えて、昇格する隊員に対して、チーム結成の協力や新チームに対して警戒区域の地形研修なども考えている。

 

正直忙しいが、中々楽しめているし良しとしよう。

 

(それより今はクリスマスイブの件だ)

 

予定としてはクリスマスイブにお疲れ会って形で草壁と2人で食事をしたい。

 

スケジュールについても問題ない。研修の日程に合わせられるよう、俺は全部隊のスケジュールを知ることが出来る。

 

で、草壁隊は23と24に休みを入れてその前後は仕事があるので、俺は24日をオフになるようにスケジュールを組み、23には仕事を入れて、25日はクリスマスパーティーの予定を入れている。

 

クリスマスイブとクリスマスイブがある週で互いに空いてるのはクリスマスイブなので、そこしかないってことを利用して誘ってみるつもりだ、

 

「あ、そうだ」

 

と、ここで草壁は何かを思い出したようにノートパソコンを操作し始める。

 

何事かと思いながら草壁を見ると、草壁の頬に朱色が混じり始め……

 

「あの、唯我先輩……クリスマスイブの夜って空いてますか?」

 

と、まさか草壁からそんな提案が来た。

 

「空いてるけどその日に用事があるのか?」

 

「今スケジュールを確認しましたが、私も唯我先輩のオフの日が被っている日がクリスマスイブだけでしたので、いつものお疲れ会でもしようと思っただけで……い、言っときますけど、それだけですから!」

 

急に怒り出しながら指を向ける草壁だが、草壁から誘ってきたのは間違いなく大きな進展だ。

 

「わかった。じゃあ空けておくわ。店は順番的に俺が決めるぞ」

 

「任せます」

 

草壁はそっぽを向くが、クリスマスプレゼントも考えておかないといけないな。

 

しかしこの世界に来て最初のクリスマスイブが草壁と2人きりの食事、クリスマスには柚宇と玲と桐絵の3人とクリスマスパーティー……良いクリスマスになりそうだ。まるで天国だ。

 

 

 

pipipi……

 

と、ここで携帯が鳴るので確認してみると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『唯我君。国近ちゃんに聞いたけどクリスマスの昼は空いてるみたいじゃない。昼頃に私の誕生日だから炒飯パーティーをするから是非来てね。待ってるから』

 

地獄へ誘う内容のメールが来て、一気に絶望に呑まれるのだった。

 

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