そんな彼女だったが面白ければ他がどうなろうと知ったこっちゃないという考えの彼女は国を飛び出し、世界を回っていた。
そして彼女は
作者が少し前に短編集の「思いつき置き場」に投稿したものです。少し変更されています。
そして、作者は1、2、3巻を持っていないのでおかしなところがあるかも知れませんが読んでくださると嬉しいです。
投稿はかなりスローペースになると思います。
ニルヴァレン家。位階序列第7位
彼女は『
『
彼女は天才だった。
もちろん、空前絶後の天才シンク・ニルヴァレンには及ばないがそれでも非常に優秀な術者だ。
しかし、そんな彼女は少し——いや、かなり変わっていた。
彼女はいつも退屈していた。
何をしても人並み以上にでき、周りには凡人ばかり。
彼女にとって人生はつまらないゲームだった。
彼女には姉がいた。姉の名はフィール・ニルヴァレン。
フィールは
それをアリシアが知ったのは姉であるフィールが
興味を持ったアリシアは
そして、知った。姉のフィールは友であるクラミーのために己の力を隠していたことを。自分を超える
アリシアは驚愕した。
フィールが自分以上の術者だったことも驚いたが、そんな超一流と言われるのが普通な程の力をたかが
故に興味を持った。
それを知ってから彼女はフィールが落第した学院——国内最高の学府『
そもそも彼女は天才だった。全ての学問をそこらの
図書館では
大戦時の
それに気づいた時彼女は笑った。面白い、と。
彼女が初めて笑った瞬間だった。
それからアリシアは変わった——いや、本来の性格が表に出た。
元々の彼女は自分が面白ければ他がどうなろうと知ったことではないという性格だった。
面白くなるならば何であろうと切り捨てる。
家族や知人、国——世界。
果ては自分さえも。
彼女にとってはこの世界の全ては自分が楽しむためのものでしかないのだ。
それからは他種族についても調べ始めた。
しかし、他種族にも優秀な部分はあるだろう。
それから彼女は他種族を見下すことをやめた。そして、自分の目で世界を見たいと思うようになった。
だが、彼女は次期当主として期待されていた。姉が無能を演じている上、彼女は『
それが煩わしくてかなわなかった。しかし、フィールに無能のフリをやめろと言っても聞かないだろう。
そこでいいことを思いついた。奴隷の少女を贔屓にすれば良いのだ。
虫ケラの
そもそも、
実際に行動に移すと驚かれた。当然だろう。今までは虐めていたわけではないが興味を示してすらいなかったのだから。
怯えていたクラミー——この時初めて名前を知った——とこちらを警戒していた姉には
すると2人は驚いた。どうやら気づかれているとは思っていなかったらしい。
尊敬していた姉の抜けている部分を知って少し笑った。
話してからはクラミーも徐々に打ち解けてきて友人になることが出来た。疎遠だったフィールとも仲良くなることが出来た。
しかし、問題の両親はというと。彼女を説得しだした。
あれはゴミだや、お前のような奴が関わるべきではないなど。終いには脳異常や精神異常を疑われた。
彼女は両親を見損なった。なんと視野の狭いことかと。
貴様らこそゴミだと何度となく思った。
腐っても親。ここまで育てた恩や、親の権力や財力に世話になった恩もあり、穏便に済ませようと思っていたがこれにより完全に気が変わった。
フィールとクラミーに別れの挨拶を済ませて、置き手紙1つなく彼女は飛び出した。
フィールとクラミーには寂しがられたが前々からそのつもりだった為引き止められることは無かった。
問題の両親は彼女がいなくなるとあらゆるコネを使い捜索したそうだ。
しかし、彼女は前々から決めていた見つからないルートを通り、最短で国外へ消えた。
時々やりとりしていたフィール達との手紙によると彼女がいなくなったのが理由で床に伏せ、そのまま死んだらしい。
彼女はそれを聞いてもざまぁ、としか思わなかった。
そして、自由になった彼女は色々な国を見て回った。普通の
虫ケラであると言われる
そんなおかしな
——アリシア・ニルヴァレン
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さて、そんな彼女が今どうしているかと言うと——
「ふ〜ん♪ふふ、ふ〜んふ〜♪」
そう未だ幼さが残る顔を綻ばせ、上機嫌にスキップしながら大きなリュックを背負って歩いていた。
彼女が歩くのは位階序列第16位
大戦終結直後はルーシア大陸全土を領土としていたが6000年の間に減り続け、いまや見る影も無く、最後の都市を残すのみである。
さて、そんな絶望に沈む
なに、ただの——気まぐれだ。
先王の遺言により
それを聞いた1つ思いついたのだ。
エルキアを手に入れてそれでエルヴン・ガルドを潰そうと。
底辺だと思っている
そんなえげつないことを思いついたアリシアの顔は誰もが見惚れる美しい笑顔だった……。
そんなことが出来るのか、失敗したらどうするのか、などは彼女の頭にはない。
誰かが問うたとしてもこう答えただろう。
「それはそれで面白い」と。
さて、そんな上機嫌なアリシアは空から何かが落ちてくるのに気がついた。
「?」
首を傾げ、
そして、大きな帽子を被り、両目にはダイヤとスペードの少年——唯一神テトだった。
そして、それらはここより遠くで落ちた。
「何あれ!?面白そう!」
そう叫ぶとアリシアはなんのためにここまで来たのかを全て忘却の彼方に追いやり、3人が落下した所へ向かった。
「っと、これじゃダメかな?」
その前にふと気がついたように立ち止まり、自分を見下ろした。
そして、そう思ったアリシアが右手の指を鳴らすと、高速で編まれた術式がヴェールが取れるようにアリシアの姿を変えた。
煌びやかな金色の髪はエメラルドのような緑色に。
四つ菱を宿した碧い瞳はルビーのような鮮やかな赤色に。
そして
「う〜ん。こんなものかな?」
どこからともなく現れた手鏡に顔を写し、髪を構いながらそう呟く。
高速で偽装魔法と念の為それを感知させないようにする魔法を編んだアリシアはしばらく真面目な顔をしていたが直ぐに、ニッコリと笑い、
「っま、いっか♪さ〜、行こう♪」
そう言って、手鏡をポイッと投げ捨てる。
それは空中で溶けるように消え、アリシアは再び、落下地点へ向かって歩き出した。
バレたらバレたで面白そうだ考えながら……。
おかしなところがあればご指摘ください。