とある科学のベストマッチ    作:茶の出がらし

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戦兎「天才物理学者であり、正義のヒーロー仮面ライダービルドである桐生戦兎は、万丈龍我と共に学園都市での生活を送っていた」

万丈「この導入もそろそろ飽きてきたな」

戦兎「まあ確かに代り映えはしないけども、平和ってことだからよしとしなさいよ」

上条「あのー、なんかビリビリから変な冊子もらったんスけど・・・」

万丈「あ?誰だお前」

戦兎「ガン飛ばすんじゃないよ。こいつは上条当麻。どこにでもいる普通の高校生(笑)だ」

上条「ちょっと!?来て早々(笑)はないんじゃないんですか!?」

戦兎「うるさいよ。どこの世界にフラグ乱立させてなんども街の危機を救う普通の高校生がいてたまるか」

万丈「フラグってなんだ?」

上条「いやそんなこと言われても・・・」

戦兎「言っておくけど、このシリーズじゃお前、フラグ立つ予定ないからな。ひどい目にあうだけだから」

上条「理不尽すぎる!?」

万丈「だからフラグってなんだよ!つかこいつ誰だよ!」

戦兎「今度ゆっくり絡ませてやるよ。さ、散々引っ張ったグラビトン事件がついに動き出す!どうなる第十二話!!あっ、やっと言えた」


第十二話 グラビトン事件(前編)

「なー戦兎ぉー。お前爆弾なんか作ってねえよな?」

 

「はぁ?」

 

午前7時。朝のことだ。

戦兎は研究用のデスクに腰掛け、トーストを片手にパソコンをいじりながら万丈の言葉に反応した。

 

「何言ってんの?お前。そんな物騒な物作るわけないでしょうが」

 

「だよなー。戦兎じゃねえとすると、じゃあやっぱり超能力ってことなのか・・・」

 

「なんの話だよ」

 

パソコンを閉じ、戦兎は居間のテーブルでラーメンを食べている万丈の元に向かう。よく朝からこんなもん食えるなと万丈の手元をしげしげと眺めた。

 

「ほら、例のグラグラビトン事件、まだ犯人捕まらなくてよ」

 

「惜しい、一つ余計だ。グラビトンだろグラビトン」

 

そう突っ込み、インスタントコーヒーを淹れるためにお湯を沸かしつつ、戦兎が言った。

 

「該当する能力を持った学生にはアリバイがある。可能性としては急激な能力レベルの上昇で、これまで容疑がかかっていない能力者がやっているか、重力子を加速して金属片を爆発させる何らかの技術か・・・」

 

「おお、黄泉川もそんなこと言ってたな」

 

「そりゃあ、その黄泉川さんに聞いたんだから当たり前でしょ。ま、前者はそんな急激にレベルを上げる方法が存在しないらしいし、後者は、そんな技術があれば即書庫(バンク)のデータがヒットするってさ。」

 

沸騰直前を見計らってコンロからやかんを離し、マグカップにお湯を注ぐ。

 

「なるほどな。それであんな質問したのか。まあ?この街がいくら科学技術の粋を集めた街でも?天っ才物理学者の俺なら作れるかもしれないって思うのはしょうがないけどな」

 

「別にお前が爆弾作るとは思ってねえよ。新しい武器作って試し打ちした、とかならわかるけどな」

 

「そんなことしねえよ」

 

「いや、海賊レッシャ―やら四コマ忍法刀創ったとき振り回してただろ」

 

お湯が沸くのを待つあいだ、片付けをしようと流し台に向かった戦兎だったが、ふと思い出したかのような反応をして

 

「あ、そうそう、武器と言えば」

 

朝食作りに使用した食器等を流しに置きながら、戦兎は思い出したかのように言った。

 

「ライダーシステムの復旧過程で、スクラッシュドライバーの設計図が出てきたんだよ」

 

「マジか!?」

 

スクラッシュドライバー。

それはかつて万丈、一海、幻徳の三人が使用した、プロジェクトビルドの最終段階。使用するにはビルドドライバー以上のハザードレベルが要求されるが、その分スペックも上がる。

かつて使用していたベルトに思いを馳せる万丈だが、

 

「ま、作ったりはしないんだけどな」

 

「なんでだよ!そこは『お前の為に作っておいたぜ』とかいうもんじゃねえのかよ!」

 

「なんでお前の装備が先なんだよ。ビルドの方を優先するに決まってるでしょうが」

 

それに、と戦兎はコーヒーを飲みつつ続ける。

 

「戦争もない今、必要以上にライダーシステムを強化する意味はない。スマッシュ相手ならビルドとクローズだけで十分対処できる。幸か不幸か、ボトルも集まって来てるしな」

 

「まあ、そりゃそうだけどよ・・・」

 

「とりあえずビルドドライバーで使う武装は修理する予定だ。お前のマグマナックルもじき直してやる。でもまあ」

 

そう言ってカップを置き、テーブルの上に二台並べておいてあるビルドフォンの内、万丈の物を手に取って言った。

 

「ビートクローザーだけだと何かあった時に心許ないだろうから、ツインブレイカーだけは修理して装備できるようにしておいた。スクラッシュゼリーもドラゴンボトルから再生成したから、困ったら使え」

 

「マジか!!そりゃありがてえ!!ナックルも早く頼むぜ!」

 

「そこはもっとお礼を言うところでしょうが。まったく・・・」

 

飲み干したマグカップを流しですすぎ、乾燥台に置いた戦兎は言った。

 

「そういうわけで、今日一日ビルドフォンは預かるからな」

 

「ああ、わかった」

 

「で、万丈。お前そろそろ出ないと時間、まずくないか?」

 

卓上の置時計を示す戦兎の言葉を聞いて、万丈は一瞬フリーズし、

 

「やべえ!!遅刻する!!バイクバイク!!」

 

「いやだからツインブレイカーのデータ追加するから預かるんだってば」

 

「マジか!!だったらお前乗っけてってくれよ!!」

 

「嫌だよ方向逆だし・・・っておい!押すんじゃないよ!!」

 

「マジ頼む!!!プロテイン奢るから!!!」

 

「いるか馬鹿!!」

 

ギャーギャーという言い合いと共に、朝の時間は過ぎていった。

 

 

「はあ・・・」

 

午前8時。

柵川中学校に向かう道すがら、涙子は溜息をついた。

 

「(なんか、気まずいなー・・・)」

 

昨日、戦兎に言ってしまったあれこれを未だ気にしているのだ。万丈に聞いた戦兎の過去も含め、明らかに言い過ぎたと感じている。

 

「そもそも会ったばかりの戦兎さんに、なんであそこまで感情的になったんだろ・・・」

 

いや、自分ではその答えにうすうす感づいているのだ。

 

「佐天さーん!!」

 

と、そこまで考えたところで背後から声をかけられた。

 

「初春・・・おはよう」

 

「おはようございます、佐天さん」

 

言って、初春はじーっと涙子を見る。

 

「な、なに?」

 

「なに?じゃないですよ。はいこれ」

 

と言って鞄を差し出す初春。

 

「もう、鞄も持たずに帰っちゃうなんてひどいですよ」

 

「あ、あははは、そうだよねー、ごめんごめん。持ってきてくれたんだ。ありがとね」

 

「いえ、中身すっからかんだったので重くはなかったですし」

 

「すっからかんってわけじゃないでしょー?お菓子とか、音楽プレーヤーとか」

 

「授業に関係ないじゃないですか・・・」

 

いつも通りなやり取りをしつつ、どこか浮かない顔の涙子に初春は言う。

 

「先生なら大丈夫ですよ。気にしてません。」

 

「へっ?なんのこと?」

 

涙子の言葉に苦笑して初春が言う。

 

「とぼけても無駄ですよ。気まずいーって顔に書いてあります。」

 

「あはは・・・初春には敵わないね・・・」

 

涙子は観念したかのように両手を挙げる。

 

「なんか、あんなに感情的になっちゃって私らしくないなーとは思うんだけどね」

 

「確かに、佐天さんはその辺、妙に飄々としてますからねえ」

 

「そうかな?・・・そうかもね」

 

初春の言葉に涙子は苦笑する。確かに自分は、自分がレベル0であることを受け入れていたつもりだったのだ。

 

「私さ、結構今の生活気に入ってるんだよね」

 

「はい?」

 

いきなりの言葉に初春は疑問符を浮かべる。

 

「今の生活っていうとー」

 

「初春と学校通って、御坂さんや白井さんと放課後にスイーツ食べて、戦兎さんの授業受けて、たまに万丈さんをからかって」

 

「万丈さん、中学生相手にガチの反応しますからねえ」

 

「そうそう、そんな生活が割かし気に入ってるんだ」

 

言葉とは裏腹に、その表情は苦虫を噛み潰したように苦い。

 

「だけどさ、どんなに気に入ってても、私には何の能力もないんだよね。」

 

「それは―」

 

「事実なんだよ。レベル0だってことは変わらないんだなーって。レベル5やレベル4、仮面ライダーみたいなすごい人たちに囲まれてるからこそ、それを感じちゃうのかも。」

 

「それでも、佐天さんには佐天さんにしかないものがあるはずですよ」

 

「うん、戦兎さんもそう言ってたし、私にもそれはわかってる。・・・わかってるんだけどさ、頭では」

 

空を見て涙子は初春にも聞こえない声でそっと呟いた。

 

「・・・心じゃ、納得できないよね」

 

午前11時。

テスト期間も終わり、夏休みに向けての短縮授業期間であるこの時期は、普段は生徒がいない時間にもちらほら姿を見かける。

夏休みという、学生にとっては一大イベントを目の前に、羽目を外し過ぎる者がいてもおかしくはない。

というわけで万丈と黄泉川は第七学区繁華街を巡回していた。

 

「あーちいー・・・」

 

「コラ万丈。シャキッとするじゃんシャキッと」

 

気温はすでに30℃を超え、なお上がり続けている。この暑さに加えて、警備員(アンチスキル)の基本装備である強化ベストの通気性があまりよくない。肩に乗っているドラゴンも心なしかぐったりしているように見える。

 

「そんなこと言ったって、この暑さやべーよ。涼しいとこいこうぜ」

 

「何言ってるじゃん。まだ巡回の途中だ。私たち大人がシャンとしてないと、いざって時に子供たちに示しがつかないじゃんよ」

 

「そりゃそうだけどよお」

 

と万丈は額の汗をぬぐい、巡回図を見る。警備員(アンチスキル)の詰所から持ってきたそれには新たにつけられたのか、赤丸が記されていた。

 

「あ、そういえば、戦兎は作ってないらしいっすよ。爆弾」

 

「お前、本当に桐生に聞いたのか」

 

「いやアンタが聞けって言ったんだろ」

 

「可能性の話、じゃん。自称とはいえ科学者で、フルボトルだのバイクに変形する携帯電話だの高度なテクノロジーを持っているんだ。可能性は0じゃない」

 

けど、と黄泉川は続ける。

 

「お前らの人となりは、まあ基本わかっているつもりじゃん。爆弾事件なんて起こす奴だとは思ってないじゃんよ」

 

「じゃあなんで俺に聞けって言ったんだよ・・・」

 

「話が堂々巡りじゃん・・・やっぱお前馬鹿じゃん」

 

「せめて筋肉つけろ!!」

 

そんなこんなで、巡回は続いた。

 

 

その少年は、痛む足を引きずりながら歩いていた。よく見ると服は汚れ、頬には何かで踏みつけられたのか内出血のあとがある。

 

「・・・を救わないお前らなんて・・・」

 

少年は、所謂カツアゲを受けていた。

ほんの少しだけ自分よりもレベルの高い同級生たち、会うたび会うたび金を貸せと言われ、歯向かえば殴られ、蹴られる生活。

 

『ちゃんと返すって言ってんだろぉ?出世払いでさ』

 

『大体さあ、無期限・無利息。無制限ってのがお前の売りだろ?』

 

『なんだよ、これっぽっちしかねえじゃん』

 

『さーて、風紀委員(ジャッジメント)警備員(アンチスキル)が来る前に行こうぜ』

 

『楽勝楽勝!だってあいつら来んの、事件が起こってからだろ?』

 

そいつらは嘲笑を残して去っていく。ばれなければ問題ない。ばらしたら更なる暴行。がんじがらめになっている少年は心の中でつぶやくしかなかった。

 

「(くそが・・・)」

 

思い出しつつ、少年は歯噛みする。

 

「(何やってんだよ・・・なにが風紀委員(ジャッジメント)警備員(アンチスキル)だ。お前らが無能だからこんな目に遭うんだ・・・)」

この世のすべてを恨むような眼で、少年はただ地面を見つめる。

 

「見てろ・・・」

 

その声は騒音にかき消されていた。

 

「はあ・・・」

 

「大丈夫?」

 

眠そうに溜息を吐く黒子に、美琴は言った。時刻は13時。短縮授業であるため帰路についているわけだが

 

「これからまた風紀委員(ジャッジメント)?」

 

「ええ・・・グラビトン事件はますます被害を広げてますから・・・」

 

「大変ねぇ・・・」

 

いつになく忙しそうな後輩を見て、美琴は言った。

 

「仕事熱心なのはいいけど、あんまり無理しないようにね。あ、なんならこの後買い物行く?初春さんや佐天さんも誘ってさ」

 

そのねぎらいの言葉に、眠気なんて何のそのと言った感じで黒子は目を輝かせる。

 

「お姉様!!黒子がそんなに心配なんですのね・・・、それなら!!今夜はベッドで添い寝してくだされば!!疲れなど吹っ飛びますわー!!」

 

と抱き着こうとし、美琴がそれを避けるというお約束をしつつ、黒子は首を横に振った。

 

「せっかくのお誘いですけど、この後も風紀委員(ジャッジメント)に行きますの。もう少し、調べたいんですの」

 

「・・・っそ。ほんとに無茶しないようにね」

 

やれやれ、と苦笑する美琴と、労いを受けホクホク顔の黒子の前に見知った顔が通りかかる。

 

「おっ、常盤台コンビじゃん」

 

「あら桐生さんですの。こんにちは」

 

「何してんのよこんなところで」

 

戦兎は何やら大きい箱を持っていた。

 

「ああ、ちょっと風紀委員(ジャッジメント)の事務所に行こうかなって。白井もか?」

 

「ええ、グラビトン事件の調査がありますので・・・、で、何用ですの?」

 

目的地が同じなので自然と同行する形になる。戦兎は歩きながら答えた。

 

「そのグラビトン事件について、ちょっとしたものを持ってきたんだよ」

 

「ちょっとしたものって?」

 

戦兎の言葉に美琴が問う。

 

「それはまあ、見てからのお楽しみってことで」

 

そう言って、いつの間にか着いていた風紀委員(ジャッジメント)の事務所を示した。

 

ドラゴン。

その厳密な出典は不明だが、中世ヨーロッパに多く伝承が残っている。巨大な体躯。空を舞うための翼。すべてをかみ砕く強靭な顎。そこから放出される炎で人間を―主にゲームの中が多いが―襲う。

 

『――♪』

 

今、黒子の目の前にあるのは、ボディが金属製でサイズが掌に収まり、鳴き声が軽快な音楽なのを除けば、まごうことない、ドラゴンそのものだった。

 

「なんですの?これ・・・」

 

目の前で宙を舞う物体―ドラゴンを指し黒子が聞いた。

聞かれた相手、戦兎は普段初春が使っている椅子に座り、持参したパソコンを起動させ作業しながら答える。

 

「ドラゴン型のペットロボット・・・的なものだ」

 

「的なものって・・・」

 

と、グラビトン事件関連のファイルを整理していた固法が言う。学園都市にもペットロボ「的なもの」は存在するが、それでも目の前であちこち飛び回れはしないし、そもそもドローン技術が発展していてもここまで自由に飛び回るには、相当高感度なセンサーや飛翔ユニットが必要になる。

 

「コレ・・・万丈さんが変身するときに使うのと似ていますわね。」

 

ドラゴンのボディを見て黒子が言う。確かに、今戦兎の近くで浮いているドラゴンは、カラーリングこそ黒と黄色で、万丈の持っている赤色とは異なるが、細部がよく似ている。

 

「お、よく気付いたな。」

 

言いつつ戦兎はドラゴンにパソコンから伸びているコードを差し込んでいく。ドラゴンは多少嫌がるそぶりをしたが、やがて大人しくなった。

 

「コイツは昔万丈に作ったクローズドラゴンの試作機だ。多少改造していろんなセンサーや機能を追加した。勿論、ビルドドライバーに対応しているから変身も可能だ」

 

もっとも、俺と万丈以外使えないんだけどな、と戦兎は付け加え、キーボードを叩く。

 

「で、これが一体どうしたというんですの?まさか、発明品を見せつけに来ただけ、とかではありませんわよね?」

 

ジト目の黒子に戦兎は首を振る。

 

「勿論、そんなわけないでしょうが。これには衛星回線を傍受・・・利用して学園都市内を監視していて、何か異常があればたちどころに教えてくれるんだ」

 

「今、傍受って言った?」

 

「ノー。で、今回のグラビトン事件に関してもセンサー代わりになると思って持ってきたんだよ」

 

「・・・お心遣いは痛み入りますけれど、それこそ衛星からの警告が届くから必要ないのでは・・・」

 

黒子の言葉に戦兎はまあそうだよな、と言う。

 

「でもこいつにはナビシステムも搭載されてるし、なによりスマッシュに対する防御にも使える。白井や御坂ならまだしも初春や佐天がスマッシュと出くわしたときの用心棒って思ってくれればいいよ。」

 

「それはまあ、必要かもしれませんわね」

 

「だろ?で、コイツにお前らのDNAパターンを記憶させようと思ってきたんだけど・・・」

 

そう言って辺りを見回した戦兎に固法が言った。

 

「初春さんは今日非番なんです。ここのところ働き詰めだったから、久しぶりに羽を伸ばしているんでしょう」

 

「そういえば、さっき御坂が買い物に行くとか言ってたっけか」

 

そう言いつつも着々とクローズドラゴンの調整のためにキーボードを叩く戦兎。白井はその様子から目線を外し、再びグラビトン事件の資料をパソコン画面に呼び出した。

 

「それにしても…ここにきてどんづまりですわね…」

そう言ってデータを見返す。わかっているのは能力種、それにレベル4以上の能力者であること。爆弾になっているのはアルミ缶やヘアピン、アクセサリーなどどこにでもあるもの、ということだけだ。

 

(いきなりレベルが上がるなんてことはあり得ない・・・とするといったいどうやって・・・)

 

「実は犯人が複数いて、別々の事件だった!!とか」

 

「そんなわけありませんの、手口は間違いなく同一のものですわ・・・それに、そもそもの動機も不明ですのに複数犯の可能性を考えてるのはー」

 

「冗談よ・・・同僚がもう9人も被害に遭っているんだもの。早く犯人見つけないとね」

 

固法の言葉に頷きかけた黒子がふと呟く。

 

「「9人?」」

 

くしくも、クローズドラゴンからコードを抜いていた戦兎の声と重なった。

 

風紀委員(ジャッジメント)が、9人も被害に遭っているんですの?」

 

「ええ、私のルームメイトの子も言ってたから間違いないわ。直接的に被害に遭った子もいれば、巻き添えになった子もいるって話よ」

 

固法の言葉に戦兎がつぶやく。

 

「・・・いくらなんでも多すぎじゃないか?」

 

万丈に聞いた話では、今日までに起きた事件は11件。内2件は初期に起きた爆竹程度の爆発と、駅前のごみ箱内の缶が爆発した、比較的規模の小さいものだ。

 

「最初の2件は実験・・・爆発できるものの確認と、規模のコントロール・・・」

 

「本番はそれ以降の9件と言うことですの・・・?ということは・・・!!」

 

戦兎の言葉で黒子が何かに思い当たった、その瞬間だった。

 

『―――――♪!!――――――♪!!』

 

戦兎の傍で浮遊していたクローズドラゴンが突然、警告音のような音楽を鳴らし始めた。と、それに合わせて室内の風紀委員(ジャッジメント)用端末から一斉にアラート音が鳴る。

 

「監視衛星に反応あり!!重力子の加速を確認したわ!!」

 

固法が表示された情報を読み上げる。戦兎はクローズドラゴンから受信したデータをビルドフォンで読み込み、言った。

 

「場所は・・・第7学区。ここから近いな・・・って、ここは!?」

 

「そんな、まさか!!」

 

画面を見ていた黒子が目を見開く。

反応は、学園都市第7学区のなかでも最も学生に人気のある複合施設。

 

「反応は第7学区、セブンスミスト内だ!」

 

そこは御坂たちが今まさに買い物をしている店の名前であった。

 




ストックが切れたので更新がえらく遅れてしまいました。
今回から二話でグラビトン事件が完結します。それ以降は幻影御手の話に入ります。いつになるかはまあ、わかりませんが・・・

投稿頻度なんですが、文章量3000-4000字程度で1週間ごとか、今までのように6000-10000字程度で2週間ごとのどっちがいいんですかね?ご意見あればぜひコメントまでお願いします。

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