唯我尊に転生?上等だコラァ!ブラック企業で鍛えられた忍耐力を武器にマトモな唯我尊になってやらぁっ!   作:ユンケ

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第140話

 

 

(え?どうすんのこれ?)

 

俺は純粋にそう思った。俺と草壁は雨宿りの為にホテルを借りたが、まさのラブホテルだった。

 

隣にいる草壁は真っ赤になって口をワナワナしている。まあ気持ちはわからんでもないがな。

 

しかしこれ、実家の関係者に見られたらマジでヤバいぞ。家に余計な追求が来るかもしれないし、絶対にバレないようにしないといけない。

 

まあそれは明日どうにかするとして……

 

「草壁、先にシャワーを浴びてこい。身体が冷えてるだろ?」

 

先ずはシャワーで体を温める必要がある。真冬の夜に雨をくらったからかなり冷えている。

 

「えっ……でしたら唯我先輩から先にどうぞ。唯我先輩も冷えてるでしょう?」

 

「レディファーストだ」

 

「先輩が優先してください」

 

互いに譲る気配はない……少し強引に行くか。

 

「だったらどうする?揉めないように一緒に入るか?」

 

意地悪な質問をすると、草壁は悩む素振りを見せるが、やがて顔を真っ赤にして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……で、でしたら唯我先輩に顔にタオルを巻いて貰って一緒に入りませんか?」

 

……え?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(うぅ……今更だけど恥ずかしい提案をしたわね……)

 

草壁は恥ずかしい気持ちと湯船のお湯によって顔を熱くしている。視線の先では顔にタオルを巻きながら身体を洗う竜賀がいる。

 

突然の雨に対して雨宿りをすることになったのだが、まさかのラブホテルに入ることになった。

 

その後、互いに身体を冷やしているので、自分と竜賀は風呂に入る順番を譲り合ったが、その際に気がつけば条件付きとはいえ自分から一緒に入ることを提案していた。

 

普通ならありえない発言だが気がつけば口にしていたし、恥ずかしい気持ちは生まれても後悔の気持ちは生まれなかった。

 

結果として竜賀も了承して、2人で入る事になって、念の為に二重にタオルを巻いてくれた。

 

実はこっそり見えているんじゃないかという心配は特にしていない。何せ国近や那須、小南といった美少女と一緒にお風呂に入って一切手を出してないのだから、相手が嫌がるような事はしないと考えている。

 

とはいえ恥ずかしい気持ちはある。目隠しをして貰っているとはいえ男子の近くで裸になっているし、こっちは目隠しをしてないので竜賀の裸は目に入ってしまうからだ。

 

と、ここで竜賀は身体を洗い終えたようでシャワーを止める。

 

「草壁、すまんが湯船に入って良いか?湯船に入って身体に熱を込めるのが日課なんでな」

 

「は、はい。正面に手を出してください」

 

「壁に触れたぞ」

 

「では壁に沿って左に動いて、ぶつかったら湯船に入ってください」

 

湯船は広いのでぶつかる事はない。

 

「わかった」

 

竜賀が湯船に入るとお湯が跳ねて草壁の顔に当たる。それにより思わず竜賀の方を見るが……

 

「っ……!」

 

湯船に浸かる最中だったが故にあるものを見てしまい、顔に熱が一気に溜まる。

 

(あ、アレが男の人の……ぐ、グロテスクなのね。入ると痛いのかしら?)

 

草壁自身、年頃の女子であるが故にある程度の性知識はあったが、現物を見るのは当然初めてで余計な事を考えてしまう。

 

竜賀が湯船に浸かってからも目を離せずにいる草壁に、竜賀は口を開ける。

 

「なぁ草壁。やっぱり嫌なのか?だとしたら直ぐに上がるから無理しないで言ってくれ」

 

「え?そこまで嫌悪感はないですが、いきなりどうしたんですか?」

 

「いや、息が荒くなっているように聞こえたからな」

 

「だ、大丈夫ですっ。心配しないでください」

 

草壁はそう返してから息を殺す。ここで自分の思想を口にしたら泥沼にハマる未来が見えたからだ。

 

緊張が高まる中、しばらく湯に浸かっていると草壁自身のぼせてきたのて湯船から上がる。

 

「私はもう上がります」

 

「俺は後10分くらいしたら出る」

 

草壁は脱衣所に戻り、身体を拭くとバスローブを纏う。特に露出はないバスローブだが、過ごす場所が場所だからか妙にいやらしい気分になる。

 

モヤモヤしながらも部屋に戻りテレビを付ける。夜のニュースを見ると明日は晴れのようで安心する。びしょ濡れになる前にホテルに入れたが、大雨だと借りているドレスを汚す可能性が高くなるからだ。

 

それから少しして竜賀が脱衣所からバスローブ姿で出てくる。

 

「俺は疲れたし、もう寝るが草壁はどうするんだ?」

 

「私も寝ます。明日は早くないですが、念の為」

 

「そうか」

 

竜賀はそう口にするとベッドの枕を持ってから床に置くが、草壁は床で寝るつもりだと察する。

 

(本当にこの人は……)

 

いつもそうだ。さっきの風呂の順番もそうだが他人を優先してばかりだ。

 

優しいのは良いが、優し過ぎるのは考えものだ。大体自分がふかふかベッドで寝て、竜賀が床で寝ていたら嫌でも罪悪感が生まれてしまう。

 

妙にイラついた草壁は床に寝転がろうとする竜賀の手を掴み、ベットに倒し……

 

「私は気にしないんでベッドで寝ますよ」

 

そのままベッドに上がり込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「私は気にしないんでベッドで寝ますよ」

 

床で寝ようとしたらいきなりベッドに投げ入れられ、草壁もベッドに上がる。一緒に風呂に入ると言ったのもそうだが、今日の草壁は妙に開放的な気がする。

 

「というかもう手を離して良いんじゃないか?」

 

「離したら床で寝そうなんでダメです。誰かを気遣うのは良いですが、気遣い過ぎるとこっちに負い目が生まれるんで、程々にしてください」

 

そんな風に言ってくる。まあ確かに罪悪感を生み過ぎるのは考えものだな。俺も以前草壁がハズレ炒飯を前にした際に涙目になっているのを見て、罪悪感から自ら地獄に入ったしな。

 

「わかった。今後は気をつける」

 

「そうしてください。それではおやすみなさい………りゅ、竜賀さん」

 

草壁はそう言ってくるが、今名前で呼んだよな?草壁は俺の正体を知ってからも唯我先輩と呼んでいたし、今日が初めてだ。

 

予想以上の進歩に嬉しく思った俺は勝負に出る事にする。

 

「ああ……お休み、早紀」

 

俺も名前呼びにする。すると早紀は驚いた表情を浮かべてこっちを見るが、特に文句を言わずに顔を元の位置に戻して目を瞑る。

 

(名前呼びまで4ヶ月以上……長かったが手応えはあるし、良しとしよう)

 

クリスマスイブに2人きりで過ごせ、一緒に風呂に入り、一緒のベッドで寝る……確かな進展だ。このまま続けていこう。

 

そう思いながら俺はゆっくりと目を閉ざすのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日……

 

「…………おはようございます竜賀さん」

 

「…………おはよう、早紀」

 

俺と早紀は抱き合った状態で目を覚まし、挨拶をする。寝ている間に抱き合ったようだが、早紀の身体の柔らかさに変な気分になりそうだ。

 

「一応言っとくが狙ったわけじゃないからな?」

 

「わかってます。私も狙ったわけじゃありませんから」

 

「じゃあ離れるぞ?」

 

このまま続けたいが下手に欲を出すわけにはいかないからな。

 

「はい」

 

俺達は一斉に離れる。そして窓を見ればもう晴れていた。

 

「これなら帰れるな。早紀は脱衣所で着替えて来い。女は身だしなみに時間がかかるだろ」

 

「そうします」

 

草壁が脱衣所に向かうので俺はパパッと着替えて、早紀を待つ。

 

10分くらいしてドレス姿の早紀が出てきたので、そのまま直ぐにチェックアウトを済ませて、第三者に見られてないか全力で警戒をして、人がいないタイミングでラブホテルを後にする。

 

それから暫く歩き早紀の家の前に到着する。

 

「じゃあ次の研修の時に。昨日今日は付き合ってくれて悪かった」

 

「いえ。こちらこそクリスマスプレゼントを準備しないでごめんなさい」

 

「俺が勝手に用意したし気にする必要ないけどな」

 

「そういう訳には……じゃ、じゃあ!バレンタインに豪華なチョコを準備します……あ」

 

早紀はここで動きを止めるが、やがて徐々に顔を真っ赤にして……

 

「し、失礼します!」

 

一礼してから家に入っていくが、バレンタインが楽しみだ。

 

(早紀との時間は実に充実したし、今夜にあるクリスマスパーティーも柚宇達の積極的な攻めがあるから今から楽しみだ)

 

 

尤も……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全員揃ったわね。それじゃあクリスマス炒飯パーティーを始めるわよ」

 

この地獄を乗り切らないといけないがな。

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