「感度三千倍だと?」

 モグリの天才外科医ブラックジャックに五車学園から電話がかかった。

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ブラックジャック ~~カルテXXX:いく女~~

 海に面した崖の上に一件の家が建っている。

 その家の電話が鳴り、一人の少女が出ようとする。

 その横からこの家の主で傷だらけの男が電話を切ってしまう。

 

 「もう、なんなのよさ!」

 「ピノコ、電話には出なくていい。あっちに行って遊んでなさい。」

 

 この家の主、ブラックジャックはピノコを電話から遠ざけた。

 ピノコがいなくなったのを確認して先ほどの電話の相手に掛け直す。

 

 「おい、いい加減にしないか。この家には小さい女の子がいるんだぞ。イタズラでもやっていいことと悪いことがあるだろ。」

 

 「ハァハァ…先生…もう私…限界…ィクゥ…おねがい、助けて。アァーン、五車学園、アァン、に来て…」

 

 電話の相手は若い女の声だったがとにかく艶めかしい嬌声が聞こえる。

 ブラックジャックは変質者からのイタズラだと思い取り合わなかったがここ数日の間毎日掛けられては頭に来るものがある。

 

 「分かった、五車学園だな。今から行くから待ってろ。」

 

 そう言うとブラックジャックは相手の返答も待たずに電話を切った。

 普段から持ち歩く手術道具の入ったカバンを持って外出しようとすると、既に荷造りを終えたピノコが玄関で待っていた。

 

 「何をしているんだ、ピノコ?」

 

 「決まってゆでちょ、ちぇんちぇえのお手ちゅだい。」

 

 「だめだ、お前さんは今回はお留守番だ。」

 

 「もーなんでぇー、あのれんわの女と会うちゅもり?」

 

 「お前にはまだ早い。」

 

 「アッチョンブリケー」

 

 そう言うとブラックジャックはピノコを振り切って依頼人の元へ向かった。

 残されましピノコは叫びながらぬいぐるみに八つ当たりをしている。

 

 

 G県五車町、この町は山あいにありこれといった産業はなくこの地にある五車学園の関係者によって人口のほとんどが占められる学園都市であった。

 この五車町にブラックジャックは彼の患者に会うために訪れた。

 周りを深い山に囲まれた五車町の中には一際目立つ建物があった。

 それは、ただの学園というには設備が整っておりかなり潤沢な資金援助があったと思われる。

 

 「あれが五車学園でさぁ。なんでも国とどっかの金持ちが金を出し合ったちゅう話で。それなのに滅多に人が来ないって皆不思議がってやした。」

 

 ブラックジャックは彼を運んでくれたタクシーの運転手の話を思い出していた。

 五車学園の校門で守衛に用件を伝えると学園長室に通された。

 部屋の中には白いスーツの女と黒いスーツの女がいた。

 

 「お待ちしておりました。ブラックジャック先生、私は、当校の学園長代理をしている八津紫です。こちらは同じく当校の教師で井河サクラです。」

 

 「ブラックジャックです。それで患者は?」

 

 「こちらをご覧下さい。」

 

 学園長室に備え付けられた大型モニターに、一面真っ白で殺風景な部屋が映された。

 その部屋の中には一人の女が体育座りで座っているがまるで廃人のようであった。

 

 「彼女は当校の学園長、井河アサギです。彼女が先生にお電話を掛けました。」

 

 「イタズラのし過ぎで捕まったのですかな?」

 

 「いえ、彼女を保護するためです。」

 

 「保護?」

 

 「ええ。このように隔離しておかないとすぐに絶頂を迎えるのです。」

 

 ブラックジャックは彼女の言葉に耳を疑った。

 紫はそのまま続ける。

 

 「彼女とこちらのサクラはとある任務で敵対組織に捕まり、白眼を剥いて痙攣しているところを救出しました。彼女が目を覚まし彼女に手を触れた瞬間彼女は絶頂を迎えてしまいました。」

 

 ブラックジャックもさすがに混乱してどうなっているのか分からない。

 サクラがアサギの資料を取り出しブラックジャックに手渡す。

 ブラックジャックがそれを受け取り、サクラを見ると彼女は足をもじもじとさせ顔を赤くし息が乱れていた。

 ブラックジャックが渡された資料を見るとアサギが何かに触れる度にすぐさま絶頂を迎え意識を失うという症状が示されており、脈拍数がやや多い以外は全て正常で今まで行った治療が全て失敗に終わった記録があった。

 

 「先生、どうか姉をお救い下さい。」

 

 「先生への報酬は一千万円をご用意しました。お引き受けくださいますか?」

 

 「いや、報酬は三千万だ。この患者の分と電話で受けたセクハラの慰謝料それと…」

 

 ブラックジャックはサクラを見つめる。

 

 「それとあんたの治療費、占めて三千万だ。」

 

 実はサクラもアサギと同じ症状を発症していた。

 

 「…分かりました。お支払いしましょう。まずは慰謝料としてこちらをお収め下さい。」

 

 そう言うと紫は一千万円の入ったキャッシュケースをブラックジャックに渡した。

 

 「確かに一千万、受け取りました。早速患者を診察したいのですが患者は、今どちらに?」

 

 「こちらです。」

 

 紫に案内され学園の地下に降りるとそこには大学病院の一画を持ってきた設備が広がっていた。

 紫に案内され奥に進むと、独房のような部屋の前に案内された。

 

 「患者はこちらにいます。接触には十分お気をつけ下さい。」

 

 そう言うと紫はゆっくりと独房の扉を開けた。

 ブラックジャックが中入ると病院服を着たアサギがぐったりとしている。

 ブラックジャックが声を掛けても反応がなく、仕方なく彼女に診察のために触れた。

 その瞬間アサギが激しく痙攣を起こし白眼を剥いたかと思うとブラックジャックを押し倒し、彼女の服を破いた。

 破れた彼女の服の下から見事なプロポーションの肉体と洪水のように愛液を垂らす股間が現れた。

 

 「アヘェ、チ〇ポォ、チ〇ポォ…ねぇ早くアサギのグショグショおマ〇コに入れてェー犯してェ。」

 

 アサギは涎を垂らしながらブラックジャックに自分を犯すように懇願する。

 ブラックジャックは裏社会の住人として何度も暴漢に襲われながらもそれを撃退してきたがアサギの力に負けてされるがままになっている。

 アサギはブラックジャックを舐め回しながら彼の股間を撫でている。

 ブラックジャックの貞操の危機を救ったのは紫であった。

 アサギを羽交い締めにしてその隙にブラックジャックは何とか独房の外へ逃れる。

 独房の中ではアサギが男根を求めて叫びながら暴れている。

 紫はアサギを突き飛ばし独房の外に出た。

 

 「フー…フー…、お気をつけてと申しましたよね。」

 

 「すまない、まさかこれほどとは思っていなかった。」

 

 独房内ではアサギが叫びながら暴れた。

 

 「誰か…誰か…私を犯して。」

 

 徐々にクールダウンしていくアサギは泣きながら呟いた。

 

 「それで、患者を直接診た感想は?」

 

 「正直、まだ何とも言えない。まずは、もう一度診察をやり直して原因を探る。治療法を見つけるにはそこからだ。」

 

 「分かりました。こちらの設備をご自由にお使い下さい。学園内に先生のお部屋もご用意したのでそちらにご宿泊下さい。何かご入り用でしたら私かサクラにお申し付け下さい。」

 

 「分かった、そうさせてもらうよ。ところで、ひとついいかな?」

 

 「なんでしょう?」

 

 「ボンカレーはあるかな?」

 

 紫は彼の部屋に届けさせるよう約束した。

 

 

 ブラックジャックは彼に割り当てられた部屋に入ると自宅に電話した。

 以前、連絡ができずにいたら自分を探しにピノコが家を飛び出すことがよくあった。

 

 「もちもち、ちぇんちぇえ?ちぇんちぇえなの?もーどこにいってゆのよさ!ピノコとーても寂しかった!ねぇねぇいちゅ帰ゆの?お土産は?ちゅーかあの女はだえなのさ!」

 

 「ピノコ、暫くはこっちにいるからな。お留守番してろ。」

 

 「なに、そっちにいるらって?もおちぇんちぇえはあたしのことなんかどーだっていいんだぁ、そのうち捨てるんだぁ!ちぇんちぇえのドジ!バカ!アホ!ヒョウタンツギ!」

 

 「はいはい、分かった分かった。もう切るぞ。」

 

 電話の向こうでピノコが叫んでいるがそれを無視して電話を切った。

 

 部屋の外からノックされ入ってもいいと告げるとこの学園の制服をきた2人の少女が入ってきた。

 

 「失礼します。先生のお世話を申しつけられました、秋山凜子です。こちらは私の後輩の水城ユキカゼ。」

 

 「水城ユキカゼです。なんでもお申し付け下さい。」

 

 「ああ、分かった。こちらこそ宜しく。ようができたらこちらから呼ぶからもう戻ってくれ。」

 

 「かしこまりました。あと、先生にこちらを。」

 

 そう言うと凜子は段ボールをブラックジャックに渡した。

 中にはボンカレーが入っていた。

 

 「おお、ありがとう。ボンカレーはどう作ってもうまいのだ。」

 

 2人が帰るとブラックジャックはボンカレーを夕食にして就寝した。

 

 翌日からブラックジャックはアサギの診察を開始した。

 触れるだけで絶頂を迎えるアサギの診察は困難を極めたがこの学園にある最先端の医療設備を用いたそれは3日目に終了した。

 

 診察の結果はこれまでのものと同じであったが、ブラックジャックは一つの結論を出した。

 アサギは現在、感度三千倍になっていると。

 

 診察の結果と結論をブラックジャックは紫に報告した。

 

 「そうですか…何か進展があればと思ったのですが。」

 

 「ああ、だから今度は別のアプローチをしてみる。」

 

 「別のアプローチ?」

 

 「患者の肉体からではなく、発病に至った経緯から調べてみる。患者が発見されたのはどこだ?」

 

 「東京キングダムです。」

 

 「分かった。じゃあそこからあたってみるとするか。」

 

 ブラックジャックはそう言うと彼の部屋に戻り、ある闇医者に電話を掛けた。

 

 「こちらは、ドクターキリコ。治療をお望みの方は…」

 

 「キリコか、私だ、ブラックジャックだ。」

 

 「おや、珍しいですね。貴男から電話してくるとは。それで、ご用件は?」

 

 「東京キングダムで活動している有名な闇医者を教えてくれ。」

 

 「東京キングダムですか…それなら、桐生佐馬斗ですね。腕の立つ外科医だそうですがなんでも人体改造を行っているとか。東京キングダム内にある教会の地下を拠点にしているそうです。」

 

 「桐生佐馬斗だな。助かった。」

 

 「東京キングダムはあまり良いところではありません。ブラックジャック先生もどうかお気をつけて。」

 

 桐生佐馬斗について聞き出した、ブラックジャックは電話を切るとすぐに東京キングダムへ向かおうとした。

 部屋を出ると凜子とユキカゼがいた。

 

 「通してくれないか?これから行くところは危険な場所だから、君たちを連れてはいけない。」

 

 そう言って押し通ろうとするブラックジャックをユキカゼが止めた。

 

 「待ってくださいブラックジャック先生!私も連れていってください。アサギ先生は捕まっていた私を助けるためにあんなめに合いました。それなのに何もせずにいることはできません!」

 

 「私はユキカゼ一人を行かせる訳には行きません。どうかご一緒させてください。」

 

 ブラックジャックは彼女達の強い意志に折れた。

 

 「勝手にしろ。」

 

 そしてブラックジャック達3人は東京キングダムへと出発した。

 

 東京キングダムへと人と物資を運ぶ船の船着場でブラックジャック達は船を待っていると、くわえタバコをした男がにやにやしながら近づいてきた。

 

 「よう、無免許医。往診か?」

 

 その男は警視庁の高杉警部、何かとブラックジャックに縁のある刑事であった。

 

 凜子はブラックジャックを守るように間に入る。

 

 「先生のお知り合いですか?」

 

 「へんっ、天才外科医ブラックジャック先生のマネージャー兼プロデューサーさ」

 

 「違うぞ。」

 

 「どっちなのよ?」

 

 ユキカゼが思わず声をあげる。

 

 「まあ、今は先生の敵ではないな。昔馴染みを見かけたから声を掛けただけさ。それよりお前さん達は東京キングダムに行くんだろ?あそこは嬢ちゃん達みたいなのが行くところじゃねえ。早く帰んな。」

 

 「余計なお世話よ!」

 

 「ただの仕事だ。深い意味は無い。」

 

 「ほー、今度はいくら稼ぐんだ?ええ?」

 

 「守秘義務だ、話すことは無い。」

 

 「へえへえそうですか。じゃあ、邪魔者はこれで退散するか。せいぜい気をつけてデートするんだな。」

 

 「なあ、高杉。」

 

 「なんだ?」

 

 「女から男へのセクハラは成り立つのか?」

 

 「何度急に?そんなもんがあったとしたらされてみたいもんだね。」

 

 そう言って高杉警部は姿を消していった。

 

 東京キングダムへの船が到着しブラックジャック達はそれに乗り込むと間もなく出航した。

 東京キングダムへと到着してすぐに柄の悪い男達に絡まれたが、凜子とユキカゼにより蹴散らされた。

 その後も目的地へと向かう途中で何度か傭兵くずれの厳つい男達に絡まれるとその都度彼女達に撃退された。

 ブラックジャックは感心し、彼女達を連れてきてよかったと思った。

 

 ブラックジャック達は東京キングダムの中でも特に治安の悪い地区にある崩れかかった教会にやって来た。

 その教会の教壇に隠された秘密の入口から中に入ると教会の地下は怪しい研究施設が広がっていた。

 

 「おやあ、どなたですかあ?研究の邪魔はさせませんよお。」

 

 施設の奥で長身痩躯の白衣の男が不気味な笑みでブラックジャック達を迎えた。

 

 「あんたが、桐生佐馬斗か?」

 

 「ええ。そういうあなたは…その黒い服、つぎはぎだらけの顔…ブラックジャック先生ですか?」

 

 「ああ。」

 

 「これはこれは、あの天才外科医ブラックジャック先生がわざわざおこしとは。どうです、お茶でも。」

 

 「結構だ。それよりあんたに聞きたいことがある。」

 

 ブラックジャックは以前勧められたワインに病原体を盛られ死にかけたことを思い出し、こんな奴の茶など飲めないとおもっていた。

 

 「それは残念。何を聞きたいのですか?」

 

 「この件だ。」

 

 ブラックジャックはアサギのカルテをみせた。

 

 「ふむふむ、なるほど。これは私が作った薬の効果ですねえ。」

 

 「そうか、ならば話が早い。その薬の対抗薬をくれ。」

 

 「えっ、そんなものありませんよお。だって、触れた瞬間に絶頂に達するとか最高じゃないですかあ。一生悶えてればいいんですよお。」

 

 凜子達は思わず手が出そうになるが、ブラックジャックがそれを手で制した。

 

 「おお怖い怖い。でも、この薬の資料くらいはあげてもいいですよお。ただし、対価が欲しいですねえ。」

 

 「なんだ?金か?」

 

 「いえいえ、そんなものではありませんよお。これをそちらのムラサキたんに渡してください。あとは、彼女次第ですよお。」

 

 そう言って桐生は封筒を渡した。

 

 「分かった。今日のところは出直す。次にくるときは対価を渡すから、それまで待ってろ。」

 

 ブラックジャック達は封筒を受け取り、五車学園へと帰っていった。

 

 残された桐生は、例の薬を盛った茶を眺めて凜子とユキカゼが飲まなかったことを残念に思った。

 

 五車学園に戻ったブラックジャック達は早速紫に封筒を渡した。

 桐生からだいう封筒を嫌々受け取り、中にある手紙を読んだ紫は赤面した。

 

 「桐生は、対価が用意できるかはあんた次第だと言っていた。」

 

 「そうですか。実は先生方が東京キングダムに言っている間にサクラの症状が悪化しました。今は彼女も隔離しています。」

 

 「くそったれめ、早く治療法を見つけなければ。」

 

 「ええ、その通りです。凜子、ユキカゼ、先生とお話があるので2人はさがっていなさい。」

 

 「はい、紫先生」

 

 凜子達が学園長室から出てブラックジャックと二人きりになった紫は話を切り出した。

 

 「ブラックジャック先生、医者には守秘義務がありますよね?」

 

 「勿論だ、秘密は当然守る。」

 

 「では、今から起こることも内密にしてください。」

 

 紫はブラックジャックにカメラを渡して自分がいったら、それで撮影してくれと言った。

 何を言っているのか分からないブラックジャックを放置して紫はシャツをはだけさせ彼女の豊かな胸をもみ自慰を始めた。

 ブラックジャックは驚いて紫を止めようとした。

 

 「んっんぁ…だめ…このまま…んっ…いくまで…ぁん…待って…んくっ…これが彼女達のためだから…」

 

 紫はそのまま自慰を続けた。

 ブラックジャックは桐生の対価について察してしまった。

 ブラックジャックは紫の痴態を見て欲情しそうになるが彼の中にいるもう一人のブラックジャックが、負けるなブラックジャックお前は治療中に女に欲情するのか、と語りかけかろうじて理性を保っていた。

 紫の自慰は激しさを増していく。

 彼女はストッキングと紫色のパンティを膝までずり下ろしスカートをめくり露わになった恥部を右手で慰めつつ左手で乳房をもみその指先が桜色の乳首を摘まんでいた。

 彼女の恥部から蜜が垂れていつの間にか恥部に突きこまれた執務机の照明の動きも速く激しいものになり、終わりが近づいてきた。

 

 「アアンッンッ、イクッイグッイグゥゥゥ、しぇんしぇいに見られながら私いっちゃう、イクッイクッいきまくりゅーーーっ!!」

 

 彼女は盛大に潮を噴き、全身を大きくのけ反らした。

 ブラックジャックはその瞬間を逃すこと無く、フィルムに収めた。

 紫の潮がブラックジャックにかかる。

 

 「ハァ…ハァ、これを桐生に届けてください。そうすれば、奴は資料を渡すでしょう。」

 

 紫は自慰の余韻に包まれながらもアサギとサクラのことは忘れていなかった。

 

 「ああ、必ず届ける。安心しろ。」

 

 学園長室の応対用のソファーにぐったりとした紫を寝かせ、ブラックジャックは休む間もなく東京キングダムへと戻っていった。

 

 「約束のものだ。」

 

 ブラックジャックは紫のあられもない姿の写真を桐生の手元に滑らせる。

 

 「うひょー、仕事中にオナニーしている紫たんやばすぎい。ありがとう、ブラックジャック先生。これが約束の資料です。」

 

 桐生が薬の資料の入ったマイクロチップをブラックジャックに渡した。

 

 「まあ、資料があってもこの天才桐生佐馬斗様の薬の対抗薬なんて作れるとは思いませんけどねえ。」

 

 桐生はそう言ってケタケタと笑っている。

 

 「やってみなけりゃ分からんさ。邪魔したな。」

 

 「まあまあこの短い間に往復されてお疲れでしょう。お茶でもいかがですかな?」

 

 「すまないが、患者が待っている。」

 

 ブラックジャックは今回もお茶に手を付けずに五車学園へと帰っていった。

 

 桐生はブラックジャックをもてなすために出した秘蔵の紅茶が残っているのを残念に思いながらも、入手したばかりの写真で早々と自慰を始めた。

 

 五車学園へと帰ったブラックジャックは早速桐生の資料の解析を始め、それが済むと対抗薬の開発へと移っていた。

 ブラックジャックは寝食を忘れ資料と向き合った。

 

 「ブラックジャック先生、お食事をお持ちしました。」

 

 凜子がサンドイッチの盛られた皿を持ってきた。

 

 「んっえっあ、なんだって?」

 

 「いえっ、なんでもありません。」

 

 研究に没頭したブラックジャックは食事の存在に気づかない。

 

 「すまないが、コーヒーを淹れてくれ。」

 

 「ただ今、お持ちします。」

 

 凜子とユキカゼも付きっきりで世話をしているが、交互にしていなければどちらかが倒れていたところだった。

 

 そんな生活が五日目の朝を迎えた。

 ユキカゼは疲労のあまりいつの間にかソファーの上で寝息を立てていた。

 ユキカゼに毛布が掛けられてその感覚で彼女は寝てしまったことに気づき跳ね起きた。

 

 「喜べユキカゼ、対抗薬が完成したぞ。」

 

 毛布を掛けようとしたブラックジャックがそう言った。 

 ユキカゼは嬉しさのあまりブラックジャックに抱きついた。

 

 

 完成した対抗薬、仮称B.J式抗増感剤をアサギとサクラに早速投与することとなった。

 

 ブラックジャックと紫達3人は学園長室のモニターからそれを固唾を飲んで見守っていた。

 五車学園の医療スタッフが独房内のアサギとサクラに新薬を注射器で投与する。

 その時の接触だけでアサギ達は絶頂に達し体をのけ反らし医療スタッフが彼女達を押さえつけていた。

 投薬を終えて医療スタッフが独房内から出ると残されたアサギ達は恍惚の表情を浮かべ失神しており股間から潮が噴いたのか床がびしょ濡れであった。

 ユキカゼは自分のせいでこうなってしまった2人を見て責任を感じ辛そうな表情を見せた。

 凜子がユキカゼを励まし、紫はモニターを切った。

 

 「あとは様子を見ましょう。私は疲れたので寝ることにする。」

 

 ブラックジャックはそのまま学園長室のソファーで大きないびきを立てて寝てしまった。

 

 

 誰かが自分の肩を揺すり起こそうとしていた。

 ブラックジャックが目を覚ますと紫がサクラの症状が治まったことを告げた。

 

 「それは、よかった。それでアサギさんは?」

 

 「先生のお薬で症状は改善し即絶頂に達することは無くなりましたが、未だに触れるだけで欲情してしまうようです。」

 

 「そうですか。もう残された手段は彼女の脳を手術するくらいしか思い浮かびません。ただこの方法も成功する保証もないし、人道的とも言えません。」

 

 「それでも、先生には感謝しています。サクラは救われましたし、学園長の症状も劇的に改善しました。本当にありがとうございました。」

 

 紫はアサギの一生左右する選択を迫られどうするべきか悩みながらも礼を述べた。

 紫から礼を述べられたブラックジャックだが彼はまだ他に方法はないか考えた。

 このまま手術をして、ユキカゼ達に慕われるアサギの脳内をいじり感情を欠落させるわけにはいかなかった。

 ブラックジャックが方法を模索していると学園長室に飾ってある鎧と日本刀が目に入った。

 以前人面瘡の患者宅で飾られた日本刀をその患者が抜いて警官に切りかかったことを思い出した。

 その事を思い出していると何かが閃いた。

 

 「一つ手を思いついた。早速試したい。」

 

 そういうとブラックジャックはアサギのいる独房へ向かった。

 独房内のアサギは以前と同じく体育座りをして虚ろな目をしている。

 ブラックジャックは彼女の目線に合わせて座り金色の懐中時計を取り出した。

 

 「アサギさん、これを見て下さい。」

 

 アサギが顔を上げ時計を見つめる。

 

 「気を楽にして、半分眠ってしまっても構いません。」

 

 懐中時計が振り子のようにゆっくりと動きだした。

 

 「今から言うことをよく聞いて下さい。」

 

 アサギは半分目を閉じ今にも眠りに落ちそうだった。

 

 「あなたは…強い…あなたは…強い…あなたは…負けない…あなたは…負けない…あなたは…チ〇コなんかに…負けない…あなたは…耐えれる…あなたは…耐えれる…」

 

 ブラックジャックが彼女に暗示を掛ける。

 

 「この時計が…見えなく…なると…あなたは…今から…眠りにつく…目を…覚ますと…強い…あなたに…なっている…」

 

 ブラックジャックが時計の動きを止めポケットにしまうとアサギは崩れるように倒れてそのまま眠ってしまった。

 ブラックジャックが独房から出ると紫が一連のことについて尋ねた。

 

 「なに、一種のまじないですよ。これがだめなら他の手を考えます。」

 

 ブラックジャックは自室に戻り再び眠りについた。

 

 翌朝、アサギの容態をブラックジャックが尋ねるとスタッフがアサギの症状が消えたことを告げた。

 ブラックジャックがアサギを診察すると触診をしても絶頂に達することはなかった。

 学園の医療スタッフが何が起こったのか尋ねた。

 

 「気合…ですかな。」

 

 ブラックジャックは苦笑してそう答えた。

 ブラックジャックはその後1週間五車学園に留まり、経過観察をしてその間に症状が再発しなかったことから完治したものと判断した。

 紫に完治したと伝え自分は家に帰ると告げた。

 

 「本当にありがとうございました。こちらが残りの報酬です。」

 

 紫は一千万円の入ったキャッシュケースを2つ渡す。

 

 「いや、アサギさんは自力で治りました。なので一つで結構。」

 

 そう言うとブラックジャックはキャッシュケースを1つだけ受け取り校門へと向かった。

 校門では、アサギ達4人が待っていた。

 

 「先生にはなんとお礼を言ったらいいか分かりません本当にありがとうございました。」

 

 アサギの礼に合わせせてサクラ達も礼をする。

 

 「いや、私だけではありませんよ。そちらの凜子さん、ユキカゼさんそれに紫さんの協力があったからですよ。彼女達にもお礼をいってあげて下さい。」

 

 ブラックジャックは自分の後についてきた紫を見る。

 彼女が自慰をしなければ対抗薬の開発はできなかった。

  彼女達に別れを告げブラックジャックはアサギ達5人に見送られ学園を去って行った。

 

 

 ブラックジャックは自宅の安楽椅子に座り海を眺めている。

 その海では大きな渦が巻いていた。

 彼はこのアサギ達のことを振り返っていた。

 

 

 あれ、自分は外科医なのに手術をしてないぞ

 

 てかあのままなら誰かとやれたんじゃないか

 

そんなことを考えながら海見ていると電話がなったがアサギ達のことを考えために無視した。

 

 「ちぇんちぇ、れんわー。れんわ鳴ってゆよー。」



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