あさおん・オブ・ザ・デッド   作:夢野ベル子

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ハザードレベル29

「朝起きたら……男になっていました」

 

 命ちゃんがむくりと起きだして言うには、そんな言葉だった。

 意味がわからない。

 ボクは確かに『あさおん』しているけれども、命ちゃんは元から女の子だった。

 

 まさか、朝になったら男になっていたという『あさおと?』しているのか。

 そんな展開聞いたことないけど。

 

 もちろん見た目は変わっていない。

 

 命ちゃんは亜麻色のサイドテールに、雪みたいなまっしろでキメの細かい肌。

 ちょっと釣り目で、女子高生らしいBなのかCなのか判然としないけど、それなりにある胸。華奢な身体のラインとあいまって、これ以上なく女の子している。

 

 それもとびきりかわいらしい女の子。

 

 も、もしかして、女の子の身体だけど、下腹部のみが生えているという、あの伝説のフタナリとかいうやつなのだろうか。

 

 ゾンビ化の恐ろしい効用に、ボクは戦慄を禁じ得ない。

 

「どういう意味なのかな?」

 

 ボクは聞いてみた。

 

「いえ、言ってみただけです」

 

「あ、そう……」

 

「私が男だったら、あるいは男でなくても生えていたら、速攻で緋色先輩の初夜ゲットしているんですけどね。きっとかわいらしい声で……鳴かせてみせよう緋色ちゃん!」

 

「や、ヤダー!」

 

 後輩が躊躇なさすぎて怖い。

 

「まあそれは冗談です。正確には、朝起きるとライバルが増えてましたが、正しいような気がします。強敵の気配を感じるんです。先輩の隣りにいる人、誰ですか?」

 

「はぁーい♪」

 

 まるで、サザエさんのいくらちゃんのような声で返事をするゾンビお姉さんである。

 

 よいしょって感じで、ベッドのうえに乗っかり、命ちゃんのほうを向くマナさん。

 大人の余裕って感じ。

 純真無垢なふんわりとした雰囲気に、命ちゃんもなんだか気勢がそがれている様子。

 ボクは説明することにした――けど、これが難しい。

 だって、ゾンビお姉さんとの関係なんてこれといってない。ただ綺麗なお姉さんがお世話してくれるとうれしいな程度の、そんな気分で生み出された存在だから。

 

「えっと、この人はマナさんって言って……なんていうか」

 

「ご主人様に飼われたペットです♪」

 

「飼ってないよ!」

 

 お姉さんのスケスケ下着もあいまって、ボクは変態お姉さんを飼う変態女児になっちゃう。

 小首を傾げて、お姉さんは疑問顔だ。

 なにその顔。

 ボクが全然わかってないみたいな感じじゃん。

 

「飼ってましたよね? ご主人様。いやがるわたしの口の中にむりやりグチャグチャでトロトロになった物を流しこみましたよね。わたし涙を目に浮かべえづきながら飲みこんだんですよ。あんなに大きな――」

 

 ツナ缶。

 

「わたし、食べたくないって思ってたのに、何も言えないのを利用して、よく噛んでごっくんするようにご主人様に強要されました」

 

「マナさん。そのとても誤解を招くような言い方やめてくれないかな……」

 

 確かにゾンビお姉さんだった時に、無理やりツナ缶とか食べさせたりもしたけどさ。

 

「緋色先輩に食べさせてもらうなんて、うらやましい……っ。先輩、私にも! 私にも食べさせてください」

 

「命ちゃんは自分で食べようね」

 

 なんだよ。これ、百合レズばっかじゃねーか。

 レズはホモで、つまりここはホモの巣窟か。

 

 ボクの貞操が危ない。

 

「あの……ご主人様。食べ物で思い出したんですけど」

 

 と、マナさんがふと思いついたように言った。

 

「ん。なに?」

 

「わたし、おなかすきました」

 

「えっと、適当になにか作って食べたら?」

 

 一応、ホームセンターから肩提げバッグに入る程度の食糧は持ってきた。

 あとから取りにいってもいいだろう。ボクはゾンビで、あまり食べなくても大丈夫みたいだけど、他のゾンビといっていいのか人間といっていいのか、ともかく、ゾンビお姉さんや命ちゃんがどの程度食糧を必要とするのかは知らない。

 

「あー。ご主人様。わたしってほらゾンビだったじゃないですか」

 

「うん。そうだね?」

 

 何かを期待するようなまなざしに、ボクは半ば疑問をこめた応答をするしかない。

 

「ご主人様の成分が必要だと思うんです」

 

「は?」

 

「だぁかぁらぁ♪ ご主人様の成分を補充しないとゾンビにまた戻っちゃうかもしれません。そういう意味でのおなかがすいたんです」

 

「本当に?」

 

「本当です」

 

 ケガレを知らない眼だった。

 昔小学校の頃、ご近所さんが飼っていたチワワあたりがこんな目をしていたなと思いだす。

 しかし――、え、ボクってお姉さんとキスしないといけないの?

 

 そういうことだよね?

 ボクの成分を補充するって、そういうことだよね?

 まさか噛まれないといけないの?

 

「あ。あああああああっ! いだだだだだだだ!」

 

 いきなり苦痛の声を出したのは命ちゃんだ。

 

「ど、どうしたの? 命ちゃん」

 

「先輩。わ、わたしもです。わたしも先輩の成分が足りないみたいで、全身がバラバラになりそうなほど痛いです」

 

「本当なんだよね!? ねえ!」

 

「本当です」と、綺麗すぎる二重奏だった。

 

 ふたりはともにボクの寝ている小さなベッドに正座して、聖女のように指を組んでいる。

 それで、うるうると瞳をにじませ、それから口を突きだしている。

 さながら、小鳥が親鳥のエサを待っているような――。

 そんな敬虔な様子だった。

 

 幼女とのキスに必死すぎるだろ君たち。ボクは幼女だというつもりは毛頭ないけどね。

 

「……ゾンビお姉さんはべつにあれだよね。もともとゾンビだったんだから、元に戻ってもまた今の状態に復帰できるわけだし我慢できるよね」

 

「そんなっ!」

 

「命ちゃんはボクにウソをつくような子じゃないよね」

 

「う……」

 

 ふたりをバッサリ切り捨てると、なんだろう。ダブルがっくりポーズが展開されている。

 女子高生と綺麗なお姉さんが四つん這いになっているという図柄。

 はっきり言って怪しさ満点だった。

 

「あのー。お姉さんも命ちゃんも、他の部屋に住まない? このアパートいまは結構ガラガラだよ。なんと家賃は驚きの無料提供! ガス光熱費もなんとタダ! おめでとう!」

 

「そんなご無体な!」「先輩見捨てないでください!」

 

「……三人で住むにはどう考えても狭すぎでしょ。そもそも寝る場所だって……ってそこ! ボクの枕をかがないのっ」

 

 命ちゃんは、自然な動作でボクの枕を吸引していた。

 

 わりと男だったときの成分も残っていると思うんだけど、命ちゃんにとってはどっちでもいいらしい。夏の虫が光に誘因されるみたいに、ふらふらとマナさんのほうも命ちゃんの吸ってる枕の反対側に鼻を近づけてダブル吸引状態になる。なんか危ないクスリでも吸ってるんじゃないかってくらい恍惚の表情になっていくふたり。

 

 ダメだこいつら……。はやくなんとかしないと。

 

 なんかむずがゆい。

 まるでボク自身が吸われているみたい。

 だれか、この変態さんたちを追い出してください。

 

「あー。先輩の匂い好き好きーっ」

「甘いです。すごく甘いです。この匂いだけでご飯三杯はいける」

 

 成分補充――されちゃってるのかもしれない。

 

「寝る場所については、確かに三人は厳しいかもしれませんね」

 

 ひとしきり吸引したあと、命ちゃんが冷静な顔になって言った。

 さっきの崩れきった顔を見てると、なんだかなと思ったけど、会話が成り立つだけマシだ。

 

「いっそ、ベッドを取り払って床で寝るのはどうでしょう」

 

「先輩を挟んで?」

 

「サンドイッチ状態です♪」

 

「天才か」

 

 あんたら仲良しか。

 

 意気投合というのかなんというか、ボクのことに対する意見といいますか趣味といいますか、つまりは好きって感情が命ちゃんとマナさんを結びつけているみたいだった。

 

 これがマナさんのいう眷属効果なのかはわからない。

 

「いやいや……冷静に考えておかしいでしょ。ボクはベッドで寝たいの。ひとりで!」

 

「先輩を抱っこしたいだけの人生だった」

 

「ご主人様と同衾したいだけの人生だった」

 

「「わかるー」」

 

 うなづきあうふたり。

 

 君たちの人生価値基準っていったいなんなのさ。

 

 ともかく――ボクは他人と一緒に寝るっていうのはちょっとどうかなと思っちゃう感じ。正直寝れなくてね。他者の心を強く意識しちゃうんだと思う。

 

 ゾンビお姉さんが物言わぬ人形みたいな状態だったら、まだありえるんだろうけど。

 

「昼間はこの部屋に遊びにきてもいいからさ。夜はそれぞれ別の部屋で寝てよ」

 

「うーん。わかりました。でも私だって、いままで他人だった人の気配が残る部屋には住みづらい感覚があるんですよ。慣れるまでというか精神的なお引越しをするまでは時間がかかるかもしれません。わたしは緋色先輩以外の他人はあまり寄せつけたくないんです」

 

 そう返す命ちゃんに、ボクもうなずく。

 それは、わかる気がするから。

 アパートはいつのまにかボクたちを除いてもぬけの殻になっていた。

 そのほとんどはゾンビに襲われるか、ゾンビになってしまっていたか、あるいはどこか外に行ってしまったみたいだけど、前の住人が住んでいたときのままになっているからね。なんとなく嫌な気分がしてもしょうがない。

 

「いっそ。家を変えるというのはいかがです?」

 

 マナさんの提案もわからなくはないけど。

 

「うーん。住み慣れたアパートだからね。ボクとしてもそのままがいいかな」

 

 今のところはね。

 まだここに来てからそれほど時間が経っているわけではないけれど、はじめて自分の居場所というものを自分自身で作り上げたんだ。

 

 簡単に手放したくはない。

 これはボクの偽らざる気持ち。

 

「実際のところ、この場所もあの場所も、どこもかしこもご主人様のものですよ。ご主人様のお好きなところに住まわれたらいいと思います」

 

 人間は――、ゾンビで汚染された地域には住みにくいだろう。

 ゾンビがたくさんいる場所は、全部ボクの占有地だと言えなくもない。

 マナさんの言ってることは、頭では理解できるんだけど、場所に限らず、なにかしらの概念を所有しているという感覚は、その概念に対するアクセスしやすさで決まると思う。

 

 つまり、愛着――。

 

 ボクがボクのものだと本当の意味で感じることができるのは、ボクがそれに対して愛着を抱くことができるかだ。

 

 だから、ボクの家は、いまのところはやっぱりこのアパートかな。

 

 

 

 ☆=

 

 

 

 ボクたちはのんびりと歩いてホームセンターに向かっていた。

 

 行きかうゾンビたちは、当然のことながらボクたちを完全スルー状態。

 ゾンビお姉さんもといマナさんはともかく、命ちゃんはもしかして襲われるかなとも思ったけれど、そんなことはなかった。

 

 立派なゾンビにおなりになって……。

 

 ある意味ボクって命ちゃんを守れなかったのかなと思う。

 

 少なくとも人間として生かすことはできなかったな。

 

 いや――。

 よく考えれば、命ちゃんだけじゃなく誰ひとりとして人間を人間のままでは救えてない。

 

「先輩が私をマモレナカッタ的な顔してますね」

 

「う……」

 

 マインドリーディングスキル(ボク限定)は相変わらずか。

 

「先輩が気に病む必要はないですよ。そもそもゾンビになってもいいと言ったのは私ですし、その言葉にウソや偽りは一切含まれていませんから」

 

「でもゾンビには心がないかもしれないとボクは思ってる。命ちゃんが本当は死んでるかもしれないと思うと怖いんだ」

 

「そもそも生きてる人間だってそうですよね。なにを考えているのかわからない人たちばっかりですし、ゾンビより危険な人間はたくさんいます」

 

「それは、うん。わかるけどさ……。だって、今ここで行きかってるゾンビさんたちと本質的には変わらないってことになるでしょ」

 

 すれ違うゾンビさんたち。

 

 今日も元気に通勤しようとしているのか。いつかどこかで見たようなサラリーマンゾンビさんがふらふらと歩いていた。その足をひきずったような生気を感じさせない歩き方は、正直なところまったく心があるとは思えない。

 

 その同値としてボクたちがいるとすれば、命ちゃんも生きている頃と姿かたちは変わらないけれども、心をなくしてしまっているという可能性があるんだ。

 

「かまいませんよ先輩。私が先輩にとって物言わぬお人形だと思われても……。私は先輩を思い続けます。先輩のお気に入りのお人形だと思われれば、それだけでうれしいです」

 

 レーザービームのようにまっすぐな言葉が飛来する。

 

「命ちゃんはお人形じゃないよ」

 

 だって、こんなにもクオリアを感じるからね。

 伸ばされた指の意図をボクは命ちゃんのこころだと思ってつないだ。

 昔ながらの手の感触に、ボクは少し安心する。

 

「尊いです。姉妹のように仲良しさんなおふたりがとても尊いです!」

 

 後ろのほうでおとなしくしていたマナさんが、口元に手をあててなぜか感動していた。

 ゾンビお姉さんだったときのほうが、正直奥ゆかしかったななんて思いもするけど、マナさんってすごく明るい性格で癒されちゃうなぁ。

 

「あ、今度はご主人様がわたしをサーチしてます! ねぶるようにわたしを値踏みしてます!」

 

「してないよ!」

 

 そんなわけでグダグダのんべんだらりと会話しながら、ホームセンターに到着。

 

 実際、数日しか経ってないので、ホームセンターはあのときのままだ。違うのはもう中には人間が誰もいないこと。みんないなくなってしまった。

 

 外見は変わってないけれど、中身は決定的に変わってしまった様子に、ボクは心の中が冷え込んでくる気がした。

 

「あー……とりあえず。トラックから食料とか運ぼうか。マナさんの服もあるかもよ」

 

「わたしはご主人様のお洋服のほうが自分の服より百倍興味あります!」

 

「毎日同じもの着っぱなしはキタナイ感じがするかなぁ」

 

「ガーン」

 

 ガーンを口で言う人、はじめて見たよ……。

 

 まあともかく、落ちこんでいてもしょうがない。ボクは元気。

 

「ところで先輩」

 

「ん? なに命ちゃん」

 

「ホームセンターの中には、必要物資以外にもいろいろと置いてありますよね?」

 

 含みを持たせた言い方に、ボクもピンときた。

 そうだよね。さんざんボクたちを危険にさらした銃がたくさん放置されているはずだ。

 その多くは執務室の机のなかに保管されていたようだけれども、他にも金庫やロッカーの中にいくつかあるみたいだった。

 

 それらを回収したほうがいいのだろうか。

 

「銃についてだよね。どうしようか」

 

「私たちにとってゾンビは敵ではないです。むしろ有利な環境といいますか、地勢のようなものでしょう。私たちの敵は人間です。したがって、人間に対する武器として銃は持っていたほうがいいと思います」

 

 まあ――確かに、このホームセンターでボクたちの敵にまわったのは人間だった。

 あのとき、ボクや命ちゃんが銃を持っていれば、せめて威嚇できれば死なないで済んだ人もいるかもしれない。ボクのゾンビ的な能力は、銃よりもずっと暴力的で残忍だから。

 

 マナさんを見てみる。

 ホームセンターでの出来事を知らないマナさんだったら、違う意見が聞けるかもしれない。

 

「ん。ご主人様がわたしをサーチ!」

 

 やっぱり聞くのやめようかな……。

 でも、命ちゃんはボクを盲信しているところがあるし、違った意見というのは、それはそれで他者という存在を感じさせるものだ。

 

「ねえ。マナさん」

 

「ん。なんでしょう。このマナお姉さんにわかることなら、なんでも聞いてください」

 

「じゃあ聞くけど、ホームセンターのなかに銃があるんだけど、どう思う?」

 

「どうとは?」

 

「ボクたちは銃を拾っておくべきかなってことだけど」

 

「やめておいたほうがいいでしょう。ゾンビお姉さんのいうことはいつでも正しいのです!」

 

 お姉さん。すごくお姉さんっぽくないよ。

 

 でも幼げではないふっくらした胸に手をあてて、えっへんとエラそうに答える様子がボクにはとても好ましく思えた。

 

「あの、どうしてか聞いていいかな」

 

「根本的なところで、ご主人様が人間に対してどう振舞いたいかという問題ですね」

 

「というと――?」

 

「命ちゃんもご主人様もちょっと人間に対して不信感があるように思います。わたしは普通に自分が人間だっていう意識でいますし、もしも人間にあっても普通に同族だって思うと思います。ご主人様はどうですか? 人間はゾンビじゃなくて、自分はゾンビだから違う存在ですか?」

 

 違う存在。

 

 異なる者に対する恐怖。

 

――異類恐怖症(ゼノフォビア)

 

 ボクはゾンビで、人間じゃなくて。

 だから、人間に怖がられるかもしれない。

 他人から恐れられ、うとまれ、排斥されるかもしれない。

 

 べつにそれはゾンビだから人間だからという種族間の違いじゃなくても、きっと他人であれば他人には他人の考えがあって、ボクとは違ってて、そのこと自体が軋轢を生むかもしれない。

 

 ボクは人間が怖かった。

 それは命ちゃんもそうなのかもしれない。

 

 コミュニケーション障害とまではいわないけど、ゾンビってうーうー唸るだけで自分の気持ちを全然伝えようとしないところがあるからね。

 

「ご主人様は、こころの底では人間を信じたいと思っているはずですよ」

 

「そうかな」

 

「そうですよ。わたしはもともとゾンビだからか、ご主人様と深いレベルでつながっている気がするんです。だからわかります。ご主人様は人間と仲良しになりたいんです。この世界でともに生きていく隣人になりたいんです。できれば幸せとか何か大事なものを共有していく同志になりたいんです!」

 

 だから、と続いた。

 

――銃はいりません。

 

 マナさんの言葉は、ボクの心にすとんと落ちた気がした。

 そうかー。ボクって誰かと仲良くなりたいのか。

 雄大の言葉はマナさんの言葉と被るような気がする。

 

 人と仲良くするにはどうしたいいんだろう。

 人を信じるためにはどうすればいいんだろう。

 

 簡単なことだった。

 人は出逢わなければそもそも仲良くすることも信じることもできない。

 人間関係をスタートさせなければ、どんな関係も発生しようがないからだ。

 

「ねえ。命ちゃん。マナさん」

 

「はい」「どうしました?」

 

「ボク、思いついたんだけど……」

 

 そう、それは本当にどうしようもない紆余曲折の末、ボクがたどりついた答え。

 

 これからボクは多くの人にボクを知ってもらう。

 

 その小さくて大きな一歩。

 

 に、なればいいなと思っている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ボク、出会い系アプリ使ってみようと思うんだけど?」

 

「はい?!」

 

 ふたりの声が妙にハモってた。

 

 え? ボクなにかおかしいこと言いました?(きょとん)




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