あさおん・オブ・ザ・デッド   作:夢野ベル子

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ハザードレベル22

 一言で言えば、串刺し。

 

 そう形容するほかない光景だった。

 

 串刺し公ヴラド・ツェペシュは戦争で相手を殺したあと、その死体を貫いたらしいが、ここでいう串刺しは、あえて何かに喩えるのならば、キリストが十字架にかけられたあと、ロンギヌスの槍で貫かれるさまに似ている。

 

 どこかそれが人形めいて見えるのは、そのような状態にあってなお綺麗すぎたから。ほとんど物言わぬ少女が本当に物言わぬ存在になり、人形のようになってしまっていたから。

 

 つまり――。

 

 エミちゃんは――、鈍色をした鉄パイプで身体の中心あたり、ちょうど胸骨あたり、その内側に心臓があるあたりを貫かれていた。

 

 着ていた洋服には真っ赤なバラが咲いたかのように鮮血が広がっていて、ベッドの端まで飛び散っている。

 

 少女の肌の白さと、血の赤の対比。

 

 それもまたひとつの絵画のような美しさがあって、場違いなことに、ボクは綺麗だと思ってしまった。

 

 両の手をしばっていたロープのうち、右手のほうははずれていたが、鉄パイプを抜こうとすることもなく、まるで何かを求めるかのように虚空へと伸ばしている。

 

 その瞳は白内障にかかったかのように、ひどく混濁していて、口元からは軽い唸り声が漏れている。

 

 誰の目からもあきらかなとおり、エミちゃんは死んでいた。いや、あるいはゾンビになっていたというべきだろうか。

 

 ホーム内に残っているのは、ボクと命ちゃん、そして小杉さんと姫野さんの四人、そして被害者のエミちゃんなので、小杉さんにアリバイがある以上は、当然この事態を引き起こしたのは姫野さんということになる。

 

 けれど――。

 

「どうして?」

 

 その問いは、部屋のすみっこで震えている姫野さんに対するものではない。

 

「どうして……?」

 

 ここでの問いかけは、エミちゃんに対するものでもない。

 

「どうしてなんだよ!」

 

 ボクが選んだから?

 

 そういう因果はあるだろうけれど、ボクはすべての因果を鳥瞰するような神様のような視点は持っていない。

 

 だから、この憤懣は。この怒りは。この悲しみは。

 もしもいたらだけど、神様に対してのものだ。

 

「先輩。ひとまず……部屋をでましょう」

 

 命ちゃんがボクを誘導するように言った。

 確かにそのとおりかもしれない。

 この殺人現場を保全するという意味あいでは正しい選択だ。あるいは、ボクはこの現場の犯人である姫野さんも怒りにまかせてゾンビにしてしまえばいいのかもしれないけれど、事情もわからないのに、ただそれだけで殺してしまうというのは、あまりにも杜撰に感じた。

 

 ボクは人を殺しちゃったかもしれないけれど、それだってちゃんとしたボクなりの基準というかモラルというか、そういうものにもとづいての行動であって、誰でもかれでもゾンビにしてしまえなんて思っているわけじゃない。

 

 ひとりもふたりも同じだなんて思っているわけでもない。

 ボクは殺人鬼ではない。

 

 姫野さんを殺してもいい程度の憎悪は沸いたが――。しかし、道端のダンゴ虫のように身を小さくして、ガタガタと震えている姫野さんを見ると、どうしても、殺すという決断をするだけの閾値を越えない。

 

 このまま部屋をあとにして、みんなの帰りを待つのもいいけれど。

 でも……せめて。

 

「パイプ抜いてあげないとね……」

 

「ま、待って!」突然大きな声を出す姫野さん。「危険よ。そいつはゾンビなんだから」

 

「ううん? ゾンビにしたのは姫野さんじゃないの」

 

「ち、違う! そいつが襲ってきたから」

 

「そのシーンは見てないからなんともいえないけど、でも、姫野さんとしては、エミちゃんが最初からゾンビだったってことで本当にいいの?」

 

「……っ」

 

 姫野さんは絶句していた。

 それもそのはず。

 だって、エミちゃんがもともとゾンビだったとしたら、ゾンビに傷つけられたものはゾンビになってしまうというのがこの世界のルールだからだ。

 

 姫野さんは右腕のあたりを薄く引っかかれていた。

 ひっかき傷は、右腕数センチ程度。

 この暗いホームセンター内でも、ボクにはわかる。

 人間の血の匂いは特にわかるんだ。

 姫野さんの右腕は薄赤くにじんでいて、血の匂いがわずかにする。

 

 ボクの見立てでは、エミちゃんは相当程度人間として回復していたから、ゾンビウイルスを駆逐できていたか、あるいはゾンビウイルスに対抗できるようなっていたとも考えられるので、姫野さんが引っかかれたからといって即座にゾンビになるわけではないと思う。

 

 なんとなくだけど、姫野さんが負った傷程度ではギリギリ感染しないような気がする。だけど、それを教えてあげる義理はないし、ゾンビバレしないように伝える方法もわからない。

 

 姫野さんにとっては、当然ながら感染したかもしれないという恐怖から震えていた。

 

 どういう経緯で、エミちゃんを殺してしまったのかはわからない。

 姫野さんが言うように、エミちゃんが襲ってきたのかもしれない。

 

 ただ見たままの事実でわかるのは、床に転がっている白い御椀状のお皿。その近くには、またいつかのように猫まんま状態のおかずもご飯もなにもかもいっしょくたになったようなスープがこぼれている。

 

 エミちゃん……嫌がってたもんね。

 

 あるいは、お兄ちゃんが姫野さんに苛められていると思ったのかもしれない。この部屋で姫野さんは無理やり恭治くんにキスをした。

 その様子をじっと観察するように見つめていたエミちゃんには、ほのかな嫉妬心というか、よくわからないけれど、負の感情があったように思う。

 

 今となってはすべてが遅いことではあるけれど。

 

 姫野さんが沈黙したままだったので、ボクはゾンビパワーで鉄パイプを引き抜いた。血が飛び出るなんてこともなく、ゾンビ的にある程度固形化しているのか、本当に人形のような感覚だ。

 ただ、胸の中心には浅黒い大きな傷跡ができていて、ひび割れた人形のようにも思えた。

 

「痛かったよね。エミちゃん……」

 

 鉄パイプを抜いたあと、ボクはロープでエミちゃんの腕を縛りなおした。

 エミちゃんがゾンビになってもボクに襲ってこないのは当然として、ほとんど抵抗がなかったのは、わずかながら人間的な要素が残っているからだろうか。

 

 どちらにしろ、自分のことで精一杯の姫野さんは、ボクが襲われないことに気づきもしない。

 

「いやだ。ゾンビに……なりたくない……いやだ」

 

 涙を浮かべながら姫野さんは壊れたテープレコーダのように何度も繰り返している。テープレコーダ持ったことないけどね。そういう比喩ってなんでか使っちゃうよね。

 

 姫野さんの回復を待っていてもしょうがないので、ボクと命ちゃんは部屋を出ようとする。

 

「ま、待って」

 

 またも声を張り上げたのは姫野さんだ。

 

「なあに?」

 

 と、ボクは聞いた。

 

「あの……お願い。みんなには黙っていてほしいの」

 

「なにを? エミちゃんを殺しちゃったこと? それとも姫野さんがゾンビになっちゃうかもしれないこと?」

 

 姫野さんの瞳に憎悪の焔が宿るのがわかる。

 わかってるよ。

 ボクの言い方が悪いよね。

 

 でも、ボクだっていらついてないわけじゃないんだ。

 

 言うなれば、大事な宝物をむちゃくちゃにされてしまったような、そんな残念な気持ち。

 復讐するは我にあり、とまでは言わない。

 

 だって、それは恭治くんの権利だろうから。

 

 ボクはあくまでエミちゃんのことがお気に入りで、エミちゃんが人間としての凄みを見せてくれたから感謝していたに過ぎないから。

 

「ねえ。姫野さん。こんな状況になってしまったんだし、他のみんなに隠し切るのは無理だと思うよ。それこそ――、エミちゃんはいまはまだ生きているかもしれないけれど、あるいは死にかけてるから積極的に襲ってこないかもしれないけれど、いずれ本格的にゾンビになっちゃうんじゃないかな。ゾンビだと知らずに近づくと危ないかもしれないでしょ」

 

「それは……っ」

 

「経緯はどうであれ結果をもたらしたのは姫野さんなんだし、責任はとるべきじゃないかな」

 

 姫野さんの表情がこわばった。

 

「私は悪くない! この子が襲ってきたから!」

 

「だったら、みんなにそういえばいいでしょ」

 

「恭治くんに私、殺されてしまう」

 

 銃を持ってるし、と小声でつけくわえる姫野さん。

 まあ、確かにそういう可能性もなくはないかな。

 

「自分が正しいことをしたと思ってるんだったら、そう伝えるほかないでしょ」

 

 どういうふうに解釈されるかは相手次第だけどね。

 

「事故……、そう事故だったのよ。ここまでするつもりはなかったの」

 

 鉄パイプを心臓に生やすのが事故ね……。

 

「仮に事故だったとしても、事実をそっくりそのまま伝えるほかないでしょ」

 

「ふたりには、事故だったって証言してほしいの」

 

「ボクたちはそのとき現場にいなかったんだから、何もいえないよ」

 

「それくらいいいじゃない! 私は生きているのよ。まだ死にたくない。誰にも殺されたくないの」

 

 大粒の涙を浮かべ、姫野さんの厚化粧はボロボロに溶け出してしまう。美醜感覚はこの際どうでもいいことなのかもしれないけれど、完璧にゾンビになってしまったエミちゃんよりも、正直なところいろいろと厳しい感じです。

 

「まあ……、姫野さんの気持ちもわからないではないけれど、ボクにも命ちゃんにもなんのメリットもないしね」

 

 あえて突き放すように言った。

 こうでもしないと、ダラダラと延々言い訳を聞くことになりそうだしね。

 

 話は終わり。

 ということで、ボクは部屋をあとにしようとする。

 

「あんたたちは……私がいたから身体を売らないですんだんじゃない! あんたはメリットがないって言ったけど! なにも知らない小学生のガキだろうから教えてあげる。男はいつも女とセックスしたがってるだけの猿なのよ。こんな世界になったんだから、あんたぐらいの年頃の子だってひとつ間違えばそうなってかもしれない。そこのあんたも!」

 

 命ちゃんを指差すなよな。

 ていうか、見た目小学生相手にわりと赤裸々に語りすぎじゃないですかね。

 姫野さんの髪はかきむしったせいか、縮れまくり、わりと哀れなことになっていた。

 

「私があんたたちのために文字通り身体を張ってあげてたの。少しは私のことも考えてくれていいじゃない」

 

「それは姫野さんが勝手にそう思ってただけだよ。ボクはべつにそうしてほしいって頼んだ覚えはない」

 

「そうやって、大人が影でがんばってるのを知らないふりして利益をむさぼってるからガキなのよ。ぴーぴーさえずってさえいれば、ただかわいいだけでエサを運んでくれてると思ってるの。どいつも! こいつも!」

 

 だから『エサ』だったわけね。

 エミちゃんのご飯も。

 

「姫野さんが姫野さんなりにがんばってたっていうのはわかったよ。でも、姫野さんのしたことに対しては、ボクはボクなりの感謝しか返せないし、いまこの場で起きたことに関して嘘をつくほどのものじゃないかな」

 

 ていうか、小児性愛者から迫られたら、もちろん抵抗するよ。拳で。

 姫野さんの『仕事』はやっぱり彼女自身の選択の結果であって、ボクや命ちゃんに感謝を強制されるようなものじゃない。

 

「姫野さん。あきらめてよ」

 

「こいつ……」

 

 姫野さんの綺麗なネイルアートがゆっくり近づくのが見えた。

 避けるのは簡単だけど、あえてボクはされるがままにした。もしもボクが普通の人間だったら、姫野さんの爪が首元に食いこんで感染ということもありえるだろうけれど、万が一にもそんなことは起こりえないから安心です。

 

 まあ、姫野さんは感染してないけど――。

 

「……」

 

 命ちゃんが無言でナイフを構えるのが見えたけれど、この子アサシンでも目指してるのかな。姫野さんの背後から迫ってきてるから、ちょうどボクからは丸見えの構図になって、首絞め状態でちょっと意識がぽわんとしてきたところに能面のような白い顔がめちゃくちゃこわいです。リノリウムの床を音もたてずに忍び寄るとか忍者か君は。

 

 ボクは命ちゃんを手で制し、そのまま姫野さんの腕を掴んだ。

 ゾンビパワーで無理やり引き離す。

 ヒイロウイルスに感染させてもよかったけれど、先にも言ったとおり、ボクには彼女の行く末を裁定するほどの権利というか関係性がない。

 

 ドンと軽く蹴り上げて、姫野さんの身体をパーテーション際まで吹っ飛ばした。

 気絶もさせるとか、ボク優しいかも。

 少なくとも寝ている間は、死の恐怖もないだろうから。

 

 

 

 ☆=

 

 

 

 大門さんたちが帰ってきたのはそれから三十分後だった。

 

 晴れやかな英雄の帰還。

 けれど出迎えるのはボクと命ちゃんのふたりだけだ。

 あ、小杉さん的なゾンビも一応出迎えてるよ。

 見た目人間だし、枯れ木も山のなんとやらだ。

 

 大門さんは大型トラックで、雑に数体のゾンビをひき殺しそのままホームセンターの入り口近くに横づけする。

 

 いま停車している車数台を移動させないとトラックを横づけするのは難しい。荷物の搬入もこの状態だと結構厳しいものがあるかもしれない。

 

 ひとまずは一抱えもある大きなデイパックをかついで、みんな帰ってきた。大門さんなんか、大きなデイパックを両肩に二つもかついでいる。肩に食いこんでいる様子からは、相当な重量があるんだろうなと思わせる。飯田さんはひぃふぅいいながら、ボクの姿を見て手を振った。

 

「無事、帰還したみたいですね。どうしてゾンビを操って殺さなかったんですか」

 

「あのねえ。命ちゃん。ボクってそんなに外道に見えるかな」

 

「いえ、かわいさ全振りなんで外道ポイントはゼロですね。それはともかくとして、私の基準値としては大門さんもかなり敵よりのぎりぎりニュートラルって感じですよ。なんなら殺してもいいくらい」

 

「飯田さんと恭治くんは?」

 

「まあ、私と先輩の恋路を邪魔しないなら、生きてても別にかまわないって感じです」

 

「うーん……」

 

 無慈悲すぎませんかね。

 選ばれなかった者たちの末路って悲惨だ。

 でも、選ばれたらしいボクはまだ命ちゃんを選んだわけじゃない。

 そのあたり曖昧。

 

 ボクはどこまでも決断したくなくて選択したくなくて、選択の結果、誰かが傷つくのが怖いんだと思う。

 そして、それは飯田さんとも同じく最終的には誰かを傷つけた自分のことが怖いのかもしれない。

 

 エミちゃんを選択しなかった結果、エミちゃんがゾンビのほうに引き戻されてしまったことは、既にそうなってしまったことであるし、どうしようもないことだけど、責任も少しは感じている。

 

 正直なところ後悔があった。命ちゃんを助けに行ったことを後悔しているんじゃなくて、エミちゃんを救えなかったことを後悔しているんだ。

 

 だから、恭治くんが晴れがましい顔で近づいてきたとき、ボクは急になにも言い出せなくなってしまった。

 

「あの……」

 

「ん。緋色ちゃん。どうしたの」

 

 ちくしょう。勇気だせよ。男だろ。

 

 口下手にもほどがあるぞ。

 

「うん。何かほしいものがあるか聞きたいのかな。今日は大収穫だから――」

 

 うれしそうな声で言う恭治くんにますます何もいえなくなっていくボク。

 どうしよう。どうしよう。どうしよう。

 

「エミちゃんが姫野さんに刺されました」

 

 横に視線をやると、命ちゃんが淡々と状況報告していた。

 言い出せないボクの代わりに、あえて口を開いてくれたのだろう。

 感謝の気持ちと、命ちゃんに対する申し訳なさが同時に湧いてくる。

 

 ドサ。

 デイパックが地面に降ろされる音が聞こえた。

 

 そのときの恭治くんは怒りや憎悪や困惑やありとあらゆる感情が一瞬で混ざった形容しがたい表情になっていた。

 

 ただ――、行動は早かった。

 

「エミ……」

 

 恭治くんはスポーツ選手らしい身体能力で、地面をけりつけるようにホームセンター内に駆け出していった。

 

 ボクたちがエミちゃんの部屋に入ると、このように形容するのが正しいのかはわからないけれども、エミちゃんは本格的に死んでいて、だらんと腕は力なく垂れて、うなり声もあげず死体のように目を瞑っていた。

 恭治くんは、ゾンビになったエミちゃんに噛まれる恐れがあるにも関わらず、小さなエミちゃんの身体をかきいだいて、静かに泣いていた。

 

 ゾンビになるプロセスは一度『死』をはさむ。

 そうなることで、表にある『生』が裏側にひっこみ、『死』が顔を覗かせる。

 エミちゃんはスッと瞳を開き、ゾンビの本能なのか自分のほうへ引き寄せるように恭治くんの顔を抱きこんだ。

 それから――、エミちゃんの口が大きく開き、恭治くんの首元へ。

 

――止まれ。

 

 ゾンビモノでありがちな家族に噛まれるとか勘弁です。

 口をあけたままの状態でぽかんとしているエミちゃん。

 大門さんは危険だと思ったのか、そっと恭治くんを引き離した。

 エミちゃんへの悲しみは、一度距離をとることで、今度は憎しみの炎へと転換したらしく、恭治くんの顔が般若のように歪んでいく。

 

「ころしてやる……。ころしてやる。姫野!」

 

 いつのまにか腰元から抜き出した拳銃を血がでるんじゃないかと思うほど握り締め、手元をブルブルと震わせている。

 

「おちつけ恭治くん」と大門さん。

 

「あいつは抵抗できないエミを殺したんだ。だったらオレも殺す!」

 

 その発言とほぼ同時に。

 大門さんは恭治くんを殴りつけた。

 ものすごい音がして、恭治くんは床に昏倒した。

 

「落ち着けといっている。ともかく事態を把握しなければならん。勝手に殺したりすると秩序に関わる。わかったな!」

 

 ビリビリと空間を震わすほど大喝し、大門さんは命令した。

 恭治くんは殴られたことで、少し意識が飛んでいるせいか、興奮状態が若干治まったようだ。

 

 大門さんは小杉さんに命じて、姫野さんを連れてくるように指示する。

 姫野さんは自分の部屋に寝かせてあるけど、そろそろ起きてる頃だろう。

 

「銃は一度オレが預かっておく。いいな」

 

 うなだれたまま何も言わない恭治くん。

 大門さんはすばやく拳銃を奪い取った。

 

 これで恭治くんが姫野さんを殺す手段は、ひとつ減った。

 でも、胸のうちで膨らみきった殺意は消えそうにない。レイジウイルスに冒された人間のように、下手すると殴って殺そうとするかもしれない。

 

 それほどに今の恭治くんは黒いオーラのようなものをまとっていた。




こう……なんというかですね。
ご存知かどうかは趣味次第だとは思うんですが、エロ本とかの展開で、女の子がむちゃくちゃにされちゃった後に、最後のページあたりで家族が笑いながら帰ってきて、あともう少しで扉を開いたらハッピーな顔が絶望に染まるというか、そんな幸福から絶望への相転移が、エネルギーを生むんだよって白いロジカルモンスターがおっしゃってました。
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